4.アントアラクネ(大学生)
もうすぐ日が暮れそうな夕方、俺は大学の近くにある学生寮を訪れていた。
ピンポーン・・・ドンドン
「有田〜俺だ、伊勢だ。ゼミの資料もってきたぞ〜」
・・・・・ドア越しに僕は声をかけるが返事が無い
「・・・」
ピンポーン・・・ピンポーン・・・
「有田〜いるなら返事をしてくれ〜〜」
ドンドンドン、カチャッ
「・・・空いてる・・・まったく無用心だな・・・」
俺は鍵が開いていたので僕は室内に入らせてもらった。
「有田〜お邪魔させてもらってるからな〜」
それなりに聞こえる声量でこの部屋の住人有田へ向けて入室を告げたがやはり反応がない・・・
「・・・本当に留守か・・・?」
「・・・・・」
しばらく無言で聞き耳を立ててみる・・・すると・・・
「ZZZ・・・ZZZ・・・ZZZ・・・」
どこからか健やかな寝息を立てているのが聞こえてきた。
「やっぱり寝てるな・・・」
僕は有田の部屋の中に入り、この寝息の元を辿っていく。とそこには・・・
「ZZZ・・・ZZZ・・・ZZZ・・・えへへ〜もう食べられないよ〜〜ムニャムニャ・・・」
部屋中に"糸"を張り巡らしそれをハンモックの様にして気持ちよさそうに寝息を立てつつ、見事なテンプレ寝言を披露する有田がいた・・・足元には散らばった雑誌にインスタント食品のゴミ、デスクトップ型のPCにはネトゲらしき画面が表示されていた・・・
「大方予想はしてたけど・・・相変わらずのアントアラクネのだらけっぷりには恐れ入るな」
そう彼女は怠け者で有名な種族のアントアラクネ。こうして見ているほうが清清しいくらいの怠惰ッぷりを披露してくれいているのだ。
「この調子だと今日一日ずっとこんな調子だったんだろうな〜・・・まあいいや、お〜い有田!起きろ〜〜!!起きないと今日の講義とゼミ資料渡さないぞ〜〜!!!」
「う〜・・・それは困る〜〜このままじゃ単位が落ちる〜〜」
「じゃあ、いますぐ起きろ」
「は〜〜〜い・・・」
そう言って有田はのろのろとダルそうに起き上がり8本の足で立ち上がった・・・
「ふわ〜〜〜おはよ〜伊勢君」
「おはよ〜じゃねえよ。むしろ”おそよう”だろ・・・」
「そうともいう〜・・・」
「やれやれ・・・その様子だとずっと寝てたみたいだな・・・もうすぐ夕暮れだぞ。」
「ふえ・・・?もうそんな時間・・・??一日過ぎるのって早いな〜〜」
「・・・毎日一日の大半を寝るか、ネトゲしてる有田ならまあ早いだろうな」
「それほどでも〜〜♪」
「褒めてないって・・・」
皮肉をたっぷり込めたのに彼女にはまったく通じていない・・・
有田こと有田 優美(ありた ゆうみ)は俺、伊勢 真人(いせ まさと)と同じ大学に通う2年生。同じゼミに所属し、学生番号が近いことから、入学時のガイダンスから同じ班になったりすることが多く、入学した時からの付き合いである。入学当初からこんな感じでサボり魔であった彼女は講義やゼミの出席率がかなり悪く、常に単位が危ない状態であった。比較的講義やゼミに出ている俺はあまり学校に顔を出さない有田が心配でちょくちょくこの寮に顔を出しては講義内容を書いたノートのコピーやゼミの資料等を渡していた。その介あってか、有田はなんとか1年の時に必要な最低限の単位だけは取得できていた。(それ以外の講義は出席率が悪すぎて評価が「可」や「不可」が大半)最初は心配して同じゼミの仲間達も僕と同じように有田に学校に来るように促していたが、段々と愛想を尽かし、来なくなっていた。その中でも俺だけは彼女の事が気にかかり、こうして彼女に会いに来ているのだ。
「しかしよくまあお前この大学に入れたよな・・・そもそもこんなんじゃ高校とかで単位とれてなさそうなのに・・・」
「ふふふ〜これでも成績自体はかなり良かったんだよ〜・・・」
「・・・こんなダラけた生活してるのにか?」
「実家にいたときはお母さんは何も言わなかったけど〜お父さんが割りと厳しかったからね〜・・・授業とか勉強はぼちぼちしてたの〜・・・」
「そうだったのか・・・で、その反動でこの自堕落生活って訳か・・・」
親の目がある実家暮らしから開放された寮での一人暮らしじゃまあしょうがないかもしれないが・・・
「まったく・・・しょうがないな・・・まっせめて講義やゼミで寝ててもいいから学校には顔を出せよな」
「う〜〜〜学校まで行くのダルい〜〜〜」
「・・・この学生寮から歩いて5分もかからないだろ・・・」
有田が住んでいるこの学生寮は学校から近く有田以外の学生も多数住んでいる。この立地の良さから春先には入居募集が毎年殺到するらしく、入居できるかどうかは抽選で選ばれる。その抽選に見事当選したのが有田という訳だ。ちなみに俺は片道1時間の自宅通学である。
「逆に近すぎるのも問題かもな・・・まあ有田の場合は遠かろうが近かろうが関係なさそうだが・・・」
「そうそう・・・カンケーなし」
全然誇らしい事でもないのに無駄に育っている胸を張る有田。若干目に毒な為視線をそらす。
「褒めてないって・・・とにかく、これ今日あった講義のノートコピーとゼミの資料一式だからな。あっ教授から伝言。来週のゼミこなかったら無条件で不可にするから・・・だってさ」
「ふええ〜〜〜それは困る〜〜〜><」
「そうなりたくなければ来週のゼミちゃんと出て来いよ?」
「うう〜〜〜わかったよ〜〜〜」
「よろしい。じゃあ、俺帰るから」
「あっうん・・・ありがとね・・・」
「おう、それじゃ」
「なあ、伊勢」
「ん?」
昼休憩中学食で同じゼミの友人である弓道部の本多から声をかけられた
「有田の事なんだが、お前は有田のことをどう思っているんだ?」
「どうって・・・」
「あいつ全然講義やゼミにも顔出さないし、クラブやサークルにも所属してない、バイトもしてないらしいじゃないか。はっきり言ってこのままでいいとは思えない。」
真面目な本多は有田に対して苦言と呈した
「確かにな・・・」
有田は俺の様にごく普通の学生生活を送っているわけでも、本多の様に部活に打ち込んでいるわけでもない。
「伊勢はあいつにノートのコピーとか相変わらず届けてるんだろ?お前は善意のつもりでそうしているんだろうが、半端な気持ちでそんな事をしても有田の怠惰な生活を助長しているだけで、有田の為にならないぞ」
「・・・」
最初は単純にあいつ、有田の事が心配ではじめたことだけど、本多の言う通りあいつの自主性を重んじるあまり踏み込んであいつを諭す様なことは言ったことが無い。
「・・・なあ伊勢、もし彼女の事を本気で考えているなら、彼女の為にもそろそろ厳しい言葉が必要じゃないか?」
「・・・!」
俺は本多に言われてハッとした。
ほぼ毎日の様にあいつに顔を出しにいっているうちに有田に対して同期生、ゼミ仲間といった感情とは別の放っておけない、あいつを支えてやらないと・・・有田に対して"特別な感情"が、芽生えていたのだ。
「・・・そうだな・・・そうだよな・・・」
本多に言われて俺は決心した。有田の事を本当に思っているなら時としてそういう言葉も必要だ。
「ありがとう本多。」
「いや、礼をいわれる程じゃないさ。この言葉は先輩からの受け売りだからな」
「先輩?・・・ああ、お前の好きな弓道部の部長か?」
「ちっちが!・・・部長は俺のあこがれであってだな・・・///」
「わかってるよ。さて今日は昼からの講義もないし、早速有田を説得しにいってくるよ」
「そうか・・・がんばれよ」
「ああ、お互いにな」
「だから違うって!///」
こうして俺は有田のいる学生寮へと向かった。
「お〜い有田〜〜いるなら返事しろ〜〜」
お約束のごとく有田からの返答はない。そしていつものごとく鍵が開いていた為いつものごとく部屋へと入っていった。
「有田〜?・・・んん?なんだこの匂い?」
普段有田の家に来たときには感じたことのないなんだか甘い匂いがする・・・頭もぼうっとしてきている・・・
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「有田の声がする・・・寝室か」
有田の声が聞こえてきた寝室へ向かう。なんだか苦しそうな声に聞こえるのが気にかかる。そこには・・・
「あっ有田・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・あ・・・♪伊勢・・・くぅん・・・♪♪」
有田はいつも通り糸のハンモックの上に寝ていたのはいいが、自分の股間を激しく弄り、自慰にふけっていた・・・
「一体どうしたんだ有田・・・?」
「はぁ・・・はぁ・・・わかんない〜ごろごろしてたら急にムラムラしてきちゃってぇ〜・・・さっきからず〜〜とこうやっておさめようとしてるんだけどぉ〜〜全然・・・ダメ・・・な・のぉ・・・!?」
俺と喋りつつも股間をいじるのをやめない有田は時折体をビクンビクンさせている。どうやら断続的にイッている様だ・・・
「どうすりゃいいんだ・・・?とりあえず病院へ連れて行くか??確か学校の近くに診療所が・・・」
「だい・・じょう・・ぶだよ・・・こうすれば・・・直る・・・から・・♪」
「えっ・・・むぐ!?」
ふと有田に顔を向けたと同時に有田が目の前に迫っており、抜群のタイミングで俺と有田の唇がぶつかる。
「んん・・・ちゅう・・・ちゅぶ・・・んんんっ・・・」
有田は唇をあわせるだけでなく俺の口の中に舌を滑り込ませ、俺の舌を絡め、自分の唾液を流し込んでくる・・・その唾液はまるで蜜の様に甘く、俺の脳髄をとろけさせていく・・・
「はぁ・・・ふふ・・・伊勢君・・・私の唾の味・・・どう・・・?」
「はぁ・・はぁ・・・すっげえ・・・甘い・・・」
「でしょ〜〜?ふふ・・・伊勢君ももう我慢できないって感じだね〜?」
ゴソゴソゴソ・・・
「う・・・あ・・・」
先程の有田の唾液のせいで体から力が抜けてしまった俺は有田になされるがままにされ下半身を露にされてしまっていた・・・
「あはぁ〜♪伊勢君、立派なの持ってるんだね〜おいしそう♪」
「おっおい・・・有田・・・やめろ・・・こういうことは好きな奴とやるもんだろ?」
「・・・いいもん・・・私・・・伊勢君のこと・・・すきだから・・・」
「え・・・?」
「こんな私にでも普通に接してくれる伊勢君が・・・私は好きなの・・・!」
「・・・有田・・・」
「私じゃダメ・・・かな・・・?やっぱり・・・こんなだらしない女なんて嫌いだよね・・・」
「・・・そんな事いうなよ・・・俺も・・・有田の事・・・好きだ」
「えっ・・・うそ・・・?」
「嘘なもんか。有田の事、最初はただほかっておけない奴だなって感じだったけど、今は違う・・・俺、有田の事が好きだから、有田と一緒に過ごしたいから・・・そう思っていままでお前にお節介だと思われてもいいと思ってノートのコピーとか持ってきてたんだ・・・それに気がついたんだ・・・」
「伊勢・・・君・・・えへへ・・・嬉しい・・・私達両想いだったんだね・・・♪」
「ああ・・・だから有田いや、優美・・・いいか?」
「・・・うん・・・来て・・・真人君・・・♥」
「お〜い、優美。起きろ〜〜!!」
「う〜〜〜・・・」
「ほら、早く支度しろよ。もうすぐ講義がはじまっちまうぞ!!」
「ふあ〜〜〜い・・・」
ようやく起き上がった優美はのろのろと着替えをはじめた。
「ちょっ・・・優美!その場で脱ぐな!!ちゃんと脱衣所でやれ!!」
「む〜めんどくさいよ〜〜減るものでもないし、いつも見せあってるし〜・・・」
「ソレとコレは別だろ・・・まったく・・・」
俺と有田が結ばれてから少し時間が経過し、少しだけ変化があった。あの日結ばれた俺たちはある約束をした。それは、「必ず一緒に講義を受講すること」だ。単純に一緒にいたいという思いもあるが、できるだけ同じ講義に一緒に出る様にすれば、出席は確実に増やせるし、連絡がつかなければほぼ確実に寮の自室で惰眠を貪っているはずだからだ。だからこうして今までと同じ様で少し違う日々が始まっていた。優美も俺と一緒に受ける講義は楽しいらしいので、少しだけやる気が出たようで何よりだ。
そうそう、あの日何故優美は発情していたのか・・・この理由はどうも有田の隣の部屋に住んでいるジャイアントアントの有川(ありかわ)があの日自分の彼氏を連れ込んでシッポリやっていたらしく、その時のフェロモンが優美の部屋に流れ込んだらしい。あの時俺たち以外の寮にいた学生もどうやら同じ目にあっていた様で、後で有川が謝りに来ていた。結果として結ばれた俺たちとしては逆に感謝しているくらいだか。
「ほらほら戸締りはいいか?電気・ガスの元栓閉めたか?部屋の鍵かけたか?」
「うう〜〜〜そんなせかさないでよ〜〜〜」
「よし、OKだな!それじゃいくぞ。ほら」
ようやく優美の支度が終わり、玄関の鍵をかけたので、学校へと出発する。俺は優美に手を出して、優美は俺の手をつなぐ
「さて、今日の講義は出席確認厳しいから急ぐぞ!」
「はぁ〜〜〜い」
今日も慌しい一日がはじまる
〜終わり〜
ピンポーン・・・ドンドン
「有田〜俺だ、伊勢だ。ゼミの資料もってきたぞ〜」
・・・・・ドア越しに僕は声をかけるが返事が無い
「・・・」
ピンポーン・・・ピンポーン・・・
「有田〜いるなら返事をしてくれ〜〜」
ドンドンドン、カチャッ
「・・・空いてる・・・まったく無用心だな・・・」
俺は鍵が開いていたので僕は室内に入らせてもらった。
「有田〜お邪魔させてもらってるからな〜」
それなりに聞こえる声量でこの部屋の住人有田へ向けて入室を告げたがやはり反応がない・・・
「・・・本当に留守か・・・?」
「・・・・・」
しばらく無言で聞き耳を立ててみる・・・すると・・・
「ZZZ・・・ZZZ・・・ZZZ・・・」
どこからか健やかな寝息を立てているのが聞こえてきた。
「やっぱり寝てるな・・・」
僕は有田の部屋の中に入り、この寝息の元を辿っていく。とそこには・・・
「ZZZ・・・ZZZ・・・ZZZ・・・えへへ〜もう食べられないよ〜〜ムニャムニャ・・・」
部屋中に"糸"を張り巡らしそれをハンモックの様にして気持ちよさそうに寝息を立てつつ、見事なテンプレ寝言を披露する有田がいた・・・足元には散らばった雑誌にインスタント食品のゴミ、デスクトップ型のPCにはネトゲらしき画面が表示されていた・・・
「大方予想はしてたけど・・・相変わらずのアントアラクネのだらけっぷりには恐れ入るな」
そう彼女は怠け者で有名な種族のアントアラクネ。こうして見ているほうが清清しいくらいの怠惰ッぷりを披露してくれいているのだ。
「この調子だと今日一日ずっとこんな調子だったんだろうな〜・・・まあいいや、お〜い有田!起きろ〜〜!!起きないと今日の講義とゼミ資料渡さないぞ〜〜!!!」
「う〜・・・それは困る〜〜このままじゃ単位が落ちる〜〜」
「じゃあ、いますぐ起きろ」
「は〜〜〜い・・・」
そう言って有田はのろのろとダルそうに起き上がり8本の足で立ち上がった・・・
「ふわ〜〜〜おはよ〜伊勢君」
「おはよ〜じゃねえよ。むしろ”おそよう”だろ・・・」
「そうともいう〜・・・」
「やれやれ・・・その様子だとずっと寝てたみたいだな・・・もうすぐ夕暮れだぞ。」
「ふえ・・・?もうそんな時間・・・??一日過ぎるのって早いな〜〜」
「・・・毎日一日の大半を寝るか、ネトゲしてる有田ならまあ早いだろうな」
「それほどでも〜〜♪」
「褒めてないって・・・」
皮肉をたっぷり込めたのに彼女にはまったく通じていない・・・
有田こと有田 優美(ありた ゆうみ)は俺、伊勢 真人(いせ まさと)と同じ大学に通う2年生。同じゼミに所属し、学生番号が近いことから、入学時のガイダンスから同じ班になったりすることが多く、入学した時からの付き合いである。入学当初からこんな感じでサボり魔であった彼女は講義やゼミの出席率がかなり悪く、常に単位が危ない状態であった。比較的講義やゼミに出ている俺はあまり学校に顔を出さない有田が心配でちょくちょくこの寮に顔を出しては講義内容を書いたノートのコピーやゼミの資料等を渡していた。その介あってか、有田はなんとか1年の時に必要な最低限の単位だけは取得できていた。(それ以外の講義は出席率が悪すぎて評価が「可」や「不可」が大半)最初は心配して同じゼミの仲間達も僕と同じように有田に学校に来るように促していたが、段々と愛想を尽かし、来なくなっていた。その中でも俺だけは彼女の事が気にかかり、こうして彼女に会いに来ているのだ。
「しかしよくまあお前この大学に入れたよな・・・そもそもこんなんじゃ高校とかで単位とれてなさそうなのに・・・」
「ふふふ〜これでも成績自体はかなり良かったんだよ〜・・・」
「・・・こんなダラけた生活してるのにか?」
「実家にいたときはお母さんは何も言わなかったけど〜お父さんが割りと厳しかったからね〜・・・授業とか勉強はぼちぼちしてたの〜・・・」
「そうだったのか・・・で、その反動でこの自堕落生活って訳か・・・」
親の目がある実家暮らしから開放された寮での一人暮らしじゃまあしょうがないかもしれないが・・・
「まったく・・・しょうがないな・・・まっせめて講義やゼミで寝ててもいいから学校には顔を出せよな」
「う〜〜〜学校まで行くのダルい〜〜〜」
「・・・この学生寮から歩いて5分もかからないだろ・・・」
有田が住んでいるこの学生寮は学校から近く有田以外の学生も多数住んでいる。この立地の良さから春先には入居募集が毎年殺到するらしく、入居できるかどうかは抽選で選ばれる。その抽選に見事当選したのが有田という訳だ。ちなみに俺は片道1時間の自宅通学である。
「逆に近すぎるのも問題かもな・・・まあ有田の場合は遠かろうが近かろうが関係なさそうだが・・・」
「そうそう・・・カンケーなし」
全然誇らしい事でもないのに無駄に育っている胸を張る有田。若干目に毒な為視線をそらす。
「褒めてないって・・・とにかく、これ今日あった講義のノートコピーとゼミの資料一式だからな。あっ教授から伝言。来週のゼミこなかったら無条件で不可にするから・・・だってさ」
「ふええ〜〜〜それは困る〜〜〜><」
「そうなりたくなければ来週のゼミちゃんと出て来いよ?」
「うう〜〜〜わかったよ〜〜〜」
「よろしい。じゃあ、俺帰るから」
「あっうん・・・ありがとね・・・」
「おう、それじゃ」
「なあ、伊勢」
「ん?」
昼休憩中学食で同じゼミの友人である弓道部の本多から声をかけられた
「有田の事なんだが、お前は有田のことをどう思っているんだ?」
「どうって・・・」
「あいつ全然講義やゼミにも顔出さないし、クラブやサークルにも所属してない、バイトもしてないらしいじゃないか。はっきり言ってこのままでいいとは思えない。」
真面目な本多は有田に対して苦言と呈した
「確かにな・・・」
有田は俺の様にごく普通の学生生活を送っているわけでも、本多の様に部活に打ち込んでいるわけでもない。
「伊勢はあいつにノートのコピーとか相変わらず届けてるんだろ?お前は善意のつもりでそうしているんだろうが、半端な気持ちでそんな事をしても有田の怠惰な生活を助長しているだけで、有田の為にならないぞ」
「・・・」
最初は単純にあいつ、有田の事が心配ではじめたことだけど、本多の言う通りあいつの自主性を重んじるあまり踏み込んであいつを諭す様なことは言ったことが無い。
「・・・なあ伊勢、もし彼女の事を本気で考えているなら、彼女の為にもそろそろ厳しい言葉が必要じゃないか?」
「・・・!」
俺は本多に言われてハッとした。
ほぼ毎日の様にあいつに顔を出しにいっているうちに有田に対して同期生、ゼミ仲間といった感情とは別の放っておけない、あいつを支えてやらないと・・・有田に対して"特別な感情"が、芽生えていたのだ。
「・・・そうだな・・・そうだよな・・・」
本多に言われて俺は決心した。有田の事を本当に思っているなら時としてそういう言葉も必要だ。
「ありがとう本多。」
「いや、礼をいわれる程じゃないさ。この言葉は先輩からの受け売りだからな」
「先輩?・・・ああ、お前の好きな弓道部の部長か?」
「ちっちが!・・・部長は俺のあこがれであってだな・・・///」
「わかってるよ。さて今日は昼からの講義もないし、早速有田を説得しにいってくるよ」
「そうか・・・がんばれよ」
「ああ、お互いにな」
「だから違うって!///」
こうして俺は有田のいる学生寮へと向かった。
「お〜い有田〜〜いるなら返事しろ〜〜」
お約束のごとく有田からの返答はない。そしていつものごとく鍵が開いていた為いつものごとく部屋へと入っていった。
「有田〜?・・・んん?なんだこの匂い?」
普段有田の家に来たときには感じたことのないなんだか甘い匂いがする・・・頭もぼうっとしてきている・・・
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「有田の声がする・・・寝室か」
有田の声が聞こえてきた寝室へ向かう。なんだか苦しそうな声に聞こえるのが気にかかる。そこには・・・
「あっ有田・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・あ・・・♪伊勢・・・くぅん・・・♪♪」
有田はいつも通り糸のハンモックの上に寝ていたのはいいが、自分の股間を激しく弄り、自慰にふけっていた・・・
「一体どうしたんだ有田・・・?」
「はぁ・・・はぁ・・・わかんない〜ごろごろしてたら急にムラムラしてきちゃってぇ〜・・・さっきからず〜〜とこうやっておさめようとしてるんだけどぉ〜〜全然・・・ダメ・・・な・のぉ・・・!?」
俺と喋りつつも股間をいじるのをやめない有田は時折体をビクンビクンさせている。どうやら断続的にイッている様だ・・・
「どうすりゃいいんだ・・・?とりあえず病院へ連れて行くか??確か学校の近くに診療所が・・・」
「だい・・じょう・・ぶだよ・・・こうすれば・・・直る・・・から・・♪」
「えっ・・・むぐ!?」
ふと有田に顔を向けたと同時に有田が目の前に迫っており、抜群のタイミングで俺と有田の唇がぶつかる。
「んん・・・ちゅう・・・ちゅぶ・・・んんんっ・・・」
有田は唇をあわせるだけでなく俺の口の中に舌を滑り込ませ、俺の舌を絡め、自分の唾液を流し込んでくる・・・その唾液はまるで蜜の様に甘く、俺の脳髄をとろけさせていく・・・
「はぁ・・・ふふ・・・伊勢君・・・私の唾の味・・・どう・・・?」
「はぁ・・はぁ・・・すっげえ・・・甘い・・・」
「でしょ〜〜?ふふ・・・伊勢君ももう我慢できないって感じだね〜?」
ゴソゴソゴソ・・・
「う・・・あ・・・」
先程の有田の唾液のせいで体から力が抜けてしまった俺は有田になされるがままにされ下半身を露にされてしまっていた・・・
「あはぁ〜♪伊勢君、立派なの持ってるんだね〜おいしそう♪」
「おっおい・・・有田・・・やめろ・・・こういうことは好きな奴とやるもんだろ?」
「・・・いいもん・・・私・・・伊勢君のこと・・・すきだから・・・」
「え・・・?」
「こんな私にでも普通に接してくれる伊勢君が・・・私は好きなの・・・!」
「・・・有田・・・」
「私じゃダメ・・・かな・・・?やっぱり・・・こんなだらしない女なんて嫌いだよね・・・」
「・・・そんな事いうなよ・・・俺も・・・有田の事・・・好きだ」
「えっ・・・うそ・・・?」
「嘘なもんか。有田の事、最初はただほかっておけない奴だなって感じだったけど、今は違う・・・俺、有田の事が好きだから、有田と一緒に過ごしたいから・・・そう思っていままでお前にお節介だと思われてもいいと思ってノートのコピーとか持ってきてたんだ・・・それに気がついたんだ・・・」
「伊勢・・・君・・・えへへ・・・嬉しい・・・私達両想いだったんだね・・・♪」
「ああ・・・だから有田いや、優美・・・いいか?」
「・・・うん・・・来て・・・真人君・・・♥」
「お〜い、優美。起きろ〜〜!!」
「う〜〜〜・・・」
「ほら、早く支度しろよ。もうすぐ講義がはじまっちまうぞ!!」
「ふあ〜〜〜い・・・」
ようやく起き上がった優美はのろのろと着替えをはじめた。
「ちょっ・・・優美!その場で脱ぐな!!ちゃんと脱衣所でやれ!!」
「む〜めんどくさいよ〜〜減るものでもないし、いつも見せあってるし〜・・・」
「ソレとコレは別だろ・・・まったく・・・」
俺と有田が結ばれてから少し時間が経過し、少しだけ変化があった。あの日結ばれた俺たちはある約束をした。それは、「必ず一緒に講義を受講すること」だ。単純に一緒にいたいという思いもあるが、できるだけ同じ講義に一緒に出る様にすれば、出席は確実に増やせるし、連絡がつかなければほぼ確実に寮の自室で惰眠を貪っているはずだからだ。だからこうして今までと同じ様で少し違う日々が始まっていた。優美も俺と一緒に受ける講義は楽しいらしいので、少しだけやる気が出たようで何よりだ。
そうそう、あの日何故優美は発情していたのか・・・この理由はどうも有田の隣の部屋に住んでいるジャイアントアントの有川(ありかわ)があの日自分の彼氏を連れ込んでシッポリやっていたらしく、その時のフェロモンが優美の部屋に流れ込んだらしい。あの時俺たち以外の寮にいた学生もどうやら同じ目にあっていた様で、後で有川が謝りに来ていた。結果として結ばれた俺たちとしては逆に感謝しているくらいだか。
「ほらほら戸締りはいいか?電気・ガスの元栓閉めたか?部屋の鍵かけたか?」
「うう〜〜〜そんなせかさないでよ〜〜〜」
「よし、OKだな!それじゃいくぞ。ほら」
ようやく優美の支度が終わり、玄関の鍵をかけたので、学校へと出発する。俺は優美に手を出して、優美は俺の手をつなぐ
「さて、今日の講義は出席確認厳しいから急ぐぞ!」
「はぁ〜〜〜い」
今日も慌しい一日がはじまる
〜終わり〜
12/05/20 22:57更新 / KOJIMA
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