黒槌と鬼人
現在地-闘技場都市ソサエティ-宿屋ミルクハウス
「う…あぁ…」
朝日が嫌に眩しいと感じてタタラは目を覚ました。
そう言えば、昨日は酔ったカレンとコレットとヤってしまった事を思い出して責任を取らなければ…などと考えていた。
ベッドから身を起こして周りを見渡してカレンとコレットを見つけるが思わずギョッとする。
床には破かれたベッドのシーツなどで体中亀甲縛りで縛られたカレンが嬉しそうな顔で横たわっており、タタラの隣には、全裸のコレットが少し体を白く染めながら眠っていた。
そこまで確認してタタラは思い出した。
先にイった二人にお仕置きとして、カレンはシーツで縛って放置プレイ、コレットはその大きな胸を揉みながら徹底的に犯したのだ。
カレンが本気になればシーツくらいは千切れるだろうが、それをしなかったのはカレンがドMだからだろう。
やっちまったと思いながらとりあえず水浴びでもして体を清めようと、カレンの体を縛ってたシーツを解きながら考えていた。
窓の外を見るとまだ日が昇り始めたばかりなので、カレンもコレットも寝かせておく事した。
狭い庭にある井戸で水を汲んで自分に浴びせて体の汚れを落としてさっぱりとする。
「…そういや今日は闘技大会の決勝トーナメントだったな。カレンあんなに酒を飲んでたが二日酔いになったら戦えるのか…?」
唯でさえ酒に強くなく、あんなに派手に頭から酒を浴びてベロンベロンに酔っていたのだ…二日酔いにならない筈が無い。
部屋に戻ると、コレットもカレンもまだ眠っていた。
せっかく早起きしたのだから、散歩にでもでかけようと部屋に書置きをし、ハンマーを背負って宿を出た。
早朝だが、街にはちらほらと人影が見える。
出店を開く者やこの月に一度の人々が集まる期を狙って商人も集まってきている。
するとこの通りをもの凄い速さで走る馬車があり、タタラに向かって来る。
「退いた退いた!」
馬車が引いていた荷車には果物や恐らく酒が入ったであろう樽が積まれており、恐らく仕入れに行っていた料理屋だろう。
決勝トーナメントが終われば優勝者は盛大に飲み食いをするが、その店に選ばれればかなりの儲けが出る。
馬車を引いている男はそういった意味で興奮しているらしく、通行人をあまり気にしていなかった。
その道の先に一人の大きな風呂敷を背負ったゴブリンが居るのにも気づかないくらいに。
「チッ」
タタラは背中のハンマーをその場に降ろすと駆け出してゴブリンを抱えて跳ぶと、間一髪馬車を避けることができた。
あの速度なら魔物と言えどかなりの傷を負う事になるだろう。
ゴブリンが背負っていた風呂敷が落ちて中身が飛び散ってしまう。
「危ないぞ!気をつけろ!」
声を飛ばしてくる男を横目で睨みながら、タタラはゴブリンを庇うように倒れた。
「あうっ!?」
「…ったく、この時期は街全体が荒くなるな」
身を起こして立ち上がるとハンマーを降ろした位置まで戻り、ハンマーを肩に担ぐ。
ゴブリンは何が起こったのかをあまり理解しておらず、座り込んだままキョロキョロと周りを見渡すだけだ。
地面に落ちたゴブリンの荷物は鉱石や工芸品らしく、落下した衝撃で壷などの工芸品は砕け散ってしまっていた。
だがタタラは無事な工芸品や鉱石を拾ってゴブリンに指しだした。
「…あ、ありがと…ってあぁー!?壷とか花瓶とか割れちまったよー!」
漸く今の出来事を理解したらしく頭を抱えて騒ぎ出す。
因みに今は早朝なので近所迷惑であるのは確実だろうが。
ハイハイするように地面を這いながら壊れた工芸品を拾い上げると、声が出ないほどショックを受けている。
タタラはゴブリンに近寄って顔を覗き込むとその目には僅かに涙が浮かんでいた。
「うううぅ…!二月もかけて作ったあたいの工芸品がぁ…!」
流石に幼い子供が泣いている姿を見るのは気まずいので、タタラは頭を優しく撫でてやる。
「ふぇ…?」
「…ま、元気出せよ。なんか食い物買ってやるから」
暫く撫でてやるとゴブリンも落ち着いたようで泣き止んだ。
その後二人で荷物を纏めなおして風呂敷に包み、ゴブリンは再びそれを背中に背負った。
「あんた…ありがとな」
へへへと渇いた笑みを浮かべてタタラに礼を言うゴブリンは頭を下げるが、背中の風呂敷の重さにバランスを崩して転びそうになるが、何とか堪える。
そんな微笑ましい様子を見てタタラも思わず軽い笑みを浮かべてしまう。
「な、なに笑ってんだよ?」
少々不満そうに頬を膨らませる…そんな顔を見ても、タタラはフッと笑ってしまう。
「別に何でもないさ…じゃあな」
「あ、待った!」
立ち去ろうとするタタラの着物の裾を掴んで引き止める。
「何だ?」
「えへへ、あたいの持ってきた商品見てってくれよ!いいモン揃ってるからさ」
ゴブリンは固体によっては人里へ珍しい鉱石や工芸品などを売りに来る者も居り、彼女はそうした中の一人のようだ。
出店と出店の隙間に入り込むと、風呂敷を広げて自分の出店を用意した。
タタラも一応並べられている商品に目を通す。
並べられているのは魔力を秘めた鉱石とさっき砕けた壷等だ。
鉱石はともかく壊れた工芸品はもう売れないのではないかとも思う。
「成る程…良い鉱石だな。工芸品は壊れてて価値は無さそうだが」
「うぐ…で、でもこの工芸品は無事だったぞ!?」
ゴブリンは工芸品の一つを差し出してくる…それは手の平に収まる程度の大きさの黒い球体だった。
受け取ると思ったよりも重量があり少し驚く。
「…これは何だ?」
「それはあたいの仲間が作った爆弾の一種さ」
「ば、爆弾?」
そんな物だとは思わなかったので驚いて手から落としそうになる。
それと同時にさっきぶち撒けた時に爆発しなくてよかったと思った。
「威力は小屋とかなら木っ端微塵になるし、簡単に起爆しないようにそこのピンを抜かないと爆発しない仕組みになってるんだ」
「そりゃまた物騒だな」
慎重に広げられた風呂敷の上に置こうとするが、ゴブリンは手を前に出して静止する。
「兄ちゃん、それはさっき助けられた礼だ!是非持っていってくれ!」
「そ、そうか…ならありがたく頂いておく」
正直こんな物騒すぎる爆弾など使い道に困るのだが、人の好意を無下にするのも気が引けたタタラはその爆弾を受け取る。
「でさ、もし使い勝手が良かったら皆に宣伝してくれな?」
「…まぁ、使う機会があればな」
こんな物、そうそう使わないと思いながらも承諾してしまう。
以前までなら問答無用で断っていた筈だが…タタラも少しずつ変わってきているようだ。
後ろでまたな〜!と言って手を振っているゴブリンを視界の端に捕らえながらタタラは散歩を続ける。
少しずつ人の姿が多くなっており、賑やかになってきている。
そろそろミルクハウスに戻ろうと思い、近道をする事に。
路地の奥に入って歩くと、埃を被った木箱等を避けてミルクハウスへと向かうが、誰かの気配と話し声を感じる。
「こんな所に…人が?」
裏路地は余程の事が無ければ入ってこない。
気になったタタラは忍び足で其方に向かい、壁に背を預けて横目で路地の奥を見た。
そこには白いローブを羽織った人物が五人、黒いローブを羽織った人物が一人、話し合っていた。
「計画に支障は無いか?」
「勿論だ…この街は闘技大会のせいで浮かれ気分」
「実験生物は既に男三人、女五人、魔物九匹を喰らった…昨日の内にオーガを捕らえた様で…昼前には餌食になるだろう」
会話の内容からは詳しい事は掴めなかったが、少し妙な話だというのは察した。
こういった場合は奴等がバラけた時に一人だけ捕らえて吐かせると言うのが定石だろう。
「ではまた明日この場所に…」
黒いローブの人物がそう言うと、ローブを羽織った男達はそれぞれの方向へと散っていった。
タタラは此方に来る一人に狙いを定めて身を潜め、曲がり角を曲がる瞬間に首を掴んで頭を壁に叩きつけ、反対の腕で首を押して宙に浮かせる。
「は…がぁっ…!」
「今の会話は如何いうことだ?何が誰を喰らったって?」
冷たい声で問いかけると、男は苦しそうに呻く。
「だ、誰だ貴様ぁ…おぐっ…!?」
断ろうとするが、首への締め付けがキツクなり更に高く宙へ浮かされる。
このままでは気を失ってしまうだろう、心なしか男の顔は青くなっている。
「質問に答えろ」
「う…こ、この街に我々の生み出した…実験生物を下水道に放ったんだ…人や、魔物の肉を食って育つ…化物を…!」
観念したのか途切れ途切れに吐いていく。
その言葉に眉を顰めたタタラは男の鎧に教団のマークがあるのを見つけた。
「お前…教団か…!?」
「…そ、うだ…!」
タタラの中にあるドス黒い、教団に対する憎しみが湧き上がる。
思わず術式の力を発動して石壁に叩きつける。
「があっ!?」
石壁は砕け、教団の男は後頭部から血を流すが、タタラは更にその腹に蹴りを入れた。
「ぐぅ…!」
「お前等はその生物の居場所を把握しているんだろう?何処に居る?」
先ほどとは比べ物にならない程冷徹に、今度は顔を足で踏み潰しながら問いかける。
瞳は光を失いその行動には一切の容赦が無い。
「あが…と、闘技場近くの下水道に居る筈だ…!そこに巣を張っている…」
「…フン」
最後に首を思い切り踏み、ゴキッとやな音が聞こえると、教団の男はそれからピクリとも動かなくなった。
「教団の好きにはさせない…その生物、俺が殺してやるよ」
タタラは未だ冷徹なその目で、近くの下水道の入り口を目指した。
現在地-ソサエティ-地下下水道
コッコッコとタタラの足音だけが地下に響く。
薄暗く汚く臭い。
そんな場所だったが、今の此処はそれ以外にもジメっとした嫌な感覚が纏わり付いている気がして、タタラは警戒しながら先へ進む。
此処は狭く、タタラの武器である巨大ハンマーは十分に力を発揮できない。
そういった意味でも、警戒しなくてはならない。
そろそろ闘技場の地下に近づいてきた…より一層警戒しながら先に進む。
瞬間、ゾッとするようなプレッシャーを感じる。
「っ!?」
後ろを振り返ると、曲がり角の先に謎の巨大な影があった。
十分な広さが無いのでハンマーを振り回す事は出来ないが格闘術も多少は使えたので、拳を構える。
曲がり角から出てきたのは、全身焦げ茶色の超巨大なワームだった。
口からは無数の触手を出しながら此方に近づいてくる。
「なんだコイツは…見たことも無い生物…これが化物か」
見たことのない生命体に流石のタタラもたじろぐが、すぐに拳を構えて戦闘態勢に入る。
「キョァアアアアアアアア!」
「チッ…!」
不気味な叫びと共にタタラへと飛び掛ってくる。
見た目に反してその動きは中々機敏だ。
その場から跳んで転がると、ワームは石造りの壁を砕いて突っ込んだ。
「コイツ…今俺の事喰う気だったな」
こんなワームの餌はゴメンだとばかりに術式の力を発動して胴体を殴りつける。
まるで堅いコンクリートでも殴ったような感触だが、術式の力のお陰で押し切り吹き飛ばす。
「ギャアアアアアアアアアア!?」
壁を完全に砕いて向こう側の下水道に出る。
それを追うとタタラは奇妙な光景に言葉を失う。
下水道の壁や床から触手が生えている…己の意思を持ってじゅるじゅると水音を立てて蠢いている。
ワームの口から見える触手に似ているので、こいつが原因というのはタタラも理解した。
こちら側の下水道はさっきの場所より天井が高かったので、タタラはハンマーを背中から外して構える。
「シャアアアアアア!」
ワームは自分の口から出ている触手を伸ばしてタタラに襲い掛かる。
「はああああああああああああっ!」
振り上げたハンマーを地面に振り下ろすと、強力な衝撃波が辺りに発生して触手を弾き飛ばした。
その衝撃で潰れたように吹き飛ぶ触手。
「キィイイイイイイイ!?」
感覚が共有されているのか、ワームは苦しそうに叫び声を上げる。
その隙にタタラは懐に潜り込んでハンマーでワームの横っ腹を殴りつけた。
凄まじい衝撃がワームを貫き、壁に激突する。
オマケとばかりに、タタラはカレンと戦った時に使った技である前方に衝撃波を飛ばす技を繰り出す。
ワームはそれを受けると壁にめり込ませていた体が押し込まれ、壁を砕いて更に向こう側に行ってしまった。
「一々追いかけなきゃいけないのが面倒だな」
そうは言うもののワームを追って砕けた壁の向こう側に出る。
「これは…!?」
そこで見たものは、タタラにとっても予想もつかなかった物だった。
現在地-ソサエティ-宿屋ミルクハウス
カレンが目を覚ますと、愛しいタタラの姿は無く、散歩に行ってくるという書置きだけだった。
昨日のプレイで、自分とはあまりしてくれなかったという不満感と共にまたやって欲しいという被虐感。
矛盾した二つの感覚に戸惑いながらもカレンはコレットが用意してくれた朝食を口に運んでいく。
それにしても昨夜あんなにも酒を飲んだのに頭痛がしないのは嬉しい事だ。
「おーいコレット!もうすぐアタシは試合があるから出かけるけど如何する?」
もしかしたらタタラが帰ってくるまで此処に残ると言うかも知れないので一応声をかけておく。
「ん〜…タタラさんも時間になれば闘技場に来てくれるでしょうし、私はかれんさんと一緒に行く事にします」
「そっか、ならもう行くよ」
二人は街を歩いて行くと、昨日よりも更に盛り上がっている街並みに目を奪われていた。
コレットはこの街で育ったので落ち着いているが、カレンは珍しそうにあっちこっちをキョロキョロ見渡していて忙しそうだ。
「それにしてもこの街は賑やかだな…お、向こうでゴブリンが出店開いてる」
風呂敷の上に商品を並べているゴブリンを見つけると、興味を引かれたのかカレンはそっちに駆け寄る。
「おっ、いらっしゃい!」
「おう」
愛想良くゴブリンは笑顔を浮かべると、商品の紹介を始めた。
「あたい達ゴブリンの伝統工芸品さ!ちょっと壷とかは壊れちゃったけど…色々あるから見て行ってくれー!」
その中でカレンが惹かれたのは魔力を秘めた鉱石だった。
これがあればタタラは新しい武器を楽しそうに作ってくれるだろうか…と。
こんな時にまでタタラの事を考えてしまうカレンは恐らく末期だろう。
しかし後ろから眺めていたコレットは妙な物を見つける。
「あら?これは何ですか?」
指差したのは手に収まるサイズのボールのような物だがピンのような物が付いており、パッと見何なのかは分からない。
「これはあたい等ゴブリン製の手投げ爆弾さ!木造の小屋くらいだったら楽勝でぶっ飛ばせるぜ!」
「ず、随分物騒な物ですね…」
思わず後ずさりするコレットだが、ゴブリンはそんな行動を見て先ほどの人物を思い出す。
「そんなに物騒かな…刺青の兄ちゃんも引いてたし…」
「「刺青の兄ちゃん?」」
心当たりがある二人は声をそろえて首を傾げると、ゴブリンも不思議そうにしている。
「あれ?もしかして知り合いか何か?あの兄ちゃん有名なの?」
確かにその筋の話ならば有名人だろう。
かつてはブラックハンマーと呼ばれ、高名な鍛冶師だったのだ。
更には外見だけもあれだけ目立つ…刺青の男と言えば恐らくタタラだろう。
「もしかしてそれってジパング風の服を着た全身に刺青を入れた男の人ですか?」
「ああ、でっかいハンマーも持ってたぞ」
同じ店に寄ったんだと思うと、カレンは妙に嬉しくなりニヤけてしまう。
「んで向こう側の裏路地に入って行ったよ…そういやあの路地から教団の騎士の死体が転がり出てきたって噂だけど…」
「えっ!?」
続けて紡がれた言葉に思わず声を上げてしまうコレット。
その声にカレンもゴブリンも反応している。
「どうしたんだコレット?」
「…実はタタラさん、教団の人を見ると過去の事から殺さないと気が済まないらしいんです…以前も追っ手の人を何人か…もしかしたらタタラさんの身に何かあったのかも…」
まさかの言葉に驚くカレンだが反応があったのは後者の方。
タタラ命なカレンはすぐにその路地に向かって駆け出すと、スンスンと匂いを嗅ぐ。
薄くだがまだ匂いが残っている…意外とカレンは鼻も効くらしい。
後ろから追いかけてきたコレットが何か言っているが関係ない…僅かに匂うタタラの匂いを追って走り出した。
現在地-ソサエティ-闘技場地下、旧牢獄
ソサエティにそびえる巨大な建築物であり、目玉であもある闘技場。
そこはかつては罪人を閉じ込め、貴族の道楽の為に罪人同士を戦わせる場所だった。
その為、地下には広い牢獄がある。
しかし先ほどの話は魔王が代替わりするそれ以前の話なので遥か昔にこの場所は封鎖されて誰も近寄らない場所となり、もう数百年もの間誰も入ったことが無く、正に隠れ家としてはうってつけの場所だった。
この場所はついこの間までは唯の埃っぽい部屋だったが、ある生物が住み着いてから壁も床も触手まみれ部屋となってしまった。
その部屋の隅で、緑色の肌をした魔物娘であるオーガが、触手に囚われて陵辱されていた。
「あひぃ!ひぐぅ!も、もうらめっ!らめらのぉっ!」
目尻に涙を浮かべ、舌を突き出して叫び声を出す彼女の名はリン。
以前タタラ達と諍いを起こしたリンだった。
激しいセックスや逆レイプを得意とするオーガである彼女も、丸一晩触手に犯され続けては体力が尽きかけている。
このままではイかされ続けて殺されてしまう。
彼女は見ていたのだ。
先に捕まっていた魔物や人間がこの触手に犯され続けて、あの巨大で気味の悪いワームに丸呑みにされてしまうのを。
あの光景を見せられたリンは恐怖を覚え、必死に抵抗を試みたが数多くの触手がそれを押さえつけた。
太いペニスのような触手がマンコに入り犯されてもう二時間以上は犯されている。
「ひぎゅうううっ!んひィ!またぁ…またイっちゃうのぉ!
じゅぽじゅぽと触手が激しく上下されて、空中に吊らされ、M字開脚の体勢にさせられているリンのマンコを激しく犯す。
幸い、精子のような物は出ないので孕む事は無いだろうが、ある意味生殺しだ。
「いやぁああ…おかされへぇ…イかされへぇ…たべられひゃうのぉぉぉ…!」
最早リンにはオーガとしての力強さは無く、唯イかされるメスの姿だった。
だが突如触手の動きが止まる。
不思議に思うリンだったが、とりあえず助かったと思って荒い呼吸を整えるが、次の瞬間向かいの壁にズゥンという音と共に亀裂が入る。
更に数秒後、今度は壁を砕いてあのワームが飛び込んできた。
何事かと驚くリンだが、煙と埃の奥に人影を確認する。
「一々追いかけなきゃいけないのが面倒だな」
そう呟いて入っていたのは、昨日自分と揉めた男だと思い出すのにそう時間はかからなかった。
お前なんかに助けられたくないと思う反面、助けてくれと願う自分も居る。
急に触手の動きが止まり、生殺し状態になり、火照った体と思考でそう思った。
一方タタラはハンマーを担ぎながらこの部屋の様子に驚いていた。
流石に部屋全体が触手まみれになっているとは思わなかったようだ。
「此処がワームの巣か…大方捕らえた獲物を此処に保存しておいて腹が減ったら食うって事か…悪趣味だな」
ハンマーを床に叩きつけて衝撃波を発生。
周囲の触手を吹き飛ばすと、ワームがタタラを睨みつける。
実際は目など無いのだが、顔がタタラに向く。
「ギュギョオオオオオオオオオオ!」
気味の悪い声と共に突進してきたと思いきや口から半透明な液体をベェッと吐き出した。
妙な匂いだったので咄嗟に避ける。
だが撥ねた液体がズボンの裾にかかると、ジュウウウと音を立てて溶けてしまった。
「なっ…!?消化液の嘔吐か何かか…?」
厄介さを感じながらもハンマーを構えなおし地面に叩きつける。
衝撃波を生み、周りの触手を薙ぎ払うと同時に余波がワームに襲い掛かる。
「グゥゥゥ…ギョアアアアアアアアアアアア!」
耐えるように呻いた後、多量の消化液を吐き出したので、タタラはその場から走り出して消化液を避ける。
しかし突然足に床から生えていた触手が絡み付いて動きが止まる。
「チィ…」
「ギィイイイイイイイイイ!」
動きが止まったのをみて、ワームはその巨大な口を開けてタタラを飲み込もうとしている。
術式の力を使って足に力を込めて無理矢理触手を引き千切り力尽くでその場から離れると、ワームは地面を砕いて止まった。
この場所は広くてタタラはハンマーを思い切り振り回せるが、周りは触手だらけ…ワームの巣だけあってワームに有利なフィールドだ。
周りから触手が伸びてくるのを見てハンマーを壁に叩き付けると衝撃波を発生させる。
触手は簡単に潰れて吹き飛んでいく。
「ったく…このままじゃキリが無いな」
いくら術式の力があるとは言え、超重量のハンマーを無限に振り回せる訳ではない。
体力が残っている内に決着をつけたいと思うが、中々ワームも頑丈だ。
「くっ…!また来やがったか」
触手は四方八方から伸びてきてタタラを拘束しようとするが、ハンマーの衝撃波で潰れて吹き飛んでいくが、次第にタタラの息が切れていく。
「ハァ…ハァ…!多少のリスクは止むを得ないか!」
残っている体力の残量を考えて、ハンマーを振り上げてワームに向かって走り出す。
何本か触手がタタラの体に絡み付くが、無理矢理走って引き千切ると、ワームの頭を目掛けてハンマーを振り下ろす。
だが振り下ろす直前で、タタラとワームの間に、触手で拘束されたオーガが引きずり出された。
「なっ…!?」
慌ててハンマーの軌道を逸らすが、そのせいで空振りしてしまい体勢を大きく崩した所をワームの尾がタタラの脇腹を叩きつけて吹き飛ばす。
「ぐはっ!」
石壁に激突して止まるが結構なダメージを受けたようだが術式による強化のお陰で傷そのものはあまり無かった。
だが床に倒れている隙に壁と床の触手で手足を拘束されて壁に大の字に磔にされる。
「ぐ…うおぉおおおおおおおおおおおおお!」
全身に力を込めて無理矢理脱出しようとするが、かなりの数の触手に絡み付かれているので、中々抜け出す事が出来ない。
「く…駄目か…!」
ワームは漸く大人しくなった得物に対し、口を大きく広げて喰らおうとしている。
「俺が…」
だがタタラはまだ諦めてはいなかった。
寧ろその目にはまだ策があるという光が宿っていた。
「俺が教団の作った生物に…テメェなんかに負ける訳にいくかぁ!」
全ての力を右腕に込めると、ブチブチッと触手を引き千切ると懐からある物を取り出す。
それは先ほどゴブリンから貰った手投げ爆弾。
親指で起用にピンを外すとその大きい口の中に投げつける。
避ける暇も無く爆弾を飲み込むが、暫くしても何も起こらない。
「…まさか…不発か?」
「ギョォオオオ?」
何も起こらないこの状況にタタラもワームも首を捻っている。
「こんの…!」
左腕にも力を込めて引き千切る。
だがワームも生きのいい獲物を逃さないと大きな口を開けて飲み込もうとするが、タタラも上口と下口を掴むと食われるのを何とか防ぐ。
そのせいで口の中が見えるのだが、そこは無数のヒダのような物が蠢いておりジュルジュルと気味の悪い音を立てている。
この中に入って溶かされていくなんてゾッとしない。
「ぬぅおおおおおおおおおおおおおおっ!」
食われてたまるかと両腕でワームを押し返していくが、ワームも負けずと押し込んでいく。
暫く押しつ押されつが続いたが、タタラは足の触手も振り払い、ワームに蹴りを入れると僅かにワームは怯んだ。
その隙に壁から抜け出すとオーガの元へと走って、彼女を拘束している触手を外していき、脇に抱える。
体力は少ないが意識はあるようだから大丈夫だろう。
そう判断してワームに向き直る。
「グォオオオオオオオオオオオオオオ!」
叫び声と共にタタラ目掛けて飛び掛ってきたワームに、何時でも避けられるように身構えるタタラ。
しかし次の瞬間、ワームの胴体がボゴォン!と音を立てて吹き飛んだ。
「…さっきの爆弾か?」
「ギィイイイイイイイイイイイ!?」
口から煙を出しながらも苦しみのた打ち回っているワームだが、腹が完全に裂かれて体内は黒ずんでいる…もう駄目だろう。
まさかの時間を置いての爆発に流石のタタラも呆然とするが、ワームが完全に息絶えると、オーガをゆっくりと降ろしてワームを調べる。
「…旧時代の魔物ですらこんな奴は居なかった…と言う訳は新しい奴等の開発物か…?」
親玉のワームが息絶えたからか周りの触手も力をなくして枯れていっている…このまま全部消えていくだろう。
「…うっ」
オーガが呻いたので少しは回復したのかと近寄る。
だがこの時タタラは忘れていた。
彼女は今の今まで触手に犯されていて生殺し状態だったと言う事と、オーガは総じて高い回復能力を持っているという事を。
気がつけばタタラはリンに押し倒されていた。
「なっ!?お、おい!?」
突然の出来事に驚くがリンは止まらずズボンを下げる。
勿論だが先ほどまで奇妙なワームと戦闘を行っていたのでペニスは普通の状態…完全に萎えている。
抵抗しようとするが組み敷かれて上手く動けない…勿論術式の力を使えば抜け出せるのだが今は驚きでそこまで頭が回っていなかった。
「ハァハァ…頂戴よ…!俺のいやらしいおまんこに…アンタの精液頂戴よ…!」
リンはマンコを見せ付け、自分の指で弄っている。
愛液で濡れたマンコはくちゅくちゅと淫らな音を立ててしまう。
勿論男ならば良い女の全裸に軽いオナニー姿を見せられて興奮しない訳が無く、タタラのペニスもすぐに臨戦態勢だ。
「じゃ、じゃあ…ヤろうか…」
にゅぷ…と愛液塗れのマンコにタタラのペニスが挿入れられる。
リンは体に電流が奔ったかのように全身を震わせる。
ワームに犯されていたときにイきまくったから敏感になっているのだろうか?
ならばそこを責めない訳にはいくまいとタタラは僅かに口の端を吊り上げると腰を動かした。
「んっ…!くぅううっ!ああああっ!」
まだゆっくりとしか動かしていないのにこの声だ。
唯下水道なので声が良く響いてしまうので少し耳に来ると思ったが、なら口を塞ごうとリンの頭を掴んで顔に引き寄せると唇を触れ合わせる。
「んくぅ!?…んふ、くちゅ、ちゅぴ、んふ、ちゅぱ…」
最初は驚いたような声を出したが次第に落ち着きタタラと舌を絡ませる。
その間にも腰を動かすと、舌がビクンビクンと反応しているのがよく分かる。
じゅぷ、じょぼ、にゅぷ…と段々と腰の動きを早めていくと更にリンは感じだす。
そして締め付けがキツクなると、タタラが精液をぶちまけると同時にリンもイってしまう。
「んぁ…!これだぁ…!ザーメン、おれの子宮に注がれてるぅ…!」
すっかり頬を染めてトロンとうっとりした表情になって余韻を味わっているリンだが、タタラはリンを押し上げてマンコからペニスを抜く。
「え…?」
もう終わりかとでも言いたそうな顔だがタタラは膝立ちになるとリンをうつ伏せにさせるが、お尻だけ高く上げさせる。
「な、なんだこの体勢…?」
リンが抗議をする前に、タタラはペニスで彼女を再び貫いた。
「んひぃ!?」
一番奥までゴッゴッと何度も何度も叩きつけていく。
リンも触手に犯されていた時の様に舌を突き出して目尻に涙を浮かべながらも嬉しそうな顔をしている。
「あひぃ♪!イグゥううう♪!?イっちゃうぅううう♪!?あぁあっ…あぁあああああ〜♪!?」
タタラの射精と共に再びイってしまうリンだが、休む暇を与えずにタタラは更に腰を振る。
「イイイイイッ♪!?しゅごすぎるぅうう♪!イってるのにまたイっちゃうぅうう♪!イグのきもぢいぃいいいいいいい♪!」
ズンッズンッと突かれる度に喘ぎ声を漏らすリンにはオーガらしい仕草は微塵も見られず、タタラが最後に思いっきり突くと、三度目の射精と共にイってしまった。
すると下水道を走ってくる足音が二つ…。
「今の声はこっちか!?」
「はい!此処ですね!」
そう言ってこの旧牢獄に入り込んで来たのはカレンとコレット。
だが勿論この光景を見た二人は目をパチクリさせて首を捻る。
「え、え〜とタタラさん…?此処で何を…?」
「あ…その…其処に居るワームと戦ってたんだが倒した後捕まってたコイツが押し倒してきてな…その、勢いでヤっちまった…」
若干気まずそうにするが、何とか真実を伝える。
カレンは顔を伏せてプルプルと体を震わせている。
「か、カレン?」
少し気まずかったのか、カレンに声をかけると、カレンは顔を上げた。
その瞳はランランと輝いており、頬を赤く染めている。
「タタラ!こんな光景見せられて我慢しろってのが無理だ!アタシも混ぜろー!」
うがーっ!とカレンがタタラに飛び掛りヤる準備をしていると、コレットも段々と興奮していき、最終的には4Pになったのは言うまでも無い。
現在地-ソサエティ南部の森-鍛冶小屋
あの事件から一週間が経った…。
ワームは自警団が引き取り調べる事になり、タタラには名誉勲章が授与されたが、本人は目立つのが嫌だったのか、カレンを通して間接的に授与された。
そして今、鍛冶小屋の前は異様な雰囲気に包まれていた。
「…」
「…」
「…」
カーンカーンと小屋からは鉄を打つ音が聞こえるが、周りが静かな分余計に良く聞こえる。
この空気の原因はカレンとリンの二人だ。
以前タタラと揉めたリンに良いイメージのなかったカレンは一方的にリンを敵視しており、リンも馴れ合う気は無いのか二人は仲が悪い。
そして気の弱いコレットはそれを止める事も出来ずに渇いた笑いを浮かべる事しか出来ない。
鉄を打つ音が止まり、更に暫くすると、中から一つの包みを持ったタタラが出てきた。
「お、タタラ…出来たのか?」
心なしかリンは嬉しそうにタタラに駆け寄って包みを見る。
「ああ…お前の武器…ナックルの雷法拳。雷の力を秘めていて殴った相手に電撃を流し込む特殊な鉱石を使用した」
包みを取ると、そこには拳に嵌めて使うタイプの武器があり、竜の甲殻のように繋がれた黒い鉄に、甲の部分には黄色い石が嵌められており稲妻のエンブレムも刻まれている。
これはタタラがリンとヤってしまった責任として作った武器だ。
本来ならば責任と取るべき所だがワームから助けてくれた事と最初は自分から襲ってしまったのでこれで良いという事になったのだ。
「チェ…タタラもそんな奴に態々武器なんて作らなくても…」
リンが気に入らないカレンがそう呟くと、リンは素早く反応する。
「あぁ?戦るのかこの雌蜥蜴!」
「いいぞ別に!タタラが作ってくれた封炎剣の錆にしてやるよ!」
「フン、上等だ!俺の雷法拳の初の獲物にしてやる!」
二人は武器を構えて唸り合う。
「あぁ〜!二人とも駄目ですよ〜!」
コレットが止めようとするが二人は聞く耳を持たない。
「タタラが何人女を囲おうが文句は無いけどな…こいつだけは認めないぞ!」
「はっ!惚れた男に近寄って何が悪いんだ!」
リンはタタラに惚れたと言って今までの事を謝罪したが意地っ張りなカレンはそれを認めずにこうしてしばしば対立する。
だが戦っている二人は結構楽しそうだ。
「良いんですかタタラさん?」
心配そうに尋ねるコレットだがこんな事で心配していたら持たないだろう、タタラも半ば諦めていた。
「ま、喧嘩するほど仲が良いって言葉があるし…大丈夫だろう。それより一週間鍛冶に使って少し溜まってるんだがコレット…相手してくれないか?」
その言葉にコレットはポッと頬を染めると深く頷いた。
「「あっ!こらコレット!抜け駆けするなー!」」
そんな言葉を背に受けながら、やっぱり似たもの同士だなと思うタタラだった。
因みに、闘技大会はカレンとリンは時間に間に合わずに試合放棄とみなされてしまった。
優勝者はとあるリザードマンだそうな。
「う…あぁ…」
朝日が嫌に眩しいと感じてタタラは目を覚ました。
そう言えば、昨日は酔ったカレンとコレットとヤってしまった事を思い出して責任を取らなければ…などと考えていた。
ベッドから身を起こして周りを見渡してカレンとコレットを見つけるが思わずギョッとする。
床には破かれたベッドのシーツなどで体中亀甲縛りで縛られたカレンが嬉しそうな顔で横たわっており、タタラの隣には、全裸のコレットが少し体を白く染めながら眠っていた。
そこまで確認してタタラは思い出した。
先にイった二人にお仕置きとして、カレンはシーツで縛って放置プレイ、コレットはその大きな胸を揉みながら徹底的に犯したのだ。
カレンが本気になればシーツくらいは千切れるだろうが、それをしなかったのはカレンがドMだからだろう。
やっちまったと思いながらとりあえず水浴びでもして体を清めようと、カレンの体を縛ってたシーツを解きながら考えていた。
窓の外を見るとまだ日が昇り始めたばかりなので、カレンもコレットも寝かせておく事した。
狭い庭にある井戸で水を汲んで自分に浴びせて体の汚れを落としてさっぱりとする。
「…そういや今日は闘技大会の決勝トーナメントだったな。カレンあんなに酒を飲んでたが二日酔いになったら戦えるのか…?」
唯でさえ酒に強くなく、あんなに派手に頭から酒を浴びてベロンベロンに酔っていたのだ…二日酔いにならない筈が無い。
部屋に戻ると、コレットもカレンもまだ眠っていた。
せっかく早起きしたのだから、散歩にでもでかけようと部屋に書置きをし、ハンマーを背負って宿を出た。
早朝だが、街にはちらほらと人影が見える。
出店を開く者やこの月に一度の人々が集まる期を狙って商人も集まってきている。
するとこの通りをもの凄い速さで走る馬車があり、タタラに向かって来る。
「退いた退いた!」
馬車が引いていた荷車には果物や恐らく酒が入ったであろう樽が積まれており、恐らく仕入れに行っていた料理屋だろう。
決勝トーナメントが終われば優勝者は盛大に飲み食いをするが、その店に選ばれればかなりの儲けが出る。
馬車を引いている男はそういった意味で興奮しているらしく、通行人をあまり気にしていなかった。
その道の先に一人の大きな風呂敷を背負ったゴブリンが居るのにも気づかないくらいに。
「チッ」
タタラは背中のハンマーをその場に降ろすと駆け出してゴブリンを抱えて跳ぶと、間一髪馬車を避けることができた。
あの速度なら魔物と言えどかなりの傷を負う事になるだろう。
ゴブリンが背負っていた風呂敷が落ちて中身が飛び散ってしまう。
「危ないぞ!気をつけろ!」
声を飛ばしてくる男を横目で睨みながら、タタラはゴブリンを庇うように倒れた。
「あうっ!?」
「…ったく、この時期は街全体が荒くなるな」
身を起こして立ち上がるとハンマーを降ろした位置まで戻り、ハンマーを肩に担ぐ。
ゴブリンは何が起こったのかをあまり理解しておらず、座り込んだままキョロキョロと周りを見渡すだけだ。
地面に落ちたゴブリンの荷物は鉱石や工芸品らしく、落下した衝撃で壷などの工芸品は砕け散ってしまっていた。
だがタタラは無事な工芸品や鉱石を拾ってゴブリンに指しだした。
「…あ、ありがと…ってあぁー!?壷とか花瓶とか割れちまったよー!」
漸く今の出来事を理解したらしく頭を抱えて騒ぎ出す。
因みに今は早朝なので近所迷惑であるのは確実だろうが。
ハイハイするように地面を這いながら壊れた工芸品を拾い上げると、声が出ないほどショックを受けている。
タタラはゴブリンに近寄って顔を覗き込むとその目には僅かに涙が浮かんでいた。
「うううぅ…!二月もかけて作ったあたいの工芸品がぁ…!」
流石に幼い子供が泣いている姿を見るのは気まずいので、タタラは頭を優しく撫でてやる。
「ふぇ…?」
「…ま、元気出せよ。なんか食い物買ってやるから」
暫く撫でてやるとゴブリンも落ち着いたようで泣き止んだ。
その後二人で荷物を纏めなおして風呂敷に包み、ゴブリンは再びそれを背中に背負った。
「あんた…ありがとな」
へへへと渇いた笑みを浮かべてタタラに礼を言うゴブリンは頭を下げるが、背中の風呂敷の重さにバランスを崩して転びそうになるが、何とか堪える。
そんな微笑ましい様子を見てタタラも思わず軽い笑みを浮かべてしまう。
「な、なに笑ってんだよ?」
少々不満そうに頬を膨らませる…そんな顔を見ても、タタラはフッと笑ってしまう。
「別に何でもないさ…じゃあな」
「あ、待った!」
立ち去ろうとするタタラの着物の裾を掴んで引き止める。
「何だ?」
「えへへ、あたいの持ってきた商品見てってくれよ!いいモン揃ってるからさ」
ゴブリンは固体によっては人里へ珍しい鉱石や工芸品などを売りに来る者も居り、彼女はそうした中の一人のようだ。
出店と出店の隙間に入り込むと、風呂敷を広げて自分の出店を用意した。
タタラも一応並べられている商品に目を通す。
並べられているのは魔力を秘めた鉱石とさっき砕けた壷等だ。
鉱石はともかく壊れた工芸品はもう売れないのではないかとも思う。
「成る程…良い鉱石だな。工芸品は壊れてて価値は無さそうだが」
「うぐ…で、でもこの工芸品は無事だったぞ!?」
ゴブリンは工芸品の一つを差し出してくる…それは手の平に収まる程度の大きさの黒い球体だった。
受け取ると思ったよりも重量があり少し驚く。
「…これは何だ?」
「それはあたいの仲間が作った爆弾の一種さ」
「ば、爆弾?」
そんな物だとは思わなかったので驚いて手から落としそうになる。
それと同時にさっきぶち撒けた時に爆発しなくてよかったと思った。
「威力は小屋とかなら木っ端微塵になるし、簡単に起爆しないようにそこのピンを抜かないと爆発しない仕組みになってるんだ」
「そりゃまた物騒だな」
慎重に広げられた風呂敷の上に置こうとするが、ゴブリンは手を前に出して静止する。
「兄ちゃん、それはさっき助けられた礼だ!是非持っていってくれ!」
「そ、そうか…ならありがたく頂いておく」
正直こんな物騒すぎる爆弾など使い道に困るのだが、人の好意を無下にするのも気が引けたタタラはその爆弾を受け取る。
「でさ、もし使い勝手が良かったら皆に宣伝してくれな?」
「…まぁ、使う機会があればな」
こんな物、そうそう使わないと思いながらも承諾してしまう。
以前までなら問答無用で断っていた筈だが…タタラも少しずつ変わってきているようだ。
後ろでまたな〜!と言って手を振っているゴブリンを視界の端に捕らえながらタタラは散歩を続ける。
少しずつ人の姿が多くなっており、賑やかになってきている。
そろそろミルクハウスに戻ろうと思い、近道をする事に。
路地の奥に入って歩くと、埃を被った木箱等を避けてミルクハウスへと向かうが、誰かの気配と話し声を感じる。
「こんな所に…人が?」
裏路地は余程の事が無ければ入ってこない。
気になったタタラは忍び足で其方に向かい、壁に背を預けて横目で路地の奥を見た。
そこには白いローブを羽織った人物が五人、黒いローブを羽織った人物が一人、話し合っていた。
「計画に支障は無いか?」
「勿論だ…この街は闘技大会のせいで浮かれ気分」
「実験生物は既に男三人、女五人、魔物九匹を喰らった…昨日の内にオーガを捕らえた様で…昼前には餌食になるだろう」
会話の内容からは詳しい事は掴めなかったが、少し妙な話だというのは察した。
こういった場合は奴等がバラけた時に一人だけ捕らえて吐かせると言うのが定石だろう。
「ではまた明日この場所に…」
黒いローブの人物がそう言うと、ローブを羽織った男達はそれぞれの方向へと散っていった。
タタラは此方に来る一人に狙いを定めて身を潜め、曲がり角を曲がる瞬間に首を掴んで頭を壁に叩きつけ、反対の腕で首を押して宙に浮かせる。
「は…がぁっ…!」
「今の会話は如何いうことだ?何が誰を喰らったって?」
冷たい声で問いかけると、男は苦しそうに呻く。
「だ、誰だ貴様ぁ…おぐっ…!?」
断ろうとするが、首への締め付けがキツクなり更に高く宙へ浮かされる。
このままでは気を失ってしまうだろう、心なしか男の顔は青くなっている。
「質問に答えろ」
「う…こ、この街に我々の生み出した…実験生物を下水道に放ったんだ…人や、魔物の肉を食って育つ…化物を…!」
観念したのか途切れ途切れに吐いていく。
その言葉に眉を顰めたタタラは男の鎧に教団のマークがあるのを見つけた。
「お前…教団か…!?」
「…そ、うだ…!」
タタラの中にあるドス黒い、教団に対する憎しみが湧き上がる。
思わず術式の力を発動して石壁に叩きつける。
「があっ!?」
石壁は砕け、教団の男は後頭部から血を流すが、タタラは更にその腹に蹴りを入れた。
「ぐぅ…!」
「お前等はその生物の居場所を把握しているんだろう?何処に居る?」
先ほどとは比べ物にならない程冷徹に、今度は顔を足で踏み潰しながら問いかける。
瞳は光を失いその行動には一切の容赦が無い。
「あが…と、闘技場近くの下水道に居る筈だ…!そこに巣を張っている…」
「…フン」
最後に首を思い切り踏み、ゴキッとやな音が聞こえると、教団の男はそれからピクリとも動かなくなった。
「教団の好きにはさせない…その生物、俺が殺してやるよ」
タタラは未だ冷徹なその目で、近くの下水道の入り口を目指した。
現在地-ソサエティ-地下下水道
コッコッコとタタラの足音だけが地下に響く。
薄暗く汚く臭い。
そんな場所だったが、今の此処はそれ以外にもジメっとした嫌な感覚が纏わり付いている気がして、タタラは警戒しながら先へ進む。
此処は狭く、タタラの武器である巨大ハンマーは十分に力を発揮できない。
そういった意味でも、警戒しなくてはならない。
そろそろ闘技場の地下に近づいてきた…より一層警戒しながら先に進む。
瞬間、ゾッとするようなプレッシャーを感じる。
「っ!?」
後ろを振り返ると、曲がり角の先に謎の巨大な影があった。
十分な広さが無いのでハンマーを振り回す事は出来ないが格闘術も多少は使えたので、拳を構える。
曲がり角から出てきたのは、全身焦げ茶色の超巨大なワームだった。
口からは無数の触手を出しながら此方に近づいてくる。
「なんだコイツは…見たことも無い生物…これが化物か」
見たことのない生命体に流石のタタラもたじろぐが、すぐに拳を構えて戦闘態勢に入る。
「キョァアアアアアアアア!」
「チッ…!」
不気味な叫びと共にタタラへと飛び掛ってくる。
見た目に反してその動きは中々機敏だ。
その場から跳んで転がると、ワームは石造りの壁を砕いて突っ込んだ。
「コイツ…今俺の事喰う気だったな」
こんなワームの餌はゴメンだとばかりに術式の力を発動して胴体を殴りつける。
まるで堅いコンクリートでも殴ったような感触だが、術式の力のお陰で押し切り吹き飛ばす。
「ギャアアアアアアアアアア!?」
壁を完全に砕いて向こう側の下水道に出る。
それを追うとタタラは奇妙な光景に言葉を失う。
下水道の壁や床から触手が生えている…己の意思を持ってじゅるじゅると水音を立てて蠢いている。
ワームの口から見える触手に似ているので、こいつが原因というのはタタラも理解した。
こちら側の下水道はさっきの場所より天井が高かったので、タタラはハンマーを背中から外して構える。
「シャアアアアアア!」
ワームは自分の口から出ている触手を伸ばしてタタラに襲い掛かる。
「はああああああああああああっ!」
振り上げたハンマーを地面に振り下ろすと、強力な衝撃波が辺りに発生して触手を弾き飛ばした。
その衝撃で潰れたように吹き飛ぶ触手。
「キィイイイイイイイ!?」
感覚が共有されているのか、ワームは苦しそうに叫び声を上げる。
その隙にタタラは懐に潜り込んでハンマーでワームの横っ腹を殴りつけた。
凄まじい衝撃がワームを貫き、壁に激突する。
オマケとばかりに、タタラはカレンと戦った時に使った技である前方に衝撃波を飛ばす技を繰り出す。
ワームはそれを受けると壁にめり込ませていた体が押し込まれ、壁を砕いて更に向こう側に行ってしまった。
「一々追いかけなきゃいけないのが面倒だな」
そうは言うもののワームを追って砕けた壁の向こう側に出る。
「これは…!?」
そこで見たものは、タタラにとっても予想もつかなかった物だった。
現在地-ソサエティ-宿屋ミルクハウス
カレンが目を覚ますと、愛しいタタラの姿は無く、散歩に行ってくるという書置きだけだった。
昨日のプレイで、自分とはあまりしてくれなかったという不満感と共にまたやって欲しいという被虐感。
矛盾した二つの感覚に戸惑いながらもカレンはコレットが用意してくれた朝食を口に運んでいく。
それにしても昨夜あんなにも酒を飲んだのに頭痛がしないのは嬉しい事だ。
「おーいコレット!もうすぐアタシは試合があるから出かけるけど如何する?」
もしかしたらタタラが帰ってくるまで此処に残ると言うかも知れないので一応声をかけておく。
「ん〜…タタラさんも時間になれば闘技場に来てくれるでしょうし、私はかれんさんと一緒に行く事にします」
「そっか、ならもう行くよ」
二人は街を歩いて行くと、昨日よりも更に盛り上がっている街並みに目を奪われていた。
コレットはこの街で育ったので落ち着いているが、カレンは珍しそうにあっちこっちをキョロキョロ見渡していて忙しそうだ。
「それにしてもこの街は賑やかだな…お、向こうでゴブリンが出店開いてる」
風呂敷の上に商品を並べているゴブリンを見つけると、興味を引かれたのかカレンはそっちに駆け寄る。
「おっ、いらっしゃい!」
「おう」
愛想良くゴブリンは笑顔を浮かべると、商品の紹介を始めた。
「あたい達ゴブリンの伝統工芸品さ!ちょっと壷とかは壊れちゃったけど…色々あるから見て行ってくれー!」
その中でカレンが惹かれたのは魔力を秘めた鉱石だった。
これがあればタタラは新しい武器を楽しそうに作ってくれるだろうか…と。
こんな時にまでタタラの事を考えてしまうカレンは恐らく末期だろう。
しかし後ろから眺めていたコレットは妙な物を見つける。
「あら?これは何ですか?」
指差したのは手に収まるサイズのボールのような物だがピンのような物が付いており、パッと見何なのかは分からない。
「これはあたい等ゴブリン製の手投げ爆弾さ!木造の小屋くらいだったら楽勝でぶっ飛ばせるぜ!」
「ず、随分物騒な物ですね…」
思わず後ずさりするコレットだが、ゴブリンはそんな行動を見て先ほどの人物を思い出す。
「そんなに物騒かな…刺青の兄ちゃんも引いてたし…」
「「刺青の兄ちゃん?」」
心当たりがある二人は声をそろえて首を傾げると、ゴブリンも不思議そうにしている。
「あれ?もしかして知り合いか何か?あの兄ちゃん有名なの?」
確かにその筋の話ならば有名人だろう。
かつてはブラックハンマーと呼ばれ、高名な鍛冶師だったのだ。
更には外見だけもあれだけ目立つ…刺青の男と言えば恐らくタタラだろう。
「もしかしてそれってジパング風の服を着た全身に刺青を入れた男の人ですか?」
「ああ、でっかいハンマーも持ってたぞ」
同じ店に寄ったんだと思うと、カレンは妙に嬉しくなりニヤけてしまう。
「んで向こう側の裏路地に入って行ったよ…そういやあの路地から教団の騎士の死体が転がり出てきたって噂だけど…」
「えっ!?」
続けて紡がれた言葉に思わず声を上げてしまうコレット。
その声にカレンもゴブリンも反応している。
「どうしたんだコレット?」
「…実はタタラさん、教団の人を見ると過去の事から殺さないと気が済まないらしいんです…以前も追っ手の人を何人か…もしかしたらタタラさんの身に何かあったのかも…」
まさかの言葉に驚くカレンだが反応があったのは後者の方。
タタラ命なカレンはすぐにその路地に向かって駆け出すと、スンスンと匂いを嗅ぐ。
薄くだがまだ匂いが残っている…意外とカレンは鼻も効くらしい。
後ろから追いかけてきたコレットが何か言っているが関係ない…僅かに匂うタタラの匂いを追って走り出した。
現在地-ソサエティ-闘技場地下、旧牢獄
ソサエティにそびえる巨大な建築物であり、目玉であもある闘技場。
そこはかつては罪人を閉じ込め、貴族の道楽の為に罪人同士を戦わせる場所だった。
その為、地下には広い牢獄がある。
しかし先ほどの話は魔王が代替わりするそれ以前の話なので遥か昔にこの場所は封鎖されて誰も近寄らない場所となり、もう数百年もの間誰も入ったことが無く、正に隠れ家としてはうってつけの場所だった。
この場所はついこの間までは唯の埃っぽい部屋だったが、ある生物が住み着いてから壁も床も触手まみれ部屋となってしまった。
その部屋の隅で、緑色の肌をした魔物娘であるオーガが、触手に囚われて陵辱されていた。
「あひぃ!ひぐぅ!も、もうらめっ!らめらのぉっ!」
目尻に涙を浮かべ、舌を突き出して叫び声を出す彼女の名はリン。
以前タタラ達と諍いを起こしたリンだった。
激しいセックスや逆レイプを得意とするオーガである彼女も、丸一晩触手に犯され続けては体力が尽きかけている。
このままではイかされ続けて殺されてしまう。
彼女は見ていたのだ。
先に捕まっていた魔物や人間がこの触手に犯され続けて、あの巨大で気味の悪いワームに丸呑みにされてしまうのを。
あの光景を見せられたリンは恐怖を覚え、必死に抵抗を試みたが数多くの触手がそれを押さえつけた。
太いペニスのような触手がマンコに入り犯されてもう二時間以上は犯されている。
「ひぎゅうううっ!んひィ!またぁ…またイっちゃうのぉ!
じゅぽじゅぽと触手が激しく上下されて、空中に吊らされ、M字開脚の体勢にさせられているリンのマンコを激しく犯す。
幸い、精子のような物は出ないので孕む事は無いだろうが、ある意味生殺しだ。
「いやぁああ…おかされへぇ…イかされへぇ…たべられひゃうのぉぉぉ…!」
最早リンにはオーガとしての力強さは無く、唯イかされるメスの姿だった。
だが突如触手の動きが止まる。
不思議に思うリンだったが、とりあえず助かったと思って荒い呼吸を整えるが、次の瞬間向かいの壁にズゥンという音と共に亀裂が入る。
更に数秒後、今度は壁を砕いてあのワームが飛び込んできた。
何事かと驚くリンだが、煙と埃の奥に人影を確認する。
「一々追いかけなきゃいけないのが面倒だな」
そう呟いて入っていたのは、昨日自分と揉めた男だと思い出すのにそう時間はかからなかった。
お前なんかに助けられたくないと思う反面、助けてくれと願う自分も居る。
急に触手の動きが止まり、生殺し状態になり、火照った体と思考でそう思った。
一方タタラはハンマーを担ぎながらこの部屋の様子に驚いていた。
流石に部屋全体が触手まみれになっているとは思わなかったようだ。
「此処がワームの巣か…大方捕らえた獲物を此処に保存しておいて腹が減ったら食うって事か…悪趣味だな」
ハンマーを床に叩きつけて衝撃波を発生。
周囲の触手を吹き飛ばすと、ワームがタタラを睨みつける。
実際は目など無いのだが、顔がタタラに向く。
「ギュギョオオオオオオオオオオ!」
気味の悪い声と共に突進してきたと思いきや口から半透明な液体をベェッと吐き出した。
妙な匂いだったので咄嗟に避ける。
だが撥ねた液体がズボンの裾にかかると、ジュウウウと音を立てて溶けてしまった。
「なっ…!?消化液の嘔吐か何かか…?」
厄介さを感じながらもハンマーを構えなおし地面に叩きつける。
衝撃波を生み、周りの触手を薙ぎ払うと同時に余波がワームに襲い掛かる。
「グゥゥゥ…ギョアアアアアアアアアアアア!」
耐えるように呻いた後、多量の消化液を吐き出したので、タタラはその場から走り出して消化液を避ける。
しかし突然足に床から生えていた触手が絡み付いて動きが止まる。
「チィ…」
「ギィイイイイイイイイイ!」
動きが止まったのをみて、ワームはその巨大な口を開けてタタラを飲み込もうとしている。
術式の力を使って足に力を込めて無理矢理触手を引き千切り力尽くでその場から離れると、ワームは地面を砕いて止まった。
この場所は広くてタタラはハンマーを思い切り振り回せるが、周りは触手だらけ…ワームの巣だけあってワームに有利なフィールドだ。
周りから触手が伸びてくるのを見てハンマーを壁に叩き付けると衝撃波を発生させる。
触手は簡単に潰れて吹き飛んでいく。
「ったく…このままじゃキリが無いな」
いくら術式の力があるとは言え、超重量のハンマーを無限に振り回せる訳ではない。
体力が残っている内に決着をつけたいと思うが、中々ワームも頑丈だ。
「くっ…!また来やがったか」
触手は四方八方から伸びてきてタタラを拘束しようとするが、ハンマーの衝撃波で潰れて吹き飛んでいくが、次第にタタラの息が切れていく。
「ハァ…ハァ…!多少のリスクは止むを得ないか!」
残っている体力の残量を考えて、ハンマーを振り上げてワームに向かって走り出す。
何本か触手がタタラの体に絡み付くが、無理矢理走って引き千切ると、ワームの頭を目掛けてハンマーを振り下ろす。
だが振り下ろす直前で、タタラとワームの間に、触手で拘束されたオーガが引きずり出された。
「なっ…!?」
慌ててハンマーの軌道を逸らすが、そのせいで空振りしてしまい体勢を大きく崩した所をワームの尾がタタラの脇腹を叩きつけて吹き飛ばす。
「ぐはっ!」
石壁に激突して止まるが結構なダメージを受けたようだが術式による強化のお陰で傷そのものはあまり無かった。
だが床に倒れている隙に壁と床の触手で手足を拘束されて壁に大の字に磔にされる。
「ぐ…うおぉおおおおおおおおおおおおお!」
全身に力を込めて無理矢理脱出しようとするが、かなりの数の触手に絡み付かれているので、中々抜け出す事が出来ない。
「く…駄目か…!」
ワームは漸く大人しくなった得物に対し、口を大きく広げて喰らおうとしている。
「俺が…」
だがタタラはまだ諦めてはいなかった。
寧ろその目にはまだ策があるという光が宿っていた。
「俺が教団の作った生物に…テメェなんかに負ける訳にいくかぁ!」
全ての力を右腕に込めると、ブチブチッと触手を引き千切ると懐からある物を取り出す。
それは先ほどゴブリンから貰った手投げ爆弾。
親指で起用にピンを外すとその大きい口の中に投げつける。
避ける暇も無く爆弾を飲み込むが、暫くしても何も起こらない。
「…まさか…不発か?」
「ギョォオオオ?」
何も起こらないこの状況にタタラもワームも首を捻っている。
「こんの…!」
左腕にも力を込めて引き千切る。
だがワームも生きのいい獲物を逃さないと大きな口を開けて飲み込もうとするが、タタラも上口と下口を掴むと食われるのを何とか防ぐ。
そのせいで口の中が見えるのだが、そこは無数のヒダのような物が蠢いておりジュルジュルと気味の悪い音を立てている。
この中に入って溶かされていくなんてゾッとしない。
「ぬぅおおおおおおおおおおおおおおっ!」
食われてたまるかと両腕でワームを押し返していくが、ワームも負けずと押し込んでいく。
暫く押しつ押されつが続いたが、タタラは足の触手も振り払い、ワームに蹴りを入れると僅かにワームは怯んだ。
その隙に壁から抜け出すとオーガの元へと走って、彼女を拘束している触手を外していき、脇に抱える。
体力は少ないが意識はあるようだから大丈夫だろう。
そう判断してワームに向き直る。
「グォオオオオオオオオオオオオオオ!」
叫び声と共にタタラ目掛けて飛び掛ってきたワームに、何時でも避けられるように身構えるタタラ。
しかし次の瞬間、ワームの胴体がボゴォン!と音を立てて吹き飛んだ。
「…さっきの爆弾か?」
「ギィイイイイイイイイイイイ!?」
口から煙を出しながらも苦しみのた打ち回っているワームだが、腹が完全に裂かれて体内は黒ずんでいる…もう駄目だろう。
まさかの時間を置いての爆発に流石のタタラも呆然とするが、ワームが完全に息絶えると、オーガをゆっくりと降ろしてワームを調べる。
「…旧時代の魔物ですらこんな奴は居なかった…と言う訳は新しい奴等の開発物か…?」
親玉のワームが息絶えたからか周りの触手も力をなくして枯れていっている…このまま全部消えていくだろう。
「…うっ」
オーガが呻いたので少しは回復したのかと近寄る。
だがこの時タタラは忘れていた。
彼女は今の今まで触手に犯されていて生殺し状態だったと言う事と、オーガは総じて高い回復能力を持っているという事を。
気がつけばタタラはリンに押し倒されていた。
「なっ!?お、おい!?」
突然の出来事に驚くがリンは止まらずズボンを下げる。
勿論だが先ほどまで奇妙なワームと戦闘を行っていたのでペニスは普通の状態…完全に萎えている。
抵抗しようとするが組み敷かれて上手く動けない…勿論術式の力を使えば抜け出せるのだが今は驚きでそこまで頭が回っていなかった。
「ハァハァ…頂戴よ…!俺のいやらしいおまんこに…アンタの精液頂戴よ…!」
リンはマンコを見せ付け、自分の指で弄っている。
愛液で濡れたマンコはくちゅくちゅと淫らな音を立ててしまう。
勿論男ならば良い女の全裸に軽いオナニー姿を見せられて興奮しない訳が無く、タタラのペニスもすぐに臨戦態勢だ。
「じゃ、じゃあ…ヤろうか…」
にゅぷ…と愛液塗れのマンコにタタラのペニスが挿入れられる。
リンは体に電流が奔ったかのように全身を震わせる。
ワームに犯されていたときにイきまくったから敏感になっているのだろうか?
ならばそこを責めない訳にはいくまいとタタラは僅かに口の端を吊り上げると腰を動かした。
「んっ…!くぅううっ!ああああっ!」
まだゆっくりとしか動かしていないのにこの声だ。
唯下水道なので声が良く響いてしまうので少し耳に来ると思ったが、なら口を塞ごうとリンの頭を掴んで顔に引き寄せると唇を触れ合わせる。
「んくぅ!?…んふ、くちゅ、ちゅぴ、んふ、ちゅぱ…」
最初は驚いたような声を出したが次第に落ち着きタタラと舌を絡ませる。
その間にも腰を動かすと、舌がビクンビクンと反応しているのがよく分かる。
じゅぷ、じょぼ、にゅぷ…と段々と腰の動きを早めていくと更にリンは感じだす。
そして締め付けがキツクなると、タタラが精液をぶちまけると同時にリンもイってしまう。
「んぁ…!これだぁ…!ザーメン、おれの子宮に注がれてるぅ…!」
すっかり頬を染めてトロンとうっとりした表情になって余韻を味わっているリンだが、タタラはリンを押し上げてマンコからペニスを抜く。
「え…?」
もう終わりかとでも言いたそうな顔だがタタラは膝立ちになるとリンをうつ伏せにさせるが、お尻だけ高く上げさせる。
「な、なんだこの体勢…?」
リンが抗議をする前に、タタラはペニスで彼女を再び貫いた。
「んひぃ!?」
一番奥までゴッゴッと何度も何度も叩きつけていく。
リンも触手に犯されていた時の様に舌を突き出して目尻に涙を浮かべながらも嬉しそうな顔をしている。
「あひぃ♪!イグゥううう♪!?イっちゃうぅううう♪!?あぁあっ…あぁあああああ〜♪!?」
タタラの射精と共に再びイってしまうリンだが、休む暇を与えずにタタラは更に腰を振る。
「イイイイイッ♪!?しゅごすぎるぅうう♪!イってるのにまたイっちゃうぅうう♪!イグのきもぢいぃいいいいいいい♪!」
ズンッズンッと突かれる度に喘ぎ声を漏らすリンにはオーガらしい仕草は微塵も見られず、タタラが最後に思いっきり突くと、三度目の射精と共にイってしまった。
すると下水道を走ってくる足音が二つ…。
「今の声はこっちか!?」
「はい!此処ですね!」
そう言ってこの旧牢獄に入り込んで来たのはカレンとコレット。
だが勿論この光景を見た二人は目をパチクリさせて首を捻る。
「え、え〜とタタラさん…?此処で何を…?」
「あ…その…其処に居るワームと戦ってたんだが倒した後捕まってたコイツが押し倒してきてな…その、勢いでヤっちまった…」
若干気まずそうにするが、何とか真実を伝える。
カレンは顔を伏せてプルプルと体を震わせている。
「か、カレン?」
少し気まずかったのか、カレンに声をかけると、カレンは顔を上げた。
その瞳はランランと輝いており、頬を赤く染めている。
「タタラ!こんな光景見せられて我慢しろってのが無理だ!アタシも混ぜろー!」
うがーっ!とカレンがタタラに飛び掛りヤる準備をしていると、コレットも段々と興奮していき、最終的には4Pになったのは言うまでも無い。
現在地-ソサエティ南部の森-鍛冶小屋
あの事件から一週間が経った…。
ワームは自警団が引き取り調べる事になり、タタラには名誉勲章が授与されたが、本人は目立つのが嫌だったのか、カレンを通して間接的に授与された。
そして今、鍛冶小屋の前は異様な雰囲気に包まれていた。
「…」
「…」
「…」
カーンカーンと小屋からは鉄を打つ音が聞こえるが、周りが静かな分余計に良く聞こえる。
この空気の原因はカレンとリンの二人だ。
以前タタラと揉めたリンに良いイメージのなかったカレンは一方的にリンを敵視しており、リンも馴れ合う気は無いのか二人は仲が悪い。
そして気の弱いコレットはそれを止める事も出来ずに渇いた笑いを浮かべる事しか出来ない。
鉄を打つ音が止まり、更に暫くすると、中から一つの包みを持ったタタラが出てきた。
「お、タタラ…出来たのか?」
心なしかリンは嬉しそうにタタラに駆け寄って包みを見る。
「ああ…お前の武器…ナックルの雷法拳。雷の力を秘めていて殴った相手に電撃を流し込む特殊な鉱石を使用した」
包みを取ると、そこには拳に嵌めて使うタイプの武器があり、竜の甲殻のように繋がれた黒い鉄に、甲の部分には黄色い石が嵌められており稲妻のエンブレムも刻まれている。
これはタタラがリンとヤってしまった責任として作った武器だ。
本来ならば責任と取るべき所だがワームから助けてくれた事と最初は自分から襲ってしまったのでこれで良いという事になったのだ。
「チェ…タタラもそんな奴に態々武器なんて作らなくても…」
リンが気に入らないカレンがそう呟くと、リンは素早く反応する。
「あぁ?戦るのかこの雌蜥蜴!」
「いいぞ別に!タタラが作ってくれた封炎剣の錆にしてやるよ!」
「フン、上等だ!俺の雷法拳の初の獲物にしてやる!」
二人は武器を構えて唸り合う。
「あぁ〜!二人とも駄目ですよ〜!」
コレットが止めようとするが二人は聞く耳を持たない。
「タタラが何人女を囲おうが文句は無いけどな…こいつだけは認めないぞ!」
「はっ!惚れた男に近寄って何が悪いんだ!」
リンはタタラに惚れたと言って今までの事を謝罪したが意地っ張りなカレンはそれを認めずにこうしてしばしば対立する。
だが戦っている二人は結構楽しそうだ。
「良いんですかタタラさん?」
心配そうに尋ねるコレットだがこんな事で心配していたら持たないだろう、タタラも半ば諦めていた。
「ま、喧嘩するほど仲が良いって言葉があるし…大丈夫だろう。それより一週間鍛冶に使って少し溜まってるんだがコレット…相手してくれないか?」
その言葉にコレットはポッと頬を染めると深く頷いた。
「「あっ!こらコレット!抜け駆けするなー!」」
そんな言葉を背に受けながら、やっぱり似たもの同士だなと思うタタラだった。
因みに、闘技大会はカレンとリンは時間に間に合わずに試合放棄とみなされてしまった。
優勝者はとあるリザードマンだそうな。
11/09/20 14:53更新 / ハーレム好きな奴
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