武力に自信のない男がリザードマンをお嫁さんにするには
俺はアル、冒険者だ。
色々な依頼を受けダンジョンを攻略をしながら食い扶持を稼いでいる。
ある所ではホーネットが頻繁に出没する森林へ珍しい薬草を取りに行ったり、
別の所ではおばけが出るというお屋敷に眠る財宝を探しに行ったり、
また別の所では多くのアラクネが住むという洞窟へ糸を探しに行ったりした。
自慢じゃないが、俺は今まで受けた依頼は全て成功させているのさ。
いや、自慢じゃないというより、自慢できないんだけどさ……
普通冒険者と言ったら持ち前の剣の技術や魔法を駆使すると思うんだが俺は違う。
俺はその……逃げ足だけ異常に速いんだ。
森林へ行った時には薬草を採取してる最中にホーネットが何匹も現れたが素早く収集素早く撤収。
屋敷へ行った時には3階の部屋を物色し終えたらゴーストが出てきたが悲鳴を上げつつ脱走。
洞窟へ行った時には罠であろうクモの巣の端っこをねこばばしアラクネとご対面したら即逃げた。
ほんと、自慢できるようなことじゃないよな、他の冒険者には話せっこないさ。
だが、こんな俺とも今日でおさらばだ。
実はここの街のとある道具屋では魔術を込めた装備を取り扱っているらしい。
それを装備すれば怪力になったり俊足になったりするってもっぱらの噂だ。
俊足っつっても『コーナーで差をつけろ』ってレベルじゃねえらしいのさ。
その店に行って装備を新調すれば冒険者らしい戦いができるようになるはず。
今までこなした依頼で金はそれなりに貯めた、今日から俺は生まれ変わるのさ！
「ここ……か？ 思ったより小さな店だな」
噂の出所から突き止めたその店はこじんまりとしていた。
中に入っても人は眠たげな店主が居るだけ、品物の数もそう多くない。
こりゃただの噂だったかなぁと少し残念になったが、ひとつ気になる商品を見つけた。
「なぁ店主、この剣はどんな代物だ？」
俺が目をつけたのは剣だった。
今自分が持ってるのと大きさは大して変わらないが、なんというか輝きが違った。
「あぁそれかい？ 剣の技術を底上げするまじないのかかったモンだよ」
「買った！」
剣の技術が上がるだとぉ！？ 買わずにはいられないな！
剣を使って依頼を華麗にこなす様ってのはまさに冒険者だな！
「お買い上げどうもー。値段は1500ゴールドだよ」
「おうよ！ 早速装備させてもらうぜ！ 古い剣は処分してもらってもいいかい？」
「はいはーい。あ、ちょっと剣のことで注意事項があるんだけど……」
「サンキュ店主！ 冒険が始まる！ ドキドキが始まるぜ！！」
店主がまだなんか言ってたけどそんなの関係ねぇ！
早速この剣と冒険だぜ！ ちょっとした冒険ってやつだな！
「……まぁいいかー」
店で剣を買ってから1か月ほど、また多くの依頼をクリアしてきた。
森林での薬草採取は剣を用いて寄ってくるホーネットどもを蹴散らし、
屋敷での宝石どろぼ……もとい財宝収集では剣の光でゴーストどもをひるませた。
この剣を装備してから、魔物達が以前ほどギラギラした視線を注がないようになったような気がする。
剣を持ってからの俺はもしかしたら『俺ってば超強いんだぜ』的なオーラが見えてるのかもしれない。
「さて、今度は洞窟で糸の収集の依頼をこなすかね」
以前受けた時はアラクネに見つからないようにコソコソして見つかったら逃げてた。
しかし今の俺ならこの剣で追い払える気がする、早速出発だ！
洞窟に足を踏み入れて十数分ほど経っただろうか、人影が目に付いた。
「同業者かな……いや……」
近づくにつれシルエットが浮き彫りになってくる。
身長は自分と同程度だが、大きな尻尾や手や足の先に鋭利な爪、そして立派な剣を携えている。
その人影はリザードマンだった。
「魔物か……リザードマンとの遭遇は初めてだな……」
俺は剣を抜き相手の様子を観察し始めた。
聞いた話だとリザードマンという種族は大抵が鋭い目つきをしているらしい。
長い髪を一つに結わえた相手の顔をよく見てみると、なるほど確かに目は鋭く……え、あれ？ 柔和な感じだぞ？
「お、おい、お前リザードマンだよな？」
「うん……♪ 私の名前はリサ……お察しの通りリザードマンだよ……♪」
なにかおかしい、リザードマンはとげとげしい態度の魔物らしいと聞いていたがイメージと全然違う。
頬は朱に染まってるしすっごい扇情的な視線だし舌舐めずりまでしている。
リザードマンは武を重んじ決闘をする魔物なのに……そうだ決闘、今は戦いなんだ、見とれるな俺！
「おい、お前！」
「お前じゃなくてリサって呼んでほしいな♪」
「知ったことかメンドクセェ勝負だ勝負！！」
相手のリザードマンはと言えば剣は構えているものの戦う意思があまり見られない。
チャンスとばかりに剣をふるい、この剣を使いだしてから何度も繰り返した型を思い出し相手の武器を狙う。
金属同士がぶつかり合う音が響いた数秒後、リザードマンの武器は少し先へと飛ばされていた。
（え、いやこれで終わりか？ まだ本気じゃ……）
「アンタの勝ちね！ じゃあ私アンタに嫁ぐから♪」
「え、は、いやなに言ってん」
剣を弾き飛ばされた後のリサの動きは早かった。
タックルされて倒れたと思ったら顔が目の前にあって気付いたら口の中が蹂躙されている。
舌から歯茎から何から何まで丁寧に舐めまわされていく。
「ぷはぁ♪ キモチいいでしょ♪」
「ちょ、いや何してんのお前てか一瞬で押し倒すとか俺より強いんじゃねお前つか本気出してなかっただろってそれより」
「難しいことはいいのぉ♪ アンタの名前は？」
「……アルだけど」
「じゃぁアル、続きしましょう？」
そう宣言し鋭利な爪で衣服をずたずたに引き裂くリサ……ほんと俺より強いだろアンタなんでわざと負けてんだ。
てかディープなキッスでもう勃ってるしおいおいキスだけで臨戦態勢に入るなよ愚息よ。
反応が気になりリサの顔を覗き込むとなんかすげぇ嬉しそうに俺の見てるよ。
「ふふ……いただきまぁす♪」
「え、ちょいきな」
ぬりゅん、とでもいうような音を立ててリサの中へと一気に入り込んだ。
中はなんて言うか温かくて締め付けられて気持ちよくて……まぁなんだ、童貞だからね、うん。
べっぴんさん相手だし俺初めてだし仕方ないよね早漏ってわけじゃないようんきっと多分。
「ごめ、もう出そ……」
「出してぇ♪ 奥にアルのせーしどぴゅって出してぇ♪」
ひときわ大きな快感を感じ、思い切りリサに射精した。
……ておいなんでまだ動いてるんだリサよそんな動くとまた気持ち良くなるんですけど。
そんなこと考えつつリサの顔を見れば（まだイケルよね）とでも言いたそうに目に星やらハートやら詰まらせていやがる。
やれやれ……まぁ気持ちいいからとりあえずいいかな……
数時間たっただろうか（いや初めてが洞窟で数時間つながりっぱなしとか予想外です）、やっと解放された。
まぁやっちまったし惚れちまったしで一緒に住むことになったんだが、気になることがあって一度街に戻ってきた。
目的地は剣を買った道具屋、店に入るとやっぱりガラガラで眠そうな店主が居た。
「おや、久しぶりだねぇ。剣の調子はどうだい？」
「あぁ久しぶり、そこらへんも踏まえてちょいと質問があるんだけどさ」
俺はここ1カ月のことを説明した。
剣の技術が上がったこと、多くの依頼をこなしたこと、その際には魔物があまり近寄らなかったような気がすること。
リサと出会ったこと、リサがわざと負けたっぽいこと、逆レイプされたこと……は言わずに一緒に住むことにしたことを話した。
「でさ、なんでこうなったか分かんないかね？」
「そらそうなるさ、その剣にはリザードマンの魔力が込められてるんだからさ」
……はい？
何言いだしてんだおっさんと思ったがそのままぺらぺらと説明しだしてくれた。
噂になってた魔術を込めた装備は一般的には呪われた装備だということ。
その装備をつけると女性なら込められた魔力の魔物に、男性なら込められた魔力の魔物に好かれるようになること。
そしてこの店の商品はもともとはお嫁さんを探すための商品を置いていたということ。
「お前さんが買ったモンは武力が上がる剣ってのは知ってるよな？」
「おう、それに惹かれて買ったんだからな」
「で、リザードマンは真剣勝負で負けた相手に惚れる習性があるからね、これを装備すりゃリザードマンを嫁にできるってもんなのさ」
「いや、リサはわざと負けたみたいに見えたぞ？」
「込められた魔力で魔物に好かれやすくなるんだ、1か月装備しっぱなしだったお前さんは良いにおいプンプンしてたろうさ」
「な、なるほど……リザードマン以外の魔物があんまり本気じゃないように見えたのは自分好みのにおいじゃなかったからか……」
『俺ってば超強いんだぜ』的なオーラとか考えてた自分が馬鹿みたいだ。
1か月の間にリザードマン御用達なにおいに変わっていった結果リサが夫にしたいと見初めてくれたわけだ。
「ちなみにうちには他にコカトリスを嫁にするために羽根をあしらった速力のあがる靴とかもあるよ」
「靴？ なんでそんなものでコカトリスを嫁に出来るんだ」
「コカトリスは臆病でね、最初は逃げちまうのさ。自分を追いかけて捕まえてくれる男が欲しいのさ」
「あぁ、だから早く走れる靴か。噂に聞いてた俊足になれる装備ってのはそれだな」
「そういうわけだな。最後にひとつ聞いていいかい？」
「ん、なんだ？」
「その剣買って、良かったかい？」
ここ1カ月のことを思い出してみる。
たった少しの間とはいえ冒険者らしく戦えたし、美人の嫁さんも今日出来た。
「もちろんさ」と笑って答えたら、店主も「そうか」と笑い返してくれた。
色々な依頼を受けダンジョンを攻略をしながら食い扶持を稼いでいる。
ある所ではホーネットが頻繁に出没する森林へ珍しい薬草を取りに行ったり、
別の所ではおばけが出るというお屋敷に眠る財宝を探しに行ったり、
また別の所では多くのアラクネが住むという洞窟へ糸を探しに行ったりした。
自慢じゃないが、俺は今まで受けた依頼は全て成功させているのさ。
いや、自慢じゃないというより、自慢できないんだけどさ……
普通冒険者と言ったら持ち前の剣の技術や魔法を駆使すると思うんだが俺は違う。
俺はその……逃げ足だけ異常に速いんだ。
森林へ行った時には薬草を採取してる最中にホーネットが何匹も現れたが素早く収集素早く撤収。
屋敷へ行った時には3階の部屋を物色し終えたらゴーストが出てきたが悲鳴を上げつつ脱走。
洞窟へ行った時には罠であろうクモの巣の端っこをねこばばしアラクネとご対面したら即逃げた。
ほんと、自慢できるようなことじゃないよな、他の冒険者には話せっこないさ。
だが、こんな俺とも今日でおさらばだ。
実はここの街のとある道具屋では魔術を込めた装備を取り扱っているらしい。
それを装備すれば怪力になったり俊足になったりするってもっぱらの噂だ。
俊足っつっても『コーナーで差をつけろ』ってレベルじゃねえらしいのさ。
その店に行って装備を新調すれば冒険者らしい戦いができるようになるはず。
今までこなした依頼で金はそれなりに貯めた、今日から俺は生まれ変わるのさ！
「ここ……か？ 思ったより小さな店だな」
噂の出所から突き止めたその店はこじんまりとしていた。
中に入っても人は眠たげな店主が居るだけ、品物の数もそう多くない。
こりゃただの噂だったかなぁと少し残念になったが、ひとつ気になる商品を見つけた。
「なぁ店主、この剣はどんな代物だ？」
俺が目をつけたのは剣だった。
今自分が持ってるのと大きさは大して変わらないが、なんというか輝きが違った。
「あぁそれかい？ 剣の技術を底上げするまじないのかかったモンだよ」
「買った！」
剣の技術が上がるだとぉ！？ 買わずにはいられないな！
剣を使って依頼を華麗にこなす様ってのはまさに冒険者だな！
「お買い上げどうもー。値段は1500ゴールドだよ」
「おうよ！ 早速装備させてもらうぜ！ 古い剣は処分してもらってもいいかい？」
「はいはーい。あ、ちょっと剣のことで注意事項があるんだけど……」
「サンキュ店主！ 冒険が始まる！ ドキドキが始まるぜ！！」
店主がまだなんか言ってたけどそんなの関係ねぇ！
早速この剣と冒険だぜ！ ちょっとした冒険ってやつだな！
「……まぁいいかー」
店で剣を買ってから1か月ほど、また多くの依頼をクリアしてきた。
森林での薬草採取は剣を用いて寄ってくるホーネットどもを蹴散らし、
屋敷での宝石どろぼ……もとい財宝収集では剣の光でゴーストどもをひるませた。
この剣を装備してから、魔物達が以前ほどギラギラした視線を注がないようになったような気がする。
剣を持ってからの俺はもしかしたら『俺ってば超強いんだぜ』的なオーラが見えてるのかもしれない。
「さて、今度は洞窟で糸の収集の依頼をこなすかね」
以前受けた時はアラクネに見つからないようにコソコソして見つかったら逃げてた。
しかし今の俺ならこの剣で追い払える気がする、早速出発だ！
洞窟に足を踏み入れて十数分ほど経っただろうか、人影が目に付いた。
「同業者かな……いや……」
近づくにつれシルエットが浮き彫りになってくる。
身長は自分と同程度だが、大きな尻尾や手や足の先に鋭利な爪、そして立派な剣を携えている。
その人影はリザードマンだった。
「魔物か……リザードマンとの遭遇は初めてだな……」
俺は剣を抜き相手の様子を観察し始めた。
聞いた話だとリザードマンという種族は大抵が鋭い目つきをしているらしい。
長い髪を一つに結わえた相手の顔をよく見てみると、なるほど確かに目は鋭く……え、あれ？ 柔和な感じだぞ？
「お、おい、お前リザードマンだよな？」
「うん……♪ 私の名前はリサ……お察しの通りリザードマンだよ……♪」
なにかおかしい、リザードマンはとげとげしい態度の魔物らしいと聞いていたがイメージと全然違う。
頬は朱に染まってるしすっごい扇情的な視線だし舌舐めずりまでしている。
リザードマンは武を重んじ決闘をする魔物なのに……そうだ決闘、今は戦いなんだ、見とれるな俺！
「おい、お前！」
「お前じゃなくてリサって呼んでほしいな♪」
「知ったことかメンドクセェ勝負だ勝負！！」
相手のリザードマンはと言えば剣は構えているものの戦う意思があまり見られない。
チャンスとばかりに剣をふるい、この剣を使いだしてから何度も繰り返した型を思い出し相手の武器を狙う。
金属同士がぶつかり合う音が響いた数秒後、リザードマンの武器は少し先へと飛ばされていた。
（え、いやこれで終わりか？ まだ本気じゃ……）
「アンタの勝ちね！ じゃあ私アンタに嫁ぐから♪」
「え、は、いやなに言ってん」
剣を弾き飛ばされた後のリサの動きは早かった。
タックルされて倒れたと思ったら顔が目の前にあって気付いたら口の中が蹂躙されている。
舌から歯茎から何から何まで丁寧に舐めまわされていく。
「ぷはぁ♪ キモチいいでしょ♪」
「ちょ、いや何してんのお前てか一瞬で押し倒すとか俺より強いんじゃねお前つか本気出してなかっただろってそれより」
「難しいことはいいのぉ♪ アンタの名前は？」
「……アルだけど」
「じゃぁアル、続きしましょう？」
そう宣言し鋭利な爪で衣服をずたずたに引き裂くリサ……ほんと俺より強いだろアンタなんでわざと負けてんだ。
てかディープなキッスでもう勃ってるしおいおいキスだけで臨戦態勢に入るなよ愚息よ。
反応が気になりリサの顔を覗き込むとなんかすげぇ嬉しそうに俺の見てるよ。
「ふふ……いただきまぁす♪」
「え、ちょいきな」
ぬりゅん、とでもいうような音を立ててリサの中へと一気に入り込んだ。
中はなんて言うか温かくて締め付けられて気持ちよくて……まぁなんだ、童貞だからね、うん。
べっぴんさん相手だし俺初めてだし仕方ないよね早漏ってわけじゃないようんきっと多分。
「ごめ、もう出そ……」
「出してぇ♪ 奥にアルのせーしどぴゅって出してぇ♪」
ひときわ大きな快感を感じ、思い切りリサに射精した。
……ておいなんでまだ動いてるんだリサよそんな動くとまた気持ち良くなるんですけど。
そんなこと考えつつリサの顔を見れば（まだイケルよね）とでも言いたそうに目に星やらハートやら詰まらせていやがる。
やれやれ……まぁ気持ちいいからとりあえずいいかな……
数時間たっただろうか（いや初めてが洞窟で数時間つながりっぱなしとか予想外です）、やっと解放された。
まぁやっちまったし惚れちまったしで一緒に住むことになったんだが、気になることがあって一度街に戻ってきた。
目的地は剣を買った道具屋、店に入るとやっぱりガラガラで眠そうな店主が居た。
「おや、久しぶりだねぇ。剣の調子はどうだい？」
「あぁ久しぶり、そこらへんも踏まえてちょいと質問があるんだけどさ」
俺はここ1カ月のことを説明した。
剣の技術が上がったこと、多くの依頼をこなしたこと、その際には魔物があまり近寄らなかったような気がすること。
リサと出会ったこと、リサがわざと負けたっぽいこと、逆レイプされたこと……は言わずに一緒に住むことにしたことを話した。
「でさ、なんでこうなったか分かんないかね？」
「そらそうなるさ、その剣にはリザードマンの魔力が込められてるんだからさ」
……はい？
何言いだしてんだおっさんと思ったがそのままぺらぺらと説明しだしてくれた。
噂になってた魔術を込めた装備は一般的には呪われた装備だということ。
その装備をつけると女性なら込められた魔力の魔物に、男性なら込められた魔力の魔物に好かれるようになること。
そしてこの店の商品はもともとはお嫁さんを探すための商品を置いていたということ。
「お前さんが買ったモンは武力が上がる剣ってのは知ってるよな？」
「おう、それに惹かれて買ったんだからな」
「で、リザードマンは真剣勝負で負けた相手に惚れる習性があるからね、これを装備すりゃリザードマンを嫁にできるってもんなのさ」
「いや、リサはわざと負けたみたいに見えたぞ？」
「込められた魔力で魔物に好かれやすくなるんだ、1か月装備しっぱなしだったお前さんは良いにおいプンプンしてたろうさ」
「な、なるほど……リザードマン以外の魔物があんまり本気じゃないように見えたのは自分好みのにおいじゃなかったからか……」
『俺ってば超強いんだぜ』的なオーラとか考えてた自分が馬鹿みたいだ。
1か月の間にリザードマン御用達なにおいに変わっていった結果リサが夫にしたいと見初めてくれたわけだ。
「ちなみにうちには他にコカトリスを嫁にするために羽根をあしらった速力のあがる靴とかもあるよ」
「靴？ なんでそんなものでコカトリスを嫁に出来るんだ」
「コカトリスは臆病でね、最初は逃げちまうのさ。自分を追いかけて捕まえてくれる男が欲しいのさ」
「あぁ、だから早く走れる靴か。噂に聞いてた俊足になれる装備ってのはそれだな」
「そういうわけだな。最後にひとつ聞いていいかい？」
「ん、なんだ？」
「その剣買って、良かったかい？」
ここ1カ月のことを思い出してみる。
たった少しの間とはいえ冒険者らしく戦えたし、美人の嫁さんも今日出来た。
「もちろんさ」と笑って答えたら、店主も「そうか」と笑い返してくれた。
11/08/18 22:21更新 / G7B