魔物娘ってネギは食べられるのか?
ネギと言えば、鍋の具材、ネギマ、首○パッチソード等、様々な用途があるのは皆さんもご存じだろう。しかし、そうした人間にとって使用価値の高いネギは、実は動物にとっては毒なのである。皆さんも聞いたことはあるかと思うが、犬猫にネギを食べさせたら中毒になって、そのまま死んでしまったという事はよく知られている。では、魔物娘の場合はどうなのか…
そんな疑問を抱いたのは、リーグソールという遺跡がそのまま街になっているというちょっと珍しい場所で香辛料屋を営むサラーであった。この街は、その特徴が故に、マミーやらアヌビスやらと言った魔物が多く住み、昔から共存して暮しあっている。そんな中、サラーはつい3ヶ月前、スフィンクスのマリーを嫁にもらったばかりのことである(半ば無理矢理に)。
「魔物って、ネギ食えるのか…?」
片手にネギを持ち、それを眺めながら神妙な顔付きでサラーは見ていた。香辛料屋という職業からか、世界中から珍しい物も取り寄せるときもある。しかし、以外にもネギはそこそこ出回っている代物ではあり、味が好きな為、自分用として何回か取り寄せてはいた。だが、こんな疑問を抱いたのは生まれて初めてである。
「うーん、以前友人がうっかりネギの入ったご飯を飼い犬にやったら中毒を起こしてえらい目にあったって聞くし…実際にマリーに聞いてみるか。]
そう呟くと、サラーは閉店の準備をし始めた。
家に帰り夕食後、サラーはマリーに訊ねてみた。
「なぁ、マリーはこれ知ってるか?」
「にゃっ、あたしの方から質問を投げかけることはあっても、サラーからの質問は初めてだにゃ。どれどれ…」
そう言うと、マリーはネギを手に取り、じっくりそれを眺めた。
「うーん…ちょっとわからにゃいにゃ。にゃにこれ。」
「ネギって言うんだけど、聞いたことある?この辺にはぼちぼち出回っているんだけど…」
「いやー聞いたことも見たこともにゃいにゃ。…で、味は?」
「結構さっぱりしていて、結構おいしいよ。ジパングの方では薬味に使用したりするって聞くね。料理とかだと、スープとか野菜炒めにするとおいしいよ。ただ、犬猫が食べると中毒を起こして最悪死んじゃったりするから、マリーはどうなのかなーって。」
そう答えると、マリーはちょっと顔をしかめた。
「おいおい、そんな代物あたしに食べろってかにゃ。」
「いや、無理にとは言わないんだ。ただマリーとかの魔物は大丈夫なのかなーって。」
「うーん…話を聞いてると、ちょっと気が引けるかにゃー。でもサラーがおいしいって言う代物だし…サラーの料理のジャンルも増やしたいし…うーん…」
そう言うと、マリーは腕を組みながら考え込んでしまった。今までマリーが、こんな考え込む場面&こんな堅苦しい表情は見たことがないのでちょっと新鮮な光景だ。しかし、さすがに考え込みすぎて、ジパングに伝わる歌舞伎という劇に出てくる役者の様な顔を長時間されるのはごめんである。
「わかった。ちょっと俺が調べてみよう。そして食べられたら食べてみようじゃないか。」
「ホントに!?」
「ああ、本当だって。マリーが考え込む姿も可愛いけど、そんな堅苦しい顔されたらたまらんて。」
「あ、ありがとにゃ!!」
と、目をキラキラさせながら全力でサラーに抱きついた。何だかんだで単純で可愛い奴である。
「あ、そうだ思い出したにゃ。あたしでも一つだけ食べられるネギがあるにゃ。」
「え、そうなの?何?」
「さーて、にゃんでしょうか?」
ご存じスフィンクスの問いかけである。俺は何回かこの問いかけで痛い思いをしている。だが、この問いかけはあまりにもオチが見えすぎていた。
「どうせ俺の股間のネギだろう。」
「ピーンポーン大正解だにゃ!さて、今からデザートとしていただきまぁあす!」
(ネギはデザートに使わねぇよ!)
そう思いながらも、マリーにマッハでマッパにされた俺は、一晩中散々股間のネギを頬張られたり色々されたのであった。
翌日、さっそく俺は疑問を解決すべく、心当たりのある知人に聞いてみることにした。まず、バザールの管理をしているアヌビスのアリエスに聞いてみた。ところ、
「ネギ?…ネギ…うーん…い、いやこれは…え?…い、言っておくがこ、こ、答えられないわけ…ではなくて、し、真剣に解決策を練っているのであってだな…ブツブツ…」
どうやら彼女でもわからないようである。このまま彼女に考えさせ続けると、頭が茹で上がりそうなので他を当たるとする。次に、家の隣に住んでいるギルタブリルのリオに聞こうとしたところ、家の中から元盗賊であるリオの夫の悲鳴が聞こえてきた。お取り込み中かと思うと私は、家の入口の前で手を合わせ得ると足早にそこを去った。
その後、様々な人に聞いたが、知っている人はいなかった。
「マリーと約束したけど、大丈夫かな…」
頭を抱え込みながら途方に暮れていると、
「サラーはん、そんな頭抱え込んでどないしたん?」
と、一人の形部狸が話しかけてきた。彼女は俺の知り合いの小松。ジパングの行商人であり、結構交流も深かった。
「あ、小松さん。実は…」
事情を説明すると小松は、
「なんやそんなことで悩んでいたんかい。基本的にわたしらジパングの魔物がネギ食べても大丈夫やけど、それ以外の魔物についてはちょっとわからん。」
「そうですか…」
「なに、安心しな。これ渡しとくから。よう効く解毒剤やで。念のために持っとき。」
そう言うと、小松は俺にピンク色の液体が入った小さな小瓶を渡した。
「ほ、本当にいいんですか?」
「なに言ってんや。あんさんとことはいつもご贔屓にしてるから、これぐらいどってことないで。」
「あ、ありがとうございます!」
そう言うと、俺は全力ダッシュで家に戻って行った。これでマリーを満足させられる。そう思うだけで、何だか体が軽くなった。
後ろで小松がニヤついているのも知らずに。
家に帰ると、さっそくネギを使った料理を作ってみた。ネギの入った野菜炒めだが、これでいいのかな。そして、夕食時にそれを食べるマリー。味の方は…
「う、うまいにゃ!こんなおいしい物食べたのは初めてだにゃ。」
「おいおいちょっと大げさすぎないかい?」
「いや、おおげさじゃないにゃ。このさっぱりとした触感、シャキシャキ感、生まれて初めて味わう感触だにゃん!」
マリーは大いに喜んでくれた。そうしているうちにマリーは全部ぺろりと野菜炒めを平らげてしまった。
「ふぅー、ごちそうさまだにゃん。」
「あれ?俺のおかずは…」
「ノープログレムだにゃん。」
それも、俺の分までも。
「いやーおいしかったにゃー。ありがとにゃ。わざわざあたしの為に聞いて回ってくれて。」
「いやーどうってことは無いよ。」
俺は、照れくさそうに答えた。
「なんの。あたしだってこんな素晴らしい婿が手に入って…ヒック」
そう言うと、いきなりマリーは手で胸を抑えながら苦しそうにし始めた。そしてそのまま倒れこんでしまった。
「お、おいだいじょうぶか!?」
「だ、大丈夫にゃ…」
俺の問いかけに弱々しく答えるマリー。ジパングの魔物以外はわからないという小松の言葉をすっかり忘れていた。
「ま、待ってろ、今解毒剤を飲ませてやるからな!」
そう言うと、俺は小松から貰った解毒剤を飲ませた。…しかし、よくなる気配は全くない。
「ごめんな。俺が不注意でネギなんか食べさせてしまって。」
俺はつい涙ぐみながら話しかけた。
「いい…って…そんにゃこと誤らにゃくても…」
マリーが細い声で話しかける。
「にゃあサラー、…あたしは…の間…でも…一緒に…よかった…」
マリーの声がかすれてよく聞こえない。
「マリー、ダメだ!俺を1人にしないでくれ!」
「へへっ、あたしは…少しの…間…だけでも…一緒に入れて…よかったよ…あり…が…とう」
そう言うと、マリーは俺の腕の中で力尽きてしまった。
「マリィィィィイイーーーーーー!!!!」
俺は泣いて絶叫した。マリーのことが好きだったのに、マリーを幸せにしたかったのに、ああ、それなのにこんな糞みたいな疑問でマリーを殺してしまった。ああ、俺は…俺は…俺は…
「…にゃーんてね。あたしが死んだと思った?おバカさん。」
信じられない。さっきまで苦しそうにしていたマリーが、もう死んで動かなくなっていたマリーが、まるで悪戯が成功したときの子供の様な表情を浮かべながら俺を見ている。
「あれ…?マリーが、…生きてる?」
そう俺は、涙ぐんだ声で話しかけた。
「当り前だにゃ。そもそも中毒にかかったとしても、すぐにコロッと逝くわけないにゃん!もうちょっと冷静になるにゃん!」
マリーは意地悪そうな笑みで俺に話しかける。
「…あたしが死んだふりしたときのサラーの顔、いつもはクソ真面目な顔しかしにゃい癖に、あんなに涙ぐんじゃって…可愛かったにゃ。」
「…」
「どうかしたかにゃ?」
「この馬鹿!俺を心配させやがって!」
そう言うと俺は、泣きながらマリーに抱きついた。
「まったく、俺一人になったら寂しいじゃないか…」
「ご、ごめんなさいにゃ…」
そう言うと、しばらくの間、泣きながら無言で抱きしめあい続けた。…しばらくした後、
「ねぇ…体が火照ってきちゃったにゃ。こんな悪戯をした後で悪いけど…あたしとやってくれないかにゃ。」
「こんな時によくそんなことが言えるな。…だけどそんなお前が好きだ。…ん?ちょっと待って。」
俺は、先ほど解毒剤としてマリーに飲ませた物が入っていた小瓶を取り、匂いを嗅いでみた。この色、匂い…間違いない、虜の果実のエキスを凝縮した媚薬だった。
(何で小松はこんなもの…さては魔物がネギ食べても大丈夫だとわかっていながらっ!)
そう気づいても時すでに遅し。すでに俺はマリーと合体していた。その晩のエッチはいつも以上に熱く、燃え上がるようなものであったのは言うまでもない。
その後、マリーから聞いたのだが、実はあの1件はマリーが俺との子供が欲しいと思ったことから小松と仕組んだとのことである。死んだふりをしたのは、小松の入れ知恵だったそうだ。そしてそれが元となってか、マリーは妊娠し、現在妊娠3カ月となった。マリーがネギを食べられることが分かった為、食事のジャンルも増え、小松から教えてもらったジパングの料理、鍋を週に一回は作るようになった。こうして、ネギ騒動の後、俺とマリーの絆はより一層深くなった。
そしてしばらくした後、サラーは再び考えた。
(チョコレートってマリーでも食えるのか?)
しかし、その疑問を追及していくと、今度はスカトロプレイでもされるのではと頭に浮かんだ為、サラーは考えるのをやめ、閉店の準備をし、足早に妻とお腹の子が待つ家に帰って行ったのであった。
完
そんな疑問を抱いたのは、リーグソールという遺跡がそのまま街になっているというちょっと珍しい場所で香辛料屋を営むサラーであった。この街は、その特徴が故に、マミーやらアヌビスやらと言った魔物が多く住み、昔から共存して暮しあっている。そんな中、サラーはつい3ヶ月前、スフィンクスのマリーを嫁にもらったばかりのことである(半ば無理矢理に)。
「魔物って、ネギ食えるのか…?」
片手にネギを持ち、それを眺めながら神妙な顔付きでサラーは見ていた。香辛料屋という職業からか、世界中から珍しい物も取り寄せるときもある。しかし、以外にもネギはそこそこ出回っている代物ではあり、味が好きな為、自分用として何回か取り寄せてはいた。だが、こんな疑問を抱いたのは生まれて初めてである。
「うーん、以前友人がうっかりネギの入ったご飯を飼い犬にやったら中毒を起こしてえらい目にあったって聞くし…実際にマリーに聞いてみるか。]
そう呟くと、サラーは閉店の準備をし始めた。
家に帰り夕食後、サラーはマリーに訊ねてみた。
「なぁ、マリーはこれ知ってるか?」
「にゃっ、あたしの方から質問を投げかけることはあっても、サラーからの質問は初めてだにゃ。どれどれ…」
そう言うと、マリーはネギを手に取り、じっくりそれを眺めた。
「うーん…ちょっとわからにゃいにゃ。にゃにこれ。」
「ネギって言うんだけど、聞いたことある?この辺にはぼちぼち出回っているんだけど…」
「いやー聞いたことも見たこともにゃいにゃ。…で、味は?」
「結構さっぱりしていて、結構おいしいよ。ジパングの方では薬味に使用したりするって聞くね。料理とかだと、スープとか野菜炒めにするとおいしいよ。ただ、犬猫が食べると中毒を起こして最悪死んじゃったりするから、マリーはどうなのかなーって。」
そう答えると、マリーはちょっと顔をしかめた。
「おいおい、そんな代物あたしに食べろってかにゃ。」
「いや、無理にとは言わないんだ。ただマリーとかの魔物は大丈夫なのかなーって。」
「うーん…話を聞いてると、ちょっと気が引けるかにゃー。でもサラーがおいしいって言う代物だし…サラーの料理のジャンルも増やしたいし…うーん…」
そう言うと、マリーは腕を組みながら考え込んでしまった。今までマリーが、こんな考え込む場面&こんな堅苦しい表情は見たことがないのでちょっと新鮮な光景だ。しかし、さすがに考え込みすぎて、ジパングに伝わる歌舞伎という劇に出てくる役者の様な顔を長時間されるのはごめんである。
「わかった。ちょっと俺が調べてみよう。そして食べられたら食べてみようじゃないか。」
「ホントに!?」
「ああ、本当だって。マリーが考え込む姿も可愛いけど、そんな堅苦しい顔されたらたまらんて。」
「あ、ありがとにゃ!!」
と、目をキラキラさせながら全力でサラーに抱きついた。何だかんだで単純で可愛い奴である。
「あ、そうだ思い出したにゃ。あたしでも一つだけ食べられるネギがあるにゃ。」
「え、そうなの?何?」
「さーて、にゃんでしょうか?」
ご存じスフィンクスの問いかけである。俺は何回かこの問いかけで痛い思いをしている。だが、この問いかけはあまりにもオチが見えすぎていた。
「どうせ俺の股間のネギだろう。」
「ピーンポーン大正解だにゃ!さて、今からデザートとしていただきまぁあす!」
(ネギはデザートに使わねぇよ!)
そう思いながらも、マリーにマッハでマッパにされた俺は、一晩中散々股間のネギを頬張られたり色々されたのであった。
翌日、さっそく俺は疑問を解決すべく、心当たりのある知人に聞いてみることにした。まず、バザールの管理をしているアヌビスのアリエスに聞いてみた。ところ、
「ネギ?…ネギ…うーん…い、いやこれは…え?…い、言っておくがこ、こ、答えられないわけ…ではなくて、し、真剣に解決策を練っているのであってだな…ブツブツ…」
どうやら彼女でもわからないようである。このまま彼女に考えさせ続けると、頭が茹で上がりそうなので他を当たるとする。次に、家の隣に住んでいるギルタブリルのリオに聞こうとしたところ、家の中から元盗賊であるリオの夫の悲鳴が聞こえてきた。お取り込み中かと思うと私は、家の入口の前で手を合わせ得ると足早にそこを去った。
その後、様々な人に聞いたが、知っている人はいなかった。
「マリーと約束したけど、大丈夫かな…」
頭を抱え込みながら途方に暮れていると、
「サラーはん、そんな頭抱え込んでどないしたん?」
と、一人の形部狸が話しかけてきた。彼女は俺の知り合いの小松。ジパングの行商人であり、結構交流も深かった。
「あ、小松さん。実は…」
事情を説明すると小松は、
「なんやそんなことで悩んでいたんかい。基本的にわたしらジパングの魔物がネギ食べても大丈夫やけど、それ以外の魔物についてはちょっとわからん。」
「そうですか…」
「なに、安心しな。これ渡しとくから。よう効く解毒剤やで。念のために持っとき。」
そう言うと、小松は俺にピンク色の液体が入った小さな小瓶を渡した。
「ほ、本当にいいんですか?」
「なに言ってんや。あんさんとことはいつもご贔屓にしてるから、これぐらいどってことないで。」
「あ、ありがとうございます!」
そう言うと、俺は全力ダッシュで家に戻って行った。これでマリーを満足させられる。そう思うだけで、何だか体が軽くなった。
後ろで小松がニヤついているのも知らずに。
家に帰ると、さっそくネギを使った料理を作ってみた。ネギの入った野菜炒めだが、これでいいのかな。そして、夕食時にそれを食べるマリー。味の方は…
「う、うまいにゃ!こんなおいしい物食べたのは初めてだにゃ。」
「おいおいちょっと大げさすぎないかい?」
「いや、おおげさじゃないにゃ。このさっぱりとした触感、シャキシャキ感、生まれて初めて味わう感触だにゃん!」
マリーは大いに喜んでくれた。そうしているうちにマリーは全部ぺろりと野菜炒めを平らげてしまった。
「ふぅー、ごちそうさまだにゃん。」
「あれ?俺のおかずは…」
「ノープログレムだにゃん。」
それも、俺の分までも。
「いやーおいしかったにゃー。ありがとにゃ。わざわざあたしの為に聞いて回ってくれて。」
「いやーどうってことは無いよ。」
俺は、照れくさそうに答えた。
「なんの。あたしだってこんな素晴らしい婿が手に入って…ヒック」
そう言うと、いきなりマリーは手で胸を抑えながら苦しそうにし始めた。そしてそのまま倒れこんでしまった。
「お、おいだいじょうぶか!?」
「だ、大丈夫にゃ…」
俺の問いかけに弱々しく答えるマリー。ジパングの魔物以外はわからないという小松の言葉をすっかり忘れていた。
「ま、待ってろ、今解毒剤を飲ませてやるからな!」
そう言うと、俺は小松から貰った解毒剤を飲ませた。…しかし、よくなる気配は全くない。
「ごめんな。俺が不注意でネギなんか食べさせてしまって。」
俺はつい涙ぐみながら話しかけた。
「いい…って…そんにゃこと誤らにゃくても…」
マリーが細い声で話しかける。
「にゃあサラー、…あたしは…の間…でも…一緒に…よかった…」
マリーの声がかすれてよく聞こえない。
「マリー、ダメだ!俺を1人にしないでくれ!」
「へへっ、あたしは…少しの…間…だけでも…一緒に入れて…よかったよ…あり…が…とう」
そう言うと、マリーは俺の腕の中で力尽きてしまった。
「マリィィィィイイーーーーーー!!!!」
俺は泣いて絶叫した。マリーのことが好きだったのに、マリーを幸せにしたかったのに、ああ、それなのにこんな糞みたいな疑問でマリーを殺してしまった。ああ、俺は…俺は…俺は…
「…にゃーんてね。あたしが死んだと思った?おバカさん。」
信じられない。さっきまで苦しそうにしていたマリーが、もう死んで動かなくなっていたマリーが、まるで悪戯が成功したときの子供の様な表情を浮かべながら俺を見ている。
「あれ…?マリーが、…生きてる?」
そう俺は、涙ぐんだ声で話しかけた。
「当り前だにゃ。そもそも中毒にかかったとしても、すぐにコロッと逝くわけないにゃん!もうちょっと冷静になるにゃん!」
マリーは意地悪そうな笑みで俺に話しかける。
「…あたしが死んだふりしたときのサラーの顔、いつもはクソ真面目な顔しかしにゃい癖に、あんなに涙ぐんじゃって…可愛かったにゃ。」
「…」
「どうかしたかにゃ?」
「この馬鹿!俺を心配させやがって!」
そう言うと俺は、泣きながらマリーに抱きついた。
「まったく、俺一人になったら寂しいじゃないか…」
「ご、ごめんなさいにゃ…」
そう言うと、しばらくの間、泣きながら無言で抱きしめあい続けた。…しばらくした後、
「ねぇ…体が火照ってきちゃったにゃ。こんな悪戯をした後で悪いけど…あたしとやってくれないかにゃ。」
「こんな時によくそんなことが言えるな。…だけどそんなお前が好きだ。…ん?ちょっと待って。」
俺は、先ほど解毒剤としてマリーに飲ませた物が入っていた小瓶を取り、匂いを嗅いでみた。この色、匂い…間違いない、虜の果実のエキスを凝縮した媚薬だった。
(何で小松はこんなもの…さては魔物がネギ食べても大丈夫だとわかっていながらっ!)
そう気づいても時すでに遅し。すでに俺はマリーと合体していた。その晩のエッチはいつも以上に熱く、燃え上がるようなものであったのは言うまでもない。
その後、マリーから聞いたのだが、実はあの1件はマリーが俺との子供が欲しいと思ったことから小松と仕組んだとのことである。死んだふりをしたのは、小松の入れ知恵だったそうだ。そしてそれが元となってか、マリーは妊娠し、現在妊娠3カ月となった。マリーがネギを食べられることが分かった為、食事のジャンルも増え、小松から教えてもらったジパングの料理、鍋を週に一回は作るようになった。こうして、ネギ騒動の後、俺とマリーの絆はより一層深くなった。
そしてしばらくした後、サラーは再び考えた。
(チョコレートってマリーでも食えるのか?)
しかし、その疑問を追及していくと、今度はスカトロプレイでもされるのではと頭に浮かんだ為、サラーは考えるのをやめ、閉店の準備をし、足早に妻とお腹の子が待つ家に帰って行ったのであった。
完
13/03/10 16:20更新 / JOY