「はーい、勇者さん。脱ぎ脱ぎしましょうねー」
「いやだっ！？　俺は自分で着替えられるっ！」
「えー……これも拷問の一環なんだから。ちゃんと言うこと聞かないとダメなのです」
「こんな拷問あってたまるかっ！」
「あるんです。ここに！」

　どん、とない胸を張る目の前のサキュバスの拷問官――「ユエ」に教団の勇者である俺「ミナト」は小さくため息をついた。
　俺が魔界にたどり着いてはじめて会った魔物であり俺を瞬殺した魔物でもあるユエは、俺をとらえて、こうして「拷問」にかけているのだ。
　ただ、「何について聞きたいのか」という決定的な部分が抜けていて「何を喋れ」と行ってこないせいで。俺も答えようがない事態に陥っているという事実があるのだが……。

「……良いですか？拷問というのは、相手に必要なことを喋らせる技術なのです」
「まあ、それは分かる」
「だからこうやって、温かいご飯を出したり、お風呂にいれたり、あったかい服を着せるのは「拷問」の一環なのです。ここまで分かります？」
「いや、分かんない」
「むう……！　まったく強情な勇者さんなのです」

　ユエにされるがままに服を脱がせられ、いつもの通りに風呂へと連行される。
　彼女の低い背も相まって、犯罪の香りが凄い。
　拷問官などという地位が似合わないほどに低い背、そして腰まで伸ばされた黒髪。無駄な脂肪のついていない、若竹を思わせるしなやかな裸身。どこからどうみても幼女である彼女に服を脱がせられるというのは……勇者としていかんしがたいものを感じる。
　もちろん、彼女の耳の後ろから伸びる長い角や、黒くつややかな羽、同じ質感のしっぽなどが証明するとおり彼女はサキュバスであり、こうした行為を取るのは自然なこと。ではあるのだが……。
　とにかく、俺は最初の頃こそ抵抗していた。しかし、そのたびに彼女の「ひっさつまほう」を喰らい抵抗する気力を丸ごと奪われてしまうのだった。

「……そんなこと言ってると、また「ひっさつまほう」使っちゃいますよ？」
「い、いや……それは……」
「えーい、言語道断なのです！　喰らうが良いです、「ひっさつまほう」！」

　……抵抗しなくても、結局定期的に喰らってしまっているのは、なんともしがたい話だ。

「ねえ、お兄ちゃん。運んで欲しいのです♪」
「……っ！？」

　ユエの瞳が、俺を見つめる。
　幼い少女の、うるんだ瞳が視界に入ると同時に。俺はいつの間にか彼女の身体をお姫様だっこしていた。
　やわらかい白い肌が、持ち上げた腕にあわせてくにゃりと形を変える感触が妙になまめかしい。

「……ぐ、また……」
「ふっふっふ。これぞ勇者さんの弱点！「ひっさつまほう」なのです」

　俺の腕の中で不敵な笑みを浮かべるユエ。
　「ひっさつまほう」とは何のことはない、「幼女の上目遣いのおねがい」である。
　魔界で彼女に出会った俺は、この恐るべき必殺技を食らい、「ちょっとのあいだだけ、目をつむってほしいのです」と言われた直後に後頭部を魔界銀製のハンマーで殴られ、今に至っていたりする。
　……ちなみに、俺はロリコンではない。
　単純に勇者として無抵抗な相手や幼女が斬れないだけである。ついでに要望も聞いてしまう。
　勇者とは常に誰かの模範であるよう優しくあらねばならないと、神父様からずっと習ってきた結果がこれなのだ。その結果として、こうしてユエにとらえられてしまった訳だが。

「ほら、浴場に行くと良いのです」
「はいはい……」
「もう！　はいは一回なのです」

　彼女に言われるがままに、浴場へと向かう。
　何度も通い慣れたせいで、目をつむってもいけるようになってしまった自分が情けなかった。



※ ※　※


「じゃあ、今日の拷問を続けるのです」
「……はあ」

　タイル張りの広い浴室は、既に湯が沸かされ温かな湯気に満ちていた。
　ユエ曰く、常に入れるように水を綺麗にする魔術や、お湯をちょうど良い具合に沸かす魔術を併用しているらしい。
　教団の勇者だった頃水浴びばかりだった俺に取ってはとんでもない贅沢な空間である。

「じゃあ、まずは。そこの椅子に座るのです」
「はい」

　言われるがまま、しぶしぶ浴室の椅子に座る。
　不思議な質感の軽い素材で出来たそれは、下の部分だけが妙に開いていて。男性の大事なものがぶらんと垂れるデザインになっていた。
　ユエ曰く「スケベ椅子」と言うらしい。魔界の技術屋というのはいったい何を考えてこのようなものを制作したのであろうか。いや、老人の介護とかには使える可能性が高いかもしれないが。

「拷問スタート。「身体でごしごし、綺麗にしちゃう刑」なのです！」

　そして、拷問がスタートした。
　ユエは嗜虐的な笑みをその幼いかんばせに浮かべると、浴室に据え付けてあった容器から甘い花の香りのする液体を自らの身体に垂らしていく。
　小さいながらもくびれた胴、小ぶりでなだらかな胸、そして中心部でピンク色に自己主張する乳首。そういった部分にとろとろと粘性の高い液体が垂れ、浴室の暖かな空気の中に甘い香りが満ちていく。

「ふふ、勇者さんも私の身体にメロメロなのです♪」

　そして、小さな白い手で軽く全身になじませて、てらてらと光る全身を見せつけた彼女は……俺の後ろに回ってその身体を密着させた。
　くちゅ、という粘性の高い液体が背中に当たる感触に、思わず鳥肌がたってしまう。

「ふっふっふ、喋らない強情な勇者さんはこうして……たっぷり甘い拷問で溶かしちゃうのです！」
「いや、だから何を喋らせるかきいてな……」
「問答無用なのです」

　そして、耳元でささやくユエの身体が動き始めた。
　最初はおずおずとゆっくり、そしてだんだんとスピードを上げて上下する幼い肉体。
　柔らかな脂肪が背中に当たる、すべすべとした肌が、すりつけられる。まるでマーキングをされているみたいだ。

「んっ……ふっ……たっぷり綺麗にしてあげるのです」

　そして、こりっ、こりっ、と時折当たる彼女の乳首の感触。
　感じているのか、小さなあえぎ声が耳元で止まらない。
　ねちゃ、ねちゃと彼女が全身にまとった液体が粘性をましてその甘い香りを解き放つ。

「――どうですか？　喋りたくならないですか？」
「いや、だから何を」
「むう、本当に強情さんですね」

　背中全体を洗い終えたユエは、俺の前に戻って腕組みをして見せた。
　てらてらと光る全身は、興奮しているのか真っ赤に染まっている。
　そのピンク色の乳首はぴん、と立っていて彼女の興奮を示しているかのようだった。

「今度は、前も洗ってやるのです」
「いや、えっと……それは……」
「私だけ感じるのはダメなのです。お互いに感じてこそハッピーな拷問だって先輩が言っていたのです」
「いや、だからどこの世界の拷問だよ！？」

　口答えする俺を押さえつけながら、ユエは再びにやりと笑って見せた。
　押さえられたところが動かないのは、単純に彼女の膂力のせいだ。「ひっさつまほう」がなくても、サキュバスの力は人間なんかよりはるかに強いのだ。

「さあ、勇者君もこれで往生するのです！」

　そして、ユエによる再びの拷問がスタートする。
　今度はお互いに向かい合った形だ。
　胸板に当たる幼い胸、正面から感じる暖かい吐息。そして……

「こっちも、大きくなってきたのです」
「……っ！　それは、ダメだ！？」
「ふっふっふ。されて嫌なことは率先してやるのが拷問なのです♪　それに、ダメってことはして欲しいって言う意味だって知ってるのです」
「いや、どっちだよそれ！？」
「言語道断なのですっ！」
「っ！？」

　そう、俺の愚息は完全に肥大化していた。
　大きくなったそれは皮をおしのけて、グロテスクな先端をさらしている。そんな俺の欲望を彼女はその小さな全身を使ってなで始めた。

「ほら、ほらっ。汚くなりやすい場所だから綺麗にしてあげるのです」
「ひゃ、うっ！？　やめっ！？」
「いい顔なのです♪」

　男の弱点であるそこを、ねちゃねちゃと液体にまみれたユエの身体が蹂躙していく。
　淫靡な音が響くたびに、俺の愚息はぴくぴくとけいれんして、さらに粘りけのある別の液体を彼女の身体にまみれさせていく。
　すべすべとした肌が、小さなワキが、ぷにぷにとしたほっぺが、小さな小さな彼女の……。

「ダメっ！？　そこは、ダメだって！？」
「ふふ、止めてあげないのです♪」

　俺の身体をぎゅっと抱きしめながら、彼女は小さなお○んこをつかって俺の愚息を洗い始めた。
　きゅ、きゅと締め付ける感触が根元を押さえつけ、ヒダだらけの道が先端を刺激する。
　そして、時折こり、こりっと甘い子宮口の感触が先っぽをしげきするたびに情けない声が口の中から漏れてしまう。

「だ。だめぇ……そこは……大切な人にあげる場所……」
「ふふ、大丈夫なのです。私の処女は勇者さんの拷問のために使っちゃったのです♪だから、勇者さんは私の拷問を受けて大切な人になってしまえばいいのです」
「……そ、そんな理屈は……」
「ふふ、それが私の拷問なのです♪」

　目を開ければ、ユエが満面の笑みを浮かべながら俺の唇を奪いに来ていた。
　ぷにっと肉感のある唇が触れると同時にぬるりとした舌が口の中に入ってくる。
　噛むことも出来ずに逡巡する俺の口の中を唾液でぬめる舌が丁寧になぞりあげる。
　下と上、同時に犯された頭は浴場の熱気も相まってくらくらとしてしまう。
　長いキスの後に唇を離されると、唾液で出来た銀色の橋がきらきらと光っていた。

「んっ、ちゅ……ちゅ……♪　勇者さんの唇はとっても美味しくて……一杯拷問したくなっちゃうのです」

　唇から垂れた唾液を舐めとりながらさらに嗜虐的な笑みを浮かべるユエ。
　その小さな手が俺の身体をさらに強く抱きしめる。

「でも、こっちは……もっと美味しいの、知ってるのです♪」
「う、うわぁ……！？」

　そして、滅茶苦茶に腰を振り始めた。
　狭い膣が、こつこつと当たる子宮が、じゅぷじゅぷというみだらな音が。全てが俺の事を犯していく。

「さあ、私の拷問で――イっちゃえ♪」
「あ、ああ……っ！？」

　そんな拷問、耐えられる訳がない。
　俺は彼女の狭いおま○この中に、たっぷりと白濁を放っていた。




※ ※　※



「むう、今日の拷問も失敗なのです」
「そういうものなのか？」

　浴場での「拷問」を終え、しばらく湯船で暖まった俺達は二人で過ごしている部屋に戻った。
　今は、ユエが料理を作っている料理の手伝いをしているところだ。
　最初は変なものを仕込んでいないか見張るためだったのだが、今では単純に息抜きとして楽しい時間だ。
　ちなみに、彼女にとってはこれも「拷問」らしい。もはや意味が分からない。

「いいですか？　拷問というのは言わせたいことを喋らせる技術なのです」
「お、おう」

　まかいもの皮を向き、にんじんと一緒に炒めながら彼女はほほを膨らませた。
　浴場でのみだらな表情が想像できないほど、幼い表情。

「……だから、強情な勇者さんにこれだけやって言わせられない。というのは大変なことなのです」
「そ、そうか」

　俺が下処理をした魔界豚を炒めたものに、野菜を加えてさらに、スパイスを入れて炒めはじめる彼女。
　じゅう、という肉のやける大きな音が部屋の中に響く。

「……いつか、絶対に『好き』って言わせてやるのです」

　だから、彼女のそんなつぶやきを俺は聞き取ることは出来ずに。

「ん？　なんか言ったか？」
「何でもないのです。また今度拷問してやるのです」

　また、明日。
　ご飯を食べて添い寝の拷問を受け……。また次の拷問がはじまるのだった。