油断した……

首筋に鋭い無機質の物体が当てられる感触がする。声からして若い女性のようだ。
僕は素直に従った方が良いと判断し、背後の女性のうごきを待った。

「この森に何の用だ？」
「話をしたい人がいるんだ」
「こんな森の奥にか？」
「まぁね」
「……よし、ゆっくりとこちらを向け」

言われた通り振り返ると、そこには今回の目的であったワーウルフが立っていた。


武器を持っていなかったので、幸い敵ではないと証明するのは楽だった。
彼女はワーウルフのルノア。陶器のような白い肌、セリーヌも大きい方だが、
さらに豊満な胸は薄布では隠しきれず、深い谷間を作り上げている。
銀色の全身の体毛は光を浴び、淡く輝いていて、腰まである銀髪が高貴なイメージを与える。
少しつり上がった漆黒の眼は黒曜石のようだ。見た目は大体十代後半くらいだろうか。
まあ何年生きているかは分からないが……

「……おい、今失礼なことを考えなかったか？」
「っっ!!い、いえそんな事は、すごく綺麗な髪だな〜と……」
「そ、そうか。この髪は私の自慢なんだ」

髪を褒められたのが嬉しかったのか頬が少しだけ朱に染まり、
フサフサの尻尾が左右に揺れる。
そんなやりとりをセリーヌが恨めしそうな目で見てきた。

「ふ〜ん、だーりんはこーゆー子がタイプなんだぁ」
「ぶっ!!!な、な、何言い出すんだ急に」
「べつに〜、ただ本当のこと言っただけだよぉ？」
「そういう意味で言ったんじゃないよっ」
「ははは……」

そんな二人のやりとりにルノアは苦笑していた。



その後、討伐隊が編成されていること、二日後に進攻してくることを告げると

「ふむ、長に報告してからだな。お前達はどうする？付いてくるか？」
「いや、今日はもう帰るよ。また明日ここで会えるかな？」
「そうか、分かった。では明日の正午にここに来てくれ。ではまたな」

一瞬だが、尻尾が垂れて少し残念そうに見えたのは気のせいだろうか……

「それじゃあ」
「またね〜」

ルノアは森の中へと消えていき、僕達は宿に戻った。


−−−−−−−−−−−−−−−−−


別れてから私は森を駆けていた。
デイルか……なかなか良い男ではないか。あれで強ければ申し分ないのだが。
しかし、既にあのスライム娘がいるようだったし……諦めるか。

尻尾はぱたぱたしたと思ったら、シュンと垂れ下がり、忙しなく動いていた。

悶々としていると集落が見えてきた。私達が暮らしている里だ。
基本的には狩猟と採取で生活している。
今は二十人程のワーウルフと攫ってきた男が八人いる。
しかしどの男も既に他のワーウルフと夫婦になっていた。
我が里は一夫一婦制をとっている。
最近、めでたいことに子供が産まれたばかりだ。
魔物娘の大半は子供が産まれにくいので、
こういう時は皆で祝福し、宴をするのが流儀なのだ。
里に到着すると私は足早に族長のいる家へと向かい、中に入った。

「族長、失礼しますがお耳に入れてたいことが」

そこには切れ長で鋭い眼の全身の体毛が群青色で統一された
長髪のワーウルフが座っていた。

「ルノアか。どうした」
「はい、先程人間からの情報なのですが、
どうやら明後日ここに攻めてくる集団がいるようです」

この方こそが我々の族長である。族長は私の話を静かに聞いていた。

「如何いたしますか？」
「「…………」」

しばしの沈黙の後、おもむろに尋ねられた。

「情報に信憑性はあるのか？」
「おそらく。魔物も一緒にいたので、有力かと」
「……そうか、では皆を集めてくれ」
「直ちに」

すぐさま人を集めに行き、族長の元へ向かわせる。
私が族長の元へ戻った時には、既に話し合いは始まっていた。

『私は戦います！』

『最近になってようやく一人娘が生まれたのに……』

『あなた、大丈夫よ』

『迎え撃って、男を捕らえましょう！』

など思い思いのことを口にしている。
族長は私が戻ったことに気付き、

「ルノア戻ったか。それで、相手の規模は分かるか？」
「いえ……ですが、彼らとは明日また会う約束を取っています」
「では明日ここに連れてきてくれ」
「分かりました」

今日はあくまでも現状維持となった。各自元いた場所に向かって散ってゆく。

残ったのは私と族長だけであった。


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その頃、僕は一人で昨日訪れた酒場にいた。

「マスター、また少し聞きたいことが」
「なんでしょう？」
「今回の討伐に教団側とギルド側から何人くらい集まるんですか？」
「あくまで噂の域を出ませんが、教団からは二十人とも四十人とも言われてます。
遅くとも今日の夜に到着するようですね。ギルド側は多くとも二、三十人といったところでしょう」
「そうですか。色々とありがとうございました」
「あなたは参加されないのですか？」
「……今回はパスですね」

そのまま酒場をあとにする。
少なくとも合わせて五十人程は集まりそうだ。
くそ……かなり厳しいな。下手すればセリーヌも巻き込んでしまう。
宿に戻ってセリーヌに一度相談しよう。


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宿に戻り、セリーヌとテーブルについて事情を説明した。

「……ということなんだが、セリーヌには選ぶ権利があるんだ。
まず一つはこの宿にいること。僕は出来ればそうして欲しい。
もう一つは元いた場所に帰ること。これは確実に安全だけど、もう会うことは出来ないと思う。
最後の一つは危険を承知で僕と一緒に行くことだよ」

セリーヌは黙って聞いてくれたが、ついに沈黙を破った。

「……それ本気に聞いてる？わたしは」
少し怒ったような、寂しそうな表情で聞いてくる。
彼女とはまだ短い付き合いだが、なんと言うかぐらいは正直僕は分かった。

「「わたしも行く」でしょ？」

彼女の言うことを言い当てるとお互いに笑いがこぼれた。

「それで、これからどーするの？」
「うん、まずは武器を買おうかと思ってる。流石に素手はキツいからね」
「あのさ……わたしも欲しいものあるんだけど、いいかな？」

おずおずと聞いてくる。

「何かな？あまり高価でなければ良いよ」

恐ろしく高いものじゃなければ、買えるよね？僕の財布……

「あのね、だーりんの精子が欲しいの……ち、ちがうよ!?
したいってわけじゃなくて、いや、したいはしたいんだけど
出来るだけ魔力があった方が良いから、ね？」

いろんな意味で遙かに上をいっているとんでもない爆弾が降ってきましたよ……

「ってことはつまり……するんだよね？」
「もっちろん♪」

　
僕はそのままの流れでソファに腰掛けると、前にセリーヌがしゃがみ込んだ。

「今回は口でしてあげるねぇ♪」

「お、お手柔らかに」

昨日してもらったフェラチオを思い出し、若干息子が固くなるのを感じる。
ズボンの隙間から半勃起状態のペニスを取り出すと、パクッと口に含み、しゃぶってくれる。

「んむ、ぐじゅ、じゅぷ……ぷはぁっ、もうガッチガチだね♪」
「仕方ないよ、気持ちいいんだから」

完全に勃起したペニスを見てうっとりとした表情を浮かべるセリーヌ。

「うふふ〜もっとわたしで気持ちよくなってね♪はむっ」

再び咥え直すと緩やかなストロークで扱き始める。
口の中のいたる所が肉棒全体を包み込んで吸い付いてくるようだ。

「んっ、んっ、んっ……んぐ、ろうかな？」
「ああ……気持ちいいよ」

口の中では舌が竿全体を這い回り、鈴口をちろちろと刺激するたびに甘美な快感が脳を痺れさせ、
たまらずガマン汁を出してしまうが、僕にはどうしようもなかった。
セリーヌの滑らかな舌がその都度綺麗に舐めとっていくが、まったく止まる気配はない。
むしろ舐めれば舐める程濃度は増していき、セリーヌの舌にねっとりと纏わり付いている。

「じゅるる、ぷはあぁ……そろそろイかしてあげるね。
ぱくっ……じゅるっ、じゅぞっ、じゅぞぞぞっ！」
「ぉぅっっっ！！！」

突如腰が浮いてしまうほどの激しい快楽が押し寄せてきて、
声にならない声が出てしまう。
根元まで飲み込んでのバキュームフェラは流石は魔物というべきか、
僕を呆気なく絶頂へと導いてゆく。

「だめだ、もう……でるっ！」


−−−ブピュッ、ビュルル、ビュルンッ！−−−


強烈な快楽により視界が真っ白になる。

「んんん〜!……じゅる、んふうぅ」
「う、くっ」

尿道に残った精子を吸いながら引き抜かれて、射精直後で敏感になっていた僕の愚息に
再び快楽の電流が流れ、思わずうめいてしまった……

「みへよ〜、ふぉんなにれたよ♪」

セリーヌは口の中いっぱいに広がった精液を見せつけてくる。
別に透明であるから口を開けなくとも見えることは見えるが
やはり自分から見せてくるというシチュエーションがたまらなく淫靡である。

「みっ、見せなくて良いからっ」
「ほお？」
「良いから早く飲み込んでよっ」
「んん〜、もごもご……こくっ、こくっ、こくん。はうぅう、とってもおいしかったよ〜♪」

舌の上で数回転がした後、味わいながらゆっくりと飲み込んでいるが、
僕その間に己の愚息をいそいそとしまう。
あんなの恥ずかしくて見てられる訳がない。

「それじゃあちょっと買い物してくるから」
「うん、りょーかいー」

しかし僕は絶頂の余韻で上手く足腰に力が入らず、
おぼつかない足取りで武器屋へと向かって出て行く。


武器屋には大した逸品は無かったけど、無いよりは良いと思ったので
一般的なショートソードを銅貨６枚で購入した。
（単位当たり我が国の価値に換算すると……
金貨＝５００００、銀貨＝１００００、大銅貨＝２０００、銅貨＝５００、銅銭＝１００程度）

【以後、貨は省略】

剣は腰に固定する。よし、思ったより悪く無いな。
そうだ、道具屋にも行っておこうかな……
傷薬、消毒薬、包帯とか必要になるかもしれないし。急遽、道具屋にも寄っていった。



ショートソード：銅６
傷薬×３：銅３
消毒薬：銅銭２
包帯〈大〉：銅１

計：銅１０、銅銭２


−−−残り：金２、銀５、銅５、銅銭３−−−


僕が宿に戻る頃には既に日は沈み、夕食が出来上っていた。
セリーヌは待ってくれていたようで、彼女の前には綺麗な食器が置いてある。
女将さんは奥でシチューを温め直してくれている。
このシチューは今まで食べたどんなシチューよりも絶品であった。
でも、セリーヌの食べた物が透けて見え、
いつの間にか消化されている光景はまだ慣れないなぁ……

今夜は明日に備え、早めに寝ることにしよう。
もちろんセリーヌとは別々で。

■作者メッセージ
なかなか執筆に苦戦してます……
お陰様で９００突破しました。これからもよろしくお願いします。