魔界フォーマーズ
いつから私はここにいるんだろう?
8歳ごろだろうか、私はゴキブリが嫌いだ。
なので玄関に現れたそれを殺してもらおうと母親に頼んだのだ。
玄関にいる女の姿をしているゴキブリを。
すぐに意識は失った。
気がついたら両親と共に裸で知らない部屋に閉じ込められていた。
遠くにいるゴキブリ女達は、知らない言葉で何かを話し合っているようだ。
「大丈夫よ、きっと警察とかが助けに来てくれる……!」
母はそう言ってくれた。
だが、そんな母と父もゴキブリ女達に別の部屋に連れて行かれた。
そこはガラス張りでいくつもの部屋があった。
その中には沢山の人達が閉じ込められていた。
良く見てみると、人種や年齢、体格、男女で綺麗に分けられてるようだ。
まるで観察するかのように。
そこで私達は生活をさせられた。
ゴキブリ女達が与えてくる食事を食べ、人前で排泄をして、それを延々と繰り返す……。
「交配実験を始める」
3年くらい経った頃だろうか。
そのゴキブリ女の中でも特に偉そうな女は私も含めていくつかの男女をそれぞれ違う部屋に一組ずつ集めた。
そしてゴキブリ女達はその者たちを、交尾させていった。
見た目は華奢なゴキブリ女でもどんな男でもその力には逆らえず、なされるがままにお互いの相手と交尾させられた。
私の相手は同い年くらいの少年であった。
彼もこの異常な光景に戸惑っていた。
「ねえ、お願い……、無理やりされるくらいなら……」
「……大丈夫かい?」
「……そんな心配してくれる人で良かった……」
せめてものの反逆で、ゴキブリ女達に無理やりではなく自分の意思で彼と交わった。
こんな異常な世界でも、それでも彼の優しさが心に満ちていく……。
それから数ヶ月後、妊娠が発覚した。
「……ふむ?まだこの世界へ影響が無いのか?もう少し様子を見るか」
ゴキブリ女達は私と同じように妊娠した女には優しく接した。
栄養などをしっかり補給してくれた。
そしてその後私は出産した。
ゴキブリ女達の処置は完璧で、幼い私の出産を助けた。
しかし産まれた息子は数ヶ月したら引き離されてしまった。
私は大いに嘆き、涙を流した。
一緒の部屋にいるものは、そんな私を慰めてくれた……。
それから数年後。
あの頃子供だった私の身体は、すっかり大人の身体に変化していた。
豊かな乳房、大きくなった尻、まるでテレビで見たグラビアアイドルのようなセクシーな大人になっていた。
そうして女として成長していくにつれ、欲も増してくる。
再びあれを……。
そう思っていた時だった。
「ようやく、基準値を超えました。最終段階に移行します」
そういうとゴキブリ女達はかつて子供を作った部屋に同じように相手の男性を閉じ込めていく。
「久しぶりだね……、無事で良かった」
「あなたの方こそ……」
彼も大人の男性として逞しく成長していた。
しかしまた子作りさせられるのだろうか?
そう思っていたその時だった。
「きゃああああ!?」
「嫌!?いやぁぁ!?」
虫が!?ゴキブリが!?部屋に大量に入ってくる。
まるで軍隊蟻が、獲物を食うように、私たちという獲物に群がってくる。
「離さないで!?お願い!」
「ああ!!絶対に離さない!」
せめてものの抵抗は彼から離れない事だ。
遂に顔まで虫が覆っていく。
ああ、身体のあらゆるところから虫が入っていく。
口からも、尻からも、耳からも、膣からも。
私という人間が虫に喰われて終わっていく……。
理性が、人としての思い出が、倫理が全て虫に喰われていく。
まるで芋虫から蛹に、そして蝶になるかのように心も身体も変化していく。
失われていく恐怖と新たにくる快楽、矛盾する想いを抱いて……。
そして私はそこに居た。
頭からは触覚が生えている、背中には大きな羽が生えて、腕や足は三本指になっていた。
ああ……そうか、私もゴキブリになったんだ。
「はぁ……はぁ……」
彼がそこに居る。
男は姿はそこまで変わらなかったが、だが心は私と同じだという事が分かる。
繁殖したいつがいがいるんだ、やる事は一つだ。
「お願い♡私を孕ませて♡」
「あ、ああああ!!孕ます!?孕ます!!」
彼は私が開いた下の口に既に大きくなったそれをぶち込み犯していく。
子宮が、排卵し続けていくのが分かる。
彼から種を受け取り卵を産めと私の本能が叫んでいる。
ぱちゅんぱちゅんと卑猥な水音が部屋に鳴り響く。
それ以上にお互いの喉からは矯声が鳴り止まない。
気持ちよくて何も考えられない。
「でてる♡でてる♡今、卵受精したぁァぁ♡♡」
今、卵が一つできたのを感じた。
とても幸せだ。
「はぁ……、そういえば名前を言って……なかったね」
そういえば、そうであった。
これからは、私のつがいなのだ。
名前を知ってもらわないといけない。
だが少しイタズラ心が湧いた。
「教えてあげる♡卵を一つ産むたびに1文字ずつね♡」
「ああ……全部教えてもらう」
それから一週間ほどして……、既に部屋には大量の私たちの卵を植え付けている。
周りの部屋をみると、だいたい同じような光景だ。
それらを眺めていると幼いカップルが部屋に入ってきた。
「久しぶり……ママ♡」
「ああ、ジョー!ずっと会いたかったわ!」
かつて産んだ私の息子が嫁を連れて会いに来てくれたのだ。
「ママのミルク懐かしい……」
「良いのよ……沢山飲んで♡そこに居る彼女も飲んで良いわよ」
「ありがとうございます!お義母さん」
かつて産んだ時は小さかった乳房もすっかり大きくなり、二人に分け与えてもまだまだでるほどだ。
「大きくなったな……」
「良いお母さんになったのね」
「母さん!父さん!」
そうしているとあの日、離れ離れになった時以来の両親もそこには居た。
母は、卵産むよりも胎盤で産む方を選んだのだろう。
大きくお腹膨らんでいる。
「もう外に出て良いって♡もう準備は終わったからって♡」
「一緒に行こう♡」
「みんなで増やそう♡」
嬉しい事は続く。
やっと外に出れるのだ。
遊園地に学校、図書館や……。
どれも行きたい所だらけだ。
「今まで実験に付き合いありがとうございました。もうあとは自由にやっても構いませんのでお好きなように」
あのゴキブリ女の声がアナウンスされる。
出入り口には沢山の虫となった人達が集まっている。
そして……扉が開かれると共に私達は広い世界に飛び立った。
「な、何あれ!?CG!?作り物!?」
学校の授業中だった。
ゴキブリが現れ、みんな驚き先生がそれを潰した。
それで終わりのはずだった。
だがそのすぐ後にゴキブリのような格好をした女や男達が大量に部屋に現れた。
私は一目散に逃げた。
周りの悲鳴から耳を塞いで。
家に帰ろう、これは悪い夢だ。
そう思い家の扉を開けると……。
「あ〜♡あ♡あひぃ♡あはぁ♡」
厳しかった母が玄関でゴキブリ女に襲われている。
だらしないアヘ顔を晒しながら。
父親も全裸で居た、先走り汁を垂らしながら勃起してるままで。
「あは♡気持ちいい?さっき何言おうとしてたの?」
「お、ちんぽぉ♡早く欲しい♡ほしいのぉ♡」
「だしたい♡はやくおまんこに♡入れたい♡」
かつて有名大学を出たことが自慢と言っていた両親は、ゴキブリ女に飢えた犬のように媚びている。
おっぱいを、尻を振りながら父を母は求めていた。
「なら、人間捨てちゃう?全部私にあげる?馬鹿になる?おちんぽとおまんこだけしか考えられない虫になる?」
「な、なります!!馬鹿になります!朝から晩までずっと♡♡♡おマンコにチンポ入れて♡アクメしますからぁぁ♡♡♡」
「あげます!?この家も財産も!娘もあげます!!だから!?」
「あはぁ♡娘さん売るなんてサイテー♡そんな悪い人たちは……虫になっちゃえ♡」
両親が私を売ったことを悲しむよりもそれは早かった。
「入ってっ♡来てるっ♡♡あなたっ♡♡あなたぁっ♡♡しあわせ♡♡おまんこの中♡♡しあわせぇっ♡♡奥までっ♡ああああっ♡♡♡おチンポ♡おチンポぉ♡♡♡」
「止まらないぃ♡♡ 射精がぁ♡♡あああ♡♡ぐちょぐちょの蜜壷がぁ♡♡吸い付いているぅ♡♡気持ちいい♡♡♡」
「あーあ、初めて会った時はあんなに威張っていたのに……そんなことぜーんぶどうでも良いっていう顔してる」
常に厳しく、私を叱咤していた両親はそこに居なかった。
そこに居たのは知性0の口元から涎を垂れ流し、舌を出しながらアヘ顔を晒す虫だけだ。
「うふ、そういう事だから貴女も一緒にしてあ・げ・る♡」
私は逃げた。
警察なら、助けてくれる。
そう思って街の方に向かう……。
でも無意味だった。
「じょうじ♡じょうじぃ♡じょうじぃ♡♡」
「でる♡止まらない♡♡出る♡でるぅ♡」
「せ、せんぱいぃ♡♡欲しくて欲しくてたまらないぃ♡♡」
「お、俺もお前のことが、ああ♡」
老若男女問わず虫が人々を襲う。
襲われた人間から悲鳴が聞こえ、そしてすぐに嬌声へと変わった。
誰も彼もが虫か、それとも虫になった隣人を遅い、襲われていく。
そんな淫惨な宴を見ていた私は気が付かなかった。
後ろに立つ女に。
「あ!?や、やめて!?離して!?」
「あれ?誰かと思えば小学生の頃、一緒だったチエちゃん?」
良く見るとそこには大きく姿は変わっていたが行方不明になっていたかつての同級生の姿がそこにあった。
そしてその隣には全裸の男が居た。
「あん♡まだ話中なのにぃ♡」
「ごめん♡我慢できなかった♡」
そして自分の目の前で二人は交尾を始める。
もはや訳がわからなすぎた。
「チエちゃんの事、ずっと覚えてたよ♡だからチエちゃんもこれからは一緒に……ね」
「い、いや!?離して!?」
「大丈夫♡チエちゃんならすぐに相手見つかるから♡できたら一緒に卵産み競争しよう♡どっちが沢山早く子供産めるかを競うの♡」
もはや悲鳴しかあげれなかった。
虫に身体を覆われていく中で悲鳴と、そしてそれが嬌声に変わっていくのを感じながら私は……。
「おほぉぉぉ♡♡♡後ろからもっとぉぉ♡ふかくぅ♡♡♡」
「ほっ♡ほっ♡んじゅ♡♡♡」
この雄に媚びるような雌の声は誰だろう。
目の前には父親と同じく知性0の交尾のことしか考えられなくなった少年が腰を振っている。
その雌の乳房に少年はかぶりつき、そこから溢れる母乳を飲んでいる。
「ひぎぃ♡ミルク吸われるの気持ちいいぃぃ♡♡もっと吸ってぇぇ♡」
「はぁ♡はぁ♡ああああ♡ああ!?」
すると突如視点が反転する。
ふとそこには鏡があった。
そこに写っていたのは……
「あ♡♡腰早くなってキタァ♡もう出る?もう出すの♡♡」
「出すゥゥ♡出すゥゥ♡」
さっき見たゴキブリ女と同じような姿へと変化した私が後ろから、近所の仲が良かった少年に犯されている姿だった。
ああ……、そうか私はあの後自分のオスを探しに彼の学校に向かって攫って……。
必死に抵抗する彼の理性を自分無しでは居られないオスへと変えていって……。
これは私という人間の理性が見る最後の光景なのだろう。
「んほぉ♡♡子宮開いたぁぁ♡♡ざーめん出して♡♡早く私を孕ませてぇ♡♡」
「孕ませる♡♡姉ちゃん孕め♡孕め♡はらめぇ♡」
私という理性はもうほとんどが、食い尽くされている。
そして今、白い濁流が私の中に快楽と共に注ぎ込まれていく……。
「「♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」」
私が見た最後の姿は、さっき見た両親と同じように、自分のつがいを犯し、犯されてケダモノよりも醜い知性0のアヘ顔を晒しながら悦ぶ自分たちの姿だった
「あー♡あー♡」
「……もっとぉぉ♡私のお腹をいっぱいにするくらいに、ちょうらい♡」
もっと交尾したい♡もっともっと♡沢山産むために♡
「あん♡♡これで日本も♡♡陥落ね♡♡」
「君のおかげだよ」
「いーや♡あなたが天才だからだよぉ♡」
あのゴキブリ女達のトップの女は同じくそこに居たある男にそう語った。
「あの日♡貴方達が私たちが居た火星に来てくれたからよ♡」
彼女達は弱い種族だった。
彼女達が居た世界ではもはや根絶しかけており、この世界に亡命する事にした。
しかし、着いたのは火星……。
何とか生き延びていたが、それも時間の問題だと思っていたが……。
「何をやっても退屈だった。何をやっても。だがそんな僕に君は喜びを与えてくれたんだ」
そこに一つの地球からの有人探査船が降りてきた。
そのリーダーであった男は同じく虫達のリーダーをやっていた女と意気投合した。
「魔界フォーミング計画……♡上手く行ったわね♡」
「ここまでやったらあとは何をしなくても勝手に進むさ」
地球に戻った彼らは、権力者の一部を籠絡し、秘密の施設を作らせた。
その施設に秘密裏に人々を500人ほど捕らえて、ゆっくり実験をしていった。
元々この世界には魔力など存在しない。
そのため最初は、上手く行かなかったが少しづつこの閉鎖空間の中で魔力を高めて魔界へと変えていき、彼女達が居た世界の理を適応できるようにしていった。
彼女達の世界の果実を食べさせて、取り込ませていく。
女は美しく精を啜る淫魔の力を持った虫の女に、男は無尽蔵につがいに精を送れるようになっていった。
7年ほどかかったが、もはや半分魔に堕ちていた。
それを確認し、最終段階に移行。
500人ほどの人々は、性欲に溺れた虫へと生まれ変わったのだ。
あとはそれらを解放すればねずみ算式に増えていく。
ただでさえ生物として人よりも強いのだ。
例え武器があろうと、数があろうと最終的には敗れ虫へと堕ちていく。
彼女達がいるのは国会。
国の中心だ。
そこに本来いるべき人々は、あらゆる所に卵を産みつけていく虫へと変わっている。
南極などの寒いところに逃げようとするものも居た。
しかし無駄だった。
彼女達はその寒さにも適応し、己の暖かさと快楽をその人達に分け与えていく。
結果寒がる人は居なくなった。
スラムは、彼女達にとって天国だった。
あっという間に彼女達に支配された。
汚さは変わらない。
しかし、ただ不衛生だったそこは、それらに適用できる彼女達の仲間になったおかげで、死傷者は減ることになった。
虫が世界を覆っていくたびに空は光を失っていく。
大量に生み出されていく魔力によって太陽の光が遮られていくからだ。
まだ正気だった人々は、教会で明るい空を祈った。
しかし、すぐにそこは新たな生命の豊穣を祈る虫達の為の教会へとそこに居た者たちと共に変わり果てた。
空中の魔力の濃度が高くなればなるほど、まだ襲われてない者たちの身体にも変化が起きる。
性欲の増大、快楽の増幅、肉体の美貌の維持、土壌の変化……。
大抵の作物は全く違う作物へと変異していった。
しかし餓えないためには食べていくしかない……。
そして一年と少し程で、人は一部を残して居なくなった。
黒く濁り澱んでいる空と大気。
木には怪しげな果実が成って、川はピンク色に怪しく光り粘度がある。
虫達は高い魔力の影響で常に発情している。
朝起きたらキスして交尾、ご飯食べたら交尾、世間話をしながら交尾、昼飯食べながら交尾、果実を収穫しながら交尾。
あらゆるところに卵は植え付けられ、そして孵化していく。
本能のままに相手を探して。
正気など要らない。
ただ交わって増やせば良い、それこそが生命の本質。
もはや簡単な計算もできないものもいるだろう。
だが必要ない。
相手を悦ばせる為の方法は本能に刻まれているのだから。
「あはぁ♡こ、これでこの船も完成ねぇ♡あ、孕むぅぅ♡」
「……♡ああ、少しこの星も狭くなったからな。この船で新しいところを見つけようと思うんだ」
そしてその中でも僅かに居る知性が高いもの達も、望むのは本能を叶える方法だ。
「あはぁん♡素敵ィ♡まるでこの船、卵みたいな形ぃ♡ああ♡まだでてるぅぅ♡♡」
「ああ、卵さ、新しい命を宇宙の彼方の人たちにも伝える為のね」
そしていつかは再び宇宙に飛び立つ。
かつて青く輝く美しい星、地球があった。
そこには人類という知的生命体が居た。
しかし今は、どす黒い魔力に包まれ、地表には交尾を続ける虫達によってあらゆるものが粘液で汚されている。
そしてとある星でも……
「ママァ!虫が玄関に!?」
「わかったわ、すぐに向かうから」
彼女達は増えていく……。
「おほぉ♡♡じょうじぃ♡イグゥ♡情事♡♡♡しよう♡♡いぐぅぅっぅ♡♡♡」
8歳ごろだろうか、私はゴキブリが嫌いだ。
なので玄関に現れたそれを殺してもらおうと母親に頼んだのだ。
玄関にいる女の姿をしているゴキブリを。
すぐに意識は失った。
気がついたら両親と共に裸で知らない部屋に閉じ込められていた。
遠くにいるゴキブリ女達は、知らない言葉で何かを話し合っているようだ。
「大丈夫よ、きっと警察とかが助けに来てくれる……!」
母はそう言ってくれた。
だが、そんな母と父もゴキブリ女達に別の部屋に連れて行かれた。
そこはガラス張りでいくつもの部屋があった。
その中には沢山の人達が閉じ込められていた。
良く見てみると、人種や年齢、体格、男女で綺麗に分けられてるようだ。
まるで観察するかのように。
そこで私達は生活をさせられた。
ゴキブリ女達が与えてくる食事を食べ、人前で排泄をして、それを延々と繰り返す……。
「交配実験を始める」
3年くらい経った頃だろうか。
そのゴキブリ女の中でも特に偉そうな女は私も含めていくつかの男女をそれぞれ違う部屋に一組ずつ集めた。
そしてゴキブリ女達はその者たちを、交尾させていった。
見た目は華奢なゴキブリ女でもどんな男でもその力には逆らえず、なされるがままにお互いの相手と交尾させられた。
私の相手は同い年くらいの少年であった。
彼もこの異常な光景に戸惑っていた。
「ねえ、お願い……、無理やりされるくらいなら……」
「……大丈夫かい?」
「……そんな心配してくれる人で良かった……」
せめてものの反逆で、ゴキブリ女達に無理やりではなく自分の意思で彼と交わった。
こんな異常な世界でも、それでも彼の優しさが心に満ちていく……。
それから数ヶ月後、妊娠が発覚した。
「……ふむ?まだこの世界へ影響が無いのか?もう少し様子を見るか」
ゴキブリ女達は私と同じように妊娠した女には優しく接した。
栄養などをしっかり補給してくれた。
そしてその後私は出産した。
ゴキブリ女達の処置は完璧で、幼い私の出産を助けた。
しかし産まれた息子は数ヶ月したら引き離されてしまった。
私は大いに嘆き、涙を流した。
一緒の部屋にいるものは、そんな私を慰めてくれた……。
それから数年後。
あの頃子供だった私の身体は、すっかり大人の身体に変化していた。
豊かな乳房、大きくなった尻、まるでテレビで見たグラビアアイドルのようなセクシーな大人になっていた。
そうして女として成長していくにつれ、欲も増してくる。
再びあれを……。
そう思っていた時だった。
「ようやく、基準値を超えました。最終段階に移行します」
そういうとゴキブリ女達はかつて子供を作った部屋に同じように相手の男性を閉じ込めていく。
「久しぶりだね……、無事で良かった」
「あなたの方こそ……」
彼も大人の男性として逞しく成長していた。
しかしまた子作りさせられるのだろうか?
そう思っていたその時だった。
「きゃああああ!?」
「嫌!?いやぁぁ!?」
虫が!?ゴキブリが!?部屋に大量に入ってくる。
まるで軍隊蟻が、獲物を食うように、私たちという獲物に群がってくる。
「離さないで!?お願い!」
「ああ!!絶対に離さない!」
せめてものの抵抗は彼から離れない事だ。
遂に顔まで虫が覆っていく。
ああ、身体のあらゆるところから虫が入っていく。
口からも、尻からも、耳からも、膣からも。
私という人間が虫に喰われて終わっていく……。
理性が、人としての思い出が、倫理が全て虫に喰われていく。
まるで芋虫から蛹に、そして蝶になるかのように心も身体も変化していく。
失われていく恐怖と新たにくる快楽、矛盾する想いを抱いて……。
そして私はそこに居た。
頭からは触覚が生えている、背中には大きな羽が生えて、腕や足は三本指になっていた。
ああ……そうか、私もゴキブリになったんだ。
「はぁ……はぁ……」
彼がそこに居る。
男は姿はそこまで変わらなかったが、だが心は私と同じだという事が分かる。
繁殖したいつがいがいるんだ、やる事は一つだ。
「お願い♡私を孕ませて♡」
「あ、ああああ!!孕ます!?孕ます!!」
彼は私が開いた下の口に既に大きくなったそれをぶち込み犯していく。
子宮が、排卵し続けていくのが分かる。
彼から種を受け取り卵を産めと私の本能が叫んでいる。
ぱちゅんぱちゅんと卑猥な水音が部屋に鳴り響く。
それ以上にお互いの喉からは矯声が鳴り止まない。
気持ちよくて何も考えられない。
「でてる♡でてる♡今、卵受精したぁァぁ♡♡」
今、卵が一つできたのを感じた。
とても幸せだ。
「はぁ……、そういえば名前を言って……なかったね」
そういえば、そうであった。
これからは、私のつがいなのだ。
名前を知ってもらわないといけない。
だが少しイタズラ心が湧いた。
「教えてあげる♡卵を一つ産むたびに1文字ずつね♡」
「ああ……全部教えてもらう」
それから一週間ほどして……、既に部屋には大量の私たちの卵を植え付けている。
周りの部屋をみると、だいたい同じような光景だ。
それらを眺めていると幼いカップルが部屋に入ってきた。
「久しぶり……ママ♡」
「ああ、ジョー!ずっと会いたかったわ!」
かつて産んだ私の息子が嫁を連れて会いに来てくれたのだ。
「ママのミルク懐かしい……」
「良いのよ……沢山飲んで♡そこに居る彼女も飲んで良いわよ」
「ありがとうございます!お義母さん」
かつて産んだ時は小さかった乳房もすっかり大きくなり、二人に分け与えてもまだまだでるほどだ。
「大きくなったな……」
「良いお母さんになったのね」
「母さん!父さん!」
そうしているとあの日、離れ離れになった時以来の両親もそこには居た。
母は、卵産むよりも胎盤で産む方を選んだのだろう。
大きくお腹膨らんでいる。
「もう外に出て良いって♡もう準備は終わったからって♡」
「一緒に行こう♡」
「みんなで増やそう♡」
嬉しい事は続く。
やっと外に出れるのだ。
遊園地に学校、図書館や……。
どれも行きたい所だらけだ。
「今まで実験に付き合いありがとうございました。もうあとは自由にやっても構いませんのでお好きなように」
あのゴキブリ女の声がアナウンスされる。
出入り口には沢山の虫となった人達が集まっている。
そして……扉が開かれると共に私達は広い世界に飛び立った。
「な、何あれ!?CG!?作り物!?」
学校の授業中だった。
ゴキブリが現れ、みんな驚き先生がそれを潰した。
それで終わりのはずだった。
だがそのすぐ後にゴキブリのような格好をした女や男達が大量に部屋に現れた。
私は一目散に逃げた。
周りの悲鳴から耳を塞いで。
家に帰ろう、これは悪い夢だ。
そう思い家の扉を開けると……。
「あ〜♡あ♡あひぃ♡あはぁ♡」
厳しかった母が玄関でゴキブリ女に襲われている。
だらしないアヘ顔を晒しながら。
父親も全裸で居た、先走り汁を垂らしながら勃起してるままで。
「あは♡気持ちいい?さっき何言おうとしてたの?」
「お、ちんぽぉ♡早く欲しい♡ほしいのぉ♡」
「だしたい♡はやくおまんこに♡入れたい♡」
かつて有名大学を出たことが自慢と言っていた両親は、ゴキブリ女に飢えた犬のように媚びている。
おっぱいを、尻を振りながら父を母は求めていた。
「なら、人間捨てちゃう?全部私にあげる?馬鹿になる?おちんぽとおまんこだけしか考えられない虫になる?」
「な、なります!!馬鹿になります!朝から晩までずっと♡♡♡おマンコにチンポ入れて♡アクメしますからぁぁ♡♡♡」
「あげます!?この家も財産も!娘もあげます!!だから!?」
「あはぁ♡娘さん売るなんてサイテー♡そんな悪い人たちは……虫になっちゃえ♡」
両親が私を売ったことを悲しむよりもそれは早かった。
「入ってっ♡来てるっ♡♡あなたっ♡♡あなたぁっ♡♡しあわせ♡♡おまんこの中♡♡しあわせぇっ♡♡奥までっ♡ああああっ♡♡♡おチンポ♡おチンポぉ♡♡♡」
「止まらないぃ♡♡ 射精がぁ♡♡あああ♡♡ぐちょぐちょの蜜壷がぁ♡♡吸い付いているぅ♡♡気持ちいい♡♡♡」
「あーあ、初めて会った時はあんなに威張っていたのに……そんなことぜーんぶどうでも良いっていう顔してる」
常に厳しく、私を叱咤していた両親はそこに居なかった。
そこに居たのは知性0の口元から涎を垂れ流し、舌を出しながらアヘ顔を晒す虫だけだ。
「うふ、そういう事だから貴女も一緒にしてあ・げ・る♡」
私は逃げた。
警察なら、助けてくれる。
そう思って街の方に向かう……。
でも無意味だった。
「じょうじ♡じょうじぃ♡じょうじぃ♡♡」
「でる♡止まらない♡♡出る♡でるぅ♡」
「せ、せんぱいぃ♡♡欲しくて欲しくてたまらないぃ♡♡」
「お、俺もお前のことが、ああ♡」
老若男女問わず虫が人々を襲う。
襲われた人間から悲鳴が聞こえ、そしてすぐに嬌声へと変わった。
誰も彼もが虫か、それとも虫になった隣人を遅い、襲われていく。
そんな淫惨な宴を見ていた私は気が付かなかった。
後ろに立つ女に。
「あ!?や、やめて!?離して!?」
「あれ?誰かと思えば小学生の頃、一緒だったチエちゃん?」
良く見るとそこには大きく姿は変わっていたが行方不明になっていたかつての同級生の姿がそこにあった。
そしてその隣には全裸の男が居た。
「あん♡まだ話中なのにぃ♡」
「ごめん♡我慢できなかった♡」
そして自分の目の前で二人は交尾を始める。
もはや訳がわからなすぎた。
「チエちゃんの事、ずっと覚えてたよ♡だからチエちゃんもこれからは一緒に……ね」
「い、いや!?離して!?」
「大丈夫♡チエちゃんならすぐに相手見つかるから♡できたら一緒に卵産み競争しよう♡どっちが沢山早く子供産めるかを競うの♡」
もはや悲鳴しかあげれなかった。
虫に身体を覆われていく中で悲鳴と、そしてそれが嬌声に変わっていくのを感じながら私は……。
「おほぉぉぉ♡♡♡後ろからもっとぉぉ♡ふかくぅ♡♡♡」
「ほっ♡ほっ♡んじゅ♡♡♡」
この雄に媚びるような雌の声は誰だろう。
目の前には父親と同じく知性0の交尾のことしか考えられなくなった少年が腰を振っている。
その雌の乳房に少年はかぶりつき、そこから溢れる母乳を飲んでいる。
「ひぎぃ♡ミルク吸われるの気持ちいいぃぃ♡♡もっと吸ってぇぇ♡」
「はぁ♡はぁ♡ああああ♡ああ!?」
すると突如視点が反転する。
ふとそこには鏡があった。
そこに写っていたのは……
「あ♡♡腰早くなってキタァ♡もう出る?もう出すの♡♡」
「出すゥゥ♡出すゥゥ♡」
さっき見たゴキブリ女と同じような姿へと変化した私が後ろから、近所の仲が良かった少年に犯されている姿だった。
ああ……、そうか私はあの後自分のオスを探しに彼の学校に向かって攫って……。
必死に抵抗する彼の理性を自分無しでは居られないオスへと変えていって……。
これは私という人間の理性が見る最後の光景なのだろう。
「んほぉ♡♡子宮開いたぁぁ♡♡ざーめん出して♡♡早く私を孕ませてぇ♡♡」
「孕ませる♡♡姉ちゃん孕め♡孕め♡はらめぇ♡」
私という理性はもうほとんどが、食い尽くされている。
そして今、白い濁流が私の中に快楽と共に注ぎ込まれていく……。
「「♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」」
私が見た最後の姿は、さっき見た両親と同じように、自分のつがいを犯し、犯されてケダモノよりも醜い知性0のアヘ顔を晒しながら悦ぶ自分たちの姿だった
「あー♡あー♡」
「……もっとぉぉ♡私のお腹をいっぱいにするくらいに、ちょうらい♡」
もっと交尾したい♡もっともっと♡沢山産むために♡
「あん♡♡これで日本も♡♡陥落ね♡♡」
「君のおかげだよ」
「いーや♡あなたが天才だからだよぉ♡」
あのゴキブリ女達のトップの女は同じくそこに居たある男にそう語った。
「あの日♡貴方達が私たちが居た火星に来てくれたからよ♡」
彼女達は弱い種族だった。
彼女達が居た世界ではもはや根絶しかけており、この世界に亡命する事にした。
しかし、着いたのは火星……。
何とか生き延びていたが、それも時間の問題だと思っていたが……。
「何をやっても退屈だった。何をやっても。だがそんな僕に君は喜びを与えてくれたんだ」
そこに一つの地球からの有人探査船が降りてきた。
そのリーダーであった男は同じく虫達のリーダーをやっていた女と意気投合した。
「魔界フォーミング計画……♡上手く行ったわね♡」
「ここまでやったらあとは何をしなくても勝手に進むさ」
地球に戻った彼らは、権力者の一部を籠絡し、秘密の施設を作らせた。
その施設に秘密裏に人々を500人ほど捕らえて、ゆっくり実験をしていった。
元々この世界には魔力など存在しない。
そのため最初は、上手く行かなかったが少しづつこの閉鎖空間の中で魔力を高めて魔界へと変えていき、彼女達が居た世界の理を適応できるようにしていった。
彼女達の世界の果実を食べさせて、取り込ませていく。
女は美しく精を啜る淫魔の力を持った虫の女に、男は無尽蔵につがいに精を送れるようになっていった。
7年ほどかかったが、もはや半分魔に堕ちていた。
それを確認し、最終段階に移行。
500人ほどの人々は、性欲に溺れた虫へと生まれ変わったのだ。
あとはそれらを解放すればねずみ算式に増えていく。
ただでさえ生物として人よりも強いのだ。
例え武器があろうと、数があろうと最終的には敗れ虫へと堕ちていく。
彼女達がいるのは国会。
国の中心だ。
そこに本来いるべき人々は、あらゆる所に卵を産みつけていく虫へと変わっている。
南極などの寒いところに逃げようとするものも居た。
しかし無駄だった。
彼女達はその寒さにも適応し、己の暖かさと快楽をその人達に分け与えていく。
結果寒がる人は居なくなった。
スラムは、彼女達にとって天国だった。
あっという間に彼女達に支配された。
汚さは変わらない。
しかし、ただ不衛生だったそこは、それらに適用できる彼女達の仲間になったおかげで、死傷者は減ることになった。
虫が世界を覆っていくたびに空は光を失っていく。
大量に生み出されていく魔力によって太陽の光が遮られていくからだ。
まだ正気だった人々は、教会で明るい空を祈った。
しかし、すぐにそこは新たな生命の豊穣を祈る虫達の為の教会へとそこに居た者たちと共に変わり果てた。
空中の魔力の濃度が高くなればなるほど、まだ襲われてない者たちの身体にも変化が起きる。
性欲の増大、快楽の増幅、肉体の美貌の維持、土壌の変化……。
大抵の作物は全く違う作物へと変異していった。
しかし餓えないためには食べていくしかない……。
そして一年と少し程で、人は一部を残して居なくなった。
黒く濁り澱んでいる空と大気。
木には怪しげな果実が成って、川はピンク色に怪しく光り粘度がある。
虫達は高い魔力の影響で常に発情している。
朝起きたらキスして交尾、ご飯食べたら交尾、世間話をしながら交尾、昼飯食べながら交尾、果実を収穫しながら交尾。
あらゆるところに卵は植え付けられ、そして孵化していく。
本能のままに相手を探して。
正気など要らない。
ただ交わって増やせば良い、それこそが生命の本質。
もはや簡単な計算もできないものもいるだろう。
だが必要ない。
相手を悦ばせる為の方法は本能に刻まれているのだから。
「あはぁ♡こ、これでこの船も完成ねぇ♡あ、孕むぅぅ♡」
「……♡ああ、少しこの星も狭くなったからな。この船で新しいところを見つけようと思うんだ」
そしてその中でも僅かに居る知性が高いもの達も、望むのは本能を叶える方法だ。
「あはぁん♡素敵ィ♡まるでこの船、卵みたいな形ぃ♡ああ♡まだでてるぅぅ♡♡」
「ああ、卵さ、新しい命を宇宙の彼方の人たちにも伝える為のね」
そしていつかは再び宇宙に飛び立つ。
かつて青く輝く美しい星、地球があった。
そこには人類という知的生命体が居た。
しかし今は、どす黒い魔力に包まれ、地表には交尾を続ける虫達によってあらゆるものが粘液で汚されている。
そしてとある星でも……
「ママァ!虫が玄関に!?」
「わかったわ、すぐに向かうから」
彼女達は増えていく……。
「おほぉ♡♡じょうじぃ♡イグゥ♡情事♡♡♡しよう♡♡いぐぅぅっぅ♡♡♡」
23/11/03 23:01更新 / デーカルス