連載小説
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蛙の恩返し
最近、岩島 純之介(いわしま じゅんのすけ)はある悩みを抱えていた。



(なんか視線を感じるんだよなぁ…)


その悩みとは、ここ数日学校に通う道を歩いていると妙な視線を感じる事だった。


(つけられてるのか?)


岩島の自宅から通っている高校までは20分もしない所にあり、高校までの道のりは特に変わったものはなくしいて言うなら近所に大きな池があるくらいだが、その池の前を
通る時は特に視線を強く感じる。


(つけられるようなことした覚えはないんだけどなぁ…)


岩島はクラスの中で浮いた存在というわけでもなく、普通の学校生活を送ってきたが、大きな問題を起こしたこともなければ誰かから恨まれることをした覚えすらなかった。
逆にこれといった良いことをしたわけでもないので岩島からすればつけている相手が自分になんの目的があるのかわからないでいた。


(………そういえば…)




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜2週間前〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「暑い……」


その日はいつもより気温が高く、蒸し暑い日だった。
岩島としても家で涼んでいたかったのだが、親に買い物を頼まれ渋々最寄りのスーパーに買い物に行っていた。


「なんで今日に限って牛乳切らすかなぁ………ん?」


文句を言いながらスーパーでの買い物が終わり帰っている途中で道の真ん中になにか落ちているのを見つけた。


「これは…蛙?」


道の真ん中に落ちていたのは干からびた蛙だった。


「干からびてるな、しかも5匹もいるし…」


岩島はこの暑い日に可哀想にと思いながら通り過ぎ用とした時だった。


「…………………ゲ………コ……」


「え⁉生きてんのか⁉」


なんと岩島が死んだと思っていた蛙は5匹ともまだ生きていたのだ。しかし5匹とも自分では動けないほど衰弱していた。


「とりあえず家で応急処置しておくか…よいしょっと」


爬虫類が苦手もいうわけでもなかった岩島は5匹すべてを片腕で抱えるようにして持つと家に小走りで向かった。
家に戻るとすぐに物置から大きめのバケツを取り出し、その中に水と5匹の蛙を入れた。


「これで元気になってくれるといいけど…」


最初はそんな心配もしていたが、3日ほどで水の中をスイスイと泳ぐまでに回復していた。


「ある程度の面倒は見てきたけどそろそろ自然に返さないとな…」


「ゲコゲコッゲコッ」

岩島が明日池に放しておこうと思っていたのだが、その日の夜に5匹の蛙は姿を消していた。池に放すつもりではいたがいなくなるとどこか寂しいといった思いもあった。


(思えばあの後からだよな…つけられ始めたのって…)


ゲコ…


考え事をしている岩島のすぐ近くで蛙の鳴く声が聞こえたが、岩島は特に気にすることもなくいつも通りの道を通って家に向かって行った。
変化16/01/05 02:35
遭遇16/01/12 00:55
料理担当 マル16/01/18 23:49

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