連載小説
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祈り 〜まずはキスから〜
堕落神を讃える逆さ十字の黒い十字架の下。
元は礼拝堂だったそこは、今では絨毯張りの広間になっている。
礼拝のための椅子などはなく、教壇が十字架の下に一つあるだけだ。

そこでは堕落神の信徒となった弟妹達が思い思いに交わっている。
幼いその身体で魔性の快楽を愉しみながら、万魔殿にて信徒を見守る堕落神に感謝を捧げる。
淫らに交わり、快楽に溺れることが堕落神への祈りの捧げ方なのだ。



「万魔殿に御座す我等が神よ……


         今日も人々が淫らに過ごせますように……」



幼い堕落神の信徒とその夫達が思い思いに交わっている、その広間の最奥。
逆さ十字の真下で、レスカティエの堕落神教徒達の教主を務めるサーシャが祈りの句を捧げる。
それが俺達の交わりの……祈りの合図だった。

サーシャを後ろから抱き締め、僧衣の上から乳房を掌で包む。
淫気に中てられてしっとりと汗ばむ膨らみを、手の中で優しく揉みしだく。
すぐさま乳首が隆起し、硬くなっていくのがわかった。
極上の柔らかさを誇る乳房の感触を愉しみながら、硬くなった先端を指先で挟んで優しく擦る。

「んっ…… はぁぁ……♥」

熱い吐息を漏らし、俺に身を預けて体重をかけるサーシャ。
胸で優しく抱き留めて、サーシャの乳房を捏ね続ける。
少しひんやりとしたサーシャの手が俺のペニスに触れ、掌に包み込んで指で揉み返す。

萎える時間よりも勃起している時間のほうが遥かに多くなったペニス。
既に臨戦態勢にあり、鈴口からは先走りを溢れさせている。

「あぁ……♪ とっても逞しいです……♥」
乳房への愛撫に熱い息を小さく吐きながら、陶然とした声で呟く。

前を向いたまま器用に手で俺のペニスを愛撫するサーシャ。
掌と、小指から中指までの指三本で肉竿をグニグニと痛みを感じる寸前の絶妙な力加減で握り揉む。
ペニスの芯…尿道に流れる先走りを揉み出すような動き。
残る親指でカリのエラをクリクリとつつきながら、人差し指で鈴口をなぞって先走りを亀頭に塗り付ける。
欲望を煽る手淫に、ペニスの硬度がますます高まる。

俺は腕の中に彼女を抱き、肩に顎を載せて耳元で囁く。
「サーシャのおっぱいも気持ち良いよ……堪らないよ」
囁いて、尖った耳を唇で甘噛みする。

腕の中でゾクゾクとサーシャが身震いする。ペニスを愛撫する手に力が篭もる。
きゅっと握られ、上下に扱く運動に変わった。
力を入れて根元を握り、徐々に力を緩めながら先端へ……。
カリのところで止まり、握る力を強めながら根元へゆっくり。
尿道の中の先走りを揉み出すような動き。

尿道から鈴口へ、熱い粘液が漏れ出していく。
先走りを搾り出される快感は、弱い射精のようでもある。
ただし、射精と違って欲望を放出してくれるほどではなく僅かな快感で欲望を煽る生殺しの。
むしろ半端な放出感は射精への欲望を高めていく。

サーシャはこうして、俺の欲望を煽る行為を好む。
俺が吐き出す精液をより熱く、濃く、多く、勢い良くする為だ。
魔物は男の精液を好み、美味を求めるかのように質の良い精液を欲しがる。
どの魔物も大抵そうらしいが、堕落神の信徒達は魔物の中でも特に男性の精液に対する思い入れが強いらしく、子宮で受け止めるだけでなく全身に浴び、外も内も白濁に染められることを喜ぶ。

サーシャも例外に漏れず、とにかく俺の精液を欲しがる。
こうして俺の欲望を煽りに煽った後、胃が満ちるまで俺の精液を飲み干し、顔を、胸を、肌を白く穢し…子宮が満ちて溺れるまで精液を求める。
そしてサーシャの欲望に応えたい俺は、彼女の望むままに精を──俺自身を喜んで捧げる。

「んっ……♥ あなたの手で直に、触ってください……♥」

サーシャの要求に応え、実行する。
胸元が大きく開いた僧衣…その胸を覆っている僅かな布を指で開く。
プルンっ……と拘束を解かれた美巨乳がまろび出る。
美肉が詰まった乳房はいくら揉みしだいても決して垂れることなく、重力に逆らって美しい形を保つ。
美巨乳の先端の小さな乳首は何度しゃぶろうが色褪せることなく、充血して紅い宝石のようだ。

俺の手にも納まらない果実を、指を広げて包む。
極上の乳肉は力を入れて揉むまでもなく、メレンゲの柔らかさとシルクを超える肌理の細かさで俺の指を迎える。
たっぷりとした重さと密度があって弾力に富んでいるのに、置かれた手と指をゆっくりとその中に飲み込むように沈めていく。
反発する弾力と包み込む雲のような柔らかさ……矛盾した二つの感触を破綻させることなく兼ね備えた、魔性の果実。

手に包んだ乳房を支えるようにして持ち上げる。
心地良い柔らかさと温もり、そして重みが俺の手を押し返してくれる。
決して力を入れず、彼女の乳房を手の中で転がすようにして愛撫する。
ふにゅり、ふにゅりと素晴らしい感触を味わう。

「んぅ……♥ ふぅぅぅ………」

うっとりとした溜息を漏らすサーシャ。
俺のペニスを愛撫する手は止めず、乳房に感じる俺の手の温度を愉しんでいる。

サーシャは俺の欲望をぶつけられることを悦ぶ。
欲望に猛り、少し乱暴に愛撫されても決して嫌がらず、嬉々としてそれを受け入れる。
むしろ、無遠慮にされた快感のほうが余裕を以って愉しむことができるらしい。

逆に、労わるように優しく愛されると愉しむ余裕もなく、快楽に身悶えして何度も何度も達してしまう。
サーシャは自分が優しくされるのには弱いのだ。
そして俺は、サーシャには凡てを賭けて優しくしたい。


魔物にとって、精の味はその時の魔物の精神状態に大きく左右されるのだという。
直接は関係ないのだが、精の味がテンションに影響を受けるのと同じように、サーシャは俺の精神状態によって俺から受ける快感の質が大きく変わる。
俺が獣欲に任せて乱暴に腰を振った場合、サーシャは一番敏感な子宮を突かれる快感でも、俺を労わる余裕すら見せて愉しんでしまう。
逆に情愛を以って愛した場合、膣壁をほんの少しペニスで擦られるだけでも簡単に絶頂に達し、あられもなく髪を振り乱し嬌声を挙げて歓喜に身悶えてしまう。

初めて結ばれたあの日から何十年もの間ただの一日も空けることなく交わり続けた結果、俺にも彼女に想いを伝える能力が備わったのか……
他者の気持ちを慮(おもんばか)ることに長けたサーシャが、魔物になることで会得したのか……
それとも堕落神の加護によるものかは分からない。

他の魔物もそうなのかは知らないが、サーシャには俺の精神状態を肌で読み取り、受ける快感を変化させる能力があった。


「はぁっ! ……あぁぁぁぁ……っ……!」

乳肉を強く握ることも、乳首を千切れるくらいに抓ることも必要ない。
壊れ物を扱うように大切に、彼女への愛しさを籠めて大切に乳房を愛撫すれば、サーシャは簡単に燃え上がってしまう。
サーシャを悦ばせるには、技巧を凝らすよりも愛情を籠めるほうが遥かに良い。

─きゅっ……。

乳房に置いた手を滑らせて、そのままサーシャの胸を抱く。
愛するサーシャを腕の中に掻き抱いて包む。
君が愛おしい、君が大切だ……想いながら抱き締める。

「ふあ……っ!」

ぶるりと震えて、ペニスを愛撫する手を止める。
俺の腕の中で身を捩って向かい合い、嬉しさ8割恥じらい2割の可愛いむくれ顔で俺を睨む。

「も、もうっ……! 最初は私にさせてください……」
「はは、ごめん……」

俺に快感を与えたがるサーシャは、快感を与えられて俺に主導権を握られることを善しとしない。
堕落神の信徒の矜持か、姐さん女房の意地か、自分が快楽に溺れるのは俺を溺れさせてからという信条があるらしい。
照れ隠しのむくれ顔から、妖艶な笑みに表情が替わる。

「じゃあ……今度は私から、ですね♥」
覚悟してくださいね、という表情。

「……お手柔らかにお願いします」
言うだけ言ってみる。多分聞き入れてはもらえないだろうけれど。


「ふふふっ………
       ……ん…っ♥」


笑みを浮かべたまま、サーシャの唇が俺の唇に触れる。
まずは挨拶代わりの唇を重ねるだけの軽いキス。
たっぷりと水気を含んだ桃の果肉のような唇が押し付けられる。
ただし、最初は軽く重ねるだけ。

「んん……ん……」

合わせた唇をはむはむと動かして俺の唇を擦る。
ゆるゆるとした動作で顔を揺らし、自らの唇で俺の唇をなぞる。
俺の唇全体を、舌で舐めるかのように。

次に、ぴたりと唇が合わされた。
零距離で見つめあう彼女の瞳に、熱いものが揺らめく。

──行きますよ♥
そう、伝えていた。

「ん……れ、ぇるっ………」

合わさった唇から、熱を帯びた舌が突き入れられて侵入して来た。
まずは舌先が、俺の唇の内側をなぞる。
キスを離すことなく、前歯と唇を甘い唾液で塗りつぶす…。
淫らな魔力がたっぷりと含まれたサーシャの唾液。
まだ俺の舌にも届いていないにも関わらず、口の中を甘味で支配する。

唇の内側の次は前歯と歯茎。
唾液を塗りつけながら、舌先がなぞる。

―ぴちゃ……ぬちゃっ……
甘くて美味しい、サーシャの唾液が歯を舐め回す舌から、俺の口内に注がれる。
さらりとしたシロップが、意志を持って俺の舌の上に流れ込んでくる。
飲んで欲しいと言わんばかりに。

俺の背に回されていた手が肌をなぞりながら登り、脇下から腕を交差させて俺にしがみ付いた。
もっと俺の口内の奥深くに舌を突き入れようと密着させる。
俺からも彼女を抱き返し、唇をあむあむと頬張りながら押し付け返して彼女の行動を受け入れる。

口を開くと、サーシャの舌がにゅるりと俺の舌の上を躍る。
『一緒に踊りましょう』
そう催促するように、甘く熱い唾液に濡れたそれが、巻きつこうとして跳ね回る。

「ちゅ、りゅぅ……」
「にゅるっ…ちゅ、ちゅっ……♥」

ほんの少し舌を持ち上げると、すかさず吸引されて捕まえられた。負けじと、俺もサーシャの舌を吸い返す。
舌に舌が吸い付いて、互いの唾液を交換しながら塗りつけ合う。

「こくっ、にちゃ、んっ……」
「ん……♥ ちゅっ……」

舌の下側の付け根と、上顎の下。唾液はその二箇所から分泌される。
口の中にあった唾液だけでは足らないと、俺の舌に螺旋を描く動きで巻き付きつつ、上顎の下を舐められる。
せっかくの唾液が重ねた口の端から零れてしまわぬよう、俺達は大きく口を開けて、互いの唇を被せ合い抱き締め合う。

ぬちゅっ、ぬりゅぅっ……

口を大きく開けて、互いを食べてしまおうともするキス。
二人の口内では舌と舌が絡み合って、互いの唾液を奪い合う。
サーシャの媚薬唾液の滴る舌が、俺の精入りの唾液を舐め採り、啜る。

魔物が精を吸う時、男の側には精を吸われる快感が生じる。
俺も負けじと口内に侵攻してくる彼女の舌を吸うが、キスの格闘で魔物相手に勝ち目など無い。
与えられる快感の量も、快楽の許容量でも、挿入での性交以外では彼女を上回るのは無理だ。

──唾液を啜られる度に口内に甘い痺れが奔り、俺の舌の動きは鈍くなっていく。
キスが続けば続くほど、絡み合う舌から注がれる快感に脱力し、じりじりと優勢を奪われていった。

「〜〜〜♥」

口付けたまま、サーシャが目尻を落として妖艶に微笑む。
それは『してやったり』の勝利の笑みでもある。
快感に茹って胡乱になりつつある俺の思考は、サーシャの挑発にあっさりと乗り、優勢を奪い返そうと彼女の口内に舌を突き入れた。

──はむっ♪

突き入れた俺の舌は、すかさずサーシャの唇と舌に捕捉される。
ちゅうぅぅぅ……と音を立てて吸引され、口内に引きずり込まれる俺の舌。
後頭部に当てられた手に強烈に抱き寄せられ、唇がまるごとサーシャに食べられてしまった。

「あむ、んん♥♥♥」

サーシャの口内で、じゅわりと大量の唾液が湧き出してきた。
サーシャの中のサキュバスの魔力をたっぷりと含ませた媚薬唾液。
俺の舌を彼女の舌が巻きついて捕まえて、逃げられなくなった俺をサーシャの唾液が水責め……。
舌に溶けて、頭を蕩かすシロップが無限に湧き出て口内を満たす。

「んん、んんん………♥♥」
じゅるる……、ちゅ、ぢゅるるる…………。

俺の舌はサーシャの口内に捕獲されたまま。
シロップで満ちた口内で逃げることも許されず、絡みつく彼女の舌に捏ねられて蜜漬けにされる。
どんな美食でも再現できない甘露に浸されて、サーシャから優位を奪おうという闘志は粉々にされてしまった。

俺の意識をキスで屈服させたサーシャは口付けたまま満足気に目尻を下げる。
背伸びをして、顔を俺より少し高い位置に登らせる。
すると重力に従って、シロップが彼女の口内から俺の口内に流れ込んできた。

──飲んで。
興奮に濡れた紅い瞳が、言葉も無く俺に命じる。
逆らうまでもなく、流れ込んでくる彼女のシロップを受け入れる。
スープのように熱いが粘度はあまり無い、感触だけでいうなら果汁のようなサラサラとした蜜。
飲みこんだ効能は精液の増産に加え、高揚に、欲望の加速と愛情の加熱。
一方的に組み伏せるのではなく、じっくりと蕩かして溺れさせ、共に貪りあうことを好む彼女の気質を顕している。

流れ込んできたそれは、最初に俺の口内をサーシャの味で満たす。
彼女の唾液は栄養である、と何十年もかけて教え込まれた俺の口内粘膜は、美味しい蜜を吸い込む。
さらりと溶けて、粘膜に自ら吸収される唾液。
俺の口内に甘い痺れを齎し、頭部全体に熱となって散らばっていく。

吸い込みきれなかった残りの蜜を、飲み干す。
食道を、心地良い温かさにその感触を変化させつつ、胃に落ちる。
サーシャの情愛を帯びた蜜は、腸で吸収されることすら待てないのか、胃の中で即座にバラバラになり、俺の中に溶けていく……。

──胸から全身に広がっていく温かさ。
体内の精を押し出す効果のあるそれは、精の放出口であるペニスに向かい、精液の増産と勃起の促進を促す。
サーシャのお腹を押すペニスが、十割の硬度から十二割の硬度へと威容を増した。
お腹を貫かんばかりに彼女を求めるペニスに、サーシャは口付けたまま幸せそうに微笑む。



零距離で絡み合うサーシャの蕩けた視線。
情愛に、欲望に、親愛に、歓喜に……様々な熱い感情が詰め込まれた熱い視線。
今にも数多の感情が溢れ出そうな深紅の視線は、俺だけを見据えて射抜いて、支配する。

どんなハーブよりも心地の良いサーシャの体香。
礼拝堂に立ち込める他の信徒達の香りなど気にもならなくなってしまうほどに濃密。
香油のように気を穏やかにもしてくれれば、媚薬のように昂ぶらせもする。

脳に響く、サーシャの舌が躍る粘液質な音。
響く度に周りの喧騒が遠くなり、聴覚の全てがサーシャを感じることだけに集中する。
サーシャの呼吸が、鼓動が、彼女と俺が触れ合う音だけしか聞こえなくなる。

胸板に押し付けられるサーシャの大きな乳房。カチカチに硬くなっている乳首が擦れてちょっとくすぐったい。
柔らかくもハリのある彼女のお腹がペニスを擦る。
漏れ出る先走りを、進んで自らにこすり付けるように、サーシャは俺に体を押し付ける。

インキュバスになってよりサーシャを感じられるようになった俺の体と感覚は、サーシャと睦みあうことにのみ特化されている。
一度交わり始めれば、疲れ果てて眠りそして目を覚ますまでの間、俺の全感覚はサーシャだけの物だ。
全ての感覚と意識は、サーシャと愛し合うことに集中する。



飲み干す媚薬唾液と、サーシャの存在そのものが俺の欲望を掻き立て、睾丸に蓄えられた精液が重みを増していく。
このままサーシャと繋がって、彼女の最奥に精液を注ぎこんでしまいたい……。
そんな欲求が首をもたげてくるが、まだその時ではない。
二人きりで部屋や浴室で愛し合う時は、キスから始めてあっという間に昂ぶり合ってしまい、我慢できずにそのまま交わることも多いのだが、今は『祈り』の時間だ。


─…うわぁ……パパ先生のオチンチン、大きくてビンっビン……♪
──…いいなぁ、サーシャさま……あのオチンチンに、精液かけて貰えるんだぁ……


俺達の情交を羨ましそうに眺めて、幼い妹達が熱い息を吐く。
“つがい”のいる信徒達は俺達のことなど気にも留めずに礼拝堂のそこかしこで交わっているが、未だに夫を得ていない者…未婚の妹達や信徒達は、教主であるサーシャとその夫である俺の交わりを見て自慰に耽ったり、いずれ味わう快楽を夢見て信徒同士で慰めあったりしている。
相手のいない信徒は祈りの時間に、他の信徒達の交わりを『見学』しながら快楽への欲求を募らせていく。
教主夫妻である俺達は率先して、彼女等の前で愛し合い求め合う様を見せなければならなかった。



まずは、キスから。
サーシャは彼女の魔力をたっぷりと籠めた唾液を俺の口に注ぎ込んで、内側から俺を昂ぶらせていく。
魔物の魔力が籠められた唾液には先に言ったように催淫に興奮に強壮の効果があり、それに加えて体内の精を追い出しやすくするという効能もある。
飲まされた唾液に含まれるサーシャの魔力が、俺の体内で散らばり、俺の身体を熱く加熱しつつ、俺の中の精を精の射出口……ペニスに集めていくのだ。
血液と一緒に、煉られた精がペニスに集まり、生産された精液をより濃く、熱く、多くする。

「ちゅうぅぅ……んあぁ♥」

十分な量の精が、俺の下腹部に集まったことを察したのだろう。
俺に唾液を注ぎ続けていたサーシャの顔が離れる。
二人の唾液で濡れた唇をペロリと舌なめずりして、妖艶に微笑む。…が、ちょっと名残惜しそう。
キスを切り上げることが残念なのだろう。俺も同じだ。
だが、二人きりで愛し合うときのようにキスだけで何時間もかけていては流石に進まないので、仕方なく切り上げた。

「うふ……、それでは…始めましょうか……♥」

唇を合せるキスを離しても、サーシャのキスは止まらない。
咽喉にキスして、尖らせた舌先でつつぅー…と舐め降ろす……。
首から胸に、胸から腹に……正中線に沿ってゆっくりと舌をなぞらせて、ペニスを目の前に跪く。

天を突いてガチガチに屹立し、先走りを溢れさせているペニス。
ふぅぅ、と吹きかけられた吐息だけで、快楽への期待にビクリと震える。
その反応に満足して、サーシャはうっとりと微笑む。

「今日も逞しくって、とっても素敵です……♥
      たくさん、愛してくださいね………♥♥」

見上げるサ−シャに、俺も笑みを返す。
言われずとも、サーシャを愛することが俺の生きる意味だ。
それが俺が望んで、選んだ道なのだから。

「旦那様のオチンチンさん……今日もよろしくお願いします♥」

──ちゅっ♪
唇を尖らせて、まずは先端にご挨拶の軽いキス。
ビクリと鼓動するペニスに、サーシャが嬉しそうに微笑んだ。
俺のペニスは彼女から与えられるものであれば、親愛を示すキスの一つにも大きな反応を返す。

次にサーシャは、猛るペニスの胴を両手で恭しく包み込んだ。
彼女の体温は高く手と指も温かいが、灼熱のペニスにはひんやりと感じられて、そのことが逆に指の感触を強調する。
包んだ指でクニクニと揉み解され、期待に満ちた彼女の熱い吐息を吹きかけられて、鼓動するペニス。

「さぁ、まずは……
    私の身体を、貴方の“精水”で清めてください……♥」

夢見るような口調で囁き、俺のペニスを扱き始めた。
蠢く指は肉竿を少し強めの力で揉みしだき、マッサージしながら上下運動を加える。
サーシャの技巧と指の感触に、生産された精液がペニスの奥で煮え立ち、発射のためのエネルギーを蓄えていく。
もともとキスでの媚薬責めですっかり出来上がっていたのだ。発射は遠くなかった。
熱い情欲の籠められた手での奉仕に、あっという間にその時が近付く。

…だが、あともう一息というところでサーシャの手が止まる。
戸惑いは無い。いつもの流れだ。
サーシャは自らの美しいエメラルドの髪を一房手に取り、それで俺のペニスを包み込んだ。
熱い肉棒にはひんやりと感じられる、しなやかで細く硬質な感触がペニスに絡みつく。
彼女はペニスから少し顔を離し、俺に目配せ。

……頷いて、サーシャの髪が巻きついた自分のペニスを握り、自慰を始める。
自分の手で射精して、サーシャを白く染める為だ。



サーシャの膣肉を掻き分け、子宮を貫いて種付けする為に在る俺のペニスは、サーシャ専用に設計されたかのような形と機能を持っている。
サーシャの傍で彼女の気配を感じれば独りでに勃起し臨戦態勢に移り、彼女が俺に奉仕する行動全てに、彼女の望んだ通りの反応を示す。
手で、口で、乳房で奉仕されればあっという間に射精し、彼女の欲する精液を惜しげもなくありったけ献上する。
挿入すれば膣内を隙間なく満たし、根元まで沈めれば子宮を押し上げる位置にぴったりと納まる。
そして、快楽で煉られ、欲望で増産され、愛で濃度を増した精液を、彼女が失神するまで注ぎ込み続けるのだ。

俺のペニスはサーシャの為だけにある、サーシャ専用のものだ。
……そのせいか、サーシャの関わらない快感にはとことん鈍くなってしまった。
強大な魔力を撒き散らすリリムが目の前に居ようが、どれだけ濃密な魔力の漂う空気を吸い込もうが、俺のペニスは微動だにせず、そして自分の手でどれだけ自慰をしようが、決して達することはない。
だがこうして、先端にサーシャの吐息を吹きかけられ、竿にサーシャの髪を巻きつけられた状態でなら、自慰でも射精することが出来る。

二人きりの時にはこんなことはしないのだが(サーシャは自分の手で俺に快楽を与えたがり、俺が自力で射精することを好まない)今は祈りの時間。
祈りは儀式でもあり、多少はアレンジを入れてもいいだろうが、いくつかの作法はきちんと踏まねばならない。
精液で妻を染め上げて、この女は自分のモノだと堕落神に示す行為。
その最初の一回は俺自身の手で、サーシャを染めなければならなかった。

前述したとおり、俺の身体はもうサーシャから与えられる快感以外は受け付けない。
そこで妥協策として編み出したのが、サーシャの髪でペニスを包んでの自慰だ。
サーシャの髪の感触を感じながらなら、自慰でも発射できる。
いくら髪の毛の補助があっても酷く味気ない射精になるが、仕方が無い。

竿をつたう先走りと巻きついた髪が絡まって、手の中でにちゃにちゃと卑猥な音を立てる。
自分の髪が目の前で俺に穢される光景を、サーシャはうっとりした表情で眺めていた。
精液を求めている。サーシャの求めに早く応えたい。
一心に肉棒を扱いた。

「……サーシャ……っ」

その時を告げる。
サーシャは目を閉じ、胸の前で手を組んで祈りを捧げるポーズをとる。
かつては主神に祈りを捧げる所作だった。
今では堕落神に……否、俺に感謝を捧げ、俺の欲望を受け取る所作。
俺に祈る、俺だけの聖女に……俺は精液を捧げる。


─……びゅるっ……びゅるぅぅぅぅ………っっ
鈴口から精液が飛び出す。


びちゃっ…!
サーシャの眉間から頬にかけて粘度の高い精液が張り付く……。

びしゃりっ……!
閉じられた口にかかり、零れてはだけた乳房に落ちる……。

びゅるるぅぅぅ……っ
迸る精液が、祈るサーシャの顔を、髪を、肌を、組まれた手に降りかかり穢す。

サーシャの奉仕によるものではなく、自分の手での自慰による射精。
彼女によって導かれる射精とは勢いも快感もまるで及ばないが、それでもサーシャを穢す背徳感にはゾクゾクする。

今日最初の射精、一番搾り。
足りない勢いを手で強く扱くことで補い、サーシャに捧げることに注力する。
吐き出し終わったら、濡れた亀頭を筆に見立てて、サーシャの額を、鼻を、頬をなぞって白濁液を引き延ばす。

俺の欲望に白く染まった身を小刻みに震わせながらサーシャは口を開く。
鼻に掛かった精液が開いた口の中に落ちる……。

「あ…ん♥」

ぺろりと舌なめずりして、唇についた精液を舐めとった。
精液を浴びて軽い絶頂を迎え、歓喜の涙に潤んだ瞳で俺を見上げる。
そして口にする、第一声。


「………ありがとう……ございます……♥♥♥」


歓喜と感謝に満ちた、たまらなく淫靡で、素敵な笑顔。

味気ない射精では満たされない肉棒がビクリと跳ねる。
サーシャの唇に亀頭を近づけると、彼女は笑みを浮かべたまま、先端に親愛のキスをした。

13/06/06 19:10更新 / ドラコン田中に激似
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