連載小説
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二人組みの泥棒と一人のセイレーン
 満月の夜・・・・子ども達はすやすや夢の中、家の電気はすべて消え、聞こえるのは虫の鳴き声と遠くのほうでやっている野外コンサートの音楽。そして真っ暗な闇の中にうごめく、二つの影・・・・・・・・・・・・

 「おう、ボー。あれが今回盗みに入る家だ」目で合図を送る体が細長い男性彼の名はドロ。いわば盗人だ。

 「あれだね、ドロ。でもおいらお腹が減っちゃったよ〜〜」太った男が言う。この男の名前はボー。この二人の男達は、有名な盗人でもある。盗んだものは数知れない。被害総額は8000万。だが、今日、この家に入ったら人生が変わる事をいまだ彼らは知らなかった。

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               〜家の中〜
 
 「よ〜〜〜し。忍び込んだぞ・・・・てか、不用心だな。この家は窓が開きぱっなしじゃないか」窓から忍び込むドロとボー。

 「それ、僕らが言うセリフじゃないよね・・・・・」

 「まぁ、そうだな」

 「ところで、ドロこの家には人がいないんだよね」

 「そうだ。この家は3人家族なんだ。親は中華料理屋を営んでいる。子どももそこにいたからな」
 
 「そしたら、自分達の前にいる。子どもって、その人たちの娘さんなんだね」

 「そう、そう俺たちの目の前にいるのがその娘さんだ・・・・・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇええええええ!!!!!!!!!!!!!??」目の前にいたのは、目をこすりこちらを見ている。一人のセイレーン。

 「パパぁ〜・・・・・おしっこ」どうも父親と勘違いしてるみたい。

 「おい!!!ボー連れていってやれ」

 「何で。僕が」

 「いいから、行け俺は金目の物がないか物色するからよ」

 「うん・・・わかったよ」しぶしぶ子どもをトイレに連れて行くボー。

               〜30分後〜

 「遅いな・・・ボーの奴・・・ん・・・ふんっふんっ。何かいい匂い」下から、香ばしいいい匂いがしてきた。そう思い下に行くと・・・・・・・・・・・・・・

 「ボー!!!!!!お前何やってんだ!!!!」そこにいたのは春巻きとチャーハンを食っているボーの姿があった。その横にいるのは、さっきのセイレーンの子がいた。

 「あ!!!ドロ、この子がご飯くれるっていうから貰っちゃった」ニッコリと笑う、ボー。

 「はぁ・・・お前って奴は」頭を抱えるドロ。

 「おじさんたちは、誰?もしかしてドロボーさん?」

 「「えっ!!!!!!!」気まずい空気が漂う。ボーはスプーンを落とし、ドロは顔が真っ青になった。

 「え〜〜〜〜と。それは・・・・そうだ」ポンッと手を叩くドロ。

 「俺たち、パパさんに頼まれてきた。ベビーシッターなんだよ。な!!!」そう言ってボーの肩を叩くドロ。

 「そ・・・・そうだよ」

 「そうなんだ。じゃあさ、遊ぼう」喜ぶセイレーンの子

 「えーーっと。名前は」

 「レンだよ。おじさんたちは?」

 「俺様はドロだ」

 「僕は、ボーだよ」

 「それじゃあ、お絵かきしよ」子ども部屋に連れて行くレンちゃん。

 「ふふふふ〜〜〜ん♪♪♪」鼻歌混じりながら絵を描いているレンちゃん

 「おい・・・俺たち何してるんだ」クレヨンでくまさんの絵を描いているドロ。

 「何って子守りだよ。ドロ」食べ物の絵を描くボー

 「子守りって・・・俺たち盗みに入ったのに何で子守りなんか・・・ブツブツ」

 「いいじゃないドロ。この子が寝た後でもいいんだし」

 「それもそうだな」腕組みをして頷くドロ。

 「できた〜〜〜〜〜♪♪♪」レンちゃんが描きあげた一枚の絵

 「「なになに」」二人のドロボーはその絵を見た。そこに描かれていたのは、レンちゃんと多分パパ?目つき悪いな・・・・その隣にいるのはママだろ。にてるなぁ〜。

 「これがパパ、目つきは悪いけど料理が上手なんだよ。さっき、ボーおじさんが食べていたのパパが作ってくれてたの。っでこっちがママ、歌を教えてくれるの。いつも一緒に歌うんだよ」笑顔で教えてくれるレンちゃん。

 「へぇ〜〜」感心するドロ

 「あの、料理パパが作ったんだ。また食べたいな」涎をたらすボー。

 「でね、これがレン達のお店なの。パパとママはいつも夜遅くまでお仕事してるの、だから・・・・レンはいつも一人でお留守番してるの・・・・・」その顔から笑顔が消え悲しい表情になるレンちゃん。

 「でもね、平気なんだよ」走って窓の所に行くレンちゃん。そしてある場所を指差した。その方向を見たドロとボー。

 「あそこに、野外コンサートあるでしょ。あそこから流れる音楽がすきなの。だから、いつも窓開けてるの」

 (そうか、それで窓が開いていたのか・・・・・・・・)納得する二人

 「あたしも、あそこに行きたいなぁ〜」遠くのほうでやっているコンサートを見るレンちゃん。

 その姿を見た、ボーとドロはひそひそ声で話した。

 「ねぇ〜ドロあの子をあそこに連れて行かせよう」

 「でもよ、俺たち盗みに入って、なんで子どもの願いまで叶えなきゃならないんだ」

 「みたじゃないか、あの子の悲しそうな顔・・・あんな顔見たら行かせて楽しまなくちゃ」

 「そりゃ、お前そうだけど・・・・」

 「じゃ、いい?」目を潤ませながら見るボー。それに負けたのか肩を落とすドロ

 「負けたよ。どこへだろうと連れて行くか」

 「さすが!!!!」

 「さてと、レンちゃん。おじさん達とあそこにいくか?」声をかけるドロ

 「あそこに!!!!!!いいの!!?」驚くレンちゃん

 「もちろんだよ。どうする?」横からボーも声をかけた

 「行く。あっ、あと歌も聴きたい!!!!」さっきまで悲しい顔だったレンちゃんは、目を輝かせて羽ばたいていた。

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             〜野外コンサート〜
 
 陽気な音楽とともに歌を歌うメロウ。ホルスタウロスが売っている牛乳パン。アラクネの服やリャナンシーの絵描きなどさまざまの露天や展示があった。
 
 「すご〜〜〜〜い!!!!」飛び回るレンちゃん。

 「レンちゃん、そんなに飛んだら迷子になるよ」飛んでいるレンちゃんを呼ぶドロ

 「えへへ。ごめんなさい」ベロを出して謝るレンちゃん。

 「そろそろ、始まるみたいだよ。コンサート」ボーが大きな声で呼ぶ

 「そろそろ、行こうか」肩車をしてコンサート会場に行く

 「うん♪♪♪」遠くから見たら本当の親子みたいだねぇ〜。

 椅子に座り、音楽を聴く人たち。ステージには、セイレーン・マーメイド・シービショップ・スキュラ・ネイレスがいた。スキュラはドラムを叩き、ネイレスはハープを弾き、セイレーン・マーメイド・シービショップは、綺麗な歌を歌っていた。時には楽しく、時には悲しく、優雅な海をイメージした曲であった。

 「・・・・・・・・・・・・」何もいえない感情が、伝わっているのであろうレンちゃんは、口をあけたまんまその光景を見ていた。

 曲が終わり、お辞儀をするセイレーン・マーメイド・シービショップ・スキュラ・ネイレス。それが終わると、観客は総立ちした。

 「ブラボー!!!!」

 「素敵ーーー!!」

 そういいながら、拍手をする人たち。俺たちもその中にいた。幕が閉まると、座っていた人たちも立ち上がりコンサート会場を後にしていく。だが、ドロとボーそしてレンちゃんは固まったままであった。

 「すごいな」目をぱちくりするドロ

 「うん、僕も初めて」口をあけて言うボー

 「あたしも、あんな歌声で歌いたいなぁ〜〜」うっとりしているレンちゃん。

 「そろそろ、行くか・・・・」ドロはそう言うとレンちゃんを抱っこした。レンちゃんもそれに応じてドロに抱きついた。

 そして、コンサート会場から出ると、一匹のリャナンシーが近づいてきた。

 「ねぇ〜、そこの人たち。絵に思い出を写さない?」そう言われて、リャナンシーの展示を見ると、多くの絵が飾られておりその横に{笑顔を描きますと}書かれた看板があった。

 「面白そうだね。ドロやってみない」

 「リンもやりた〜い」

 「だけど、時間が・・・・・」時間を気にするドロ。
 
 「大丈夫、大丈夫これぐらいなら3分でできるよ」胸を張って言うリャナンシー

 そう言われて、椅子に座り物凄い勢いで描き始めるリャナンシー。


               〜9分後〜

 「できた〜〜〜」絵を書き上げてくれた。しかも、三枚。その絵は、リンちゃんを挟んでドロとボーが笑顔で笑っていた。

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             〜リンちゃんの家〜
 
 家に帰って来たのは、夜の1時だ。レンちゃんは、疲れたのか眠っていた。レンちゃんを、そっと布団の中に入れた。

 「寝たな」

 「うん・・・・」

 「今日・・・・なんも盗りたくないな・・・・」ボソッとつぶやくドロ

 「僕も・・・・それより盗人やるのやめない?」ボーがそうつぶやくと貰った絵を見つめながらそう言った。

 「そうだな・・・・」ドロも絵を見ていた。

 闇の中で消える二人の盗人・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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 小鳥がさえずり、暖かな日差しが振り込んできた。いつものように仕事に出る人、保育園に行く子ども達。いつもの道なのになぜか違う。

 通りの一本筋新しく出来たお店『ドロとボーのベビーシッター』と書かれたお店その中には、額縁に入った一枚の絵。ここの主人二人とセイレーンの子どもの笑顔が描かれていた。

 今日も、聞こえる音楽は二人の新しい道へを照らしつづけるのであった。
11/01/26 22:23更新 / pi-sann
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■作者メッセージ
 思い出の歌

 暗闇の中で、私を救ってくれた優しい人。一人は食いしん坊で一人は細長い。でも優しくていつでもそばにいてくれる。あの人たちといった海の中あたし達は泳いでた。泳ぎ終わったら絵描屋さんが虹の絵の具で書いてくれた私達の笑顔
 起きたらいなかった優しい人たち、でも何処かにいるね。また会えるよねそう思い続ける。また一緒に泳ごうね。

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