読切小説
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notホワイトデー


「えーっ。今回お集まりいただいてまことにありがとうございます。司会兼実況は私カラステングが担当させて頂きます。それでは大会開設者兼解説のバフォメットさんから一言ご挨拶をどうぞ」
「テステス。ああ、失礼。解説のバフォメットじゃ。参加者には細かい説明はしなくても良いな。おお、皆目が血走るほど張り切っておる。それでは一言。合言葉を。皆の者!バレンタインデーは知っておるか!」
『知らないぞー!』
「三月と言えば!」
『ひな祭りだーっ!』
「ホワイトデーは」
『存在しない!』
「それではやろ、いやいや女郎共。祭りの開始じゃー!!」
『うおぉぉぉぉぉっ』
「何やら非常に盛り上がってきました。それでは皆さんスタート地点に並んでください。ピストルの音と同時にスタートです。バフォメットさん、準備は良いですか?それでは」
「よーい。スタート!」

パンッ!

「さあ、スタートの合図とともに一斉に飛び出しました。おや、スタート地点がおかしいようです。これは、コカトリス選手が何故か逆走して観客席に突っ込んだ模様。そのまま失格です」
「うむ、臆病な種族じゃから、合図のピストルに驚いたんじゃろう」
「おや、もう一人ハーピィが気絶していますね。どうしたんでしょうか」
「うむ?なになに、ああ、昔鉄砲で落とされた記憶がフラッシュバックして気絶したらしいのう」
「よく分かりますね」
「伊達に魔術の達人ではないぞ」
「メタですね。それでは選手が会場の方につくまで多少時間があるようですのでこの大会の説明を観客の皆さんにしておきますと、今回の大会はひな祭りのひな壇に合わせた五段の障害を潜り抜け最上階にいる人間の男性と結ばれれば決着、という事になっております。そう数がいる訳でもありませんのでわざと会場まである程度距離を開けたりしているんですが結構な人数が参加しましたね」
「ほんにのう。バレンタインデーで告白できなかったような娘たちの為に開いたんじゃが。勘違いもいるようじゃのう」
「勘違いですか?」
「ほら、あそこ」


「ここであったが百年目。貴様との決着つけてやるわ」
「ふっこの武神白虎流に敗北などない」


「おや武闘派のサラマンダーさんと人虎さんに何か因縁があった模様。大会そっちのけで凄い技を繰り出しています。周囲の選手に被害続出」
「さすがに迷惑だから失格じゃのう」
「おお、凄い。係員の巨大ゴーレムによってつまみ出されました。しかし選手も暴れています。これだけでも結構な見世物ですね」
「あとで別編集しておくかの」
「金の亡者なバフォメットさんは放っておいて説明を続けます。とはいってもあと一つですが。頂上にいる男性の皆様はちゃんと説明して希望者を募りましたのでご安心ください」




『ちょっと待てーっ!』
「俺借金が返せなくて連れて来られたぞ。千円だけど」
「ユニコーンさんと結婚できると言う話はどうなった」
「俺、会場を歩いてたら人が足らないからって連れて来られた」
「結婚なんて聞いてない。俺は自由でいたいんだー」




「煩いな。全員契約書にはサインしたじゃろうが。それと最後の結婚したくないやつ。親御さんが申し込んできたので無駄じゃ」




「まあ俺は良いけどね。誰が来るのか不安だけど、お前らどんな魔物娘が良い?」
「アリスたん希望」
「それは不可能じゃないか?どう見ても体育会系のイベントだろう」
「ハーレム王に俺はなるっ」
「イベント上一対一だからバイコーン狙わないとな」
「ねこねこねこねこねこぬこねこぬこぬこねこねこねこねこぬこねこねこねこねこねこぬこねこ」
「変な言葉が混ざってないか?」
「さっきから突っ込みばっかり入れやがって。お前は誰が良いんだよ」
「特に決めてない。強いて言えば」
「しいて言えば?」
「ストレートな黒髪で身長は俺より低く胸は爆乳の域で処女、お金持ちの娘で美人の姉妹がいてその姉妹ともウハウハできるといい」
「お前が一番贅沢じゃないか!」




「良いんですかね、あれ」
「まあおっぱい星人なのは気に食わんがあくまでこれは賭けみたいな物じゃからのう。誰が来るかは天のみぞ知るじゃ」
「そうですね。お、そんな事を言っている間に会場に戦闘集団が付きました。野外に設けられた巨大五段雛飾りステージをどうやって攻略するのか」




「あ、ユニコーンさんだ頑張れー」
「一段目の断崖絶壁に絶望した顔をしているぞ」
「馬系の下半身に垂直な段難しいよな。高さもあるし」




「おおっと、先頭だったケンタウロス種系の娘さん達が立ち往生しています。その周りをどんどん飛行系の魔物娘が追い越している。あ、あのピクシーアカンべーしています。おおっ怒ったケンタウロスさんが矢を射った」
「やり方が色々あって面白いのう。アマゾネスやオーガ系はそのまま登っていくし、あのダークエルフなぞ鞭を巧みにつかいおる。下半身が動物系でもこういうところは蜘蛛や蛇には動きやすいようじゃ」
「おや、ケンタウロスに何か変化があったようです。おお、どこからか取り出した長いロープを大きな矢に括り付けて、撃った〜っ。矢は最上段まで届いて刺さった模様」
「まあ最上段はちゃんと防衛魔術をかけておるから男に危険はないが。思い切ったのう」
「あ、ケンタウロスでも空を飛べるナイトメアに連れて行ってもらってユニコーンがクリアしました」
「別にこれは関門イベントではないからの。それでもダメな子はいるようじゃが」
「おお、突撃を繰り返していたホブゴブリンさんが泣きだしました。ゴブリンさんが頭を撫でています。そしてホルスタウロスさんもギブアップ。二人とも運動神経と胸が重すぎるのが問題なようです」




「はっ」
「どうした贅沢もの」
「あのホブゴブリン、俺の理想に一番近い。行ってくる」
「おいちょっと」
「こらこら、賞品はじっとしてなきゃ駄目ですよー」
「離せ魔女、俺は彼女を慰めに行くんだー!」




「何か上がうるさいようです」
「部下の魔女がいるから大丈夫じゃよ」
「ところであのマーメイド系とセルキーさんは何をしに来たんでしょう。干からびてますよ」
「まあ脚があれじゃし水気が必要じゃしなぁ」
「シービショップさんが水の魔術で駆け上がりました。他の参加者は?無理なようです」
「さて、第一段目の関門は…酒、御馳走、桃の花。文字通りのハニートラップ。花見席トラップだ!さあこの難関をクリアできるか」
「これは別に凄い物ではないのう。精々食いしん坊のベルゼブブやデビルバグがひっかっかるぐらいじゃろう」


「おおっこれは名酒鬼姫。伝説の名酒オウガ殺しを使って作ったごく稀な一品ですよ」
「そこのアオオニ。それはこの龍である私がもらいます」
「白酒って甘くないです」
「ハニービーにはきついか。じゃあこっちの蜜たっぷりな蜂蜜団子とかいいよ」
「ありがとうドワーフさん」
「これは、全国和菓子大会連覇の名店サガラの歴代優勝者が作った和菓子重箱。これを食べねばスイーツのリャナンシーである私の名が泣きます。あ、フェアリー勝手に食べないで」
「おいしいよぉ。おいしいよぉ」
「こういうのはまず見た目を味わって」
「良いじゃん。せっかく食べられるんだから」
「もう。これだからインプは」
「女の子のお祭りって楽しいね。こんなおいしいお菓子初めて食べたよ」
「あらあらアリスちゃん、そんなにいっぱいこぼして。ちゃんと食べないといけませんよ。それにしてもこの名酒白蛇。私の為にあるようなお酒ですね」


「なんか物凄く引っかかってますよ」
「手を抜かず本気でお菓子を用意したのがまずかったかのう。甘い物に目がないジャイアントアントやハニービー、グリズリーのみならずお子様なフェアリーやアリスも引っかかるとは」
「お酒にはオーガ系やドワーフ、ドラゴンと蛇が引っかかってますね」
「名酒ぞろいじゃからのう。儂も飲めるなら飲みたい」



「アリスたん。駄目だ、そんな罠にかかっちゃ」
「まあお菓子と男、普通ならお菓子を頼むよな。あんな高そうなもの、俺でも女よりも菓子を取る」
「気合入れ過ぎたんだな、バフォメットさん」
「お、二段目に最初に着いたのはアラクネさんか。このままリードするかな?」



「きゃあ、何よこれ」
「べとべとするわ、アラクネ、蜘蛛なんだから何とかならない?」
「何とかって何よ」
「蜘蛛の糸ってべとべとしてるでしょう」
「あのね。蜘蛛はまずべとつかない縦糸をはってからべとつく横糸を張るの。動くのは縦糸だけ踏むのよ。貴方もおおなめくじなんだからぬるぬるを出しなさいいよ」
「無理。その前にひからびちゃう」


「二段目は菱餅をモチーフにした特製鳥もちエリアですね」
「食べられるのは食べられるぞ。右大臣、左大臣は左右に持っている武器を置いて表現している」
「あってもなくても良いような存在ですね」


「アラクネさん、ごめんっ」
「きゃっこのエルフ、私を踏み台にしたわね!」
「ぐぎゅう」
「あーやっぱり鎧は重かったか、すまんなおおなめくじ殿」
「そう思うならデュラハンだからって鎧来て来ないで〜」


「おお、先に引っかかった二人を台にして次々と選手が登っていきます」
「まあ正解というか、普通じゃな。おや?あのクイーンスライム、何をする気じゃ?」


「わたしの屍をこえてゆけー」
「ありがとう、お姉ちゃん」
「良い妹を持って幸せだわ」


「エキドナ一家のクィーンスライムだったみたいですね。お姉さんのエキドナと妹のワーシープが登っていきます」
「もう一人の妹らしいキキーモラは掃除の為に残るようじゃな」
「さて、三段目は五人囃子に由来して楽器を設置してあります。実は楽器を弾くと次のステージへの階段が出される仕組みなんですが」


「あたしの歌を聞けぇ〜!」
『きゃーっサンダーバードさーん』
「ふふふ。私の歌はどうかしら」
『ガンダルヴァさまぁ〜』


「音楽系の二人がノリに乗って歌っています。観客にファンがいたようで、別のステージになってますね」
「足止めが目的じゃから別に構わんが、何であんな有名人がいるんじゃ」
「さあ、お婿さんが欲しくなったんじゃないですか?あ、歌にセイレーンが、ダンスにアプサラスが加わりました。さらに激しくなっています」



「うーむ。はっきり言ってもう絶望的な気がする。好みの魔物娘が辿り着くと言う意味で」「まあなあ。大体第一段で引っかかったしな」
「いや、まだ諦めん。アリスたんが駄目でもエンジェルたんとデビルたんがいる」
「あそこで酔いつぶれっているのがデビルで、足引っ張られて鳥もちに墜落したのがエンジェルじゃないかな」
「もう駄目だ。神は滅んだ」
「お前仏教徒だったろう」



「四段目は三人官女ですが、正確には旦那様候補に会うために服を着て正装してもらいます。上がれるかどうかは官女役のデザイナーさん次第です」
「うちの魔女3人組じゃが、あの三人本当にうるさいからのう。いい加減な着こなしだったりオリジナル性がないとお合格はださん」


「うーん。エキドナさん、貴方は髪の色を自慢に思っているのは分かります。しかしアクセントもなく全身赤一色というのはどうかと」
「ええーっ」
「こちらのテーマは何ですか?」
「え、ええと、海老とスズキのカルパッチョの色を利用してみたんだけど」
「成程、ベルゼブブらしいですね。ですがあなたの体の大きさに合いません。8等身の服を着てどうするんですか」
「こうなったらリッチの秘術を利用してデザイナーの降霊術を」
「古臭い物は容赦なくはねますよ」


「あれ合格者出るんですか?」
「映っている映像のファッションショーは結構見応えあるがのう」
「そうですね、あ、またはねられた」
「あれはこの前映画でやってた服をアレンジしたと言いつつそのままだったからじゃのう」



「とうとうこの時が来たか」
「まあ覚悟を決めろや」
「人生こんな事もあるさ」
「ああ、ユニコーンさんはどこに」
「なあ、あの魔女が結界張ってるんだよな」
「そうらしい」
「じゃああの魔女をどうにかすれば結界は無くなるから誰かに突撃させよう」
「じゃああのアリス好きな奴がいい。おーい」
「なんか?」
「お前、アリスとくっつきたかったんだよな。でもアリスは最下段から動いてないのは見えるよな」
「ううう。アリスた〜ん」
「落ち着け。そこで、あそこの魔女はどうだ。ロリだし、いいと思うんだが」
「はいはいはいそこまでですよ。おとなしく賞品は待ってて下さい」
「おのればれたか」
「言っておきますが私はお兄ちゃん持ちです。あしからず」
「くそっあのホブゴブリンの子が好みなのに」
「まだだ。諦めるな。何か手があるはずだ」
「確かに一つ大逆転の手はある。しかし…」




「何か男の人たちが騒がしいようですね」
「むう。物騒な魔力を感じる。どうなる事やら」
「さて、どうやら合格者が出た模様です。それでは早速行ってみましょう」
「最初に合格にたどり着いたのは、なんとトロールさんです。ちょっと一言インタビュー頂きましょう」


「え、インタビューですか?オラみたいな田舎者がここまで来れるなんて凄い嬉しいです」


「げ」
「あ、タダシさーん。オラ来ただよ」
「うん?あの娘の言葉はどういう意味だホブゴブリン好き」
「ん?ただの幼馴染だ。あいつがいるから俺は背が低い娘の方が良くて」
「贅沢な。やってしまおう」


「おや二番目は…ベルゼブブさんですね」
「ほう。一段目のトラップに引っかからなかったか」
「あたしはしょっぱい物の方が好きだから」
「うわっベルゼブブさんが魔術で声を届けてきましたよ」
「なかなかの腕前の様じゃな」




「うえ、ベルゼブブだってよ」
「うーむ。流石にあれはきつい」
「どうやって逃げるか、それが問題だ」
「さて、この贅沢者はトロールさんにそのまま渡すとして後はどうしようか」
「どうもすぐには襲ってこないようだし、もう何人か見てからで」
「そうか。俺が限界を感じたらさっさと最終兵器使うからな」
「そんな物があったのか」
「逃げられそうだな」




「三人目、四人目は、なんと一段目前からの苦労を乗り越え、ユニコーンさんとナイトメアさんです」




「うおーっユニコーンさーん」
「馬鹿待てお前が突撃してどうする」
「男はここにいるのが役目なんだから待とうよ」
「あの階段から一人でも出てきたら最終手段発動で」
「魔女が術を使ってくるかもしれないが、それはどうする」
「ふっ俺が体で防いでやるさ」
「おお、男らしい。結婚から逃げるのは男らしくないが」




「五人目はダークエルフさん。いやあなんというかあの恰好を突き通したのが凄い」




「確かに凄い」
「おっぱい見えそう」
「お尻も見えそう」
「揃って前かがみになるなよ」
「お前もな」




「さて恐らく時間から考えて次が最後でしょう。オーガさんが階段に入りました。しかしまだまだ大会は続きます。また誰か入ったようですが一旦4段目の中継を切って最上段の中継を入れましょう」



「時間制限何てあったのか」
「TVで生放送してるからな」
「入って来たら発動入ってきたら発動」
「怖いぞ落ち着け」




「おおっと、これはどうした事か。階段の中で戦闘が行われている模様。バフォメットさん、どうなっているんですか?」
「最上段への階段には楽しみにしようとわざとカメラを設置しておらんから、儂にも分からん」
「またまた。魔術使えば分かるんでしょう?」
「まあの、しかしそれも面白くない。まあ誰が出て来るか待っていようじゃないか」




「出て来たぞ」
「最終兵器を」
「待て落ち着け。お前に誰か襲い掛かったら使うんだ。ユニコーンだったらあいつが相手するしトロールだったらあいつを渡そう」
「それもそうか。人の恋路もあるか」
『ごくり』
「皆の者、出迎えご苦労」
「さ、姫様、こちらへ」
「アヌビスとスフィンクス?嫌な予感がするな」
「うむ、大儀」
「ファラオが来たーっ!」
「居たっけ、ファラオ?」
「隠行の術かなんか使ってたんじゃないか?」
「うおーっハーレム出来るかも。ファラオ様、スフィンクスさんとアヌビスさんも嫁にしても良いんですか?」
「何をふざけておる。お前など選ばん」
「がーん」
「わらわが選ぶのはその方じゃ」
「え、こいつ?」
「おい結婚否定者、お呼びだぞ」
「やめろ、やめてくれー。押すなーっ」
「本当に。婚約者を放っておいてこんなゲームに出るなんてひどいではないか」
「婚約者だったのか」
「良いとこの坊ちゃんみたいだし、婚約者がいても結婚したくなくて逃げた口だろう」
「さあ、わらわの命令を受けるのじゃ。結婚式を行うぞ」
「ううう、出たくて出たわけじゃないのに。アンチ魔術符がある限り負けんぞ!」




「意外と言えば意外な結果でしたね」
「うむ。なかなか強力な護衛つきじゃしのう。しかしあくまで男と抱き合って初めて一位が決定するのじゃ。後ろがどうなっておるのか」




「ふう。やっと着いただ」
「おい贅沢者。嫁さんが迎えに来たぞ」
「嫌だ。この縄を解け〜っ」
「あ、タダシさん。ようやくついただよ」
「くっ何でこんな事に」
「あの、そんなにオラと結婚すんのが嫌なのけ?」
「う…」
「おお、贅沢者がトロールさんのうるうる眼に動揺している」
「あれは落ちるな」
「幼馴染の美人と結婚か。爆発しろ」




「なんだか予想と全然違う方向に行ってますね」
「まったく。オーガみたいな感じで全員突撃すると思ったんじゃがな。集めた男に婚約してないけど相手はいる。なんて変な状況の奴がここまで多いとは」
「手当たり次第に集めるからでは?」
「親御さんから手紙を貰っておるのであやつの事は魔女に気を付けるよう言っておいたんじゃが、他は知らんよ」
「そして意外にも誰も抱き着いていないので一位が決まっていない状況。さあ、誰が一位となるのか!」




「ふう。やっとついたぜ。あれ、もう勝負終わったのか?」
「いえいえ、オーガさん。あのですね。あの人たちが婚約者がいるのに適当に人を集めたせいで連れて来られた男の人たちでして、あの人たちは話し合いから始めてますからまだ誰も一位になっていないんです」
「うっひょう。そうか。じゃあ選び放題なんだな。誰にしようかな〜」
「く、ついに最終兵器を」
「ふうやっと着いたにゃ。ここが頂上かにゃ?」
「あ、ケット・シーさん。あのですね」
「猫っ!」
「うにゃ?」

カラーンカラーン



「おおっと。これは意外。後ろの方にいたケット・シーさんが逆に男の人に抱き着かれて一位決定!」
「一位は決定したが、男が全員伴侶を得るまで続けるのでまだ終わらんよ」
「しかしあの結婚決定者二人のある意味甘い雰囲気によそ行ってくれと言いたくなります」「まああの二人はどこかにやるか。もしもし頂上担当魔女聞こえるかの?」



「はいはいこちら頂上担当。よく聞こえますよ」
「こら、やめるにゃ。お腹に顔をこすり付けるにゃ。手で尻尾を撫でるにゃ」
「はい。喜んで」
「いややめろと言ってるにゃ!」
「はあ。あの二人を外に。分かりました」
「畜生。一位を取られたか。じゃあ俺の相手は…。お前だ!」
「え、俺?」
「そうだ。他の奴らが目をそらす中一人だけこっちを見てくれてるじゃないか」
「いや、別にそこまでの意味はないんだけど。ただ借金の事を考えてぼけっとしてただけで」
「そんな借金なら俺が払ってやる。一億か?十億か?」
「いやいやそこまでは。ただ千円の借金で現在手持ちがないと言うだけで」
「意外な方向でカップルが決まったな。しばらく最終兵器の必要はないか」
「あーっいい男!」
「うん?ベルゼブブ!?」
「突撃〜」
「最終兵器作動!」




「うん?何か巨大な物が呼び出されたような気配がするの」
「ステージにですか?」
「その下10メートルもないところじゃが」




「よばれてとびでてじゃんじゃじゃーん」
「最終兵器ってサンドウォーム召喚かい!いや、この隙にユニコーンさんを助けねば」
「うわーっ助けて食われる〜!」
「すまんな人手不足の。この術には一人の生贄が必要なんだ」
「だからって俺を生贄に…うわーっ」




「ステージがぼろぼろに崩れていきますよ」
「まずいの。全班救助に回れ。あの召喚した男は罰として絶対に結婚してもらう!」
「大丈夫だよ。匂い覚えたからどこまででも追っかけられる」
「うおぅ。ベルゼブブさんいきなり声を出さないで下さい。びっくりします」
「とりあえず大会はお開きじゃ」
「はい。それでは第一回ホワイトデーなんか知らないぜ。旦那は自分でゲットしてやるっゲームは閉幕いたします。皆さん、それではまたいつか!」


「アリスた〜ん。今いくよ〜」
「ハーレム目指していざいざ」
「ま、俺はどうでもいいけどね。とりあえずここから逃げて人命救助か」


15/03/14 02:19更新 / 夜矢也

■作者メッセージ
 イベントで何か書きたかった
 素でバレンタインを忘れていた
 ひな祭りは間に合わなかった
 ホワイトデーに送る事にした←今ここ
 ついでに実験もしてみよう

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