読切小説
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死の終わりまで
それは突然だった。

地面は割れ、波は人を攫い、火は全てを焼く。

神話で語られる世界滅亡の日。

それが来たのだと私たちはすぐに理解した。

両親は私と妹、幼馴染の彼女を間一髪で逃した後、崩れた家に潰された。

私たちは逃げるしかなかった。

どこに逃げれば良いか分からないのに。

街には悲鳴が飛び交う。
誰もが助けを求め、そして途絶える。

そしてそれはまだ序の口だった。

死者が目を覚ます。
それに驚愕する暇もなく、生者は死者に襲われる。
だが悲鳴はすぐに止む。

なぜなら味わうのは絶望ではなく快楽だからだ。

生も死も関係なく味わうのは快楽。
襲われた側もすぐにそれを襲うようになる。

そしてすぐに死者たちの仲間としてそれを広げる。

私達は逃げた。

逃げた。

幼馴染の彼女が私たちを庇って、建物に潰されてからも。










とある山小屋を見つけた。
誰のものかも分からない。
だが今の所、これ以上の逃げる場所は見つからないだろう。

テレビを付ける。

ただ映像だけが流れる。

街の死者たちが人々を襲い、仲間に変えている、そんな光景がただ淡々と。

テレビを消して、残っている食料を妹と分け合う。

そんな日が続いた。











幼馴染が目の前に居た。

生きてるわけがない。

幼馴染は言った。

私は死んで生まれ変わったと。

あなたも、妹さんも一緒に死にましょうと。

私は拒絶する。

幼馴染はそんな私を笑顔で見つめている。

その幽霊のような半透明の姿でずっと。










幼馴染はずっとそこに居る。

時折、自慰をしたり、私に呼びかけながら。








時折、妹が私を兄としてではなく男としての目で見てくる。

それは許されない。

許されない事だ。








身体が飢える、食料はあっても心が飢えている。

真に欲しいものは分かっている。

だがそれは……。










食料が無くなった。

私達は食料を取りに街に行く。

住んでいた街へと。








建物は災害で壊れたままだった。

空は常に暗く、夜は明けない。

死者は交わり続けている。

死者なのだから、限界は無いのだから。

学校で教師や生徒が分け隔てなく、襲い、襲われていた。

死者の隣で交わり合う死者も居る。

しばらくすればその死者も動き出すだろう。

隣の幼い娘を連れた家族も歩いている。

妻は夫に抱きついたまま、駅弁の形で繋がっている娘を慈愛の目で見つめている。

犬や猫の鳴き声が聞こえる。

そこに居るのは獣となったオスに襲われてるメス、獣から人になったメスがオスを襲っていた。

いや、もう分ける必要もないだろう。









崩れた自宅の方に向かう。

そこに両親は居た。

かつてのように私たちを出迎えながら、変わり果てた死者としてお互いを犯しあいながら。










何も言葉は出ない。

目の前に幼馴染と妹がメスの顔をして居ても。

自分の性器が既に収まらないものになってても。

彼女達が性器を広げていても。

両親は交わりながらその時を待っている。

2人は私のモノを舐めている。

まるでアイスを食べるかのように。

かつての思い出が頭に蘇る。

精が出ても2人は顔にかかっても気にせず、美味しく舐め取った。

2人は言った。

最初は2人同時で……と。

そう言うと2人は重なり合う。

そこに居たのは二つの魂を共有したメスの身体。

そしてその時は訪れた。






悲鳴が聞こえた。

それは人としての終わりを迎えた悲鳴。

そしてこの悦びを知ってしまった歓喜の声。

ありとあらゆるものが意味を失う。

今までの夢、希望、未来、全てが死んでいく。

永遠の死の世界が快楽と共に始まる。

この嬌声はその始まりだった
26/01/12 08:08更新 / デーカルス

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