P.S.
『拝啓、レオン様−−
夏も半ば暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
私は暑さに負けじと、汗を流しながら過ごしています。 −− 』
「それじゃ、マリーちゃんの3位入賞を祝ってーー乾杯!」
「かんぱいっ!」
「かんぱーい」
フラワーフェスタから数日立ったうららかな日。
あたしたちは、アレンとマリーちゃんの家に集まっていた。
目的は勿論、品評会三位入賞のお祝いだ。
「まかいも入りのオムレツに、チーズ入りマッシュまかいも。うん、やっぱりまかいもはいいねえ」
「二人じゃ食べきれないくらいもらっちゃいましたから、沢山食べてくださいね」
「おう。ありがたく」
机の上にところせましと広がっているのは、そのときの賞品。
すなわち、『魔界産の野菜一年分』である。勿論一年分と言っても勿論野菜には鮮度という物がある。新鮮なのが美味しいのは当たり前だ。
「−−うん、マリーの料理はやっぱり世界一だ」
「お、ノロケかい?」
「いやあ、本気ですよ」
「も、もう。アレン……っ」
と、いうわけで。
今日はあたしたちがもちよった食材も含めて野菜パーティとあいなっている。
ちなみにあたしとレオンが選んだのはフラワーフェスで買ったミードと、あたし特製の魔界豚のローストだ。以前から割りと得意な料理だったけど、イチロク−−ことレオンの助言によって随分美味しく作れるようになったと思う。
「エリカせん……いや、エリカ」
「ん、どうしたレオン?」
「いや、その、このローストポーク、美味しいなって」
「あはは、そりゃ愛情だからね」
対抗するように言ったレオンの背をドンと叩く。
アレンとマリーちゃんの仲にとやかく言えるくせにこういうときだけ、つい照れ隠しをしてしまう。
このクセは、中々治らない。
誤魔化すようにまかいも入りのピザを頬張ると、ほっくりした食感が心地いい。
料理は愛情。
マリーちゃんの愛が伝わってくる味だった。
「げほっ、げほっ……全く。エリカ、後でベッドの上でいじめちゃいますよ?」
「む、それは……いや、まあ、気持ち良いんだけど、さ」
「ちょ、ちょっと。その反応は反則ですって!」
あたしの言葉に赤面するレオン。
もちろん、あたしの顔も真っ赤である。
見れば、アレンとマリーちゃんがこっちをほのぼのした目で見つめていて余計恥ずかしい。
「……そういえば、先輩とレオンって。何時の間にくっついてたんですか?」
「あ、私も気になっていたんです」
「そ、それは、だな」
助けを求める視線でアレンの方を向けば、まさかの追撃まで喰らってしまう。
気分は、まな板の上の鯉だ。
「−−長い、話になるぞ」
とはいえ、恥ずかしいけど、いつかは話さなければならないことである。
それに、喋りたいことでも、あったのかもしれない。
緊張した声で二人を見れば、彼らは優しく微笑んでいた。
懐の手紙に触れると、少し暖かい。
何度か頭を整理すべく頭をふると、ちりんと髪飾りが鳴った。
「切欠は、手紙なんだ」
−−そう、手紙が欲しかった。
それが、切欠で。あたしは、レオンの心に触れることが出来たんだ。
こうして、隣に居ることができるようになったんだ。
「−−そう、手紙、でしたね」
隣で、レオンが言葉を次ぐ。
彼の声も、緊張してるけど。喋りたいと言う心が伝わってきた。
「あたし(僕)たちは『ペンフレンド』、だったんだ−−」
『−−まだまだ、沢山語りたいことがありますが、ここで一旦筆を置かせてください。
ただ、レオン様。あなたの息災を祈って。
かしこ 』
夏も半ば暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
私は暑さに負けじと、汗を流しながら過ごしています。 −− 』
「それじゃ、マリーちゃんの3位入賞を祝ってーー乾杯!」
「かんぱいっ!」
「かんぱーい」
フラワーフェスタから数日立ったうららかな日。
あたしたちは、アレンとマリーちゃんの家に集まっていた。
目的は勿論、品評会三位入賞のお祝いだ。
「まかいも入りのオムレツに、チーズ入りマッシュまかいも。うん、やっぱりまかいもはいいねえ」
「二人じゃ食べきれないくらいもらっちゃいましたから、沢山食べてくださいね」
「おう。ありがたく」
机の上にところせましと広がっているのは、そのときの賞品。
すなわち、『魔界産の野菜一年分』である。勿論一年分と言っても勿論野菜には鮮度という物がある。新鮮なのが美味しいのは当たり前だ。
「−−うん、マリーの料理はやっぱり世界一だ」
「お、ノロケかい?」
「いやあ、本気ですよ」
「も、もう。アレン……っ」
と、いうわけで。
今日はあたしたちがもちよった食材も含めて野菜パーティとあいなっている。
ちなみにあたしとレオンが選んだのはフラワーフェスで買ったミードと、あたし特製の魔界豚のローストだ。以前から割りと得意な料理だったけど、イチロク−−ことレオンの助言によって随分美味しく作れるようになったと思う。
「エリカせん……いや、エリカ」
「ん、どうしたレオン?」
「いや、その、このローストポーク、美味しいなって」
「あはは、そりゃ愛情だからね」
対抗するように言ったレオンの背をドンと叩く。
アレンとマリーちゃんの仲にとやかく言えるくせにこういうときだけ、つい照れ隠しをしてしまう。
このクセは、中々治らない。
誤魔化すようにまかいも入りのピザを頬張ると、ほっくりした食感が心地いい。
料理は愛情。
マリーちゃんの愛が伝わってくる味だった。
「げほっ、げほっ……全く。エリカ、後でベッドの上でいじめちゃいますよ?」
「む、それは……いや、まあ、気持ち良いんだけど、さ」
「ちょ、ちょっと。その反応は反則ですって!」
あたしの言葉に赤面するレオン。
もちろん、あたしの顔も真っ赤である。
見れば、アレンとマリーちゃんがこっちをほのぼのした目で見つめていて余計恥ずかしい。
「……そういえば、先輩とレオンって。何時の間にくっついてたんですか?」
「あ、私も気になっていたんです」
「そ、それは、だな」
助けを求める視線でアレンの方を向けば、まさかの追撃まで喰らってしまう。
気分は、まな板の上の鯉だ。
「−−長い、話になるぞ」
とはいえ、恥ずかしいけど、いつかは話さなければならないことである。
それに、喋りたいことでも、あったのかもしれない。
緊張した声で二人を見れば、彼らは優しく微笑んでいた。
懐の手紙に触れると、少し暖かい。
何度か頭を整理すべく頭をふると、ちりんと髪飾りが鳴った。
「切欠は、手紙なんだ」
−−そう、手紙が欲しかった。
それが、切欠で。あたしは、レオンの心に触れることが出来たんだ。
こうして、隣に居ることができるようになったんだ。
「−−そう、手紙、でしたね」
隣で、レオンが言葉を次ぐ。
彼の声も、緊張してるけど。喋りたいと言う心が伝わってきた。
「あたし(僕)たちは『ペンフレンド』、だったんだ−−」
『−−まだまだ、沢山語りたいことがありますが、ここで一旦筆を置かせてください。
ただ、レオン様。あなたの息災を祈って。
かしこ 』
16/07/10 02:12更新 / くらげ
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