私の王子様 ― ボーイズビーアンビシャス ―
「嫌ッ!離して!!!」
私の「保護者」に案内され、大人しかった「彼」は私にあてがわれた「部屋」に入った瞬間、その獣欲を露わにした。
「大人しくしろや!お前だって期待してんだろ!!」
彼は私の「婚約者」だ。
無論、私が彼を選んだわけではない。
私の保護者が選んだのだ。
血筋も問題なく、婚約者としては最高の部類だろう。
これ以上ないくらい良い条件だ。
別におかしくはない。
私の「身分」を考えれば当然のことだ。
婚約者と番い、子を残すのは当然の義務。
そこに私の意志はない。
でも・・・・私には・・・・。
心に決めた王子様がいるのに、でも彼はそれを嘲った。
そして彼は豹変した。
ふざけたメスを教育してやると言って・・・・。
「オラッ!さっさと四つん這いになりやがれよ!このアマ!」
私は何とか追いやろうとするが、彼の力には敵わず無残にも押し倒されてしまう。
屈辱的な私の姿に満足したのかそのまま彼の顔が足の間に潜り込んでくる。
「嫌がりながらもココは正直だな!もう濡れているぜ?早く入れてぇって涙を流しながらヒクついてるぜ!!たまんねぇな!!!!」
彼のザラザラとした舌が私の秘裂をなぞる。
嫌悪感が全身を襲う。
「い・・・いやぁぁ・・・・」
彼の貪りつくような荒々しい愛撫に、私の意志とは関係なく口から甘い声が漏れてしまう。
「あ・・・・・!」
舌が私の中に侵入してくる。
途端に私の身体から力が抜けてしまった。
屈辱的な絶頂。
悔しいのに・・・!
「へへ!イっちまったのかよ!!スキモノだなお前!!!!」
「ち・・・違う・・・・私には・・」
「お前がいくらあのガキを慕ってもなぁ、お前とあのガキじゃ身分が違うんだよ!身分がな!!メスはメスらしくとっととオスに孕ませられればいいんだよ!!」
「もうやめて・・・・許して・・・お願いよ・・・・」
「コイツでタップリと教え込んでやるぜ!お前が誰のモノかを!!!!!!」
絶頂を迎えた私の秘裂に彼の滾るように熱い肉塊があてられる。
風呂場で見た彼のよりも大きく、ゴツゴツとした感触を感じる。
オスの「凶器」そのものだ。
きっとそれをこの身に受け入れてしまったら最後、私は獣に成り下がってしまうだろう。
そしてこの下劣なオスに身を委ね子種をねだるただのメスになってしまう。
そんなのは嫌だ。
私のソコは彼の為、彼の子を孕むためにある。
それをこんな形で汚されるなんて。
好きでもないオスに犯されるなんて。
こんなことって・・・・!。
「嫌ぁぁぁぁ!!!!!助けて直人ぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「泣き叫べ!!!誰もお前を助けに来ねーよ!!!!!」
バン!
私の部屋のドアが強引に開かれ、部屋の中に一人の少年が飛び込んできた。
「ボクの・・・ボクのベルに手を出すなぁぁぁぁ!!!」
「?!」
私の愛しい王子様こと、「神薙直人」様はその勢いのまま突進する。
「ベルから離れろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
少年は躊躇なく「彼女」を組み敷いていた「彼」を弾き飛ばし、「ベル」と呼ばれた彼女を抱き寄せるとわき目もふらずドアの向こうに広がる闇の中へと消えた。
「お前とガキは番えない、絶対にな!!!!」
たった一人残されたものの声を聞くものは誰もいなかった。
「ベル」と出会ったのは僕が幼稚園に通っていた時だ。
なんでもお父さんの友達が遠くへ行ってしまって、ボクのお父さんが残された彼女を引き取ったのだそうだ。
「君はベルっていうんだね。ボクは直人、よろしくね!」
彼女は怯えていた。
見慣れない家
知らない人たち
彼女が不安だということはボクでもわかった。
「怖くないよ・・・ベル・・・」
ボクは怯える彼女を優しく抱きしめた。
彼女はぬくもりを感じて安心したのか、ボクの腕の中で静かに寝息を立て始めた。
その日以来ボクとベルは一緒だった。
ご飯を食べるのも一緒だし、お風呂に入るのも一緒。
病気の発作のせいで学校にもあまり通えないボクにとって、ベルは大切な友達だった。
そんなボクとベルの関係が変わったのはボクが14歳になった夜のことだ。
「ベル・・・どうしたの?」
その日、ベルとボクはいつものように一緒にお風呂に入っていた。
「・・・・・」
ベルはボクにのしかかると・・・・・。
「ひやぁ・・・・!やめて!ベルそこは汚いよぉ!!!」
彼女はボクのおちんちんを舐め始めた。
ボクは彼女を引き剥がそうするが、彼女はボクのおちんちんを深く咥えるとさらに舌を絡ませた。
「来ちゃう!何か来ちゃうよぉぉぉぉぉ!!!」
頭の中がチカチカとして、ボクのおちんちんから白いおしっこが飛び出してベルの顔を白く汚してしまう。
「ごめんベル・・・。おしっこをかけちゃって」
彼女は顔についたそれを舌を使って舐めとるとボクに身体を寄せてきた。
〜 心配しないで 〜
彼女の瞳はそう、訴えかけてくるようだった。
その日以来、ボクは彼女を意識するようになった。
一人の「女性」として。
おかしいかもしれない。
でもボクは「彼女」を愛している。
「どうしようか・・・」
ネオンに照らし出された夜の街を無為に過ぎていく。
幸い、お巡りさんに出会うことはなかった。
ふと気が付くと、ボクとベルは二人でよく遊んだ河川敷にいた。
まだ二人が幼い頃、走り回って無邪気に遊んだ日々。
こんな日がやってくるとはボクもベルも思っていなかった。
ずっと幸せな日々が続くと思っていた。
お父さんは今日、ベルの「婚約者」を家に連れてきた。
ベルの将来を考えれば、このまま家に帰り「婚約者」に彼女を返すのが正解だろう。
でも・・・・。
ボクはアイツが嫌いだ。
自分のモノのようにベルを扱っていた。
それにアイツに組み敷かれ犯されようとしていたベルの悲痛な声を聴いた以上ボクにそれはできない。
「・・・・・・」
抱きしめたベルの身体はあの日抱きしめた時のように暖かった。
「ねぇベル・・・二人で何処か遠くへ行こうか?」
ボクがベルに語り掛けた時だ。
遠くで声がする。
僕は耳を澄ませる。
― 助けて・・・・!誰か・・・・!! ―
川の方からバシャバシャと水音とともに助けを呼ぶ声が聞こえてきた。
普通なら電話で助けを呼ぶだろう。
でも、今のボクは携帯電話を持っていない。
今すぐ誰か大人の人を呼んでいる時間はない。
此処にいるのはボクとベルしかいないのだ。
「誰かが溺れてる!!!助けなきゃ!!」
ボクは腰を下ろしていたコンクリートブロックから急いで立ち上がると、声のした川へと走っていった。
バシャバシャ!!
「足がつってしまって!!助けてください!!誰か誰かぁぁぁぁ!!!!」
川では中ほどで一人の女の人が溺れていた。
幸いボクでも助けに行ける距離だ。
泳ぐのはあまり得意じゃないけど、溺れている人をだまって見捨てられるほどボクは弱くない。
「待ってて!!」
ボクが水面に踏み込んだ時だ。
「ベル?!どうしたの!」
一緒についてきた彼女が女の人を睨みつける。
あれ・・・?
そういえばおかしい
よく考えれば、何で夜中に女の人が川で溺れてるんだ?
川の中ほどなら何とか足が付くのでは?
「おねえさん・・・・・?」
ボクが振り向くと、さっきまで川の中ほどで溺れていたはずの女の人がいない。
「一体どこへ・・・」
その瞬間だ。
「?!」
川の中から伸びた水かきのついた冷たい手に足を掴まれ、ボクはあっという間に引き倒されてしまった。
ゆっくりと水面から先ほどまで溺れていたはずの女の人が顔を現す。
ボクの足を掴んだままだ。
「おねえさん離して!!!」
身じろぎしてボクは逃げようとするがビクとも動かない。
「助けて・・・・!」
ベルが女の人に体当たりしておねえさんの手が離れる。
ボクとベルは急いで川から上がる。
「・・・・・優しくしてあげるつもりだったのに」
おねえさんが水の中から姿を現す。
水を吸って身体に張り付いた黒髪、濃紺色の水着のようなウロコ。
そして爪の生えた水かきのついた手足。
ボクは溺れていたはずのおねえさんが魔物「サハギン」だと知った。
「・・・・強引にされるのが好きならそうする」
彼女が近づいてくる。
逃げなきゃ!そう思っても足が固まったように動かない。
「どうして・・・!」
「ヒレの爪に弱い麻痺毒を塗っておいた。やっと効いてきた。足はしばらく動かないけど私と交配するには問題ない」
おねえさんがボクの身体に覆いかぶさる。
「おねえさん・・・?」
「交配する。気持ち良くする。問題ない」
ボクはベルの方を見るが、ベルもおねえさんに体当たりした瞬間にあの爪で引っかかれたんだろうピクリとも動かない。
「ココにおちんちんをいれる・・・気持ちいいこと」
サハギンのおねえさんが股の布をずらして見せつける。
ボクは犯されるんだ。
ベルがアイツに犯されそうになったみたいに・・・・。
「ごめんベル・・・・!」
ボクは目を閉じる。
ベルが絶望する姿を見たくなかったからだ。
でも何も起きなかった。
「そこまでよ!そこの盛ったサハギン!」
サハギンのおねえさんとも違う別の女の人の声。
「何?早い者勝ちは野生のルール。このコはあげない」
「私を貴方のような、恋仲の二人を引き裂こうとする下劣な輩と一緒にしないでもらいたいわね」
「・・・・何言ってる?」
「貴方は魔物としても最低レベルだとよくわかったわ」
その女の人はサハギンのおねえさんと言い争っているようだ。
ボクが恐る恐る目を開くと、月光に輝く綺麗な黒髪をした黒いドレスの赤い瞳の女の人が空中に浮かんでいた。
その姿に僕はつい見惚れてしまった。
「あ・・・あの・・・」
「貴方の愛しの恋人ちゃんは大丈夫よ。私はグランマ、ただのお節介なサキュバスよ」
サハギンはボクから身を起こすと、グランマと名乗ったサキュバスの女の人にその爪をむけた。
彼女は怒りに歪んだ顔で叫ぶ。
「お前!さっきからわからない!!!」
「だからね、貴方は全くわからないかもしれないけど、彼にはすでに恋人がいるのよ。ほらそこに」
「だから何言ってる!!!あれは・・・・・・」
サキュバスの女の人が指さす先にはサハギンの麻痺毒でぐったりとしたベルが横たわっていた。
私の「保護者」に案内され、大人しかった「彼」は私にあてがわれた「部屋」に入った瞬間、その獣欲を露わにした。
「大人しくしろや!お前だって期待してんだろ!!」
彼は私の「婚約者」だ。
無論、私が彼を選んだわけではない。
私の保護者が選んだのだ。
血筋も問題なく、婚約者としては最高の部類だろう。
これ以上ないくらい良い条件だ。
別におかしくはない。
私の「身分」を考えれば当然のことだ。
婚約者と番い、子を残すのは当然の義務。
そこに私の意志はない。
でも・・・・私には・・・・。
心に決めた王子様がいるのに、でも彼はそれを嘲った。
そして彼は豹変した。
ふざけたメスを教育してやると言って・・・・。
「オラッ!さっさと四つん這いになりやがれよ!このアマ!」
私は何とか追いやろうとするが、彼の力には敵わず無残にも押し倒されてしまう。
屈辱的な私の姿に満足したのかそのまま彼の顔が足の間に潜り込んでくる。
「嫌がりながらもココは正直だな!もう濡れているぜ?早く入れてぇって涙を流しながらヒクついてるぜ!!たまんねぇな!!!!」
彼のザラザラとした舌が私の秘裂をなぞる。
嫌悪感が全身を襲う。
「い・・・いやぁぁ・・・・」
彼の貪りつくような荒々しい愛撫に、私の意志とは関係なく口から甘い声が漏れてしまう。
「あ・・・・・!」
舌が私の中に侵入してくる。
途端に私の身体から力が抜けてしまった。
屈辱的な絶頂。
悔しいのに・・・!
「へへ!イっちまったのかよ!!スキモノだなお前!!!!」
「ち・・・違う・・・・私には・・」
「お前がいくらあのガキを慕ってもなぁ、お前とあのガキじゃ身分が違うんだよ!身分がな!!メスはメスらしくとっととオスに孕ませられればいいんだよ!!」
「もうやめて・・・・許して・・・お願いよ・・・・」
「コイツでタップリと教え込んでやるぜ!お前が誰のモノかを!!!!!!」
絶頂を迎えた私の秘裂に彼の滾るように熱い肉塊があてられる。
風呂場で見た彼のよりも大きく、ゴツゴツとした感触を感じる。
オスの「凶器」そのものだ。
きっとそれをこの身に受け入れてしまったら最後、私は獣に成り下がってしまうだろう。
そしてこの下劣なオスに身を委ね子種をねだるただのメスになってしまう。
そんなのは嫌だ。
私のソコは彼の為、彼の子を孕むためにある。
それをこんな形で汚されるなんて。
好きでもないオスに犯されるなんて。
こんなことって・・・・!。
「嫌ぁぁぁぁ!!!!!助けて直人ぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「泣き叫べ!!!誰もお前を助けに来ねーよ!!!!!」
バン!
私の部屋のドアが強引に開かれ、部屋の中に一人の少年が飛び込んできた。
「ボクの・・・ボクのベルに手を出すなぁぁぁぁ!!!」
「?!」
私の愛しい王子様こと、「神薙直人」様はその勢いのまま突進する。
「ベルから離れろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
少年は躊躇なく「彼女」を組み敷いていた「彼」を弾き飛ばし、「ベル」と呼ばれた彼女を抱き寄せるとわき目もふらずドアの向こうに広がる闇の中へと消えた。
「お前とガキは番えない、絶対にな!!!!」
たった一人残されたものの声を聞くものは誰もいなかった。
「ベル」と出会ったのは僕が幼稚園に通っていた時だ。
なんでもお父さんの友達が遠くへ行ってしまって、ボクのお父さんが残された彼女を引き取ったのだそうだ。
「君はベルっていうんだね。ボクは直人、よろしくね!」
彼女は怯えていた。
見慣れない家
知らない人たち
彼女が不安だということはボクでもわかった。
「怖くないよ・・・ベル・・・」
ボクは怯える彼女を優しく抱きしめた。
彼女はぬくもりを感じて安心したのか、ボクの腕の中で静かに寝息を立て始めた。
その日以来ボクとベルは一緒だった。
ご飯を食べるのも一緒だし、お風呂に入るのも一緒。
病気の発作のせいで学校にもあまり通えないボクにとって、ベルは大切な友達だった。
そんなボクとベルの関係が変わったのはボクが14歳になった夜のことだ。
「ベル・・・どうしたの?」
その日、ベルとボクはいつものように一緒にお風呂に入っていた。
「・・・・・」
ベルはボクにのしかかると・・・・・。
「ひやぁ・・・・!やめて!ベルそこは汚いよぉ!!!」
彼女はボクのおちんちんを舐め始めた。
ボクは彼女を引き剥がそうするが、彼女はボクのおちんちんを深く咥えるとさらに舌を絡ませた。
「来ちゃう!何か来ちゃうよぉぉぉぉぉ!!!」
頭の中がチカチカとして、ボクのおちんちんから白いおしっこが飛び出してベルの顔を白く汚してしまう。
「ごめんベル・・・。おしっこをかけちゃって」
彼女は顔についたそれを舌を使って舐めとるとボクに身体を寄せてきた。
〜 心配しないで 〜
彼女の瞳はそう、訴えかけてくるようだった。
その日以来、ボクは彼女を意識するようになった。
一人の「女性」として。
おかしいかもしれない。
でもボクは「彼女」を愛している。
「どうしようか・・・」
ネオンに照らし出された夜の街を無為に過ぎていく。
幸い、お巡りさんに出会うことはなかった。
ふと気が付くと、ボクとベルは二人でよく遊んだ河川敷にいた。
まだ二人が幼い頃、走り回って無邪気に遊んだ日々。
こんな日がやってくるとはボクもベルも思っていなかった。
ずっと幸せな日々が続くと思っていた。
お父さんは今日、ベルの「婚約者」を家に連れてきた。
ベルの将来を考えれば、このまま家に帰り「婚約者」に彼女を返すのが正解だろう。
でも・・・・。
ボクはアイツが嫌いだ。
自分のモノのようにベルを扱っていた。
それにアイツに組み敷かれ犯されようとしていたベルの悲痛な声を聴いた以上ボクにそれはできない。
「・・・・・・」
抱きしめたベルの身体はあの日抱きしめた時のように暖かった。
「ねぇベル・・・二人で何処か遠くへ行こうか?」
ボクがベルに語り掛けた時だ。
遠くで声がする。
僕は耳を澄ませる。
― 助けて・・・・!誰か・・・・!! ―
川の方からバシャバシャと水音とともに助けを呼ぶ声が聞こえてきた。
普通なら電話で助けを呼ぶだろう。
でも、今のボクは携帯電話を持っていない。
今すぐ誰か大人の人を呼んでいる時間はない。
此処にいるのはボクとベルしかいないのだ。
「誰かが溺れてる!!!助けなきゃ!!」
ボクは腰を下ろしていたコンクリートブロックから急いで立ち上がると、声のした川へと走っていった。
バシャバシャ!!
「足がつってしまって!!助けてください!!誰か誰かぁぁぁぁ!!!!」
川では中ほどで一人の女の人が溺れていた。
幸いボクでも助けに行ける距離だ。
泳ぐのはあまり得意じゃないけど、溺れている人をだまって見捨てられるほどボクは弱くない。
「待ってて!!」
ボクが水面に踏み込んだ時だ。
「ベル?!どうしたの!」
一緒についてきた彼女が女の人を睨みつける。
あれ・・・?
そういえばおかしい
よく考えれば、何で夜中に女の人が川で溺れてるんだ?
川の中ほどなら何とか足が付くのでは?
「おねえさん・・・・・?」
ボクが振り向くと、さっきまで川の中ほどで溺れていたはずの女の人がいない。
「一体どこへ・・・」
その瞬間だ。
「?!」
川の中から伸びた水かきのついた冷たい手に足を掴まれ、ボクはあっという間に引き倒されてしまった。
ゆっくりと水面から先ほどまで溺れていたはずの女の人が顔を現す。
ボクの足を掴んだままだ。
「おねえさん離して!!!」
身じろぎしてボクは逃げようとするがビクとも動かない。
「助けて・・・・!」
ベルが女の人に体当たりしておねえさんの手が離れる。
ボクとベルは急いで川から上がる。
「・・・・・優しくしてあげるつもりだったのに」
おねえさんが水の中から姿を現す。
水を吸って身体に張り付いた黒髪、濃紺色の水着のようなウロコ。
そして爪の生えた水かきのついた手足。
ボクは溺れていたはずのおねえさんが魔物「サハギン」だと知った。
「・・・・強引にされるのが好きならそうする」
彼女が近づいてくる。
逃げなきゃ!そう思っても足が固まったように動かない。
「どうして・・・!」
「ヒレの爪に弱い麻痺毒を塗っておいた。やっと効いてきた。足はしばらく動かないけど私と交配するには問題ない」
おねえさんがボクの身体に覆いかぶさる。
「おねえさん・・・?」
「交配する。気持ち良くする。問題ない」
ボクはベルの方を見るが、ベルもおねえさんに体当たりした瞬間にあの爪で引っかかれたんだろうピクリとも動かない。
「ココにおちんちんをいれる・・・気持ちいいこと」
サハギンのおねえさんが股の布をずらして見せつける。
ボクは犯されるんだ。
ベルがアイツに犯されそうになったみたいに・・・・。
「ごめんベル・・・・!」
ボクは目を閉じる。
ベルが絶望する姿を見たくなかったからだ。
でも何も起きなかった。
「そこまでよ!そこの盛ったサハギン!」
サハギンのおねえさんとも違う別の女の人の声。
「何?早い者勝ちは野生のルール。このコはあげない」
「私を貴方のような、恋仲の二人を引き裂こうとする下劣な輩と一緒にしないでもらいたいわね」
「・・・・何言ってる?」
「貴方は魔物としても最低レベルだとよくわかったわ」
その女の人はサハギンのおねえさんと言い争っているようだ。
ボクが恐る恐る目を開くと、月光に輝く綺麗な黒髪をした黒いドレスの赤い瞳の女の人が空中に浮かんでいた。
その姿に僕はつい見惚れてしまった。
「あ・・・あの・・・」
「貴方の愛しの恋人ちゃんは大丈夫よ。私はグランマ、ただのお節介なサキュバスよ」
サハギンはボクから身を起こすと、グランマと名乗ったサキュバスの女の人にその爪をむけた。
彼女は怒りに歪んだ顔で叫ぶ。
「お前!さっきからわからない!!!」
「だからね、貴方は全くわからないかもしれないけど、彼にはすでに恋人がいるのよ。ほらそこに」
「だから何言ってる!!!あれは・・・・・・」
サキュバスの女の人が指さす先にはサハギンの麻痺毒でぐったりとしたベルが横たわっていた。
17/11/03 23:35更新 / 法螺男
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