連載小説
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魔物高校生と女子力
「ねえ、女子力って何?」



突然、「夕張3アンデス7の黄金比メロンジュース」を飲み干したマンティコアの曜(ひかり)が、友人二人の魔物に話しかける。



「戦闘力みたいなものか?」



それに最初に答えたのは「肉球に優しい!激ぬる〜いお茶」を飲むアヌビスの真奈美(まなみ)。



「え〜……? それって新しいラーメンの具かぁ?」



首を傾げて「樽樽コーラ」を飲み干すのはウシオニの悠(ゆう)。

この三人は県立大和撫子女子学校に通う、魔物娘三人であり、三人とも親が大和撫子のようになってほしいという願いで入らされたが、曜と悠は種族的な問題ですでに無理だったうえ、真奈美も影響されて段々と男子よりガサツになり始めた。

今は放課後で、三人は無理矢理入れられた図書委員の仕事で貸出カウンターに座っている。



「二人とも違うわ! やっぱ大和撫子目指してる訳じゃん、アタシら」

「まあな」

「それよかラーメン食いてぇー!」

「私はカレー屋に行きたい」

「アンタらのそれが女子っぽくないの! アタシらなんで男子みたいなことしてんの!?」

「悠は歩くだけでカロリー消費が激しいし、私達は家まで片道四十分の通学……腹が空くんだ」

「そこよ、そこからおかしいのよ」

「何がだよ〜……腹空いてきた〜……」

「アタシらは帰りにラーメン屋やカレー屋に行くべきじゃないのよ、喫茶店に行くべきだわ!」

「でもオレら図体デカいから入り口で引っかかるし」

「私もあの店員の『うっわ肉球用カップ出すのめんどくさい……』みたいな態度を取られるのが嫌だ」

「う、うーむ」



ラーメン屋やカレー屋はカップル連れで来たりもするか、割と種族専用の道具をすぐに出してくれたり、店主も人当たりが良かったりするので、三人はよくそちらへ行っているのだ。

喫茶店の方はと言えば「お嬢様」が行くべき場所であり、かつ曜は巨大な尻尾が、悠は巨大な体が席や入り口で引っかかり、真奈美は専用のカップを出してもらわないとまともに飲めない。

店員の態度も悪いので、あまり二人は乗り気でないのだ。



「それに女子力が喫茶店に行くくらいで上がるとは思えん」

「どうしたら上がるの?」

「やはり恋だろう、恋」



真奈美は鞄からタブレットフォンを取り出し、慣れた動作で画面を優しく爪で弾く。



「何してんの?」

「彼氏持ちの友人に聞いてみる」

「流石、頭脳派真奈美!」

「オレたちの女子力を上げれる奴頼むぜ!」

「よし、おーい、恵梨香」

『はいは〜い? どしたの?』

「いや、急に私の友達が女子力を上げたいとな。彼氏持ちのお前ならわかるだろ?」

『そうだな〜……。アヌビスの真奈美はわかるけど、他二人は?』

「ウシオニとマンティコア」

『……ごめん』ブツッ

「恵梨香貴様ァアアアアアア!!」

「ダメね、やっぱり」

「落ち着け真奈美〜」



暴れる真奈美を押さえながら、悠は考える素振りをする。



「やっぱ腹が減ってるとダメだなー」

「わ、ワン……」

「とりあえずラーメン食べて落ち着きましょ、ほら真奈美、行くわよ」

「わあったワン……」

「今日はチャーシューメン、チャーシュー激盛丸だー!!」

「ラーメンとチャーハンと酢豚」

「アタシはチンジャオロースにしようかなー」



そして財布を取り出し、三人は学校から出て行った。

それを見て、大和撫子女子学校の生徒であり、三人のクラスメイトであるアルプの芳子(よしこ、旧名芳雄)は思ったことを呟く。



「女子力って結局何なんだよ……」



そんな事も気にせず、三人組はラーメン屋へ向かって行ったのだった。
13/09/27 00:00更新 / 二酸化O2
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ゆるくふわっと続けていきたいです

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