バフォ様は忘れない
「うぁ……頭が痛い」
昨日は会社で創立50周年を祝う大宴会が開かれた。同僚のオーガと飲み比べで飲みに飲みまくり、結果僕はベロベロに酔っ払って家に帰ったようだ。記憶が全く無い。
目が覚めて自宅と知り、若干驚いた。
「えーと、メガネメガネ……」
外したメガネを取ろうと、顔を枕に埋めたまま手探りする。
そのとき、触り慣れない奇妙な感触が手から感じた。なんだか妙に尖ってヤギのような形状の、握りやすい大きさの角のような硬いヤツ。手を下にずらすと、今度はサラサラした何か……この触り心地は髪だろうか……さらに下にずらすと、次は柔らかい人肌の温もり……
瞬時、身体が戦慄し二日酔いは吹き飛んだ。
やってしまったかもしれない(二重の意味で)。
今すぐにでも確認したいが、手から読み取った情報をまとめると最悪の可能性が浮かぶ。
酔った勢いでテイクアウト＆超エキサイティンッしてしまったかもしれない。
絶望は輝き、死兆星と化した。
「大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ」
必死に自分をなだめすかし、勇気を出して犯した罪を凝視した。
「すー……すー……」
そこには天使のような可愛らしい茶髪の幼女の寝顔があった。見たところ１０歳いってない、初潮も何も来ていないであろう無垢極まった幼女が、僕のベッド(しかもすぐ隣)に寝ているのであった。
じ、人生……オワタ……
死兆星が隕石となって降ってきた……
「…………」
いやいや考え直せ僕。幼女の服は露出度こそ高いものの全然乱れてないし、いくら酔っても僕は幼女の身体に欲情したりしない。たとえ幼女にキャッキャウフフをしたいと思っても僕はチキンだ何も出来ない……って、幼女幼女連呼して僕は変態か！
とにかく冷静に分析しよう。この種族はアリス……いや、あのアリスがこんな露出度の高い服を着るはずがない。それに悪魔な羽も生えてないし、足は蹄だし……
蹄？
「んぅ……ん？」
幼女は目を覚ました。未だに罪悪感に蝕まれていた僕は瞬時にベッドから落ちるように隠れた。
ぽーっとした寝起きの顔で辺りを見回す幼女。
「兄上……もう起きてしまったのかのう」
兄上？
そこでピキーンと頭の電球が灯った。しかしそれがこれ以上に無く僕を追い詰めた。
バ、バフォメット……
幼女の王……
キング・オブ・ロリータ！
「兄上、そんなところで寝ておったのか」
「あ、あの……あまりにも不躾なことを質問しますが、バフォ様はなぜここに？」
その質問にバフォ様は『何を言ってるかコイツは』という顔をしていた。
「あ、兄上……」
「す、すいませんが……私とはどのような……」
「そんなわけないわーっ!!」
突然叫び、まだ寝転がったままの僕の身体に涙目で抱き付いた。
「そんなわけない！そんなわけないのじゃ！ワシの兄上が、ワシの兄上が！『朝起きたら記憶喪失になっていた』なんてことが起こるのはおかしい、有り得ない！なぜワシにばかり！そんなことがあってたまるか！ワシはまた、悲恋に身を置かねばならんのか!?」
「ちょっと落ち着いて……」
「嫌じゃ、また１人ぼっちになるなんて、もう嫌なんじゃ！嫌なんじゃ……うぅ」
顔を押し付け、嗚咽と涙を流す。
「…………」
この時僕は、バフォ様を抱きしめ頭を撫でながら誰が悪いのだろうと考えていた。
記憶喪失をしたのは自分。バフォ様の話が本当だとして、僕はバフォ様の事だけを忘れたというのか。バフォメットにとって『兄』は夫と同義、つまり僕は――
僕は。
人生１つ分の加害者だ。
「ごめん……ごめんよ」
「う……ぐすっ、うう」
しばらく同じ姿勢のまま、バフォ様が泣き止むまで抱擁を続けた。
『もしかしたら酔いつぶれて記憶が無い』という可能性は、もはやこの状況下で無粋だと判断され、無意識が破棄していた。
『あぁ……っと、バフォメット？』
かなりの二日酔いに陥ってるらしく、電話の向こう側の声はかなり狼狽していた。
相手は飲み比べをした同僚のオーガ。
「僕、もしかすると路頭に迷っていたバフォ様……ミアレっていうんだけど、拾って来ちゃった可能性がある」
『なんだよそりゃ……んで？今何してんの？』
「今はそのミアレに朝ご飯を作ってるとこだけど？」
『いやちげーよ。そのバフォメットだよ』
「右手にフォーク左手にナイフ、ウキウキした顔で朝ご飯を待ってる」
朝のメインは和食だけど。
『とりあえず整理すっけど……相手はお前を兄だと認識していて、かつ記憶喪失だと思っている』
「ざっくり言うとね」
『だがお前には決定的な記憶が無い。自分が本当に記憶喪失なのかもしれないし、単なる酒の勢いかもしれない』
「そんな感じ。だけど、ミアレのあの時の様子を見たらね……」
――そんなわけないのじゃ！
――ワシはまた、悲恋に身を置かねばならんのか!?
――１人ぼっちになるなんて、もう嫌なんじゃ！
「あんなのを見たら……酒の勢いだなんて、思えない」
『いっそ』
「え？」
聞きかねたのか、同僚は言った。
『いっそ本物のお兄ちゃんになっちまったらどうだ？』
「んー、まあそれが有効なんだろうけどさ、僕の稼ぎで養えるかどうか……ってのが問題なわけで。それに、そんな単純な考えで娶るなんて出来ないよ」
そのとき、視界の端でミアレの耳がわずかに動いた。
『んじゃま、とりあえず頑張れ』
僕はボタンを押し、受話器をそこらへんに置いて焼きあがった魚をミアレの前に運ぶ。
「兄上」
「うん？」
「さっき聞こえたんじゃが、ワシが重荷になるのかの？」
持ちかけた箸を落とす。
「いや、そうじゃなくて……あれは」
「大丈夫じゃよ」
「えっ」
「ワシを誰だと思っている？サバトの支部長じゃぞ？」
サバトの支部長……
平凡な会社に勤めている平社員とは格が違いすぎる……
「望みとあらばワシの権限を使って仕事場の一室で暮らすことも出来るのじゃ。サバト内の利益をちょこっと使って好きに暮らせるぞ？」
「それ、横領ってやつじゃ……」
「何を言っておる、サバトの利益は基本的にはワシの財産じゃ。ワシの使える金は一千万程度ある」
「い、一千万!?」
スーパーで昨晩安売りしていたアジの開きを食べている目の前の幼女が、およそ３年分の僕の年収額を既に稼いでいる!?
「まあもっと大きなサバトじゃと……年商一億はいくからのう」
「もうやめて……心が折れそう」
「分かった分かった。ささ、魚が冷めるから食べるのじゃ」
ミアレは慰めの「あーん」をしてくれた。しかし骨があったらしく、僕はしばらく喉に違和感を負ったのであった。
サバト。
バフォメット率いる魔女やその他の幼体種族だけでシステムを完全構築した魔法実験・研究機関……とは名ばかりで、実際はほとんどエロスに染まったことしかしていない真面目に不真面目系宗教団体。実態はほとんど公式で明かされていないはずだったのだが、リーダーであるバフォメットにも色々な性格の個体がいるらしく、あるサバトのバフォメットが布教活動時にベラベラと内部システムを喋り散らし、なんやかんやで世界中に知られるようになる。ちなみにそのバフォメットは総本部から処罰されリーダーの座から降ろされた。いわゆるクビだそうだ。
そんなサバトの支部が僕の住んでいる街にもひっそりと建っている。総会員数８０余り(うち男は２３人)、種族のほとんどは魔女である。
「おはようございます、そしてお帰りなさいませミアレ様」
「見て、殿方をお連れしてるみたいよ」
「へぇ。結構好みかもー」
熱心な布教活動も虚しく空回りし男が集まらない状況だけに、普段は真面目に中で作業している魔女もデスクから離れて廊下をミアレと歩く僕を凝視。
好奇な目、野獣の目、色々な視線が僕に集中する。
「こやつを寝取るなよ？我が兄上じゃからな」
この一言にサバト中がブーイングを発し、全員職務に戻っていった。
現金すぎる。
「まあそこに座るとよい」
部長室に連れられ、いかにも高級そうなソファを勧められた。
「さて……兄上とワシの馴れ初めじゃが」
「う、うん……」
「時は昨晩にさかのぼる」
「12時間前!?それだけ!?」
「昨日、ワシはこのサバト内で少々いざこざを起こしてな。ワシはある魔女とケンカしてこのサバトを飛び出したのじゃ」
「夜になって、さまよっていたところに突然に大雨が降り出して大変じゃった。雨具なんぞ持ってなかったからの」
「その雨がワシの心を冷やし、冷静になったワシは車の通らん静かな交差点の真ん中で泣いておった。あまりにも自分がバカみたいじゃったからのう」
「なに？冷静なヤツが泣くかじゃと？うるさいわい黙って聞いておれ」
「とにかく、ワシは柄にもなく泣いておったわ。雨がアスファルトを打つ音が、ワシの泣く声を遮ってた」
「そこに酔っ払いが現れた。『そこにいたら風邪を引くよ』と言って、ワシにコートを着せて酔っ払いはワシを自分の家へと案内した」
「察しておるじゃろうが、それが兄上だったわけじゃ」
「兄上はワシにシャワーを浴びせ、ワシに色々と気を使ってくれた。そんな兄上にワシは心を打たれた。惚れたのじゃよ」
「ワシはベッドで、寝る直前に思いを打ち明けた。すると兄上はワシの頭を撫でてくれた。『僕で良ければ』と言って、笑ってくれた」
「すっかり気を良くしたワシは嬉しさのあまり兄上に思いっきり甘えてな……今思えば恥ずかしいくらいにの。じゃから記憶が無いのが少し救いじゃった」
「それで朝起きたら、兄上が昨日のことを覚えていなかったというわけじゃ」
「酒に飲まれても人助けとは、兄上はなかなかのお人好しじゃなぁ」
愉快そうに笑うミアレ。
しかし心なしか嬉しそうだった。
「本当にごめん。なんか……こう」
「もう水に流そうではないか。細かいことなんぞ気にせんでいい」
「いや、でもさ……酒が入ってたし」
「それでも充分、ワシは嬉しかったぞい」
ひし、とくっつくミアレ。
僕は気恥ずかしくなり視線をあちこちにやっていると、デスクの上にあった写真立てが目に入る。それには満面の笑みをしたミアレと、僕より少し年上の雰囲気を醸している無精ひげをたくわえた男性が写っている仲睦まじい写真が飾られていた。
ここで僕は思い出す。
――また１人ぼっちになるなんて、もう嫌なんじゃ！
もしかして、あの人がミアレの……？
いや、だけど、魔物と人間の夫婦で離婚なんて話は聞いたことが……
「未練……なのかのぅ」
表情を曇らせるミアレ。
「もう察しているじゃろう。その写真に写っている男は、かつてのワシの兄上じゃ」
「かつての……」
ミアレは立ち上がり、写真立てを手に取って眺める。
「お人好しで優しくて、けれども少し頑固で、感情豊かな男じゃったよ。ワシが甘えたらいつでも応えてくれて、いい男じゃった」
「……そういえば朝言ってたよね。『また悲恋に身を置かなきゃならないのか』って」
「ああ……うむ」
写真立てを胸に抱くミアレ。
「１５年も前のことじゃ……」
ミアレは語る。
「出会いは２０年も前のこと。あれは寒い冬の日で……当時ワシはピッチピチの687歳じゃった」
「……兄上、なんか言ったかの？」
「ならいいんじゃが……その日はサバトの勧誘にワシが参加しておってな、白い息を吐きながらビラを配っておったよ」
「そんな時、目の前で男が倒れたのじゃ。いきなりで皆が目を疑ったが、ワシは反射的に近付いて声を掛けたが反応はなし、魔女たちを呼んでサバトで診てやった」
「男は心臓が弱かったようで、寒い日がこたえたようじゃった。一瞬の発作らしく男はすぐに意識を取り戻した」
「看病の間は旺盛な魔女たちを抑えるのが大変じゃったわい」
「男は土下座までして感謝し、サバトに入ると言い出した。ワシらとしては大歓迎なのじゃが、なんだか恩着せがましく思い勧誘を断った。彼の渋々帰って行く背中は残念そうじゃった」
「しかし次の日、男がサバトに来た。男は群がる魔女たちを押しのけ、ワシの居たこの部屋に入って来て頭を床に擦りつけてこう言ったよ……『貴方の兄になりに来ました』と」
「あまりにも誠実極まった態度にさすがのワシも折れてしもうてな、頭を下げた男を兄に認めたのじゃ」
「なに、交わったりしたのかじゃと？」
「そりゃヤったよ？いっぱいヤったよ？黒ミサで魔女にバンバン見せ付けてやったわい」
「ともあれ、そんな感じで幸せな日々が続いていた、ある日のことじゃった」
「ちょうど去年……男は前触れもなく急に倒れた。もがき苦しみ、胸を押さえるように手を当てて……ワシは魔女を呼んで必死の勢いで病院に運んだ」
「幸い、一命は取り留めたよ」
「じゃが入院を余儀無くされた」
「意識を取り戻してすぐ、男は泣きながらワシに謝り続けた。迷惑ばかり掛けてしまった、と」
「迷惑とは思っていない、とワシは男を抱き締めた。あの感覚は今でもはっきり覚えておる」
「ワシは二日に一度は必ず見舞いに行き、男と愛を語り合った。ワシとて魔物、夫がおらんと愛成分が足りなくなるのじゃ」
「一日中、語ったこともあったのう。楽しい時間じゃったよ」
「ある日、仕事に専念していたワシに一本の電話が来た。相手は男が入院していた病院の医者じゃった。すぐに来てほしいと言われ、ワシはサバトを飛び出し病院に走った」
「忘れもしない」
「ワシの大事な男は手術台に乗っていた」
「医者は言った。容体が急変し、すぐに手術すべきと決したと」
「ワシは峠を越えてほしい、そう願い望んだ。いくら魔物として格の高きワシでも、こればかりは、本当に無力だった」
「どう、だったの？」
ミアレは涙を一滴こぼし、力無く首を横に振った。
「ダメ……じゃったよ。ワシは死んでもいいからと願った。生きて欲しいと心から！なのに！なのに……っ」
「ミアレ……」
ミアレは僕に抱きつき、悔しそうに嗚咽を漏らした。温かい涙が、服に染み込み肌に伝わる。
「運命は……残酷じゃなぁ。生を失った男を見た時は言葉が出なかった。もう愛を語ることも、精を味わうことも、触れ合うことも見つめ合うことも……出来なくなってしまったから」
「…………」
「兄上、ワシを撫でてくれぬか？」
「……喜んで」
僕はミアレを撫でた。か弱い少女の震えが手に伝播し、悲しい気持ちが流れてくる錯覚。
僕は思った。
果たして、ここまでミアレを溺愛させた男の後釜に、僕がなれるのか。
「ミアレ様っ!!」
そのとき、１人の魔女が扉を開けた。
「おいおいサレア、ノックをせいと何度……」
「あーーーっ!!?」
魔女……サレアは指を差して叫んだ。
「わ、私の意中のお兄ちゃんになぜくっついてるですかー!?」
「うるさいのう……こやつはワシの兄上じゃぞ？何を私物よろしく扱っておるか」
二人の間にバチバチと火花が散る。
「この……ミアレ様の浮気性！」
「な、なんじゃとう!?」
「自慢だったお兄ちゃんが死んで悲しんでいたと思ったら、たった一年でちゃっかり新しいお兄ちゃん見つけている事のどこが浮気性でないと!?」
「ぬぐっ……うるさい！これには事情というものがあってだのう！」
「問答無用！いくら私を魔女にしてくださったミアレ様でも、略奪愛はサレアが許しませんですっ！」
「そこまで言われて黙っているワシではないぞ……片思いだけして手が出せなかったチキン小娘が何を小癪な！」
「ちょっと！二人ともストップストップ！」
二人の足元に魔法陣が現れたところで、僕は割り込み必死に止めにかかった。
二人が本気を出したりしたら、僕とかサバトの魔女が死んでしまう。
「ミアレ、まさかサバトを飛び出した喧嘩ってのは……？」
「内容は違うが……こやつじゃ」
「まだケリつけて無かったの？」
「だ、だってぇ……」
涙目でミアレは言う。
「毎日一緒にお風呂入ってきた大切なワシのアヒルちゃん、サレアが踏んづけたんじゃもん！」
「え……え？アヒル？」
あの黄色いゴムの？
「聞くのじゃ兄上！サレアのヤツな、風呂掃除の時に誤って踏んづけたことを謝る時に何と言ったと思う？『以後、気をつけます』じゃぞ!?ということは、『いつか踏んじゃうかもしれない』ってことじゃぞ！さぞ痛かっただろうに……これやっぱアレじゃね？処すべきか？処すべきかの!?」
「だから土下座してまで謝ったじゃないですかー！」
「うるさーい！ワシの怒りはまだ収まらん！」
なおも火花が散る両者。
なんというか、呆れて何も言えなかった。
「渦中の僕が言うことじゃないけどさ……仲良くいこうよ。同じサバトの仲間だし、ギスギスした関係はお互い嫌だろうしさ」
「「じゃあお兄ちゃんになってくれる？」」
「なぜ２人!?」
「だって〜、ねぇ？」
「ワシとサレアは、うぬを兄上にしたいわけじゃしのう」
艶めかしい視線を向ける２人。
僕は覚悟を決めなければならない、らしい。
↓エロパート↓
その夜……
「んちゅ……んはっ、んん……♥」
「やぁ……あっ♥ふあぁ♥」
ミアレとサレアをキングサイズのベッドに押し倒し、そのままミアレとキスしながら、右手でサレアの性器を愛撫する。
ミアレの舌は生暖かくてどこか甘い味がして……サレアの膣は小さくて狭く、指だというのに搾り取ろうと指に絡み包んでくる。
「ん……巧いではないか♥」
「おにぃちゃんの……ゆび、すき……んふぁあっ♥」
引っ掻くように膣壁を擦りながら指を引き抜くと、サレアの身体がブルブルと震え、愛液が一層溢れる。
僕は興奮に息を荒げる二人に、下半身の服を脱ぎ捨て、これ以上なくガチガチに勃った肉棒を露わにした。
「うわぁ……おっきい♥」
「ほう、なかなかの凶器を隠しておったわ…♥」
息を漏らし、まじまじと肉棒を見つめるサレアとミアレ。
「こんなに凄いので犯されると思うと……はぁ…♥我慢できないぃ♥」
言ってすぐに、サレアは肉棒にむしゃぶりつく。蛇のように舌を這わせ、いきなり喉深くまで咥えこむ。
「んじゅ……ちゅ、んん……♥♥」
「これサレア！ワシよりも先に……っ」
ミアレも飛び入り、どちらが先に達せられるかを競うように口で愛撫を始めた。
ミアレが丹念にカリを舐め回す間、サレアは裏筋を舌先でなぞる。
「くぅあ……ぅ……っ！二人、とも……！」
「ちゅ、ふぁ……ん……♥」
「じゅぷ、ん……ふぅ……れろぉ♥」
射精を堪えようと必死に耐える僕。しかし二人の巧みな愛撫がその努力を押し潰そうとする。
「んちゅ……好きなときに、出して……よいぞ…♥」
とどめを刺そうとミアレは一気に根元まで咥え、口をすぼめて頭を上下させる。
「ぐ……ぅあっ！」
無意識にミアレの頭を押さえつけ、彼女の喉奥に白濁を注いだ。ミアレは一瞬だけ苦しそうな顔を見せたが、すぐにとろけた表情で吐き出された精を飲んでいく。
「んむぅっ……♥けほっ、けほっ」
飲み干しきれなかったようで、ドロリとした精液がミアレの手に出される。サレアはミアレに近づいて吐き出されたおこぼれを啜り、舐め取っていく。
「どうじゃ……美味じゃろう……？♥」
「ふぁい……おいひいれすぅ♥」
２人が劣情の塊を幸せそうに味わう姿が、まるで甘い菓子を食べてるのかと錯覚してしまう、そのくらい自然で……
実に魅力的で。
「どうぞ…こっちに♥」
「うぬの精を……たっぷり注いでおくれ♥」
２人は蜜を滴らせた女性器を、くぱぁと音を立てて押し広げる。そこからはてらてらと愛液が流れ、ひくひくと微かに震えている。
「ミアレ……サレア……っ！」
僕は暴れる本能のままに、熟れた幼い果実に手を出した。
ミアレに覆い被さり割れ目にあてがう。ミアレは潤んだ瞳で自分の秘部に擦り付けられている肉棒を物欲しそうに見つめる。
「入れてくよ……？」
「きてぇ……あ、はぁあんっ！♥」
先を少し挿入すると、あまりの狭さと締まりに押し戻されそうになる。それに逆らってゆっくり奥まで入れた途端、
「ぬぅ……ぅ！」
ビリビリと快楽が電流のように体を駆け巡った。膣内の壁がうごめいて肉棒を舐めしゃぶり、歯を食いしばっても耐え難い刺激が襲いかかる。
「あぁ……きてるぅ……♥奥まで届いてるよぉ……♥」
「ミア、レ……いきなり動いたら……あああっ！」
動くこともままならない程の快楽に必死に射精を堪えようとするが、激しく腰を動かし始めるミアレ。
そして魔物の名器を前に当然我慢が出来るはずがなく、僕はあっけなくミアレの子宮に精をぶちまけた。
「あんっ……もう出してしまったのか」
肉棒を抜くと、ドロドロとした白濁が女性器からこぼれ出る。
「次は……私、ですよ……？♥」
間髪を入れずにサレアは僕の腰に跨がり、まだ硬さを保っている肉棒を自らの膣に入れていく。
「ちょ、サレア……!?」
「あはぁ……お兄ちゃんのすごいのぉ♥腰止まんないのぉ♥」
水音で部屋を埋めるほど激しく腰を振り、サレアの顔は肉棒の擦れる感覚にとろけている。
「ぐあ……イかされるぅっ！」
「ふぁあ……びゅーっ、てぇ……♥」
締まりが急に強くなり、搾られる感覚に視界で火花が散った。瞬間、大量の精が迸る。
恍惚な表情で射精を受け止め、サレアは僕の体にもたれかかった。
僕はサレアを抱き、頭を撫でさする。
「なんじゃ、サレアはもう果ておったのか」
「え……え？」
目を閉じて心地いい余韻に浸っているところに、まだまだ元気なミアレの声。
目を開けると、ミアレが愛液まみれの萎えた肉棒を口いっぱいに咥えて舐めていた。
「打ち止めとは言わせんぞ……まだ終わりと、ん……思ってないじゃろうな……？♥」
「え、あ、いや……」
もう疲れたから今度でいい。
そんな僕の心とは逆に、ミアレのテクニックに肉棒は再び硬さを取り戻す。しかもさっきまでより大きく、痛いほどに。
「あは……っ、まだまだヤれるな……？♥」
「あ、あははは……マジですか」
「ミアレ様……私だって、まだまだヤれますよ？♥」
「ちょ!?」
精根が枯れかけるほど、この後むちゃくちゃ逆レされた。
昨日は会社で創立50周年を祝う大宴会が開かれた。同僚のオーガと飲み比べで飲みに飲みまくり、結果僕はベロベロに酔っ払って家に帰ったようだ。記憶が全く無い。
目が覚めて自宅と知り、若干驚いた。
「えーと、メガネメガネ……」
外したメガネを取ろうと、顔を枕に埋めたまま手探りする。
そのとき、触り慣れない奇妙な感触が手から感じた。なんだか妙に尖ってヤギのような形状の、握りやすい大きさの角のような硬いヤツ。手を下にずらすと、今度はサラサラした何か……この触り心地は髪だろうか……さらに下にずらすと、次は柔らかい人肌の温もり……
瞬時、身体が戦慄し二日酔いは吹き飛んだ。
やってしまったかもしれない(二重の意味で)。
今すぐにでも確認したいが、手から読み取った情報をまとめると最悪の可能性が浮かぶ。
酔った勢いでテイクアウト＆超エキサイティンッしてしまったかもしれない。
絶望は輝き、死兆星と化した。
「大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ」
必死に自分をなだめすかし、勇気を出して犯した罪を凝視した。
「すー……すー……」
そこには天使のような可愛らしい茶髪の幼女の寝顔があった。見たところ１０歳いってない、初潮も何も来ていないであろう無垢極まった幼女が、僕のベッド(しかもすぐ隣)に寝ているのであった。
じ、人生……オワタ……
死兆星が隕石となって降ってきた……
「…………」
いやいや考え直せ僕。幼女の服は露出度こそ高いものの全然乱れてないし、いくら酔っても僕は幼女の身体に欲情したりしない。たとえ幼女にキャッキャウフフをしたいと思っても僕はチキンだ何も出来ない……って、幼女幼女連呼して僕は変態か！
とにかく冷静に分析しよう。この種族はアリス……いや、あのアリスがこんな露出度の高い服を着るはずがない。それに悪魔な羽も生えてないし、足は蹄だし……
蹄？
「んぅ……ん？」
幼女は目を覚ました。未だに罪悪感に蝕まれていた僕は瞬時にベッドから落ちるように隠れた。
ぽーっとした寝起きの顔で辺りを見回す幼女。
「兄上……もう起きてしまったのかのう」
兄上？
そこでピキーンと頭の電球が灯った。しかしそれがこれ以上に無く僕を追い詰めた。
バ、バフォメット……
幼女の王……
キング・オブ・ロリータ！
「兄上、そんなところで寝ておったのか」
「あ、あの……あまりにも不躾なことを質問しますが、バフォ様はなぜここに？」
その質問にバフォ様は『何を言ってるかコイツは』という顔をしていた。
「あ、兄上……」
「す、すいませんが……私とはどのような……」
「そんなわけないわーっ!!」
突然叫び、まだ寝転がったままの僕の身体に涙目で抱き付いた。
「そんなわけない！そんなわけないのじゃ！ワシの兄上が、ワシの兄上が！『朝起きたら記憶喪失になっていた』なんてことが起こるのはおかしい、有り得ない！なぜワシにばかり！そんなことがあってたまるか！ワシはまた、悲恋に身を置かねばならんのか!?」
「ちょっと落ち着いて……」
「嫌じゃ、また１人ぼっちになるなんて、もう嫌なんじゃ！嫌なんじゃ……うぅ」
顔を押し付け、嗚咽と涙を流す。
「…………」
この時僕は、バフォ様を抱きしめ頭を撫でながら誰が悪いのだろうと考えていた。
記憶喪失をしたのは自分。バフォ様の話が本当だとして、僕はバフォ様の事だけを忘れたというのか。バフォメットにとって『兄』は夫と同義、つまり僕は――
僕は。
人生１つ分の加害者だ。
「ごめん……ごめんよ」
「う……ぐすっ、うう」
しばらく同じ姿勢のまま、バフォ様が泣き止むまで抱擁を続けた。
『もしかしたら酔いつぶれて記憶が無い』という可能性は、もはやこの状況下で無粋だと判断され、無意識が破棄していた。
『あぁ……っと、バフォメット？』
かなりの二日酔いに陥ってるらしく、電話の向こう側の声はかなり狼狽していた。
相手は飲み比べをした同僚のオーガ。
「僕、もしかすると路頭に迷っていたバフォ様……ミアレっていうんだけど、拾って来ちゃった可能性がある」
『なんだよそりゃ……んで？今何してんの？』
「今はそのミアレに朝ご飯を作ってるとこだけど？」
『いやちげーよ。そのバフォメットだよ』
「右手にフォーク左手にナイフ、ウキウキした顔で朝ご飯を待ってる」
朝のメインは和食だけど。
『とりあえず整理すっけど……相手はお前を兄だと認識していて、かつ記憶喪失だと思っている』
「ざっくり言うとね」
『だがお前には決定的な記憶が無い。自分が本当に記憶喪失なのかもしれないし、単なる酒の勢いかもしれない』
「そんな感じ。だけど、ミアレのあの時の様子を見たらね……」
――そんなわけないのじゃ！
――ワシはまた、悲恋に身を置かねばならんのか!?
――１人ぼっちになるなんて、もう嫌なんじゃ！
「あんなのを見たら……酒の勢いだなんて、思えない」
『いっそ』
「え？」
聞きかねたのか、同僚は言った。
『いっそ本物のお兄ちゃんになっちまったらどうだ？』
「んー、まあそれが有効なんだろうけどさ、僕の稼ぎで養えるかどうか……ってのが問題なわけで。それに、そんな単純な考えで娶るなんて出来ないよ」
そのとき、視界の端でミアレの耳がわずかに動いた。
『んじゃま、とりあえず頑張れ』
僕はボタンを押し、受話器をそこらへんに置いて焼きあがった魚をミアレの前に運ぶ。
「兄上」
「うん？」
「さっき聞こえたんじゃが、ワシが重荷になるのかの？」
持ちかけた箸を落とす。
「いや、そうじゃなくて……あれは」
「大丈夫じゃよ」
「えっ」
「ワシを誰だと思っている？サバトの支部長じゃぞ？」
サバトの支部長……
平凡な会社に勤めている平社員とは格が違いすぎる……
「望みとあらばワシの権限を使って仕事場の一室で暮らすことも出来るのじゃ。サバト内の利益をちょこっと使って好きに暮らせるぞ？」
「それ、横領ってやつじゃ……」
「何を言っておる、サバトの利益は基本的にはワシの財産じゃ。ワシの使える金は一千万程度ある」
「い、一千万!?」
スーパーで昨晩安売りしていたアジの開きを食べている目の前の幼女が、およそ３年分の僕の年収額を既に稼いでいる!?
「まあもっと大きなサバトじゃと……年商一億はいくからのう」
「もうやめて……心が折れそう」
「分かった分かった。ささ、魚が冷めるから食べるのじゃ」
ミアレは慰めの「あーん」をしてくれた。しかし骨があったらしく、僕はしばらく喉に違和感を負ったのであった。
サバト。
バフォメット率いる魔女やその他の幼体種族だけでシステムを完全構築した魔法実験・研究機関……とは名ばかりで、実際はほとんどエロスに染まったことしかしていない真面目に不真面目系宗教団体。実態はほとんど公式で明かされていないはずだったのだが、リーダーであるバフォメットにも色々な性格の個体がいるらしく、あるサバトのバフォメットが布教活動時にベラベラと内部システムを喋り散らし、なんやかんやで世界中に知られるようになる。ちなみにそのバフォメットは総本部から処罰されリーダーの座から降ろされた。いわゆるクビだそうだ。
そんなサバトの支部が僕の住んでいる街にもひっそりと建っている。総会員数８０余り(うち男は２３人)、種族のほとんどは魔女である。
「おはようございます、そしてお帰りなさいませミアレ様」
「見て、殿方をお連れしてるみたいよ」
「へぇ。結構好みかもー」
熱心な布教活動も虚しく空回りし男が集まらない状況だけに、普段は真面目に中で作業している魔女もデスクから離れて廊下をミアレと歩く僕を凝視。
好奇な目、野獣の目、色々な視線が僕に集中する。
「こやつを寝取るなよ？我が兄上じゃからな」
この一言にサバト中がブーイングを発し、全員職務に戻っていった。
現金すぎる。
「まあそこに座るとよい」
部長室に連れられ、いかにも高級そうなソファを勧められた。
「さて……兄上とワシの馴れ初めじゃが」
「う、うん……」
「時は昨晩にさかのぼる」
「12時間前!?それだけ!?」
「昨日、ワシはこのサバト内で少々いざこざを起こしてな。ワシはある魔女とケンカしてこのサバトを飛び出したのじゃ」
「夜になって、さまよっていたところに突然に大雨が降り出して大変じゃった。雨具なんぞ持ってなかったからの」
「その雨がワシの心を冷やし、冷静になったワシは車の通らん静かな交差点の真ん中で泣いておった。あまりにも自分がバカみたいじゃったからのう」
「なに？冷静なヤツが泣くかじゃと？うるさいわい黙って聞いておれ」
「とにかく、ワシは柄にもなく泣いておったわ。雨がアスファルトを打つ音が、ワシの泣く声を遮ってた」
「そこに酔っ払いが現れた。『そこにいたら風邪を引くよ』と言って、ワシにコートを着せて酔っ払いはワシを自分の家へと案内した」
「察しておるじゃろうが、それが兄上だったわけじゃ」
「兄上はワシにシャワーを浴びせ、ワシに色々と気を使ってくれた。そんな兄上にワシは心を打たれた。惚れたのじゃよ」
「ワシはベッドで、寝る直前に思いを打ち明けた。すると兄上はワシの頭を撫でてくれた。『僕で良ければ』と言って、笑ってくれた」
「すっかり気を良くしたワシは嬉しさのあまり兄上に思いっきり甘えてな……今思えば恥ずかしいくらいにの。じゃから記憶が無いのが少し救いじゃった」
「それで朝起きたら、兄上が昨日のことを覚えていなかったというわけじゃ」
「酒に飲まれても人助けとは、兄上はなかなかのお人好しじゃなぁ」
愉快そうに笑うミアレ。
しかし心なしか嬉しそうだった。
「本当にごめん。なんか……こう」
「もう水に流そうではないか。細かいことなんぞ気にせんでいい」
「いや、でもさ……酒が入ってたし」
「それでも充分、ワシは嬉しかったぞい」
ひし、とくっつくミアレ。
僕は気恥ずかしくなり視線をあちこちにやっていると、デスクの上にあった写真立てが目に入る。それには満面の笑みをしたミアレと、僕より少し年上の雰囲気を醸している無精ひげをたくわえた男性が写っている仲睦まじい写真が飾られていた。
ここで僕は思い出す。
――また１人ぼっちになるなんて、もう嫌なんじゃ！
もしかして、あの人がミアレの……？
いや、だけど、魔物と人間の夫婦で離婚なんて話は聞いたことが……
「未練……なのかのぅ」
表情を曇らせるミアレ。
「もう察しているじゃろう。その写真に写っている男は、かつてのワシの兄上じゃ」
「かつての……」
ミアレは立ち上がり、写真立てを手に取って眺める。
「お人好しで優しくて、けれども少し頑固で、感情豊かな男じゃったよ。ワシが甘えたらいつでも応えてくれて、いい男じゃった」
「……そういえば朝言ってたよね。『また悲恋に身を置かなきゃならないのか』って」
「ああ……うむ」
写真立てを胸に抱くミアレ。
「１５年も前のことじゃ……」
ミアレは語る。
「出会いは２０年も前のこと。あれは寒い冬の日で……当時ワシはピッチピチの687歳じゃった」
「……兄上、なんか言ったかの？」
「ならいいんじゃが……その日はサバトの勧誘にワシが参加しておってな、白い息を吐きながらビラを配っておったよ」
「そんな時、目の前で男が倒れたのじゃ。いきなりで皆が目を疑ったが、ワシは反射的に近付いて声を掛けたが反応はなし、魔女たちを呼んでサバトで診てやった」
「男は心臓が弱かったようで、寒い日がこたえたようじゃった。一瞬の発作らしく男はすぐに意識を取り戻した」
「看病の間は旺盛な魔女たちを抑えるのが大変じゃったわい」
「男は土下座までして感謝し、サバトに入ると言い出した。ワシらとしては大歓迎なのじゃが、なんだか恩着せがましく思い勧誘を断った。彼の渋々帰って行く背中は残念そうじゃった」
「しかし次の日、男がサバトに来た。男は群がる魔女たちを押しのけ、ワシの居たこの部屋に入って来て頭を床に擦りつけてこう言ったよ……『貴方の兄になりに来ました』と」
「あまりにも誠実極まった態度にさすがのワシも折れてしもうてな、頭を下げた男を兄に認めたのじゃ」
「なに、交わったりしたのかじゃと？」
「そりゃヤったよ？いっぱいヤったよ？黒ミサで魔女にバンバン見せ付けてやったわい」
「ともあれ、そんな感じで幸せな日々が続いていた、ある日のことじゃった」
「ちょうど去年……男は前触れもなく急に倒れた。もがき苦しみ、胸を押さえるように手を当てて……ワシは魔女を呼んで必死の勢いで病院に運んだ」
「幸い、一命は取り留めたよ」
「じゃが入院を余儀無くされた」
「意識を取り戻してすぐ、男は泣きながらワシに謝り続けた。迷惑ばかり掛けてしまった、と」
「迷惑とは思っていない、とワシは男を抱き締めた。あの感覚は今でもはっきり覚えておる」
「ワシは二日に一度は必ず見舞いに行き、男と愛を語り合った。ワシとて魔物、夫がおらんと愛成分が足りなくなるのじゃ」
「一日中、語ったこともあったのう。楽しい時間じゃったよ」
「ある日、仕事に専念していたワシに一本の電話が来た。相手は男が入院していた病院の医者じゃった。すぐに来てほしいと言われ、ワシはサバトを飛び出し病院に走った」
「忘れもしない」
「ワシの大事な男は手術台に乗っていた」
「医者は言った。容体が急変し、すぐに手術すべきと決したと」
「ワシは峠を越えてほしい、そう願い望んだ。いくら魔物として格の高きワシでも、こればかりは、本当に無力だった」
「どう、だったの？」
ミアレは涙を一滴こぼし、力無く首を横に振った。
「ダメ……じゃったよ。ワシは死んでもいいからと願った。生きて欲しいと心から！なのに！なのに……っ」
「ミアレ……」
ミアレは僕に抱きつき、悔しそうに嗚咽を漏らした。温かい涙が、服に染み込み肌に伝わる。
「運命は……残酷じゃなぁ。生を失った男を見た時は言葉が出なかった。もう愛を語ることも、精を味わうことも、触れ合うことも見つめ合うことも……出来なくなってしまったから」
「…………」
「兄上、ワシを撫でてくれぬか？」
「……喜んで」
僕はミアレを撫でた。か弱い少女の震えが手に伝播し、悲しい気持ちが流れてくる錯覚。
僕は思った。
果たして、ここまでミアレを溺愛させた男の後釜に、僕がなれるのか。
「ミアレ様っ!!」
そのとき、１人の魔女が扉を開けた。
「おいおいサレア、ノックをせいと何度……」
「あーーーっ!!?」
魔女……サレアは指を差して叫んだ。
「わ、私の意中のお兄ちゃんになぜくっついてるですかー!?」
「うるさいのう……こやつはワシの兄上じゃぞ？何を私物よろしく扱っておるか」
二人の間にバチバチと火花が散る。
「この……ミアレ様の浮気性！」
「な、なんじゃとう!?」
「自慢だったお兄ちゃんが死んで悲しんでいたと思ったら、たった一年でちゃっかり新しいお兄ちゃん見つけている事のどこが浮気性でないと!?」
「ぬぐっ……うるさい！これには事情というものがあってだのう！」
「問答無用！いくら私を魔女にしてくださったミアレ様でも、略奪愛はサレアが許しませんですっ！」
「そこまで言われて黙っているワシではないぞ……片思いだけして手が出せなかったチキン小娘が何を小癪な！」
「ちょっと！二人ともストップストップ！」
二人の足元に魔法陣が現れたところで、僕は割り込み必死に止めにかかった。
二人が本気を出したりしたら、僕とかサバトの魔女が死んでしまう。
「ミアレ、まさかサバトを飛び出した喧嘩ってのは……？」
「内容は違うが……こやつじゃ」
「まだケリつけて無かったの？」
「だ、だってぇ……」
涙目でミアレは言う。
「毎日一緒にお風呂入ってきた大切なワシのアヒルちゃん、サレアが踏んづけたんじゃもん！」
「え……え？アヒル？」
あの黄色いゴムの？
「聞くのじゃ兄上！サレアのヤツな、風呂掃除の時に誤って踏んづけたことを謝る時に何と言ったと思う？『以後、気をつけます』じゃぞ!?ということは、『いつか踏んじゃうかもしれない』ってことじゃぞ！さぞ痛かっただろうに……これやっぱアレじゃね？処すべきか？処すべきかの!?」
「だから土下座してまで謝ったじゃないですかー！」
「うるさーい！ワシの怒りはまだ収まらん！」
なおも火花が散る両者。
なんというか、呆れて何も言えなかった。
「渦中の僕が言うことじゃないけどさ……仲良くいこうよ。同じサバトの仲間だし、ギスギスした関係はお互い嫌だろうしさ」
「「じゃあお兄ちゃんになってくれる？」」
「なぜ２人!?」
「だって〜、ねぇ？」
「ワシとサレアは、うぬを兄上にしたいわけじゃしのう」
艶めかしい視線を向ける２人。
僕は覚悟を決めなければならない、らしい。
↓エロパート↓
その夜……
「んちゅ……んはっ、んん……♥」
「やぁ……あっ♥ふあぁ♥」
ミアレとサレアをキングサイズのベッドに押し倒し、そのままミアレとキスしながら、右手でサレアの性器を愛撫する。
ミアレの舌は生暖かくてどこか甘い味がして……サレアの膣は小さくて狭く、指だというのに搾り取ろうと指に絡み包んでくる。
「ん……巧いではないか♥」
「おにぃちゃんの……ゆび、すき……んふぁあっ♥」
引っ掻くように膣壁を擦りながら指を引き抜くと、サレアの身体がブルブルと震え、愛液が一層溢れる。
僕は興奮に息を荒げる二人に、下半身の服を脱ぎ捨て、これ以上なくガチガチに勃った肉棒を露わにした。
「うわぁ……おっきい♥」
「ほう、なかなかの凶器を隠しておったわ…♥」
息を漏らし、まじまじと肉棒を見つめるサレアとミアレ。
「こんなに凄いので犯されると思うと……はぁ…♥我慢できないぃ♥」
言ってすぐに、サレアは肉棒にむしゃぶりつく。蛇のように舌を這わせ、いきなり喉深くまで咥えこむ。
「んじゅ……ちゅ、んん……♥♥」
「これサレア！ワシよりも先に……っ」
ミアレも飛び入り、どちらが先に達せられるかを競うように口で愛撫を始めた。
ミアレが丹念にカリを舐め回す間、サレアは裏筋を舌先でなぞる。
「くぅあ……ぅ……っ！二人、とも……！」
「ちゅ、ふぁ……ん……♥」
「じゅぷ、ん……ふぅ……れろぉ♥」
射精を堪えようと必死に耐える僕。しかし二人の巧みな愛撫がその努力を押し潰そうとする。
「んちゅ……好きなときに、出して……よいぞ…♥」
とどめを刺そうとミアレは一気に根元まで咥え、口をすぼめて頭を上下させる。
「ぐ……ぅあっ！」
無意識にミアレの頭を押さえつけ、彼女の喉奥に白濁を注いだ。ミアレは一瞬だけ苦しそうな顔を見せたが、すぐにとろけた表情で吐き出された精を飲んでいく。
「んむぅっ……♥けほっ、けほっ」
飲み干しきれなかったようで、ドロリとした精液がミアレの手に出される。サレアはミアレに近づいて吐き出されたおこぼれを啜り、舐め取っていく。
「どうじゃ……美味じゃろう……？♥」
「ふぁい……おいひいれすぅ♥」
２人が劣情の塊を幸せそうに味わう姿が、まるで甘い菓子を食べてるのかと錯覚してしまう、そのくらい自然で……
実に魅力的で。
「どうぞ…こっちに♥」
「うぬの精を……たっぷり注いでおくれ♥」
２人は蜜を滴らせた女性器を、くぱぁと音を立てて押し広げる。そこからはてらてらと愛液が流れ、ひくひくと微かに震えている。
「ミアレ……サレア……っ！」
僕は暴れる本能のままに、熟れた幼い果実に手を出した。
ミアレに覆い被さり割れ目にあてがう。ミアレは潤んだ瞳で自分の秘部に擦り付けられている肉棒を物欲しそうに見つめる。
「入れてくよ……？」
「きてぇ……あ、はぁあんっ！♥」
先を少し挿入すると、あまりの狭さと締まりに押し戻されそうになる。それに逆らってゆっくり奥まで入れた途端、
「ぬぅ……ぅ！」
ビリビリと快楽が電流のように体を駆け巡った。膣内の壁がうごめいて肉棒を舐めしゃぶり、歯を食いしばっても耐え難い刺激が襲いかかる。
「あぁ……きてるぅ……♥奥まで届いてるよぉ……♥」
「ミア、レ……いきなり動いたら……あああっ！」
動くこともままならない程の快楽に必死に射精を堪えようとするが、激しく腰を動かし始めるミアレ。
そして魔物の名器を前に当然我慢が出来るはずがなく、僕はあっけなくミアレの子宮に精をぶちまけた。
「あんっ……もう出してしまったのか」
肉棒を抜くと、ドロドロとした白濁が女性器からこぼれ出る。
「次は……私、ですよ……？♥」
間髪を入れずにサレアは僕の腰に跨がり、まだ硬さを保っている肉棒を自らの膣に入れていく。
「ちょ、サレア……!?」
「あはぁ……お兄ちゃんのすごいのぉ♥腰止まんないのぉ♥」
水音で部屋を埋めるほど激しく腰を振り、サレアの顔は肉棒の擦れる感覚にとろけている。
「ぐあ……イかされるぅっ！」
「ふぁあ……びゅーっ、てぇ……♥」
締まりが急に強くなり、搾られる感覚に視界で火花が散った。瞬間、大量の精が迸る。
恍惚な表情で射精を受け止め、サレアは僕の体にもたれかかった。
僕はサレアを抱き、頭を撫でさする。
「なんじゃ、サレアはもう果ておったのか」
「え……え？」
目を閉じて心地いい余韻に浸っているところに、まだまだ元気なミアレの声。
目を開けると、ミアレが愛液まみれの萎えた肉棒を口いっぱいに咥えて舐めていた。
「打ち止めとは言わせんぞ……まだ終わりと、ん……思ってないじゃろうな……？♥」
「え、あ、いや……」
もう疲れたから今度でいい。
そんな僕の心とは逆に、ミアレのテクニックに肉棒は再び硬さを取り戻す。しかもさっきまでより大きく、痛いほどに。
「あは……っ、まだまだヤれるな……？♥」
「あ、あははは……マジですか」
「ミアレ様……私だって、まだまだヤれますよ？♥」
「ちょ!?」
精根が枯れかけるほど、この後むちゃくちゃ逆レされた。
14/03/26 17:10更新 / 祝詞