不可思議な夜・帰路(夏休み・後編)
病室で七人の男女がベットで横になっていた。医師であろう男がカルテを持ち七人に聞こえるように言った。
「一夜休めば大丈夫じゃろう」白衣を来た白ブチ眼鏡をかけた初老のおじいさん。貞春と真闇そして、倒れてた茜達を診断してニコニコしながら言った。
「だけど、匂いをかいで気絶する料理は始めて聞いたわ」金髪の長い髪の毛にナース帽子からぴょこっと出ている狐耳にふわふわの金色の3つの尻尾が目立つナースの稲荷の稲村。
「そらそうだ。あんな殺人料理なんて絶対見たくもないぜ」貞春が悪態つきながら言った。
「あたし達が愛情込めて作った料理がなんで殺人料理なんだよ!!」茜が貞春にとって掛かるが、何故か体が動かない。
「な・・・なんで体がうごかねぇんだ」
「ここは、病院よ。大暴れしたら困るしね」稲村が茜にどうも妖術をかけたみただ。だが、それは茜だけではない。
「か・・・体がうごかねぇ・・・」
「貞春・・」呆れる真闇。
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「しかし、何もしないっても暇だな」貞春がベットに寝転び天井を見上げながら言った。
「仕方ありませんよ。安静にしないとダメなんですから」甲が雑誌を見ながら言う。
「あらあら、暇そうね」そこには、夕食を持ってきた稲村が来ていた。食器にはきつねうどんといなり寿司があった。
「良かったら此処の病院に伝わる怪談話なんてどう?」
「怪談話?まぁ、暇つぶしにはなるな」貞春がベットから起き上がり稲村の話を聞くことにした。
「・・・というわけで、昔から伝わる病院怪談話でした」椅子に座った稲村が茜達にこの病院の怪談話をした。その話を聞いて、半分涙目になる真闇と天河。
「なんだ、良くある怪談話じゃないか」そう言ったのは成竜。
「ダーリンは怖くないの?」天河が震えながら成竜に言った。
「怖くないね。大体、お化けなんて非現実的だよ。この世に存在しないだけで人間が勝手に作り出した幻覚なんだぜ」そう言うと成竜は自分のベットに横になった。
「まぁ、信じるのも信じないもその人次第だしね。それじゃあ、あたしはこの後医師の会合があるからあたしも、大吉先生も少しの間いなくなるしね」そう言うと稲村は病室を後にした。
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病院内は真っ暗になり明かりがついているのは非常用の明かりのみだった。そんな中病室ではあるやり取りがされていた。
「貞春・・・貞春・・・お・・・きて・・おきて・・起きて」貞春が誰かに揺さぶられながら起こされた。目の前にいたのは目をウルウルにさした真闇の姿であった。
「どうしたんだ。真闇?」眠い目を擦りながらゆっくりと起きる貞春。
「え〜っと・・・その・・・」もじもじしながら言う真闇。
「??」
「あのね、一緒にトイレ来てくれない。さっきから行くのを我慢してたの・・」
「真闇・・・もしかして、怖いのか?」
「うん」こくんと頷く真闇。
「しょうがねぇな。ほら行くぞ」そう言うと貞春は真闇の手を握りそのままトイレへと連れて行くのであった。
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〜2階・男女トイレ〜
「じゃあ、すぐ終わるから待っててね」そう言うとトイレの中へと入っていく真闇。トイレは少し電気が切れかかっているのかパチパチと点滅していたのだ。
「はぁ〜。怖がりなのにあんな話を聞くから・・・」そう言っていると茜と甲がトイレへと足早に来た。
「なんだ。貞春か。おめぇも便所か?」
「違ぇよ。真闇が1人で行くのが怖いからついてきただけだよ」
「てめぇの方こそトイレ1人で行くのが怖くて彼氏連れか」皮肉っぽく言う貞春。
「いえ。怖いのは僕のほうで・・・」恥ずかしながら手を上げる甲。
「じゃあ、茜さん。すぐに戻りますから待っていてくださいね」そう言うと個室トイレに駆け込む甲。
「お前も、大変だな」貞春が甲が行ったのを確認して茜に言った。
「大変じゃねェよ!!むしろ、そういうところが可愛いんだから」体をくねくねさせながら言う茜。
「お前の思考はどうなってんのか知りてェよ」そう言う風に雑談している茜と貞春だがふと気づいた。
「なぁ・・・おかしくねぇか?」異変に気づいたのは貞春だ。
「なんだよ?いきなり」
「もう、10分以上も過ぎてんのに一向に戻ってこねェぞ」そう言うと、貞春が女子トイレを見た。
「へ・・・変なこというなよ!!でも、いくらなんでも遅いよな・・」茜は男子トイレを見る。
「真闇!!!大丈夫か」
「甲くん!!大丈夫?」二人で名前を呼ぶが返事がない。
「おい・・・まさか!!!」貞春がそう言うと急いで女子トイレへと駆け込んだがどこにも真闇の姿はなく残るのはトイレ独特の匂いだけであった。
「真闇・・・・」
「おい。貞春!!甲くんもいねぇよ!!!どうなってんだ!?」
「うるせえ!!こっちが聞きてぇよ!!」忽然と姿を消した真闇と甲。
「甲くんが消えた・・・。まさかお化けに連れさらわれた!???」
「ばか!!んなわけあるか!!でも、もしかしたら・・・いやいや。とりあえず病室に戻るぞ!!もしかしたら戻ってるかも・・・」急いで病室に戻る貞春と茜。だが、病室に戻っても甲や茜の姿はなかった。それどころか・・・・
「貞春。あーたん見かけなかった?さっきから見当たらないんだけど・・・」成竜がリンゴジュースを飲みながら言った。その瞬間、なぜか茜と貞春に殴られる成竜であった。
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こつこつと音を立てて病院内を歩く貞春と茜そして最後尾には茜と貞春にボコボコに殴られた成竜の顔があった。
「いてて・・・お前らいきなりなんで殴るんだよ」
「いや・・・なんか無性に腹がたってな」懐中電灯を持ちながら答える貞春。
「お前それでも彼氏かよ・・反吐が出る・・・ペッ」唾を吐き捨てる茜。
「おまえ等の中の俺って一体・・・」半分涙目で言う成竜。
そう言いながら、一行は一つ一つ部屋を調べていったが甲や真闇そして、あーたんの姿は見つからなかった。そして、最後に行き着いたのは赤くさびついたドアであった。その中からは・・・
『きゃああああああ』
『うわああああああああ』
と男性と女性の悲鳴が聞こえてきた。
「真闇!」
「甲くん!!」
「あーたん!!!」
三人は急いでドアを叩き名前を読んだが返事はなくただただ悲鳴が轟くばかりであった。
「しかたねぇ!!茜!!一緒にこのドアをぶち破るぞ!!」
「言わなくてもやってやるよ!!」そう言うと二人一変にドアをぶち破った。そこで自分達が目にした光景は・・・・
『大きなテレビで、アクションドラマを見ているあーたんと静かな寝息を立てて寝ている真闇と甲の姿であった』
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ドラゴンの背中(沙織)
「なんか、色々あったよな」茜が甲にしみじみに言った。
「そうですね」静かに茜の背中の後ろにやり自分に寄せる甲。
「甲くん!?」
「うぅ・・ぐす・・・ぐしゅ・・」何故か泣いている真闇。
「ほら、もう泣くなよ」ハンカチで真闇の顔を拭く貞春。
「だって・・・だってぇ〜〜。おじいちゃんと別れるのが辛くて・・・ふぇ〜〜ん」
「ほら、俺の胸で泣けよ・・・」
「うん」
「ダーリン・・・」
「あーたんどうしたの?」
「帰ったらいっぱいお仕置きね・・・」
「なんで!!???」
かくして、貞春達は自分達の家へと向かうのであった。そして、待っているのは、喫茶店のバイトと夏休みの宿題とがあることを彼らは言うまでもない。
11/11/29 01:11更新 / pi-sann
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