【Middle After】後ろで感じる!?夢の発明
とある古城。
薄暗い部屋の中で、幼い少女がひとり、困惑していた。
「ば…バフォメット様。この道具に、本当にそのような価値があると…?
ただのジョークグッズのつもりで作ったものですよ?」
「確かにわしらのような身体では、ありがたみも薄かろう。
じゃが…これは間違いなく、多くの魔物娘にとって福音となるぞ。
次回の黒ミサでの表彰は当然として、そなたとお兄ちゃんの功績は、全てのサバト…いや、この世界の歴史に永遠に刻まれる事となるじゃろう。
わしは、そなたらのような素晴らしい魔女とお兄ちゃんを誇りに思う」
「そんなに!?」
世界のどこかのサバトで、そのようなやり取りがあってから、およそ一年後。
同じく世界のどこかの市場で、この夫婦がその道具を手にしていた。
「ついに!手に入れたぞーッ!!」
「大喜びしてるとこ悪いけど…それ、本当にそんなスゴイもんなのか?
いまいちよく分からないんだよなぁ…」
「なに言ってるの!これがあれば、私でもアレができるんだよ!?
この…『どこでも☆アナまんリング』があれば!!」
「…その名前のせいで、スゴさが頭に入ってこないんだよなぁ。
ていうかルフィア、そんな名前なのによく普通に言えるよな…」
さすがに今ではこの名前は改名されているが…読者の方々の多くが知っているように、この魔道具は発売されて早々、発祥となった国中の魔物娘カップルの話題をさらい、増産のうえ隣の国へ輸出、さらに隣の国へ…と、またたく間に世界中へ広まった。
世界はおろか、一国全体に広告を届ける事も困難だった時代に、である。
幾人かの耳聡い商人は、この魔道具で屋敷が建つほど大儲けし、それらの屋敷はアナまん御殿などと呼ばれたとか…それはさておき。
「さ!さっそく宿屋さん探そっ!」
「あの遺跡はいいのか?」
「だって、どこのお店も売り切れ売り切れで、半年探してようやく買えたんだよ?
もう我慢できない。一日中堪能するの!」
「わかったわかった。はしゃぎすぎだって…」
そう言いつつも、ルフィアの喜びぶりを見ていると自分も嬉しくなるグレゴリー。
ふと目をやると、自分達の後にも、同じくリングを手に入れたカップルが喜びながら、さっそく夜を過ごす場所を求めて市場から去っていっている。
いい宿を取られてはたまらないとばかりにルフィアに手を引っぱられ、宿屋を求めて町へ向かうのであった。
そして、宿。
魔物娘の経営する所で、値段のわりに防音や風呂場なども完備された一室。
はやる気持ちの中、二人はいつものようにベッドの縁に腰かけ、服を脱いでいく。
「そして…これを、私のお股に貼り付けます♪」
取り出したるは、先程買ったリング。
リングといってもいわゆる指輪等ではなく、ひも状で柔らかいものだ。
ルフィアは手で形を整えながら、自身の性器を囲うように貼り付ける。
魔道具であるため、糊などではなく、ルフィアの体表の魔力によって吸着する仕組みになっており、ゆえに激しく動いてもはがれ落ちることはない。
「よい…しょっと」
続いてルフィアはベッドに手と膝をつき、四つん這いの体制になる。
「それじゃあ次は、レッくんがうしろに貼って♪」
「え…オレが?」
「だって自分じゃうまくできないし…あ、上下は間違えないでね?」
青い鱗で余すところなく覆われたお尻を突き出して、くねくねと艶めかしく揺らす。
こんな事は滅多にしないルフィアだが、ずっとやりたかった事がついにできるというだけあって、テンションが上がっているのかもしれない。
「えっと、こう…か?」
鱗に覆われているはずなのに敏感な魚体は、夫であるグレゴリーの指が軽く触れるだけで、刺激に反応してぴくぴくと震える。
その反応に色々な意味で悩まされながらも、グレゴリーは胸と同様に肉付きのいいお尻の中心に、そっとリングを貼り付けていく。
しっかりと吸着したことを確認してから手を離すと、リングの内側の空間が一瞬ぐにゃりと歪み…次の瞬間には、ルフィアの膣口と肛門がそこに現れた。
リングにかかっている魔法で、リングの中の鱗と性器の位置が入れ替わったのだ。
ヒトが四つん這いになった時と同じく、上が肛門、下が膣である。
「ど、どう…?ちゃんと“そっちに移ってる”?」
「ああ…しっかり見えてる」
「やった♪これで…
レッくんに、うしろからお尻を突いてもらえる!!」
実際、このルフィアの言葉がすべてなのだが、ここで改めて説明しよう。
まず、ルフィアのようなマーメイドには本来両脚がなく、腰から下は根元からひとつに繋がっており、そして女性器や肛門は体の前面についている。
つまり後背位や座位といった、背後から挿入する体位ができないのだ。
『人化の魔法』で変化させた脚は所詮かりそめのものであり、よほど魔法に熟達した者でもない限り、性的な興奮や快楽で簡単に魔法が解けて元に戻ってしまう。
夫から、獣の交尾のように背後から激しく突かれる、あるいはヘコヘコと情けなくも必死に腰を振られる。その悦びを味わえない──それが人魚やラミアなど、二本足でない種族に共通する宿命であった。
もちろん反対に、人魚やラミアならではの交わり方というものもあるが…それでも、手が届かないとなると余計に憧れてしまうものだ。
かつては人間であり、いまも人化の魔法を頻繁に使うルフィアであれば尚更である。
そんな中、転移魔法の研究をしていた一人の魔女によって、体の一部を入れ替えるだけのジョークグッズとして開発されたこのリングは、サバトの主バフォメットによって“好きな位置に性器を移動させられる魔道具”としての有用性を見出され、その機能を大きくアピールした広告と共に発売されたのである。
憧れの体位が実現できる、日々の営みに大きな変化をもたらせる…異形の下半身を持つ種族を筆頭に、魔物娘達が飛びつかないわけがない。まさに夢の発明品であった。
「それで、あの…れ、レッくん、いつまで見てるの?
い、息が…熱いよ……」
ぺろり。
「はぅん!!?」
大きな反応。
相手が見えない分、感覚を背後に集中してしまうのだろうか。ルフィアの性器はいつもより敏感になっている気がする。
こうした時、ついイタズラしたくなってしまうのも、グレゴリーという男のサガである。
「い、いじわるしないで……早く、おちんちん、入れてよぅ…」
「ハハハ、悪い悪い。それじゃあ…」
興奮だけで既に濡れそぼっている膣口から蜜を指ですくい取ると、すでに勃起しきった己のペニスと、期待するかのようにひくつくルフィアの窄まりに塗り付ける。
そんな事をしなくとも、魔物娘の身体は自分のモノを受け入れてくれるであろう事は分かっていたが、相手の体を気づかい、ケアする気持ちを忘れないのが礼儀であり、愛情というものである。
熱い肉槍の尖端をアヌスにあてがうと、その熱にわななく括約筋の感触を楽しむのもそこそこに、勢いよく根元まで突き入れてしまった。
「あふううぅっ…!!!」
体をのけぞらせ、快楽に打ち震えるルフィア。
顔が見えなくても可愛らしく思うが、今日のグレゴリーはそれにかまう事なく、いきなり激しく腰を繰り出してやる。
大きく広がったセピア色の肉輪がペニスに引っ張られ、卑猥な粘着音とともに、めくれ出たり入ったりをせわしなく繰り返す。
「うあっ、あっ、はっ、はあっ、レッくん、はっ、げし…!?」
ルフィアの反応が、これまでにアナルを試した時とは段違いで強く、初々しい。そもそもアナルセックス自体あまりしてこなかったというのもあるが。
先に述べた体の構造上、ノーマルセックスとアナルセックスのどちらも同じ体位で交わることになるとなれば、ノーマルの方を優先してしまうのも仕方がないだろう。なにしろ、膣以外に精を出しても子供は望めないのだから。
「くっ…ルフィア、いつもより、さらに、締まってる…!」
「はぁっ、ぅっ、ぉ、あっあっ!お、ひり、こんな、すご、なんてへぇっ…!!」
だが、だからこそ、こうして気分が盛り上がっている時は格別であった。
魔物娘の肛門や直腸は、排泄器官であると同時にれっきとした搾精器官である。
お互いに対して、膣とはまた異なる快楽をもたらしてくれるほか、今日は雰囲気という重要なスパイスが効いている。
すなわち『自分達は道具を買って、宿命をねじ曲げてまで、性器でない穴を、ただ快楽を味わうためだけに、後ろから激しく蹂躙している』という、何重もの背徳感だ。
ほかの魔物娘カップル、あるいはこれまで本作で語ってきた二人の営みと比べれば至極ささやかな部類の変態性欲であろうが…こうしたものは、その時二人がどう思っていたかが重要なのだ。
「ああああっ、だっだめっ、こんなの、だめええぇ!!」
「何が、ダメだって…!?そんなに、よがってる、くせに…!」
雰囲気を味わった後は、お互いに、言葉で背徳感をさらに高める。
二人はすでに、示し合わせる必要もなく、いわゆる阿吽の呼吸でそれができる。
心の中に飼っている嗜虐の獣を目覚めさせたグレゴリーは、抽迭を続けつつ、鱗と魚由来の粘液に覆われたルフィアの豊満な尻を撫でながら…不意に、ぱぁん、と叩いてやった。
「きゃあぁぁぁう!!?」
ひときわ鋭い悲鳴が上がる。
幼い頃から大人しく聞き分けのよい子供だったルフィアは、親にお尻を叩かれたことなど一度もなかった。(グレゴリーは何度かあった)
これまでの営みも前述の通り、体の前からであったために叩くような機会もなく、これが正真正銘、生まれてはじめてお尻を叩かれた経験であった。
いわれのない暴力と捉えられるかもしれない。
だが魔物娘の肉体は、その打擲が、自分の身体で伴侶が興奮してくれているために与えられたことを意識せずとも察知し、鋭い痛みをさらなる快楽へと変換して脳に伝えてくる。
「くあぁぁッ…!?」
ルフィアの腰回りの筋肉が強張り、食いちぎられそうなほど強く締め付けられて、グレゴリーは目から火花が飛ぶような快感と共に、早くもルフィアの腸内に精液を放つ。
しかし、この新鮮な、オスの獣欲と征服感を煽り立てるような体位はグレゴリーを強く興奮させ、一度の射精程度ではペニスがまったく衰えない。腰に力を込めて、ピストンを再開した。
「うあっ、はああああっ…!レッくんのが、おなかにっ…!!
…あっえっ、ふあぁっ、あっだめっ、いま、うごいちゃ…!?」
びくびく痙攣する腰から下とは反対に、ルフィアの上半身と、それを支えていた腕からは力が抜け、ベッドに沈んでいく。
するとルフィアの巨大な乳房は上半身とベッドの間に挟まれてつぶれ、さながらクリームを挟んだお菓子を上から押しつぶしたように、大量の白い柔肉が逃げ場を求めて体の左右に広がっていった。
その光景に、グレゴリーの目は自然に吸い寄せられ、自然に手が伸びてゆく。
「んはぁぁぁっ…!やだっ、やっ、なにこれっ、おしり、おかされながら、おっぱいっ、あっ、なんで、こんな、きもちいいぃ!!」
パン生地をこねるように、上から押しつぶし、下から持ち上げ、手のひらに収まらない質量をもにゅもにゅと堪能すると、ルフィアはいつもより大げさなくらいの反応を返してくる。グレゴリーの姿が見えない分、与えられる快楽に身構えられず敏感になっているのだろうか。
反応に合わせ、ルフィアの腸内も震えながら蠕動し、グレゴリーのペニスをさらなる快楽で責め立ててくる。
それに反撃するように、グレゴリーもなお激しく肛門をえぐりながら、尻を叩いたり腰ヒレを強く握ったりと、痛いほど強い刺激を与えてルフィアをさらに乱れさせた。
「んぐっ…んぐうううぅぅッ♪」
快楽のあまりルフィアは完全にベッドに突っ伏してしまい、聞こえてくるのはくぐもった嬌声だけだ。
歌えば誰しもを魅了するであろうルフィアの声は、いま、最愛の夫に尻穴を犯されて気持ちいいことを伝えるためだけに使われていた。
時折、グレゴリーの睾丸や内股に熱い飛沫が降りかかる。
いつになく強い刺激により、すでにルフィアは何度も何度も絶頂してしまっているようで、物欲しそうにぱくぱく開閉する膣口から、潮や愛液を飛び散らせているのだ。
下半身だけでもわかるこの乱れよう…今のルフィアはどんなにいやらしく、可愛らしい顔をしているのだろうか。顔が見られない事がただ残念だった。
「ぐっ、そろそろ、また、出すぞ……!!」
「んんっ、んうふぅぅ…ふあっ、だひてっ、おしりに、だしてぇぇ…!!!」
ルフィアがベッドから顔を上げ、上体を反らせだす。腰もがくがくと痙攣をはじめ、ひときわ大きな絶頂を迎えようとしているのがわかる。
腰ヒレを強く掴み、爆発寸前のペニスを限界まで腸奥に叩き込み、弾けさせた。
「あっあ、ンああああああぁぁぁぁ───ッ…!!!」
「ッあぁぁぁ…!!!」
「は、ああ、ぁぁ…おなか、あづっ…いく、またいくぅっ…!!」
本来ならば出すための器官が、滅茶苦茶に締め付けながら蠢き、逆にグレゴリーの精を吸い上げていく。
意識ごと吸い出されそうな快楽を伴いながら、グレゴリーは長々と射精し続け…
何分も経ってようやく出し終え、ペニスを引き抜くと、脱力してルフィアの隣に倒れ込んだのだった。
良質な交わりと大きな絶頂がもたらす甘い余韻が、二人の中でいまだ持続する中、ルフィアが口を開く。
「はぁ〜……すごすぎたぁ。
体勢ひとつで、お尻の穴もこんなに盛り上がっちゃうんだ…」
「ああ。…オレも、あんなになるなんて思わなかった。
だから、その…うッ!?」
グレゴリーが何か言うより早く、ルフィアは彼の腰に抱きつき、白濁し泡立った液体にまみれたペニスを口に含む。
魔物娘の体は、常に身にまとう魔物の魔力の作用により、つい先程まで排泄器官に入っていたモノを口にしても問題ないほどに清潔が保たれている。(さすがに排泄物そのものまで清潔とはいかないようだが)
「んんっ、ぢゅるっ、れるる…」
「おっ、おい。何を…!」
「……ぷはっ。だってレッくん、また謝ろうとしたでしょ?
激しくした後はいつも申し訳なさそうにして…
私はああしてほしかったんだから、気を使ったりしないでってば」
「う…」
「なりたての頃は、ビックリしてちょっと怒っちゃうこともあったけどさ。
本当は、自分の身体で旦那様が興奮してくれるのって、魔物娘にとってすっごく嬉しいことなんだよ。だから、ぜんぜん大丈夫。
…まあ、レッくんのそんな所も可愛いんだけど♪」
「ごめ……いや、わかった」
「うんうん♪
…で、私が言いたいのは、それだけじゃなくてぇ…」
ルフィアは再び四つん這いの体制になり、グレゴリーにお尻を向ける。
先ほどの白濁がわずかに肛門から垂れ落ちる下では、何度も絶頂したばかりだというのに、ルフィアの女性器がいまだ大量の愛液を滴らせているのだった。
「もうちょっと休んだらでもいいんだけど…
おまんこも、後ろから犯してもらいたくなっちゃって♪」
「…しょうがないな」
魚が求愛するかのように、ゆらゆらとお尻とヒレを振って誘うルフィア。いや、それは求愛行動そのものである。
あれほど大量に搾り出されていても、人間をやめ、人魚のための雄となったグレゴリーの下半身は、ルフィアの淫らな求愛に応えて再び力をみなぎらせつつあった。
「お尻であんなにすごかったんだから、おまんこだったら…
一体、どうなっちゃうんだろうね?」
「あれ以上に乱れるのは間違いないとして…
う〜ん、そうなれば、どうにかしてルフィアの顔も見てみたいな…」
「恥ずかしいけど…たしかに私も、レッくんが気持ちよさそうにしてる顔見たいなぁ。
このリングだけでも十分、ぜいたくな夢が叶った気分なのに…欲が出ちゃうね」
「そうだな。
これも、人間や魔物娘の宿命…ってやつなのかも」
「…うふふ。レッくん今、カッコイイこと言った♪」
「かっ、からかわないでくれよ…
…でも、顔見るのも叶ったらもっと最高だよなあ。
そんな都合のいいものがないものか…ん?」
早くリングを使いたいあまり、これまで部屋の内装は気に留めてこなかったが、二人は壁に貼り紙があることに今さら気付き、その内容を読んでみた。
『各種道具(姿見・ローション・香炉等)貸します。詳しくは受付まで』
「…ああ、それがあったな」
「リングにはしゃぎすぎて、単純な事忘れてたね…」
そういえばここは魔物娘の経営する宿屋。プレイのための器具だって揃えられていても不思議はない。どころか、普通はあるものだ。灯台下暗しである。
二人は速攻で、姿見を含めた色々な道具を借りると、部屋に閉じこもり…
ようやく満足して宿を出て、当初の目的であった遺跡の見学へ向かう頃には、実に一週間も経過していたという。
薄暗い部屋の中で、幼い少女がひとり、困惑していた。
「ば…バフォメット様。この道具に、本当にそのような価値があると…?
ただのジョークグッズのつもりで作ったものですよ?」
「確かにわしらのような身体では、ありがたみも薄かろう。
じゃが…これは間違いなく、多くの魔物娘にとって福音となるぞ。
次回の黒ミサでの表彰は当然として、そなたとお兄ちゃんの功績は、全てのサバト…いや、この世界の歴史に永遠に刻まれる事となるじゃろう。
わしは、そなたらのような素晴らしい魔女とお兄ちゃんを誇りに思う」
「そんなに!?」
世界のどこかのサバトで、そのようなやり取りがあってから、およそ一年後。
同じく世界のどこかの市場で、この夫婦がその道具を手にしていた。
「ついに!手に入れたぞーッ!!」
「大喜びしてるとこ悪いけど…それ、本当にそんなスゴイもんなのか?
いまいちよく分からないんだよなぁ…」
「なに言ってるの!これがあれば、私でもアレができるんだよ!?
この…『どこでも☆アナまんリング』があれば!!」
「…その名前のせいで、スゴさが頭に入ってこないんだよなぁ。
ていうかルフィア、そんな名前なのによく普通に言えるよな…」
さすがに今ではこの名前は改名されているが…読者の方々の多くが知っているように、この魔道具は発売されて早々、発祥となった国中の魔物娘カップルの話題をさらい、増産のうえ隣の国へ輸出、さらに隣の国へ…と、またたく間に世界中へ広まった。
世界はおろか、一国全体に広告を届ける事も困難だった時代に、である。
幾人かの耳聡い商人は、この魔道具で屋敷が建つほど大儲けし、それらの屋敷はアナまん御殿などと呼ばれたとか…それはさておき。
「さ!さっそく宿屋さん探そっ!」
「あの遺跡はいいのか?」
「だって、どこのお店も売り切れ売り切れで、半年探してようやく買えたんだよ?
もう我慢できない。一日中堪能するの!」
「わかったわかった。はしゃぎすぎだって…」
そう言いつつも、ルフィアの喜びぶりを見ていると自分も嬉しくなるグレゴリー。
ふと目をやると、自分達の後にも、同じくリングを手に入れたカップルが喜びながら、さっそく夜を過ごす場所を求めて市場から去っていっている。
いい宿を取られてはたまらないとばかりにルフィアに手を引っぱられ、宿屋を求めて町へ向かうのであった。
そして、宿。
魔物娘の経営する所で、値段のわりに防音や風呂場なども完備された一室。
はやる気持ちの中、二人はいつものようにベッドの縁に腰かけ、服を脱いでいく。
「そして…これを、私のお股に貼り付けます♪」
取り出したるは、先程買ったリング。
リングといってもいわゆる指輪等ではなく、ひも状で柔らかいものだ。
ルフィアは手で形を整えながら、自身の性器を囲うように貼り付ける。
魔道具であるため、糊などではなく、ルフィアの体表の魔力によって吸着する仕組みになっており、ゆえに激しく動いてもはがれ落ちることはない。
「よい…しょっと」
続いてルフィアはベッドに手と膝をつき、四つん這いの体制になる。
「それじゃあ次は、レッくんがうしろに貼って♪」
「え…オレが?」
「だって自分じゃうまくできないし…あ、上下は間違えないでね?」
青い鱗で余すところなく覆われたお尻を突き出して、くねくねと艶めかしく揺らす。
こんな事は滅多にしないルフィアだが、ずっとやりたかった事がついにできるというだけあって、テンションが上がっているのかもしれない。
「えっと、こう…か?」
鱗に覆われているはずなのに敏感な魚体は、夫であるグレゴリーの指が軽く触れるだけで、刺激に反応してぴくぴくと震える。
その反応に色々な意味で悩まされながらも、グレゴリーは胸と同様に肉付きのいいお尻の中心に、そっとリングを貼り付けていく。
しっかりと吸着したことを確認してから手を離すと、リングの内側の空間が一瞬ぐにゃりと歪み…次の瞬間には、ルフィアの膣口と肛門がそこに現れた。
リングにかかっている魔法で、リングの中の鱗と性器の位置が入れ替わったのだ。
ヒトが四つん這いになった時と同じく、上が肛門、下が膣である。
「ど、どう…?ちゃんと“そっちに移ってる”?」
「ああ…しっかり見えてる」
「やった♪これで…
レッくんに、うしろからお尻を突いてもらえる!!」
実際、このルフィアの言葉がすべてなのだが、ここで改めて説明しよう。
まず、ルフィアのようなマーメイドには本来両脚がなく、腰から下は根元からひとつに繋がっており、そして女性器や肛門は体の前面についている。
つまり後背位や座位といった、背後から挿入する体位ができないのだ。
『人化の魔法』で変化させた脚は所詮かりそめのものであり、よほど魔法に熟達した者でもない限り、性的な興奮や快楽で簡単に魔法が解けて元に戻ってしまう。
夫から、獣の交尾のように背後から激しく突かれる、あるいはヘコヘコと情けなくも必死に腰を振られる。その悦びを味わえない──それが人魚やラミアなど、二本足でない種族に共通する宿命であった。
もちろん反対に、人魚やラミアならではの交わり方というものもあるが…それでも、手が届かないとなると余計に憧れてしまうものだ。
かつては人間であり、いまも人化の魔法を頻繁に使うルフィアであれば尚更である。
そんな中、転移魔法の研究をしていた一人の魔女によって、体の一部を入れ替えるだけのジョークグッズとして開発されたこのリングは、サバトの主バフォメットによって“好きな位置に性器を移動させられる魔道具”としての有用性を見出され、その機能を大きくアピールした広告と共に発売されたのである。
憧れの体位が実現できる、日々の営みに大きな変化をもたらせる…異形の下半身を持つ種族を筆頭に、魔物娘達が飛びつかないわけがない。まさに夢の発明品であった。
「それで、あの…れ、レッくん、いつまで見てるの?
い、息が…熱いよ……」
ぺろり。
「はぅん!!?」
大きな反応。
相手が見えない分、感覚を背後に集中してしまうのだろうか。ルフィアの性器はいつもより敏感になっている気がする。
こうした時、ついイタズラしたくなってしまうのも、グレゴリーという男のサガである。
「い、いじわるしないで……早く、おちんちん、入れてよぅ…」
「ハハハ、悪い悪い。それじゃあ…」
興奮だけで既に濡れそぼっている膣口から蜜を指ですくい取ると、すでに勃起しきった己のペニスと、期待するかのようにひくつくルフィアの窄まりに塗り付ける。
そんな事をしなくとも、魔物娘の身体は自分のモノを受け入れてくれるであろう事は分かっていたが、相手の体を気づかい、ケアする気持ちを忘れないのが礼儀であり、愛情というものである。
熱い肉槍の尖端をアヌスにあてがうと、その熱にわななく括約筋の感触を楽しむのもそこそこに、勢いよく根元まで突き入れてしまった。
「あふううぅっ…!!!」
体をのけぞらせ、快楽に打ち震えるルフィア。
顔が見えなくても可愛らしく思うが、今日のグレゴリーはそれにかまう事なく、いきなり激しく腰を繰り出してやる。
大きく広がったセピア色の肉輪がペニスに引っ張られ、卑猥な粘着音とともに、めくれ出たり入ったりをせわしなく繰り返す。
「うあっ、あっ、はっ、はあっ、レッくん、はっ、げし…!?」
ルフィアの反応が、これまでにアナルを試した時とは段違いで強く、初々しい。そもそもアナルセックス自体あまりしてこなかったというのもあるが。
先に述べた体の構造上、ノーマルセックスとアナルセックスのどちらも同じ体位で交わることになるとなれば、ノーマルの方を優先してしまうのも仕方がないだろう。なにしろ、膣以外に精を出しても子供は望めないのだから。
「くっ…ルフィア、いつもより、さらに、締まってる…!」
「はぁっ、ぅっ、ぉ、あっあっ!お、ひり、こんな、すご、なんてへぇっ…!!」
だが、だからこそ、こうして気分が盛り上がっている時は格別であった。
魔物娘の肛門や直腸は、排泄器官であると同時にれっきとした搾精器官である。
お互いに対して、膣とはまた異なる快楽をもたらしてくれるほか、今日は雰囲気という重要なスパイスが効いている。
すなわち『自分達は道具を買って、宿命をねじ曲げてまで、性器でない穴を、ただ快楽を味わうためだけに、後ろから激しく蹂躙している』という、何重もの背徳感だ。
ほかの魔物娘カップル、あるいはこれまで本作で語ってきた二人の営みと比べれば至極ささやかな部類の変態性欲であろうが…こうしたものは、その時二人がどう思っていたかが重要なのだ。
「ああああっ、だっだめっ、こんなの、だめええぇ!!」
「何が、ダメだって…!?そんなに、よがってる、くせに…!」
雰囲気を味わった後は、お互いに、言葉で背徳感をさらに高める。
二人はすでに、示し合わせる必要もなく、いわゆる阿吽の呼吸でそれができる。
心の中に飼っている嗜虐の獣を目覚めさせたグレゴリーは、抽迭を続けつつ、鱗と魚由来の粘液に覆われたルフィアの豊満な尻を撫でながら…不意に、ぱぁん、と叩いてやった。
「きゃあぁぁぁう!!?」
ひときわ鋭い悲鳴が上がる。
幼い頃から大人しく聞き分けのよい子供だったルフィアは、親にお尻を叩かれたことなど一度もなかった。(グレゴリーは何度かあった)
これまでの営みも前述の通り、体の前からであったために叩くような機会もなく、これが正真正銘、生まれてはじめてお尻を叩かれた経験であった。
いわれのない暴力と捉えられるかもしれない。
だが魔物娘の肉体は、その打擲が、自分の身体で伴侶が興奮してくれているために与えられたことを意識せずとも察知し、鋭い痛みをさらなる快楽へと変換して脳に伝えてくる。
「くあぁぁッ…!?」
ルフィアの腰回りの筋肉が強張り、食いちぎられそうなほど強く締め付けられて、グレゴリーは目から火花が飛ぶような快感と共に、早くもルフィアの腸内に精液を放つ。
しかし、この新鮮な、オスの獣欲と征服感を煽り立てるような体位はグレゴリーを強く興奮させ、一度の射精程度ではペニスがまったく衰えない。腰に力を込めて、ピストンを再開した。
「うあっ、はああああっ…!レッくんのが、おなかにっ…!!
…あっえっ、ふあぁっ、あっだめっ、いま、うごいちゃ…!?」
びくびく痙攣する腰から下とは反対に、ルフィアの上半身と、それを支えていた腕からは力が抜け、ベッドに沈んでいく。
するとルフィアの巨大な乳房は上半身とベッドの間に挟まれてつぶれ、さながらクリームを挟んだお菓子を上から押しつぶしたように、大量の白い柔肉が逃げ場を求めて体の左右に広がっていった。
その光景に、グレゴリーの目は自然に吸い寄せられ、自然に手が伸びてゆく。
「んはぁぁぁっ…!やだっ、やっ、なにこれっ、おしり、おかされながら、おっぱいっ、あっ、なんで、こんな、きもちいいぃ!!」
パン生地をこねるように、上から押しつぶし、下から持ち上げ、手のひらに収まらない質量をもにゅもにゅと堪能すると、ルフィアはいつもより大げさなくらいの反応を返してくる。グレゴリーの姿が見えない分、与えられる快楽に身構えられず敏感になっているのだろうか。
反応に合わせ、ルフィアの腸内も震えながら蠕動し、グレゴリーのペニスをさらなる快楽で責め立ててくる。
それに反撃するように、グレゴリーもなお激しく肛門をえぐりながら、尻を叩いたり腰ヒレを強く握ったりと、痛いほど強い刺激を与えてルフィアをさらに乱れさせた。
「んぐっ…んぐうううぅぅッ♪」
快楽のあまりルフィアは完全にベッドに突っ伏してしまい、聞こえてくるのはくぐもった嬌声だけだ。
歌えば誰しもを魅了するであろうルフィアの声は、いま、最愛の夫に尻穴を犯されて気持ちいいことを伝えるためだけに使われていた。
時折、グレゴリーの睾丸や内股に熱い飛沫が降りかかる。
いつになく強い刺激により、すでにルフィアは何度も何度も絶頂してしまっているようで、物欲しそうにぱくぱく開閉する膣口から、潮や愛液を飛び散らせているのだ。
下半身だけでもわかるこの乱れよう…今のルフィアはどんなにいやらしく、可愛らしい顔をしているのだろうか。顔が見られない事がただ残念だった。
「ぐっ、そろそろ、また、出すぞ……!!」
「んんっ、んうふぅぅ…ふあっ、だひてっ、おしりに、だしてぇぇ…!!!」
ルフィアがベッドから顔を上げ、上体を反らせだす。腰もがくがくと痙攣をはじめ、ひときわ大きな絶頂を迎えようとしているのがわかる。
腰ヒレを強く掴み、爆発寸前のペニスを限界まで腸奥に叩き込み、弾けさせた。
「あっあ、ンああああああぁぁぁぁ───ッ…!!!」
「ッあぁぁぁ…!!!」
「は、ああ、ぁぁ…おなか、あづっ…いく、またいくぅっ…!!」
本来ならば出すための器官が、滅茶苦茶に締め付けながら蠢き、逆にグレゴリーの精を吸い上げていく。
意識ごと吸い出されそうな快楽を伴いながら、グレゴリーは長々と射精し続け…
何分も経ってようやく出し終え、ペニスを引き抜くと、脱力してルフィアの隣に倒れ込んだのだった。
良質な交わりと大きな絶頂がもたらす甘い余韻が、二人の中でいまだ持続する中、ルフィアが口を開く。
「はぁ〜……すごすぎたぁ。
体勢ひとつで、お尻の穴もこんなに盛り上がっちゃうんだ…」
「ああ。…オレも、あんなになるなんて思わなかった。
だから、その…うッ!?」
グレゴリーが何か言うより早く、ルフィアは彼の腰に抱きつき、白濁し泡立った液体にまみれたペニスを口に含む。
魔物娘の体は、常に身にまとう魔物の魔力の作用により、つい先程まで排泄器官に入っていたモノを口にしても問題ないほどに清潔が保たれている。(さすがに排泄物そのものまで清潔とはいかないようだが)
「んんっ、ぢゅるっ、れるる…」
「おっ、おい。何を…!」
「……ぷはっ。だってレッくん、また謝ろうとしたでしょ?
激しくした後はいつも申し訳なさそうにして…
私はああしてほしかったんだから、気を使ったりしないでってば」
「う…」
「なりたての頃は、ビックリしてちょっと怒っちゃうこともあったけどさ。
本当は、自分の身体で旦那様が興奮してくれるのって、魔物娘にとってすっごく嬉しいことなんだよ。だから、ぜんぜん大丈夫。
…まあ、レッくんのそんな所も可愛いんだけど♪」
「ごめ……いや、わかった」
「うんうん♪
…で、私が言いたいのは、それだけじゃなくてぇ…」
ルフィアは再び四つん這いの体制になり、グレゴリーにお尻を向ける。
先ほどの白濁がわずかに肛門から垂れ落ちる下では、何度も絶頂したばかりだというのに、ルフィアの女性器がいまだ大量の愛液を滴らせているのだった。
「もうちょっと休んだらでもいいんだけど…
おまんこも、後ろから犯してもらいたくなっちゃって♪」
「…しょうがないな」
魚が求愛するかのように、ゆらゆらとお尻とヒレを振って誘うルフィア。いや、それは求愛行動そのものである。
あれほど大量に搾り出されていても、人間をやめ、人魚のための雄となったグレゴリーの下半身は、ルフィアの淫らな求愛に応えて再び力をみなぎらせつつあった。
「お尻であんなにすごかったんだから、おまんこだったら…
一体、どうなっちゃうんだろうね?」
「あれ以上に乱れるのは間違いないとして…
う〜ん、そうなれば、どうにかしてルフィアの顔も見てみたいな…」
「恥ずかしいけど…たしかに私も、レッくんが気持ちよさそうにしてる顔見たいなぁ。
このリングだけでも十分、ぜいたくな夢が叶った気分なのに…欲が出ちゃうね」
「そうだな。
これも、人間や魔物娘の宿命…ってやつなのかも」
「…うふふ。レッくん今、カッコイイこと言った♪」
「かっ、からかわないでくれよ…
…でも、顔見るのも叶ったらもっと最高だよなあ。
そんな都合のいいものがないものか…ん?」
早くリングを使いたいあまり、これまで部屋の内装は気に留めてこなかったが、二人は壁に貼り紙があることに今さら気付き、その内容を読んでみた。
『各種道具(姿見・ローション・香炉等)貸します。詳しくは受付まで』
「…ああ、それがあったな」
「リングにはしゃぎすぎて、単純な事忘れてたね…」
そういえばここは魔物娘の経営する宿屋。プレイのための器具だって揃えられていても不思議はない。どころか、普通はあるものだ。灯台下暗しである。
二人は速攻で、姿見を含めた色々な道具を借りると、部屋に閉じこもり…
ようやく満足して宿を出て、当初の目的であった遺跡の見学へ向かう頃には、実に一週間も経過していたという。
24/10/17 12:48更新 / K助
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