風呂場にて
俺は自転車が好きだ。二駅ぐらい先なら普通に自転車で通勤する。電車代をけちるというやつもいるが、純粋に自転車で風を感じて走るのが好きなんだ。
ここで俺を爽やかなイケメンマッチョだと思った人、残念でした。俺は脚は自転車をこぎ続けているのでそれなりに筋肉がついているが鍛えている訳でもないので普通に腹は出ているし腕は中身入り蜜柑の箱を二つ持てるかどうかって力だ。ごくごく普通のおっさんと言っていい。
当たり前だが彼女はいない。別に一人でも不都合ないと思っているのが問題だろうか。
俺が自転車の次に好きなのは帰ってすぐ浴びるシャワーだ。水にしろ湯にしろ頭からかぶってすっきりするのが快感だ。湯を張った浴槽も気持ち良い。こちらはシャワーを浴びた後、疲れている時に全身をつける感じで入る。これも気持ち良い。
さて、そんな話をしている間に家に着いた。俺は服を部屋に脱いでから全裸になり、浴室の扉を開けた。
どこかのどなたかが水のない浴槽に入ってました。
「失礼しました」
思わず扉を閉めてしまった。人間慌てるとコントみたいな行動を起こすのかもしれない。
左右と真後ろを見る。俺の部屋だ。細長い普通のアパートの部屋。キッチン、トイレ、浴室は付いているが他は一本道のような寝室兼居間兼その他の部屋があるだけの部屋だ。浴室も浴槽の上にシャワーがかかっている狭い部屋で、人がつめれば二人入れるかもというバスタブ。
「いや待て、不法侵入者だ。泥棒だ」
こう思ってしまったのも無理はない。
俺はパンツをはいて近くにあったフライパンを構え再び扉を開ける。おかっぱ頭で何となく閉じたような半眼の女の子が浴槽から頭半分出してこっちを見ていた。
「じー」
「おみゃーさんは誰だ、どうやって入った」
泥棒という感じはしなかったので落ち着いて声をかけてみる。普段とは違う言葉つきになってる時点で落ち着いてるとは言い難い。何故に名古屋弁になっているのだ、俺は。
「私？私はアカナメ。妖怪よ」
成程、妖怪なら壁抜けぐらいできない事はない、と頭のどこかで考える。
「あんまりにも良い匂いがしたから、ピッキングして入ったの」
「どこの空き巣狙いだお前は」
思わず突っ込んでしまった。世知辛い世の中だ、不思議能力は存在しなくなったのだろうか。
「ねえ、お願い聞いてくれない？」
可愛らしく上目づかいでこちらを見てくる。俺はフライパンを構えながら口を開いた。
「不法侵入者に話すことはない。警察には黙っててやるからさっさと出ていけ」
鍵は後で電子ロックをつけてもらおう。
「そんなこと言わないで、簡単な事だから、話を聞いて」
「聞くだけ聞いてやろう、何だ」
「貴方の体を舐めさせて」
「却下だ」
何で見ず知らずの妖怪に体を舐めさせなければいけないのか。ああ、こんな会話してたら汗がすっかり乾いて夏じゃなけりゃ風邪ひくところだ。
「お願いだから、貴方のお風呂から貴方の垢の匂いが凄くして、それが凄く好みなの」
基本的に湯につかるときは風呂を洗うがシャワーの時は掃除しなかったりしたりというのが悪かったようだ。もっとこまめに掃除しないと。水で流すだけでは駄目だったか。
「どうでもいい。さっさと出て行くように」
フライパンを妖怪の顔に突きつけて最終通告をする。まだ粘るようだったのでバットのようにスイングをしてみた。
「分かったよ。出ていくから。フライパンをどけて」
俺の構えにしぶしぶといった様子で浴槽から出てくる妖怪。俺はそのまま玄関に行くように道を塞ぐ。
「あきらめないからね」
なんか捨て台詞をして出て行った妖怪に、俺は鍵をかけてから浴槽に湯を入れ出した。ちゃんと掃除しないとな。
先日妖怪に入られてから翌日までに鍵を取り換えたり風呂のバルサンをたいたりと忙しかった。この前帰ってすぐにシャワーを浴びなかったせいか風邪を引いたような気もする。
妖怪の方はあれから入ってこなかった。やはり出かけるときは玄関に包丁をぶら下げておいたのがよかったかもしれない。妖怪は金気を嫌うというから。あれは河童だったような気もするが妖怪なら似たような物だろう。
帰って郵便受けに手を突っ込むと、珍しい物が入っていた。近くの銭湯の無料券だ。会員になって一定以上入ると抽選で贈られてくると説明されていたが、今頃に当たるとは思わなかった。前に入ったのは、そう、風邪を引いたような気がしたのでゆっくりと手足を伸ばして湯船につかる為一週間通った時か。丁度今も風邪を引いたような気がするし、行ってみよう。
俺はタオル、石鹸と言った準備を済ませると自転車に乗って銭湯に出発した。
近くの銭湯とはいっても実際は駅の前なので結構な距離がある。汗をかきつつ自転車をこいで目的地に着くと俺はいつも通りに暖簾をくぐる。
「いらっしゃーい」
「今晩は」
番台に乗っているのはこの銭湯の一家の誰かである。娘らしい美人な姉妹か、俺と同い年ぐらいの親父さんか、今日は美人のお姉さんだった。何となくラッキーな気分になる。お金を払って中にはいると人がいない。時々こういう事もあるので気にしないで服を籠に入れ浴室に入った。
目の前には大きな湯船が見える。流石にいきなり入るなんて事はしない。俺は桶を取って蛇口の前に座る。意外と儲かっているのか、外は古めかしい割に中は自動式の蛇口だったりと新しい。
さて体を洗おうとした時ガラガラという音を聞いた。誰かが入って来たらしい。別に気にすることなく石鹸を泡立てていると今度は背中から誰かにのしかかられた。
「うわっ」
「お兄さんこんばんわ〜」
あの妖怪の声がして俺は慌てて立ち上がった。
「離せっ」
「こんな美人な娘がくっついてるのにその言い方はないんじゃないかな。それに私、ここの従業員で、お兄さんにサービスの為に入って来たんだから逃げないでよ」
「従業員？サービス？」
いつからこの世界は妖怪を雇用するようになったのか。それなら俺の仕事も妖怪の不思議パワーで…この妖怪娘を見る限り無理っぽい。
「アカナメは体を綺麗にすることにかけてはエキスパンダーだよ」
「エキスパートな」
妖怪は一昔前みたいなギャグを言う。俺の体をぬるぬると何も着けてないはずの手が這いまわって気持ちいいというか気持ち悪いというか。
「とにかく、サービスで体を洗ってあげるからじっとしてなよ。体を洗う以外はしないからさ」
「本当だな」
「魔王に誓って」
そこは神じゃないかと思った俺が無言になると、承諾したと思ったのか妖怪は俺の背中を泡立つスポンジで洗い出した。
「お兄さん、結構綺麗にしてるね」
「風呂は好きなんだ。それより、何で妖怪が銭湯で働いてるんだ」
俺は気になった事を聞いてみる。
「茜」
「は？」
「私の名前は茜だよ。世の中金が必要だからね。私たちはお金を、そして言っちゃあ悪いけど、こういう寂れた場所は話題とサービスを売り物にしなきゃやっていけないんだよ」
やっぱり人生世知辛い。
俺は体を洗われているわけだが、やっぱり若い娘に体を洗われるというのは何というか、恥ずかしいわ嬉しいわと複雑な感情だ。背中に何か服ではないぽっちが当たるとそれが何か分かるだけに思わず後ろを向こうとして、
「恥ずかしいんだから、見ないどくれ」
戻された。妖怪の方が力が強かったのか。昨日おとなしく帰ってくれてよかった。
そんな事を思いつつ洗われるに任せていると何かぬめぬめした物が太腿を通って来た。それは俺の股間へと辿り着くとそのままムスコに巻きつく。
「こら、洗うだけだって言ったろ」
「ありゃってるらけらよ。ここはとくにあきゃぎゃちゅいてりゅからきえいにしないとね」
口調がおかしいがどうもうこのピンクの物体は妖怪の舌らしい。舌は上下どころが巻きついて左右に、先端だけがムスコの先端を舐めまわす、全体を包んで圧迫する。まるでオナホと言うやつが自動で動いているようだ。
「うっく。出る。離せっ」
どぴゅっどぴゅっ
久しぶりに出た精液は俺が今まで出したことないほど多く、勢いよく出てきた。
「うあ、おいひい、まっしろな、あきゃ」
まだ出てくる精液を舌だけで受け止めながら、うっとりとした声が聞こえた。舌はまだ俺のムスコに巻きついて蠢いたままだ。
俺は精液を出したので力が抜けて何となく後ろの妖怪に寄りかかったような形になる。そのまま後ろに引っ張られて、何かと思った。
「前も洗わないとね」
いつの間にか服を脱いでいた妖怪が倒れ込んだ俺の上に立っている。精液を放って力が抜けたはずのムスコは固くそそり立っている。
「ちょっと待て、体洗うだけだって言ったろ」
「壺洗いって言うのよ。ここも体の一部だし」
俺がさらに言おうとした言葉を待たずに妖怪…茜の膣内へとムスコは吸い込まれていった。
「馬鹿、コンドーム」
「そんなのいらないわ。うるさい口はこうする」
俺の言葉を塞ぐように茜は口を口で塞いできた。さらに舌が動き回って俺の口の中を蹂躙する。
「ふごふぎゅ、ばなぜ」
「らーめっ」
「ふぐっ」
凄まじく気持ちいい。そんな気持ちよさに負けそうになりながら俺は口と体を離そうと暴れる。しかし茜の体と舌が俺を押さえつける。力でなく快感で、だ。
あっけなく二回目の射精を迎え、ぐったりする俺に抱きつきながら茜の膣がギュッとまた伸縮しだす。三回目もすぐだった。
何回絞られたか、俺は浴槽で茜と肩を並べながら、というか寄りかかりながら疲れを取るように沈んでいた。
「ふう、おいしかった。こんなに好みの味の垢は初めてだわ」
「垢って言うよりも精液絞られたんだが」
俺は茜に文句をいう。しかし全く応える様子はない。
「気持ちよかったならいいでしょう。それで、私と一緒に暮らさない？私は垢を食べる。貴方は綺麗になる。良い関係じゃない」
「断る。俺は風呂が好きだ。体を舐められて綺麗になるのはいいが、ゆっくりと湯船につかったりするのが出来なくなるのは嫌だ」
「我儘ね」
どっちが我儘なのか辞書を引いてこいと言いたくなるが疲れて必要以上喋りたくない。
俺が黙っていると茜はポンと手を叩いた。
「そうだ、じゃあ、貴方専用のお風呂係にして。体洗うの手伝うから。その後湯船につかるのは自由だし」
風呂とさっきのセックスが俺の心の中で思いっきりぐらついている。結果は同じ重さだった。
「忙しいときはシャワーで済ますから、その時はいらないというのを認めるなら」
「商談成立ね」
その後、茜に腕を組まれて銭湯を出る俺の姿があった。
「そしてそこからまず風呂場で体、台所で胃袋、子宮で子供と相手の心と体を掴んで言って今があるのよ。貴方も花嫁修業を頑張りなさい」
「っていうか、ピッキングの時点で何かおかしい」
妻子の声を聞きながら、俺も諦めた突っ込みをする娘を見ながら俺はそろそろ風呂に入る準備をする。
「あら、貴方、ちゃんと言ってくれないと。灯、じゃあ先にお風呂入ってくるわね」
「はーい。たまには妹も作ってね」
また見つかった。あれから普通に風呂に入る事はないのでそれだけが俺の不満である。
ここで俺を爽やかなイケメンマッチョだと思った人、残念でした。俺は脚は自転車をこぎ続けているのでそれなりに筋肉がついているが鍛えている訳でもないので普通に腹は出ているし腕は中身入り蜜柑の箱を二つ持てるかどうかって力だ。ごくごく普通のおっさんと言っていい。
当たり前だが彼女はいない。別に一人でも不都合ないと思っているのが問題だろうか。
俺が自転車の次に好きなのは帰ってすぐ浴びるシャワーだ。水にしろ湯にしろ頭からかぶってすっきりするのが快感だ。湯を張った浴槽も気持ち良い。こちらはシャワーを浴びた後、疲れている時に全身をつける感じで入る。これも気持ち良い。
さて、そんな話をしている間に家に着いた。俺は服を部屋に脱いでから全裸になり、浴室の扉を開けた。
どこかのどなたかが水のない浴槽に入ってました。
「失礼しました」
思わず扉を閉めてしまった。人間慌てるとコントみたいな行動を起こすのかもしれない。
左右と真後ろを見る。俺の部屋だ。細長い普通のアパートの部屋。キッチン、トイレ、浴室は付いているが他は一本道のような寝室兼居間兼その他の部屋があるだけの部屋だ。浴室も浴槽の上にシャワーがかかっている狭い部屋で、人がつめれば二人入れるかもというバスタブ。
「いや待て、不法侵入者だ。泥棒だ」
こう思ってしまったのも無理はない。
俺はパンツをはいて近くにあったフライパンを構え再び扉を開ける。おかっぱ頭で何となく閉じたような半眼の女の子が浴槽から頭半分出してこっちを見ていた。
「じー」
「おみゃーさんは誰だ、どうやって入った」
泥棒という感じはしなかったので落ち着いて声をかけてみる。普段とは違う言葉つきになってる時点で落ち着いてるとは言い難い。何故に名古屋弁になっているのだ、俺は。
「私？私はアカナメ。妖怪よ」
成程、妖怪なら壁抜けぐらいできない事はない、と頭のどこかで考える。
「あんまりにも良い匂いがしたから、ピッキングして入ったの」
「どこの空き巣狙いだお前は」
思わず突っ込んでしまった。世知辛い世の中だ、不思議能力は存在しなくなったのだろうか。
「ねえ、お願い聞いてくれない？」
可愛らしく上目づかいでこちらを見てくる。俺はフライパンを構えながら口を開いた。
「不法侵入者に話すことはない。警察には黙っててやるからさっさと出ていけ」
鍵は後で電子ロックをつけてもらおう。
「そんなこと言わないで、簡単な事だから、話を聞いて」
「聞くだけ聞いてやろう、何だ」
「貴方の体を舐めさせて」
「却下だ」
何で見ず知らずの妖怪に体を舐めさせなければいけないのか。ああ、こんな会話してたら汗がすっかり乾いて夏じゃなけりゃ風邪ひくところだ。
「お願いだから、貴方のお風呂から貴方の垢の匂いが凄くして、それが凄く好みなの」
基本的に湯につかるときは風呂を洗うがシャワーの時は掃除しなかったりしたりというのが悪かったようだ。もっとこまめに掃除しないと。水で流すだけでは駄目だったか。
「どうでもいい。さっさと出て行くように」
フライパンを妖怪の顔に突きつけて最終通告をする。まだ粘るようだったのでバットのようにスイングをしてみた。
「分かったよ。出ていくから。フライパンをどけて」
俺の構えにしぶしぶといった様子で浴槽から出てくる妖怪。俺はそのまま玄関に行くように道を塞ぐ。
「あきらめないからね」
なんか捨て台詞をして出て行った妖怪に、俺は鍵をかけてから浴槽に湯を入れ出した。ちゃんと掃除しないとな。
先日妖怪に入られてから翌日までに鍵を取り換えたり風呂のバルサンをたいたりと忙しかった。この前帰ってすぐにシャワーを浴びなかったせいか風邪を引いたような気もする。
妖怪の方はあれから入ってこなかった。やはり出かけるときは玄関に包丁をぶら下げておいたのがよかったかもしれない。妖怪は金気を嫌うというから。あれは河童だったような気もするが妖怪なら似たような物だろう。
帰って郵便受けに手を突っ込むと、珍しい物が入っていた。近くの銭湯の無料券だ。会員になって一定以上入ると抽選で贈られてくると説明されていたが、今頃に当たるとは思わなかった。前に入ったのは、そう、風邪を引いたような気がしたのでゆっくりと手足を伸ばして湯船につかる為一週間通った時か。丁度今も風邪を引いたような気がするし、行ってみよう。
俺はタオル、石鹸と言った準備を済ませると自転車に乗って銭湯に出発した。
近くの銭湯とはいっても実際は駅の前なので結構な距離がある。汗をかきつつ自転車をこいで目的地に着くと俺はいつも通りに暖簾をくぐる。
「いらっしゃーい」
「今晩は」
番台に乗っているのはこの銭湯の一家の誰かである。娘らしい美人な姉妹か、俺と同い年ぐらいの親父さんか、今日は美人のお姉さんだった。何となくラッキーな気分になる。お金を払って中にはいると人がいない。時々こういう事もあるので気にしないで服を籠に入れ浴室に入った。
目の前には大きな湯船が見える。流石にいきなり入るなんて事はしない。俺は桶を取って蛇口の前に座る。意外と儲かっているのか、外は古めかしい割に中は自動式の蛇口だったりと新しい。
さて体を洗おうとした時ガラガラという音を聞いた。誰かが入って来たらしい。別に気にすることなく石鹸を泡立てていると今度は背中から誰かにのしかかられた。
「うわっ」
「お兄さんこんばんわ〜」
あの妖怪の声がして俺は慌てて立ち上がった。
「離せっ」
「こんな美人な娘がくっついてるのにその言い方はないんじゃないかな。それに私、ここの従業員で、お兄さんにサービスの為に入って来たんだから逃げないでよ」
「従業員？サービス？」
いつからこの世界は妖怪を雇用するようになったのか。それなら俺の仕事も妖怪の不思議パワーで…この妖怪娘を見る限り無理っぽい。
「アカナメは体を綺麗にすることにかけてはエキスパンダーだよ」
「エキスパートな」
妖怪は一昔前みたいなギャグを言う。俺の体をぬるぬると何も着けてないはずの手が這いまわって気持ちいいというか気持ち悪いというか。
「とにかく、サービスで体を洗ってあげるからじっとしてなよ。体を洗う以外はしないからさ」
「本当だな」
「魔王に誓って」
そこは神じゃないかと思った俺が無言になると、承諾したと思ったのか妖怪は俺の背中を泡立つスポンジで洗い出した。
「お兄さん、結構綺麗にしてるね」
「風呂は好きなんだ。それより、何で妖怪が銭湯で働いてるんだ」
俺は気になった事を聞いてみる。
「茜」
「は？」
「私の名前は茜だよ。世の中金が必要だからね。私たちはお金を、そして言っちゃあ悪いけど、こういう寂れた場所は話題とサービスを売り物にしなきゃやっていけないんだよ」
やっぱり人生世知辛い。
俺は体を洗われているわけだが、やっぱり若い娘に体を洗われるというのは何というか、恥ずかしいわ嬉しいわと複雑な感情だ。背中に何か服ではないぽっちが当たるとそれが何か分かるだけに思わず後ろを向こうとして、
「恥ずかしいんだから、見ないどくれ」
戻された。妖怪の方が力が強かったのか。昨日おとなしく帰ってくれてよかった。
そんな事を思いつつ洗われるに任せていると何かぬめぬめした物が太腿を通って来た。それは俺の股間へと辿り着くとそのままムスコに巻きつく。
「こら、洗うだけだって言ったろ」
「ありゃってるらけらよ。ここはとくにあきゃぎゃちゅいてりゅからきえいにしないとね」
口調がおかしいがどうもうこのピンクの物体は妖怪の舌らしい。舌は上下どころが巻きついて左右に、先端だけがムスコの先端を舐めまわす、全体を包んで圧迫する。まるでオナホと言うやつが自動で動いているようだ。
「うっく。出る。離せっ」
どぴゅっどぴゅっ
久しぶりに出た精液は俺が今まで出したことないほど多く、勢いよく出てきた。
「うあ、おいひい、まっしろな、あきゃ」
まだ出てくる精液を舌だけで受け止めながら、うっとりとした声が聞こえた。舌はまだ俺のムスコに巻きついて蠢いたままだ。
俺は精液を出したので力が抜けて何となく後ろの妖怪に寄りかかったような形になる。そのまま後ろに引っ張られて、何かと思った。
「前も洗わないとね」
いつの間にか服を脱いでいた妖怪が倒れ込んだ俺の上に立っている。精液を放って力が抜けたはずのムスコは固くそそり立っている。
「ちょっと待て、体洗うだけだって言ったろ」
「壺洗いって言うのよ。ここも体の一部だし」
俺がさらに言おうとした言葉を待たずに妖怪…茜の膣内へとムスコは吸い込まれていった。
「馬鹿、コンドーム」
「そんなのいらないわ。うるさい口はこうする」
俺の言葉を塞ぐように茜は口を口で塞いできた。さらに舌が動き回って俺の口の中を蹂躙する。
「ふごふぎゅ、ばなぜ」
「らーめっ」
「ふぐっ」
凄まじく気持ちいい。そんな気持ちよさに負けそうになりながら俺は口と体を離そうと暴れる。しかし茜の体と舌が俺を押さえつける。力でなく快感で、だ。
あっけなく二回目の射精を迎え、ぐったりする俺に抱きつきながら茜の膣がギュッとまた伸縮しだす。三回目もすぐだった。
何回絞られたか、俺は浴槽で茜と肩を並べながら、というか寄りかかりながら疲れを取るように沈んでいた。
「ふう、おいしかった。こんなに好みの味の垢は初めてだわ」
「垢って言うよりも精液絞られたんだが」
俺は茜に文句をいう。しかし全く応える様子はない。
「気持ちよかったならいいでしょう。それで、私と一緒に暮らさない？私は垢を食べる。貴方は綺麗になる。良い関係じゃない」
「断る。俺は風呂が好きだ。体を舐められて綺麗になるのはいいが、ゆっくりと湯船につかったりするのが出来なくなるのは嫌だ」
「我儘ね」
どっちが我儘なのか辞書を引いてこいと言いたくなるが疲れて必要以上喋りたくない。
俺が黙っていると茜はポンと手を叩いた。
「そうだ、じゃあ、貴方専用のお風呂係にして。体洗うの手伝うから。その後湯船につかるのは自由だし」
風呂とさっきのセックスが俺の心の中で思いっきりぐらついている。結果は同じ重さだった。
「忙しいときはシャワーで済ますから、その時はいらないというのを認めるなら」
「商談成立ね」
その後、茜に腕を組まれて銭湯を出る俺の姿があった。
「そしてそこからまず風呂場で体、台所で胃袋、子宮で子供と相手の心と体を掴んで言って今があるのよ。貴方も花嫁修業を頑張りなさい」
「っていうか、ピッキングの時点で何かおかしい」
妻子の声を聞きながら、俺も諦めた突っ込みをする娘を見ながら俺はそろそろ風呂に入る準備をする。
「あら、貴方、ちゃんと言ってくれないと。灯、じゃあ先にお風呂入ってくるわね」
「はーい。たまには妹も作ってね」
また見つかった。あれから普通に風呂に入る事はないのでそれだけが俺の不満である。
14/09/07 23:05更新 / 夜矢也