大百足ちゃんかわいい
ふう、と溜め息が漏れた。男は水を飲もうとリビングへ行こうとしたがやめて、自分に抱き付いたまま眠る愛しい者を優しく抱え、長い長い髪を撫でながら、先程までの事を思い返していた。体を蝕んでいた彼女の毒は既にほとんど消え、体温が上昇した様な感覚はもう感じていなかった。
「やれやれ、もう将来の事まで考えないといけなくなるとは」
言葉と裏腹に男の表情も心も不安さとは無縁であり、むしろ何かに希望や期待を感じているかの様でさえあった。
「ハルっハルっ!」
よく目をこらせば、暗い室内に敷かれた布団の上で男女が座位で抱き合いながら愛し合っているのが見えるだろう。暗い寝室で男女がする事と言えば限られるし、この部屋も例外ではない。最近は防音関係の技術が進み、部屋の中に響く嬌声も淫らな音も外に漏れる事はほぼ無く、世間の恋人達や夫婦達は近所迷惑を考慮しなくてもよくなった。聴覚に敏感な種族の為に、安眠用の安価な耳栓が普及したのも記憶に新しく、アメリカを騒がせた一連の騒音―敢えてどの様な騒音かを語るまでも無かろう―に関する相次ぐ訴訟に終止符が打たれた。とある独身の女性上院議員がその件に関して「訴訟を起こす要因は独身女性が抱いている嫉妬心にあるのだろう」と発言した事で数日はネットもニュースも祭りになったが、平和な光景であると言える。
「んむ!? んー! もう、キスはっだめ、だめっで、すって!」と春海は弱弱しい抗議を行なった。まあ本気で嫌がっているかと言われればそれは疑問なのだが。
愛しい恋人からの抗議にジョージは「すまない、だが」と苦しそうにそこで一呼吸置き「こうっすると、ハルが、もっと、可愛く、うっ、なるからっ」と頑張って続けた。猛毒が与える快楽と、春海と愛し合う事で生まれる快楽の両方に耐えながらにしては、よく頑張って自分の心境を述べたものだ。しかしそれが余計に彼女を追い詰める事になるが。
春海は「やっ♥ 見ないで、見ないで下さいっ、旦那っ様! 恥ずかしいっ…」と言って涙を浮かべた両目を閉じ、首を左右に振って嫌々と恥ずかしそうにした。熱にうなされた頭で何とか状況を把握したジョージは、せめてお互いの顔の位置を正面からずらして抱き合う事で、春海の顔を見ない様にしようとしたが、春海は依然背中に回した腕でギュッと強く抱き付いていたので無理だった。ならばジョージも目を瞑ればいいのだが、暗い部屋の中とは言え一応見える春海の性感に耐える顔を見ていたかったので、結局ずっと見ていた。人間とは矛盾した生き物である。
「あっあっあんっ♥ アッ♥ やっ♥ アッああっはあっはあ♥」辛そうな表情の春海がジョージの興奮を更に高めた。後で謝ろう、と彼は考えながら、自分の限界も近い事を悟った。恐らくこのまま続ければ成人向け漫画の様に、2人一緒に絶頂を迎えるだろう。
とそこで、ジョージは普段と違って自分達が全く避妊していない事に気付いた。初めての時―実はお互いに初めて同士だった―は安全日だったので何も考えずにそのままシたのだが、さすがに無責任にポンポンするのは不味いだろうと考えたジョージが、これからは避妊しようと提案した。春海が不満そうだったのは言うまでもない。
ジョージは限界まで味わってから、腰を抜こうとしたのだが、面白い事にさっきまでだらんと投げ出され緩く巻き付いていた春海の虫の下半身が、ガチガチにジョージを固定している。春海は更に自分の腰をジョージに押し当てた。彼女は間違いなく子を欲している。「子宮が疼く」と言い始めたのが誰かは知らないが、その人は幸せだったのだろう。
何気に不味い展開になった事に気付きジョージは天井を見上げて「いかん…」と呟いて歯を食い縛った。歯を食い縛ったのは快楽に耐える為でもあったのだろう。同時に首に高熱が広がるのを感じ、見ると春海がキュッと可愛く目を瞑りながら口で彼の首元を噛み、首の牙が彼の胸の辺りをチクリと刺していた。見られている事に気付いた春海は、声にならない声を上げて大泣きしながら、首を左右に振った。ジョージはその意味を悟り、そしてそのまま春海に中出ししてしまった。すると今度は珍しく春海の方からキスをしてきた。
「んむ! んん! んっ、んっん…」
お互い抱き合ったままキスを続け、春海は自分の膣内の最奥へ押し当てられた肉棒が精を放つのを感じた。キスをしながら射精を子宮へ受けた事による凄まじい快楽と、既成事実が出来上がった事の幸福感が強過ぎたせいもあり、力ある魔でありながら春海は意識を手放した。
「まあいいじゃないか、どうせ予定が早まっただけだし」
ジョージは子を寝かす様に抱き付いたままの春海を優しく撫で続けた。つい数分前までしていた幸せなセックスの事を思い出してブルッと震えた彼は、このままあと何分かこうしている事を選ぶ。
元々ジョージは仕事で日本に来た。辞令でアメリカ本国から日本へ海外転勤する事になったのだ。コーネル大へ通っていた頃に日本語を学んでいた事が要因だろう。とは言え、学習を始めた当初はあまりにも多過ぎる漢字が嫌いだった。彼の漢字嫌いは「漢字は英単語の綴りを覚える様なものだ」と考えを変えるまで続く。
最初は東京勤務だったが数か月で神戸に行く事となり、以降転勤の話は出ていない。そんなこんなで暮らしていた時に、個人的な付き合いのある男から縁談を持ちかけられた。ジョージとしてはとりあえず会うだけ会ってみるぐらいの軽い気持ちだったが、いざ男の娘である春海に会うと彼は心を奪われた。
会ううちにジョージは次第に、いつもオドオドと上目使いな春海をどうやって笑顔にさせるかを考える様になった。三宮センター街でデートをした時は、確かに春海は恥ずかしそうではあったものの、嬉しそうでもあった。ジョージがどこか行きたい所は無いか聞くと、春海は恥ずかしそうに小さな声でジュンク堂だと答えた。曰く本が好きらしい。ジョージ自身も読書が好きだったので洋書のペーパーバックを買い、春海は推理小説を買った。その日の晩、初めて迎えた2人だけの夜などは、今思い返しても彼の心を高鳴らせるものであった。お互いに初めて同士で戸惑いながら、しかしかなりの興奮を味わいながら愛し合った。
そろそろか、とジョージは呟いてバスルームへ行こうとした。まだ春海は起きていないものの、彼女をお姫様抱っこで連れて行けばいいだろうと結論付けた。今度休暇を取ってハルを私が生まれ育ったサウスカロライナの田舎に連れて行ってあげよう、と能天気に考え事をしていた時に、少し問題が発生した。
「フッ、ぐっ!」とジョージは唸る。そう、仕方のない話ではあるが、大百足の様に大きな下半身を持つ種族はその分体重も重くなるのだ。彼とて子供の頃はよく両親の牧場で手伝いをしたものだが、さすがにここまで重い物はほとんど無かった。そもそも持てないぐらい重い物を人力で運ぶはずもない。彼は持ち上げられなかったので敷かれた布団の上へ春海を横たわらせた。「これぐらい…!」と意気込んで力を入れたが、やはり駄目であった。何という不幸な話であろうか。春海の体重は残念ながら400ポンドを超えていた。しかもそれは彼女の種族では標準より少し下程度である。
尚も諦めずに続けていると、彼の体に変化が起こった。ジョージの体が高熱を帯び、彼は春海の牙に当たってしまったのだろうかと思ったが、そうではないと気付いた。今まで感じた事の無い様な活力が、彼の体を駆け巡ったのだ。彼もこの変化については性教育の時間に習ってはいたのだが、まさかこれ程のものだとは思っていなかった。
「踏ん張れよ、クソったれぇ!」
2人の男女が淡い光源に照らされたバスルームの中で向かい合って―もちろんかなり顔の距離は近い―湯船に浸かっていた。
男は「今度休暇を取るから、アメリカに行かないか?」と問うた。
「旦那様、それは…♥」
女はハッとして答える。しかしいつもの様なオドオドした表情よりも、もっと彼女の表情は明るかった。少なくとも男にとっては。そういえば気が付くと旦那様って呼ばれていたな、と苦笑しながら男は「ああ、まだ私の両親に紹介してないだろ? それに私の故郷だしさ、ハルにも見せてあげたいと思ってなぁ」と答えた。実は何気に名前で呼ばれた事は無く、それ以前も女は男の名前を呼ばずたどたどしく会話していたのだが、2人がそれでいいならいいのだろう。
「旦那様、愛しております♥」
いつになく力強い語調だった。尤も、彼女の顔はトロンと惚け切っていたが。
「ありがとう。私もハルの事が大好きだ」
感激し、盛り上がったものの、いつもと違って毒は流れていなかったので、その後の彼らのキスは普通のキスだった。
「やれやれ、もう将来の事まで考えないといけなくなるとは」
言葉と裏腹に男の表情も心も不安さとは無縁であり、むしろ何かに希望や期待を感じているかの様でさえあった。
「ハルっハルっ!」
よく目をこらせば、暗い室内に敷かれた布団の上で男女が座位で抱き合いながら愛し合っているのが見えるだろう。暗い寝室で男女がする事と言えば限られるし、この部屋も例外ではない。最近は防音関係の技術が進み、部屋の中に響く嬌声も淫らな音も外に漏れる事はほぼ無く、世間の恋人達や夫婦達は近所迷惑を考慮しなくてもよくなった。聴覚に敏感な種族の為に、安眠用の安価な耳栓が普及したのも記憶に新しく、アメリカを騒がせた一連の騒音―敢えてどの様な騒音かを語るまでも無かろう―に関する相次ぐ訴訟に終止符が打たれた。とある独身の女性上院議員がその件に関して「訴訟を起こす要因は独身女性が抱いている嫉妬心にあるのだろう」と発言した事で数日はネットもニュースも祭りになったが、平和な光景であると言える。
「んむ!? んー! もう、キスはっだめ、だめっで、すって!」と春海は弱弱しい抗議を行なった。まあ本気で嫌がっているかと言われればそれは疑問なのだが。
愛しい恋人からの抗議にジョージは「すまない、だが」と苦しそうにそこで一呼吸置き「こうっすると、ハルが、もっと、可愛く、うっ、なるからっ」と頑張って続けた。猛毒が与える快楽と、春海と愛し合う事で生まれる快楽の両方に耐えながらにしては、よく頑張って自分の心境を述べたものだ。しかしそれが余計に彼女を追い詰める事になるが。
春海は「やっ♥ 見ないで、見ないで下さいっ、旦那っ様! 恥ずかしいっ…」と言って涙を浮かべた両目を閉じ、首を左右に振って嫌々と恥ずかしそうにした。熱にうなされた頭で何とか状況を把握したジョージは、せめてお互いの顔の位置を正面からずらして抱き合う事で、春海の顔を見ない様にしようとしたが、春海は依然背中に回した腕でギュッと強く抱き付いていたので無理だった。ならばジョージも目を瞑ればいいのだが、暗い部屋の中とは言え一応見える春海の性感に耐える顔を見ていたかったので、結局ずっと見ていた。人間とは矛盾した生き物である。
「あっあっあんっ♥ アッ♥ やっ♥ アッああっはあっはあ♥」辛そうな表情の春海がジョージの興奮を更に高めた。後で謝ろう、と彼は考えながら、自分の限界も近い事を悟った。恐らくこのまま続ければ成人向け漫画の様に、2人一緒に絶頂を迎えるだろう。
とそこで、ジョージは普段と違って自分達が全く避妊していない事に気付いた。初めての時―実はお互いに初めて同士だった―は安全日だったので何も考えずにそのままシたのだが、さすがに無責任にポンポンするのは不味いだろうと考えたジョージが、これからは避妊しようと提案した。春海が不満そうだったのは言うまでもない。
ジョージは限界まで味わってから、腰を抜こうとしたのだが、面白い事にさっきまでだらんと投げ出され緩く巻き付いていた春海の虫の下半身が、ガチガチにジョージを固定している。春海は更に自分の腰をジョージに押し当てた。彼女は間違いなく子を欲している。「子宮が疼く」と言い始めたのが誰かは知らないが、その人は幸せだったのだろう。
何気に不味い展開になった事に気付きジョージは天井を見上げて「いかん…」と呟いて歯を食い縛った。歯を食い縛ったのは快楽に耐える為でもあったのだろう。同時に首に高熱が広がるのを感じ、見ると春海がキュッと可愛く目を瞑りながら口で彼の首元を噛み、首の牙が彼の胸の辺りをチクリと刺していた。見られている事に気付いた春海は、声にならない声を上げて大泣きしながら、首を左右に振った。ジョージはその意味を悟り、そしてそのまま春海に中出ししてしまった。すると今度は珍しく春海の方からキスをしてきた。
「んむ! んん! んっ、んっん…」
お互い抱き合ったままキスを続け、春海は自分の膣内の最奥へ押し当てられた肉棒が精を放つのを感じた。キスをしながら射精を子宮へ受けた事による凄まじい快楽と、既成事実が出来上がった事の幸福感が強過ぎたせいもあり、力ある魔でありながら春海は意識を手放した。
「まあいいじゃないか、どうせ予定が早まっただけだし」
ジョージは子を寝かす様に抱き付いたままの春海を優しく撫で続けた。つい数分前までしていた幸せなセックスの事を思い出してブルッと震えた彼は、このままあと何分かこうしている事を選ぶ。
元々ジョージは仕事で日本に来た。辞令でアメリカ本国から日本へ海外転勤する事になったのだ。コーネル大へ通っていた頃に日本語を学んでいた事が要因だろう。とは言え、学習を始めた当初はあまりにも多過ぎる漢字が嫌いだった。彼の漢字嫌いは「漢字は英単語の綴りを覚える様なものだ」と考えを変えるまで続く。
最初は東京勤務だったが数か月で神戸に行く事となり、以降転勤の話は出ていない。そんなこんなで暮らしていた時に、個人的な付き合いのある男から縁談を持ちかけられた。ジョージとしてはとりあえず会うだけ会ってみるぐらいの軽い気持ちだったが、いざ男の娘である春海に会うと彼は心を奪われた。
会ううちにジョージは次第に、いつもオドオドと上目使いな春海をどうやって笑顔にさせるかを考える様になった。三宮センター街でデートをした時は、確かに春海は恥ずかしそうではあったものの、嬉しそうでもあった。ジョージがどこか行きたい所は無いか聞くと、春海は恥ずかしそうに小さな声でジュンク堂だと答えた。曰く本が好きらしい。ジョージ自身も読書が好きだったので洋書のペーパーバックを買い、春海は推理小説を買った。その日の晩、初めて迎えた2人だけの夜などは、今思い返しても彼の心を高鳴らせるものであった。お互いに初めて同士で戸惑いながら、しかしかなりの興奮を味わいながら愛し合った。
そろそろか、とジョージは呟いてバスルームへ行こうとした。まだ春海は起きていないものの、彼女をお姫様抱っこで連れて行けばいいだろうと結論付けた。今度休暇を取ってハルを私が生まれ育ったサウスカロライナの田舎に連れて行ってあげよう、と能天気に考え事をしていた時に、少し問題が発生した。
「フッ、ぐっ!」とジョージは唸る。そう、仕方のない話ではあるが、大百足の様に大きな下半身を持つ種族はその分体重も重くなるのだ。彼とて子供の頃はよく両親の牧場で手伝いをしたものだが、さすがにここまで重い物はほとんど無かった。そもそも持てないぐらい重い物を人力で運ぶはずもない。彼は持ち上げられなかったので敷かれた布団の上へ春海を横たわらせた。「これぐらい…!」と意気込んで力を入れたが、やはり駄目であった。何という不幸な話であろうか。春海の体重は残念ながら400ポンドを超えていた。しかもそれは彼女の種族では標準より少し下程度である。
尚も諦めずに続けていると、彼の体に変化が起こった。ジョージの体が高熱を帯び、彼は春海の牙に当たってしまったのだろうかと思ったが、そうではないと気付いた。今まで感じた事の無い様な活力が、彼の体を駆け巡ったのだ。彼もこの変化については性教育の時間に習ってはいたのだが、まさかこれ程のものだとは思っていなかった。
「踏ん張れよ、クソったれぇ!」
2人の男女が淡い光源に照らされたバスルームの中で向かい合って―もちろんかなり顔の距離は近い―湯船に浸かっていた。
男は「今度休暇を取るから、アメリカに行かないか?」と問うた。
「旦那様、それは…♥」
女はハッとして答える。しかしいつもの様なオドオドした表情よりも、もっと彼女の表情は明るかった。少なくとも男にとっては。そういえば気が付くと旦那様って呼ばれていたな、と苦笑しながら男は「ああ、まだ私の両親に紹介してないだろ? それに私の故郷だしさ、ハルにも見せてあげたいと思ってなぁ」と答えた。実は何気に名前で呼ばれた事は無く、それ以前も女は男の名前を呼ばずたどたどしく会話していたのだが、2人がそれでいいならいいのだろう。
「旦那様、愛しております♥」
いつになく力強い語調だった。尤も、彼女の顔はトロンと惚け切っていたが。
「ありがとう。私もハルの事が大好きだ」
感激し、盛り上がったものの、いつもと違って毒は流れていなかったので、その後の彼らのキスは普通のキスだった。
12/10/21 14:07更新 / しすてむずあらいあんす