連載小説
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平均的で、没個性だな。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。」
「ウヌヌヌヌ・・・。」
「・・・・・・」←気絶中
 ・・・私はスピア。デュラハンでタツキの嫁。本人は否定しているけど恥ずかしがっているだけ。・・・見た目と同じで可愛い。
「そこ・・・ハァハァ・・・どけぇ・・・。」
 ・・・今、私は愛する夫を寝取ろうとする、グールツインズと交戦中。本来、グループAの仲間だけど、愛する夫のためなら、仲間だって倒す。
「・・・次で終わり。」
 ・・・今までは手加減をしてたけど、そろそろアレを使う。グールだから死なないだろうけど、全員の意識を刈り取るには、あまりにもアレは危険だ。
「・・・タツキ・・・」
 ・・・名前を口に出しただけでついにやけてしまう。

―そろそろアレを使うべきか・・・。
 目の前にいる変態を前に冷静に考える。アレは本来戦闘に使うべきではないが、組み合わせ次第では凶悪な武器になりえる。
「ところで、シノノメクン。」
「・・・なんだ。」
 今度は何を言うつもりだ?
「きみ、私の側室にならないかね?」
 ・・・は?側室?
 側室−意味:高貴な男性の妾、または寵愛を受けた女官・女房・女中をいう。
「何処から突っ込めばいいんだ・・・?」
 私が男と理解して何故こうなる。
「フフフ、突っ込むなら私のココに・・・。」
 そういって後ろを向き、マントをめく―
「ケツガああぁぁ!?」
 ―らせるか!絶対にさせん!
「き、き、キミ!ななななな何をした!?」
 マントで見えないが、脚の付け根辺り(決して尻とは認めない。)を抑えてうずくまる、ゴレオ。・・・さすがにアレはやりすぎたか・・・?
「き、キモチいい・・・!」
 前言撤回。徹底的に叩きのめそう。
「フンヌ!・・・これは・・・飴玉?」
 そう、旅先で外国人から「コレアゲマース!」といって貰った、大粒飴(ラムネ納豆味)だ!・・・食べ物を粗末に扱うのはこれが最初で最後にしよう。
「・・・えーなになに?ラムネ納豆味・・・?」
 気がそれている今がチャンス!
「さらばだ!」
「あ、コラッ!」
 逃げる途中で黒ずくめの少女を抱えながら猛然とダッシュ。私の作戦通りならまだ、あいつらはいるはず。

―ハハハハハ!タツキ君が猛ダッシュで逃げてるよ。・・・まったく小さい頃から彼は面白い。見ていて飽きないよ。しかし、記憶と理想を読み取って化ける『ドッペルゲンガー』の姿を見たときは正直驚いた。彼の中でまだ生きていたとは。しかし、ゴレオの奴。人の男をとろうとはいい度胸をしている。どうせ奴では負けるのがオチだろう。帰ってきたら散々痛めつけてやるか。

―鉄のぶつかり合う音と、叫び声が聞こえてきた。目的地はもうすぐだ。
「待ちたまえええぇぇぇ!」
 地獄の亡者もすぐ後ろだ。
「・・・スピア!」
「・・・タツキ・・・!?」
 名前を呼んだ瞬間、スピアはこちらを見た。それを隙と見たグールツインズの一人(だれがだれだか判らん。)が飛び掛ろうとしている。
「させるか!」
 こちらは渾身の飛び蹴りで応戦。見事にクリーンヒットだ。
「後ろを頼む。」
 問いって後ろを振り向くと、
「はぁ、はぁ、やはり、キミには粛清が、はぁ、はぁ、必要だ・・・。」
 ゴレオがマントを捨て、ブリーフ一枚でいた。
「「「「・・・・・・」」」」
「いや、私の知り合いじゃないぞ。」
 何か変な誤解を受けている。
「・・・判った。」
「相手は特殊異端査問会の奴らしい。」
 デュラハンであるスピアが、負けるとは思えないが、ココは念のために伝えておこう。
「フハハハハハハ!アナタでは私に勝てない!」
 そういう奴の手には、青白い光が集まっていった。このオゾン臭・・・電撃か!
「・・・夫を守るのは嫁の仕事。」
 ・・・いや、ぶっちゃけ触りたくないから、逃げてきたんだけどね。まあ、言わないけど。
「覚悟!」
 奴は大きくムチをしならせ、スピアを打とうとした。対するスピアは、先に武器を破壊するつもりのようだ。
「・・・!」
 突如スピアは、ムチに引っ張られるようにバランスを崩した。そのままムチは鎧を凹ますほど強い衝撃を与えた。
「・・・魔道武具(マテリアウエポン)!」
 何だそれは。いきなり専門用語か?私はそこで『何!?』なんてリアクションは取れないぞ。
「そのとおり。この『電撃蛇』(エレクトロスネイル)はママンから頂いた、魔道武具なのだよ。」
『かわってやれよ。』
 あ、天使。いいところなんだ、邪魔するな。
『仲間の鎧が凹まされているのに、よく平気だな。』
 別にそういうわけじゃない。第一に私はスピアが負けるとは思っていない。
『コイツときたま信じられないことをするよな。』
「お前がいうなああぁぁ!」
 ハッ、いかんいかん。今はスピアが変態と戦っている最中だ。
「・・・本気でやる。」
「ククククク、無理はしないほうがいいですよ。」
「・・・・・・。」
 相手の言葉に何も返答せず、意識を集中させているスピア。すると、彼女の大剣が、どす黒い血の色のオーラを纏い始めた。
「・・・死神の凶刃(クレイモア)!」
 どうしよう、ただの打撃しか出来ない自分がちっぽけに思える。
『チビ!』
 黙れよ天使。私は身長167cmある。断じてチビではない。
『平均的で、没個性だな。』
 なに、何なのこいつら。そんなに人を傷つけて楽しいのか?自分がされて嫌な事は人にするなよ。・・・まあ、いつもに比べればましなほうか。
「つぎでその鎧に、穴を開けてやりましょう!」
「・・・。」
 再びムチに引っ張られるスピア。ただ、今回はバランスを崩していない。
「・・・お前の攻撃はいたって単純。」
 そういって、剣で受け止めるスピア。
「・・・単純にお前から電気を奪えばすむ。」
 自分自身にもオーラがまとわり、次の瞬間には引っ張る側と引っ張られる側が逆転していた。
「おのれ・・・こしゃくな真似を・・・!」
 そうか、やつのムチは金属に反応するのか。だからアイツがムチを振るう威力にプラスして、金属に引っ張られる威力が加わるのか。確かに、スピアのように甲冑で身を固めている奴には、少々やりにくいな。
「私は、シノノメクンの婿として負けるわけにはいかんのだああぁぁ!!」
「『『ブッ!』』」
 何だ!?今のカミングアウトは!?天使と悪魔さえびっくりだ!
「・・・許さない・・・!」
 なんか、スピアがキレている気がする。やはり仲間の貞操の危機に黙っているなど―
「・・・私と結ばれるの・・・!」
 うん、もう判っていたけどね、そう言うってことが。
「な、何と言う力だ・・・!」
 そのまま、釣りで大物がかかったかのように剣を振り上げるスピア。いきなりの力の変化に対応できず、ついにムチはゴレオの手から離れた。
「くっ・・・!」
 悔しそうに顔をゆがめるゴレオ。この勝負、スピアの勝ちだな。
「フ、フハハハハハ!見事なりデュラハン!」
 そろそろ指摘しよう。キャラが変わりすぎだ。
「覚えてろ!そして、シノノメクン。私がキミの始めての人になってやる!その純潔を守り抜くのだ!!」
『よかったな。』
 何がいいんだ天使。いや、堕天使。最悪な捨て台詞だ。それならむしろ、スピアのほうがマシ・・・でも実際、スピアはかなりの美人だ。っていかんぞ私!そんなことより、来るであろうバハムートに備えねば!

―フッおろかな人間め。スピアをなめるな。奴の『死神の凶刃』は魔道武具の中でも上位に位置する代物だ。
「みんな無事で何よりですね、ヤミナさんもタッちゃんが連れて行ってくれましたし。」
 そう、逃げたことは良いとはいえないが(いや、あの格好の人だから免疫がなかったのだろう。)、奴は自分を騙していたヤミナを引き連れて逃げたのだ。ヤミナがうらやましい・・・ではなく、いい奴だな、タツキは。
「さて・・・。」
「行くんですか?」
「ああ。」
 本当はタツキを着せ替え人形にしたかったが、また次ということもある。
「・・・すごい晴れやかな顔になってますよ?」
「そうか。」
 さて、散々追い回しておいてだが、彼の歓迎会でもしてやるか。そして、もっと彼の近くにいよう。スピアに彼、東雲龍紀が取られないように―。
11/04/26 06:16更新 / ああああ
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■作者メッセージ
文字を打っている最中に睡魔に敗れました。
そろそろ3000〜4000字を超すようにしたいですね。

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