EMOTIONS(感情)
「オンリさん、お願いがあります」
「あんだよ、急にかしこまって」
アタシの旦那である元教団兵、今は木こりをやってるシギーが真面目な顔でアタシを見てくる。
いつになく言葉の雰囲気も軽くないし、ちょっと心配だ――こいつ普段アホだから、逆に真面目で。
「僕は思ったんです」
「……ん」
もしかして今更嫌いになったのか……?
え、嘘だろ、ちょ、違うよな!?
「僕とオンリさんはやっぱり」
合ってるからあ!!
頼むぅ、言うならハッキリ……あ、やっぱり言うなあ!!
「まだ! 絆が深まってないなあって!!」
「馬鹿野郎!」
「なんで泣いてるダゴンッ!!」
泣いてねーし、これアレだし、朝飲んだ牛乳の残り汁だし!!
「不安になんじゃねーかこのシギー野郎!」
「し、シギー野郎って何ですか……」
「バカ、アホ、マヌケ、タコ、カス、クズ、ゴミ、死ねって意味だバーカ!!」
「罵詈雑言の市場だった! あ、あの、何か気に障ったんならごめんなさい!」
「たくっ」
不安になったじゃねーか、クソッ。
とりあえずシギーを起こして、アタシは椅子に座る。
「んで、なんだっつーんだよ。絆が深まってないだぁ?」
「はい。あんですね、この前来たこの森の所有者だっていうヴァンパイなんとかのシャラなんとか夫人」
「ヴァンパイアのシャララだろ! なんでそこまで出て言えねーんだよ!」
「その夫人がですね、オンリさんの単眼を馬鹿に? というか差別した発言したもんで、旦那共々、真水ぶっかけてやったんですよ」
「お前も容赦ねえな」
……でもまあ、嬉しいけどさ。
アタシのことかばってくれた女は母ちゃんとルニャーニャ、男は……お前だけだし。
「そしたら旦那が水掛けられて震える夫人を庇って……。最初は差別した夫人庇ってたからナメてんのかって思ったんですけど、よく考えたらヴァンパイアって水に弱かったんですよね」
「ああ、そうだぜ。確か全身に快楽が回って、昼ってなるとさらに効いただろ」
「……でも俺って、怒って真水ぶっかけただけで。オンリさんのいいところ言ってなくて」
「別にいいよ、恥ずかしい」
「実はその場で言えるいいところ思いつかなかったのもあるんですけど」
「やっぱ死ねお前」
「そ、それだからです! 今から知ろうと思って」
「え?」
アタシは思わず触手ごと首を傾げた。
「僕の中ではその時、オンリさんって単眼がコンプレックスだったことと、友達がいなかったことと、料理が作れないことしか知らなくて」
「お前はアタシをどうしたいんだよ! 心のナイフで他人のトラウマ抉んな!」
「でもオンリさん、よく考えたら僕の事を可愛がってくれるし、何より料理はできないけど洗濯と掃除は得意だし……うん」
「うんじゃねーよ! もうねーのかよ!?」
「だって後はセックスが気持ちいいとかですよ!? うーん……あ、そうだオンリさん」
「あんだよ」
「今からセックスしてみましょう」
「唐突だなお前!!」
***
つーわけで魔力の塊落として、乳首とかアソコとかを外に晒す。
住んでる小屋ン中は暖炉で薪を焚いてるから寒くはねーけど、もしかすれば声が出るかもしれない、注意しねーと……。
「とりあえず前戯からしていいとこ探します〜、んー……ぺろ」
「うわっ! あ、汗くせぇだろぉ!? 腋舐めんな、馬鹿ぁ!」
「じゃあどこならいいんですか!?」
「逆ギレすんな! ふ、普通にアソコとか!」
「それじゃあいいとこ見つけられませんから! んー、この辺はどうです?」
と、腋から移動したのはいいが、次に舐めたのは――足の、指!
くすぐったいけどなんか、なんつーか……うぅう……。
「臭いだろぉ!! やめろってぇ!!」
「顔真っ赤っかで可愛いですよ……!」
「見んなアホぉおおおお!! やめてぇっ!!」
「ごめんなさい! じゃあ次は……ここで! んふぅ」
「ひゃんっ!? な、ばっ、あ」
手で顔を隠してたせいだ、防げなかったし何をされようとしているかもわからなかったけど、手をどけると、アタシのまな板みてーな胸、その乳首にシギーが吸い付いてやがった。
右に飽きたら左、左に飽きたら右、それを繰り返して最終的には舌先で交互に舐め比べる。
「ひゃふっ、力、ち、からぬけるぅ……やめろぉ……」
「ふぅーふぅー……。……母乳出ないんですね」
「出る訳ねーだろ! 妊娠してねーんだから! 死ね!」
「じゃあ! 妊娠させてあげます!」
「へ?」
アタシの前で服を脱ぎだしたシギーは、なんかもうバキバキになったチンコをアタシのアソコへと当てた、その時。
下腹部に不快感、マズイ、これは!
「あう……」
「ん? オンリさん? どうしたんですか?」
「で、出そう……」
「何がですか!? あ、母乳!?」
「アホか! そ、その、その……お……」
「お?」
「……お、おしっこ……」
「……おしっこですか」
その瞬間、シギーがチンコを引いた。
さ、流石におしっこ出そうになったら解放するよな!?
「あのオンリさん」
「な、なんだよ! 早くどけってーの!」
「僕……飲んでみたいです」
「………………はい?」
「オンリさんのおしっこ……もしかしたらすごくいい物かもしれないですから……お願いします!」
「……は? はぁああああああ!? ふ、ふざけんなぁあああ!! 変態、あ、舐めんな死ねええええ! ちょ、出る、出るから、やば、早く離せんんんんぅうううう!! あ……」
眼からなみ……牛乳の残り汁が、多分、恥ずかしさでボロボロ出る。
だってお前さ、好きな奴に、おしっこ飲まれてみろよ……死にたくならねえ……?
しかもすごい量だよ……朝に牛乳飲み過ぎたせいだ……死にてえ……死にてえ……。
「ごくっ……。オンリさん、しょっぱかったけど……美味しかったですよ!」
「…………」
「オンリさん?」
「……ひぐっ……」
「え」
「うあぁあああああ……」
「え、ちょ、なんで泣いて!!」
「うわぁあああん!! し、シギーのアホー!! バカ、アホ、マヌケ、タコ、カス、クズ、ゴミ、死ねー!! うわぁあああん!!」
もういやだーおうちかえるー!!
「……オンリちゃーん、これ、鍬直しとい……どうしたの!?」
「あ」
「ルニャーニャぁ!! し、シギーが、いやだって言うのに」
「……うん」
「おしっこ、アタシのおしっこ飲んだぁ! うわぁあああん!!」
「……覚悟できてんですか、この変態野郎……!!」
「ちょっと待ってください、その、僕はですね、あの、そんなハンマーどこから取り出したんですか、え、ちょ、振り上げないでくだ――」
***
三日後。
ルニャーニャのハンマーで打たれたのに、地中でもなんとか生きてたシギーはゾンビみてーにパンを食っている。
「もう二度とすんなよ」
「はい」
「たくっ……」
「あ、オンリさん」
「あんだよ」
「オンリさんのいいところ、まだありました」
「何処だってーの」
シギーはよろよろと、アタシの方へ近寄って来る。
何をするかと思えば、アタシの顔をじっと見るだけだ。
「なんだよ」
「やっぱり」
「あん?」
「オンリさんの眼、綺麗だ」
「……うるせーよ」
「えへへ」
急いで顔を隠す。
前みたいに鏡は覗かない、変態かと思われるし、どういう顔してんのかわかるし。
「……あんがと……」
「はい?」
「なんでもねーよ! オラ、元気になったんならアタシの飯作れ!」
「はい!」
アタシの旦那はアホだ。
そりゃあもう、救いようのねえ位、アホ。
でもアタシはそれでいいかなんて思ってもいる。
アタシの大嫌いな眼がシギーは好きで、催眠なんかしなくても、心の底からアタシを好きだって言ってくれる奴だから。
アタシは、こいつが好きなんだ。
「あんだよ、急にかしこまって」
アタシの旦那である元教団兵、今は木こりをやってるシギーが真面目な顔でアタシを見てくる。
いつになく言葉の雰囲気も軽くないし、ちょっと心配だ――こいつ普段アホだから、逆に真面目で。
「僕は思ったんです」
「……ん」
もしかして今更嫌いになったのか……?
え、嘘だろ、ちょ、違うよな!?
「僕とオンリさんはやっぱり」
合ってるからあ!!
頼むぅ、言うならハッキリ……あ、やっぱり言うなあ!!
「まだ! 絆が深まってないなあって!!」
「馬鹿野郎!」
「なんで泣いてるダゴンッ!!」
泣いてねーし、これアレだし、朝飲んだ牛乳の残り汁だし!!
「不安になんじゃねーかこのシギー野郎!」
「し、シギー野郎って何ですか……」
「バカ、アホ、マヌケ、タコ、カス、クズ、ゴミ、死ねって意味だバーカ!!」
「罵詈雑言の市場だった! あ、あの、何か気に障ったんならごめんなさい!」
「たくっ」
不安になったじゃねーか、クソッ。
とりあえずシギーを起こして、アタシは椅子に座る。
「んで、なんだっつーんだよ。絆が深まってないだぁ?」
「はい。あんですね、この前来たこの森の所有者だっていうヴァンパイなんとかのシャラなんとか夫人」
「ヴァンパイアのシャララだろ! なんでそこまで出て言えねーんだよ!」
「その夫人がですね、オンリさんの単眼を馬鹿に? というか差別した発言したもんで、旦那共々、真水ぶっかけてやったんですよ」
「お前も容赦ねえな」
……でもまあ、嬉しいけどさ。
アタシのことかばってくれた女は母ちゃんとルニャーニャ、男は……お前だけだし。
「そしたら旦那が水掛けられて震える夫人を庇って……。最初は差別した夫人庇ってたからナメてんのかって思ったんですけど、よく考えたらヴァンパイアって水に弱かったんですよね」
「ああ、そうだぜ。確か全身に快楽が回って、昼ってなるとさらに効いただろ」
「……でも俺って、怒って真水ぶっかけただけで。オンリさんのいいところ言ってなくて」
「別にいいよ、恥ずかしい」
「実はその場で言えるいいところ思いつかなかったのもあるんですけど」
「やっぱ死ねお前」
「そ、それだからです! 今から知ろうと思って」
「え?」
アタシは思わず触手ごと首を傾げた。
「僕の中ではその時、オンリさんって単眼がコンプレックスだったことと、友達がいなかったことと、料理が作れないことしか知らなくて」
「お前はアタシをどうしたいんだよ! 心のナイフで他人のトラウマ抉んな!」
「でもオンリさん、よく考えたら僕の事を可愛がってくれるし、何より料理はできないけど洗濯と掃除は得意だし……うん」
「うんじゃねーよ! もうねーのかよ!?」
「だって後はセックスが気持ちいいとかですよ!? うーん……あ、そうだオンリさん」
「あんだよ」
「今からセックスしてみましょう」
「唐突だなお前!!」
***
つーわけで魔力の塊落として、乳首とかアソコとかを外に晒す。
住んでる小屋ン中は暖炉で薪を焚いてるから寒くはねーけど、もしかすれば声が出るかもしれない、注意しねーと……。
「とりあえず前戯からしていいとこ探します〜、んー……ぺろ」
「うわっ! あ、汗くせぇだろぉ!? 腋舐めんな、馬鹿ぁ!」
「じゃあどこならいいんですか!?」
「逆ギレすんな! ふ、普通にアソコとか!」
「それじゃあいいとこ見つけられませんから! んー、この辺はどうです?」
と、腋から移動したのはいいが、次に舐めたのは――足の、指!
くすぐったいけどなんか、なんつーか……うぅう……。
「臭いだろぉ!! やめろってぇ!!」
「顔真っ赤っかで可愛いですよ……!」
「見んなアホぉおおおお!! やめてぇっ!!」
「ごめんなさい! じゃあ次は……ここで! んふぅ」
「ひゃんっ!? な、ばっ、あ」
手で顔を隠してたせいだ、防げなかったし何をされようとしているかもわからなかったけど、手をどけると、アタシのまな板みてーな胸、その乳首にシギーが吸い付いてやがった。
右に飽きたら左、左に飽きたら右、それを繰り返して最終的には舌先で交互に舐め比べる。
「ひゃふっ、力、ち、からぬけるぅ……やめろぉ……」
「ふぅーふぅー……。……母乳出ないんですね」
「出る訳ねーだろ! 妊娠してねーんだから! 死ね!」
「じゃあ! 妊娠させてあげます!」
「へ?」
アタシの前で服を脱ぎだしたシギーは、なんかもうバキバキになったチンコをアタシのアソコへと当てた、その時。
下腹部に不快感、マズイ、これは!
「あう……」
「ん? オンリさん? どうしたんですか?」
「で、出そう……」
「何がですか!? あ、母乳!?」
「アホか! そ、その、その……お……」
「お?」
「……お、おしっこ……」
「……おしっこですか」
その瞬間、シギーがチンコを引いた。
さ、流石におしっこ出そうになったら解放するよな!?
「あのオンリさん」
「な、なんだよ! 早くどけってーの!」
「僕……飲んでみたいです」
「………………はい?」
「オンリさんのおしっこ……もしかしたらすごくいい物かもしれないですから……お願いします!」
「……は? はぁああああああ!? ふ、ふざけんなぁあああ!! 変態、あ、舐めんな死ねええええ! ちょ、出る、出るから、やば、早く離せんんんんぅうううう!! あ……」
眼からなみ……牛乳の残り汁が、多分、恥ずかしさでボロボロ出る。
だってお前さ、好きな奴に、おしっこ飲まれてみろよ……死にたくならねえ……?
しかもすごい量だよ……朝に牛乳飲み過ぎたせいだ……死にてえ……死にてえ……。
「ごくっ……。オンリさん、しょっぱかったけど……美味しかったですよ!」
「…………」
「オンリさん?」
「……ひぐっ……」
「え」
「うあぁあああああ……」
「え、ちょ、なんで泣いて!!」
「うわぁあああん!! し、シギーのアホー!! バカ、アホ、マヌケ、タコ、カス、クズ、ゴミ、死ねー!! うわぁあああん!!」
もういやだーおうちかえるー!!
「……オンリちゃーん、これ、鍬直しとい……どうしたの!?」
「あ」
「ルニャーニャぁ!! し、シギーが、いやだって言うのに」
「……うん」
「おしっこ、アタシのおしっこ飲んだぁ! うわぁあああん!!」
「……覚悟できてんですか、この変態野郎……!!」
「ちょっと待ってください、その、僕はですね、あの、そんなハンマーどこから取り出したんですか、え、ちょ、振り上げないでくだ――」
***
三日後。
ルニャーニャのハンマーで打たれたのに、地中でもなんとか生きてたシギーはゾンビみてーにパンを食っている。
「もう二度とすんなよ」
「はい」
「たくっ……」
「あ、オンリさん」
「あんだよ」
「オンリさんのいいところ、まだありました」
「何処だってーの」
シギーはよろよろと、アタシの方へ近寄って来る。
何をするかと思えば、アタシの顔をじっと見るだけだ。
「なんだよ」
「やっぱり」
「あん?」
「オンリさんの眼、綺麗だ」
「……うるせーよ」
「えへへ」
急いで顔を隠す。
前みたいに鏡は覗かない、変態かと思われるし、どういう顔してんのかわかるし。
「……あんがと……」
「はい?」
「なんでもねーよ! オラ、元気になったんならアタシの飯作れ!」
「はい!」
アタシの旦那はアホだ。
そりゃあもう、救いようのねえ位、アホ。
でもアタシはそれでいいかなんて思ってもいる。
アタシの大嫌いな眼がシギーは好きで、催眠なんかしなくても、心の底からアタシを好きだって言ってくれる奴だから。
アタシは、こいつが好きなんだ。
14/02/05 02:45更新 / 二酸化O2