連載小説
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首飾りと白い帽子
 
 「せんせい、おはよう」いつものように、元気よく挨拶する園児達。

 その中には、父親のレイモンド・アービングさんの手を握っている。スライムのファルちゃん。その後ろからは、歌を歌いながら来るセイレーンのレンちゃんとちょっと目が怖い父親のアカツキ・ジュンヤさん。そして、肩車をされて来たのはシ―ビショップリオちゃん。胸に金の十字架の首飾りをしているのが夜桜かなでさん。リオちゃんのお父さんだ。

 「ねぇ〜パパ、今日もお迎え来てくれる」首を傾げるリオちゃん。

 「そうだね、お仕事が終わってから迎えに来るよ」ニッコリと微笑むかなでさん。

 「うん、待ってるね」優しく微笑むリオちゃん。微笑ましい光景だなぁ〜本当に。

 いつも通り仕事場に向かう、かなでさん。それを見て手を振るリオちゃん。

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 「でね〜パパってすごい水泳の先生なんだよ!!!」お昼ご飯を食べて、部屋の中で友達と話しているリオちゃん。

 「リオちゃんのパパってすごいんだ〜」稲荷の鏡華ちゃん。尻尾を振りながら聞いている。

 「あたしのパパは、お医者さんだよ〜〜」メロウのオリビアちゃん。聴診器を首にかけて飛び跳ねていた。

 「私のパパは、料理が得意だよ」空を飛びながら言うセイレーンのレンちゃん。

 「うん、なんたってパパは世界一の水泳のインストラクターなんだもん」満面の笑みで友達に言うリオちゃん。とても楽しそうに話す様子を見ると、よほど好きなんだろうな。

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 お迎えの時間がやって来た。いつも通り門の前で待つリオちゃん。ちょうどその時だった。向こうの方で手を振っている人影が見えた。

 「パパだ!!パパ〜〜〜」喜んでパパの所に走って行くリオちゃん。

 「いい子にしてたか?リオ」笑いながら声をかけ、リオちゃんを抱きかかえるかなでさん。その髪は少し濡れていた。今まで水泳を教えていたのだろう。

 「リリ先生、バイバ〜イ」手を振りながらリリ先生にさよならをするリオちゃんん。

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              〜海辺の家〜

 疲れたのか、すやすやとベットの上で眠るリオちゃん。その様子をドアの隙間から見ているかなでさん。そして、リビングで本を読んでいる妻のアクアさん。

 「なぁ、アクア。リオの誕生日に買うプレゼントなんだけど・・・帽子なんてどうかな?最近、暑くなってるから」

 「そうね、暑くなってきたし。帽子がいいわね」どうも、明日はリオちゃんの誕生日みたいだ。

 「それに、リオは俺に首飾りを作ってきたしな。とびっきりかわいい帽子を選ばないとな。明日は仕事が休みだし、帽子屋に行くよ」

 「そしたら私は、家でケーキを作るわ」

 夫婦はリオちゃんのために誕生日会をするみたい。リオちゃんには内緒で。当の本人は明日が自分の誕生日だと気づいてないけど・・・・・・・・・・・

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               〜次の日〜

 リオちゃんが、保育園から帰ってきて家の中を見た瞬間リオちゃんは驚いた。

 驚くのも無理がない。なにせ、家の中は多くの装飾品でいっぱいになり、看板には、〔リオちゃんお誕生日おめでとう〕と書かれた看板があった。そして、テーブルにはご馳走とケーキが置いてあった。

 「これって」

 「リオ、お誕生日おめでとう」そう言ってかなでさんに抱きかかえられたリオちゃん。

 「ごめんね、リオ。ずっと隠してて」

 「ううん、いいよママ。だってこんな素敵な誕生日してくれたもん」そう、言うとママとパパの頬にキスをした。

 リオちゃんの楽しい誕生日会が開かれた。友達の稲荷の鏡華ちゃんや、メロウのオリビアちゃん、セイレーンのレンちゃんが来てリオちゃんの誕生日を祝った。そして、プレゼントを渡す時間になった。鏡華ちゃんからはかわいい狐の置物、レンちゃんは、歌を歌い、メロウちゃんは、珊瑚のネックレス。みんなそれぞれ個性のあった。プレゼントを渡した。そして最後はリオちゃんのパパとママからだ。

 「さぁ、リオ。パパからのプレゼントとママからのプレゼントだよ」そう言って大きな箱と小さな箱を渡した。

 「ありがとう」喜んで小さな箱を開けるリオちゃん。中に入っていたのは本だ。

 「この本・・・・・ママがいつも読んでる本だよね?」そう、言ってママに言うリオちゃん

 「ええ、そうよ。その本は、私達シービショップにとって大切な本なの。大事に持っておいてね」

 「うん♪♪」

 次に開けたのは、大きな箱その中に入っていたのは、白い帽子だった。

 「これ・・・・リオがほしかった帽子」この帽子は、とても高く頼めなかった。あまりの嬉しさに喜ぶリオちゃん。

 「ありがとう、パパ!!!!」

 「喜んでくれて嬉しいよ」ぎゅっとリオちゃんを抱きしめるかなでさん。

 誕生日会が終わりみんなが家に帰り、後片付けをしてベットの上で寝ているリオちゃん。その手には、今日貰った帽子と本が握ってあった。

 次の日からリオちゃんは白い帽子をかぶって保育園に行くのでした。
11/01/26 21:56更新 / pi-sann
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■作者メッセージ
 帽子屋にて

 「う〜〜〜ん高いな。だけどリオはこれがほしそうにしてたしなぁ〜〜」

 「どうかされましたか?お客様」
 
  声をかけたのは店の主人だった。

 「この帽子を買いたいのだけど、高くて」

 「ええ、何せこの帽子はデザインもよく風通しもいいですから値が張るんですよ・・・・・・・・・誰かにプレゼントですか?」

 「娘の誕生日にね、保育園で首飾りを作ってくれてね」胸元の金の十字架が光って見えた。

 「今いくら、お持ちですか?」

 「金貨10枚なんだが・・・・足りないな」

 「わかりました、では、金貨10枚でいいですよ。それとラッピングも込みで」

 「そんな・・・・・いいんですか。金貨30枚の帽子を10枚で!!!!」

 「かまいませんよ、それにお客様はあのシービショップの娘さんのお父さんですよね。いつも挨拶をしてくれているお礼ですよ」ニッコリと微笑む主人

 「ありがとうございます」

 「いえいえ、ではこちらでよろしいですよね。少々お待ちください。綺麗にラッピングしますから」

 そして、金貨10枚を払い急いで家に戻るかなでさん。その様子を見て笑顔で見送った店の主人。

もう一つの小さな物語。

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