連載小説
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変化
「はぁ………。」


ここ最近色々な事があった岩島はため息をよくするようになっていた。
視線の件ももちろんそうだが学校が休みなのに雨だったことも原因のひとつだった。


「なんで今日に限って雨が降るかねぇ…」


学校が休みの日はいつも近所の山道を散歩していた岩島にとって雨は散歩が出来なくなるため嫌いでしかなかった。
他と比べても岩島の住んでいる所は田舎の方だったので岩島自身も幼少期から自然に囲まれて育ったこともあり、友達と遊ぶ以外にも1人で山に行くことが多々あった。
山に生えている木々は時期によって四季折々の景色を見せてくれる。
春には満開の花が咲き、夏には緑が生い茂り、秋には山全体が黄色やオレンジ色になり、冬には葉が全て落ちてまた春になる。
それに比べて都会はビルばかりで季節が変わっても精々変わるのは看板の広告ぐらいだ。
山道を散歩することが大好きな岩島は窓の外を見て肩を落とした。


「ニュースでも見るか…」


最近のニュースは妙なものだった。
どのチャンネルをつけてもほぼ同じような内容だ。
しかもその内容が異世界との扉が開かれたとかそんな感じだった。
そういったニュースを見ても嘘臭いとしか思わない。
宇宙人が出てくる映像を見てもこれは誰かの作ったCGとしか思っていなかった。


「そういえば…」


岩島の中ではテレビでやってるニュースよりも気になる事があった。
それは両親の見た目がありえないほど変わっていたことだ。
2人とも40を過ぎて年相応の見た目だったにもかかわらず、まるで20代の若者といった感じになっていた。
母親は太り気味で背も小さかったのにくびれができていて身長も180位で顔立ちも整っていて足も長く、雑誌などでみるスーパーモデルのようだった。
父親も若干白髪があり、中肉中背で眼鏡をかけていたのに今は母親と同様背が高く白髪は一本もなく、体型も今で言う細マッチョになっていた。
母親に何があったのか聞いても「ヒ・ミ・ツ♪」と言ってウインクされるだけで何も教えてくれない。
さらに岩島を驚かせたのは両親がすごいラブラブになったことだ。
それどころか最近は夜の営みも激しい。
2階の岩島の部屋まで母親の喘ぎ声が聞こえてくるせいでろくに眠れない日々を過ごしていた。
今回の件も母親に何度か相談したが、前なら「そんなのただの思い込みよ!」とか言っていたはずなのに今は「彼女達は少し奥手なところがあるから♪」と言われた。
何で視線を自分に向けてるのが女だとわかるのか聞いても「女の勘よ♪」と言ってまたウインクされた。
クラスメートのやつも最近姉の様子がおかしいとか言っていたな。
そいつは3歳年上の姉がいるけど仲が悪い事で有名だった。
なのにそいつが言うにはいきなり可愛くなったし「今までいじわるしてごめんね」と謝られたり、挙げ句の果てには夜中に布団に潜り込んでくるらしい。
けどそいつとここ3日ほど連絡が取れない。
学校にも来てなかったし、その事を母親に言っても「あらあら、その娘も積極的ねぇ♪」と言っていたので何か知ってるのか聞いても「もうすぐわかるわよ♪」と言われてまたまたウインクされた。


「一体なにがわかるんだ?まぁ考えるのは後にして、今日は一日中寝てるとするか。」


そう言って岩島は布団に入り目を閉じて、しばらくすると寝息を立て始めた。




この時まだ岩島は気づいていなかった。
この街の住人は岩島以外の全員に変化が起きていたことに……。
16/01/05 02:35更新 / 矢車winterbeef
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■作者メッセージ
今回はこれっぽっちも蛙が出てきてません>_<
次からは結構出てくるのでご了承ください>_<

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