連載小説
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オマケ
あるところに、勇者がいました。
勇者は神様の命を受け、魔物退治に乗り出しました。
街の人たちからの応援を受けながら、勇者は旅立ちました。
応援の中に真っ黒な女の子を見た気がしましたが、目立たなかったので、すぐ忘れてしまいました。
街からしばらく行くと、ゴブリンの群れに出くわしました。
ゴブリンは勇者に襲いかかろうとしましたが、勇者の後ろにいた、巨大なサイクロプスに驚き、逃げて行ってしまいました。
勇者もサイクロプスに驚き、腰を抜かしていましたが、サイクロプスは何も言わずに立ち去りました。
次に勇者が出会ったのは、グリズリーでした。
強い力で勇者を押し倒そうとしたところで、グリズリーは向きを変え、近くを通ったハニービーのあとを追って行ってしまいました。
次に勇者が出会ったのは、ドラゴンでした。
ドラゴンもまた勇者に襲いかかりました。
勇者が炎のブレスに苦しめられていると、どこからともなく、巨大なドラゴンが現れました。
二匹のドラゴンは互いにもつれ合い、山の頂上まで飛んで行きました。
山の頂上でにらみ合っていたドラゴンでしたが、何かを話すようなそぶりをしたあと、二匹とも、どこかへ飛んで行ってしまいました。
やっと魔王の城に到着した勇者。
月のない真っ暗な夜で、何も見えずに苦しめられる勇者。
もうだめかと思ったそのとき、一人の女の子が立ちはだかりました。
サイクロプスのような、ドラゴンのような力もなさそうな小さな女の子です。
「勇者様をいじめないで!」
女の子は、ドッペルゲンガーでした。
勇者のことが大好きで、付いてきてしまったのでした。
時にはサイクロプスに変身して、時にはハニービーに変身して、時にはドラゴンに変身して、勇者のピンチを救ってきたのは、女の子だったのです。
しかし、月のない夜に変身できなくなってしまう女の子は、今は、その姿のまま、勇者を助けに飛び出してきたのです。
「大好きな勇者様を、いじめないで!」
魔力もなく、何もできない女の子。
ただ、好きな人のために、という、優しい気持ちを勇気に変えて、立ちはだかったのです。
少女の心に胸を打たれた勇者は、今度は少女のために、自分の気持ちを捧げました。
「ずっと支えてきてくれて、ありがとう。
 君のような優しい女の子に、ずっと一緒にいてもらいたい」
その姿に胸を打たれた魔王は争いを止め、城の一室を二人のために用意しました。
そして、いつまでも仲良く、淫らに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
16/04/01 23:14更新 / cover-d
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■作者メッセージ
オマケ。それだけ。
字数制限あったことを忘れて、アップ直前に書き足したのはナイショ。

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