読切小説
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真面目な人ほどワルに惹かれがち

「勉強なら我の身体の悦ばせ方を勉強しろ、実技で」

「マレはどうせどこ触れても悦ぶでしょ、とりま医学を勉強して
 患者さんに喜んでもらった方が気持ちいーよ」

「なんで医大なの…?」

「医者になってー独立してー医院長なってー地元に根付いてーそこから地方議員ー
 国会議員になってー総理大臣になってー憲法改正して永世総理大臣になるべし」

「仁の道を政界への足がかりみたいに使っちゃダメでしょ」

「まどろっこしい、我が少し指を動かすだけで国くらい作ってやるのに」

「こういうのは自力でやるからこそ意味があるんだし、ね、だーりん」

「すごい他力でレールが敷かれてる…」

「安心しろ、我が必ず脱線させてやる」

「それもそれで嫌」

「いくら脱線してもだーりんなら余裕で復帰すっから!
なんたってあーしが見込んだオトコだし」

「期待が重い…」

「で、あろう。もう何も考えず我に任せて堕ちるがよい」

「総理大臣orヒモって振り幅が大きすぎるんだよね」

「そもそもどうしてそんなに偉くさせようとするのだ、
こいつはもう生きてるだけで偉い、100万点贈呈!」

「だったらだーりんはその100万点をガチで毎秒100万乗増やせるし!」

「人を勝手に巨大数にしないで」

「お前自身はどうしたいのだ?」

「働きたくないし、遊んで暮らしたい」

「これは温厚なあーしも怒髪天」

「正直でよいではないか」

「…と思うけど、そういう訳にはいかないので頑張って勉強して働こうかなと」

「さすがだーりん。自律と勤勉の何たるかを理解してる」

「…?我との繁殖以外の事を頑張る必要があるのか?」

「ナチュラルに傲慢すぎて納得しそうになる」

「ぶっぶー!だーりん。マレは『傲慢』じゃなくて『高慢』だよ」

「あれそうだっけ、バルログさんは確か…?」

「そうそう、あーしは『傲慢』
 地味に図鑑に『傲慢』と記載されたのはあーしが初なんだよね」

「……(どっちにしろ嫌だなぁ)」

「あーしくらいの大悪魔になると人間の考えてることとか丸わかりだから、
 今日の夜は覚悟しててね♥」

「夜なんて来なければいいのに」

「安心しろ、犯されてボロ雑巾のようになったお前を我が優しく慰めレイプしてやる」

「それ追い打ちって言うんだよ?」

「ならあーしはマレに慰めレイプされただーりんをよしよし慰めレイプレイプするし!」

「だったら我が慰めレイプした後に慰めレイプレイプされた
 こいつを慰めレイプレイプレイプする」

「こんなにレイプ連呼する人ってクラウザーさんだけだと思ってた」

「あーしなら一秒間に10回レイプできるし!」

「なら我は100回だ!」

「される方の身にもなって」

「だよね、まずはだーりんの体を光速のレイプに耐えられるように鍛えるし!
 目指せ知力体力ALLカンスト!」

「困難に打ち勝つために知力と体力をつけなければいけないのは身に染みて感じてる」

「ん?だーりん?『困難』ってもう一回言ってみて?」

「(要求値が高すぎる)困(ったバルログと)
 (堕落への強要が有)難(迷惑なマレフドラゴン)」

「これは調教度もカンストさせた方が良いようだな。まずは寸止め耐久だ」

「内心の自由くらい保証させて!」

「寸止めとかだーりんかわいそすぎるから、逆に精液垂れ流しになってもらおーぜ?」

「本当に僕を総理大臣にする気ある?」

「あーしと常に繋がりながら仕事すればいいじゃん」

「待て、それなら我とのシフト制だぞ」

「ねえ、僕の勤務時間24時間超えるんだけど」

「体力付ければ大丈夫っしょ」

「まあでも体はもう少し鍛えたいかな、今のままだと二人を持ち上げられないし」

「だーりん、さすがにあーしら二人同時はきついって…
 でも、気持ちはうれしーよ」

「ふ、欲張りな奴だ」

「いや、個別でもクソ重くて無理ムリ」

「「犯す」」

「だって!角とか尻尾とかでかすぎでしょ!首とか腰の筋肉どうなってんの!?」

「だーりんにはデリカシーも叩き込む必要があるっしょ…」

「これ以上叩き込まれたらストレスで破裂しちゃう」

「なら、我が破裂しないように空になるまでヌいてやろうではないか」

「ストレス↑」

「怒り↑↑」

「おっかしーな?
 あーしの魔力が効いてるはずなのにだーりんのやる気アガってなくない?」

「いや、やる気はなくもないんです。実際今から勉強しようと思ってたし」

「まあ待て、激しく燃やすためにも今日はゆっくりして燃料を蓄えるが良い」

「明日から頑張ればいい気がしてきた」

「せっかくだーりんがやる気になったのに水差さないで!マレのバカ!まれぱんだ!」

「人をゆるキャラの先駆けみたいに言うな」

「でも、偉くなってお金持ちになってもあんまり意味がないような気が」

「ヤバ!だーりんがマレのせいで堕落し始めてるし!」

「我、何もしてないぞ」

「過剰な富とか名声とかよりも、皆で楽しく暮らすだけでいいんじゃない?」

「だーりん、逆だよ。あーしとマレはもう富も名声も権力も持ってるから、
 キミもそれに見合う実力を持たなきゃいけないんだよ」

「ここら辺が『バルログは傲慢』と言われる所以だな」

「マレに冷静に突っ込まれるのキツいし…」

「でも、言いたい事分かったよ、二人と対等な関係になれるように頑張る!」

「その意気だしだーりん!」

「我と対等にだと?ふふっかわいい冗談だ」

「まれぱんだは黙ってて!」

「む……言おうと思ってたが、たれ〇んだが流行したのははるか昔だぞ。
 それに今時だーりん呼びも古すぎて一周回って新しいくらいだし…
 なんかもうキツい、色々」

「そ、それ言ったら戦争だろうが…!!!」

「総理大臣になる前に国がなくなる可能性が出てきた」

「だーりん的にはどうなの!?あーしの口調!」

「この際はっきり引導を渡してやるがいい!」

「ギャルババアもそれはそれで好き!」

「ぎゃ…ギャル…ババア…?」

「我もそこまで言えとは言ってない…」

「え?え?」

「…いや、たしかに他の子よりちょっちトシ上だけど…!
 たまにパイロゥたちの話題についていけなくなる時があるけど!!
 さすがにババアまでは!…ババアまでは!」

「好きだと言ってるし、いいではないか」

「好き好き大好き」

「……ま…まあ…それならオッケー!過ぎたことは笑って許す!これギャルの鉄則」

「やっぱりちょっと古いぞ」

「マジでキレる5秒前」

「どんどんドツボにハマってて素敵」

「お前も良い性格してるな」

「仕事してると流行から徐々に零れ落ちていくんだって、ガチのマジで」

「他のバルログさんみたいに遊びながら適当にやったら?」

「全くその通りだ、堕落こそ世の真理」

「有事に即応するためにはガチめの組織作りが必要だからね、手ぇ抜けない」

「この辺りでそんな有事ってほど危険なモノってあった?」

「あーしの管轄内に『邪竜』がいるから」

「こいつかぁ…」

「いま我のこと『こいつ』って言った?」

「気のせい」

「だーりんを堕落させすぎて人格にも影響出てたりしない?」

「元からだろ」

「でも、今はもう邪竜が暴れる心配ないし適当に遊んでみたら?」

「ならだーりん犯す!」

「もっとギャルっぽい遊びをしてほしい」

「たま〇っちとか?」

「判定お願いします」

「アウトだ」

「なんでだし!」

「どうせ最初期のしか知らないだろ」

「え、シリーズ出てる感じ…?」

「叩けばどこまでも埃が出てきて可哀想だからあまり触らないようにしよう?」

「うむ、そうだな…」

「この大悪魔であるあーしが同情され、腫物扱いされるなどあってたまるかっ…!」

「まあ、そもそも『ギャル』概念は想像と願望の幻想だから
 多少の時間のズレがあるくらい気にしなくていいと思うぞ」

「うんうん、逆にメインターゲット層にヒットしそうでいいと思う」

「メインターゲット層って誰だし…」

「とにかく、我も少し言い過ぎた、あまり気に病むな」

「ぐぎぎぎ……」

「素直な謝罪と慰めの言葉って時として凶器になるんだ」

「だーりんは…あーしって普通のバルログとちょっと違うかもしれないけど…好き?」

「大好きだよ、クセ強いのすごい好き」

「間違いなくお前が一番癖が強いと思うぞ」

「じゃあ、この中で一番クセ弱なのマレだね」

「気が付くとツッコミ役になってしまっているからそうかもしれん」

「いや、でも『だらけロリババアドラゴン』って割とクセ強…
 と思ったけど、かなりメジャーな方だったね、クセ弱どころか無個性」

「世が世ならお前を地獄に送った後にそのまま地獄でもしばらくどつき回してるぞ!」

「大悪魔と邪竜にバランスよく喧嘩売れるのある種の才能だと思うな、あーし」

「喧嘩売ってるつもりなんて全然ないんですけど…」

「なお悪い。こいつを本当に総理大臣にさせる気か?
 こいつに外交やらせるの絶対にヤバいだろ」

「周辺国全部、敵に回しちゃうし…」

「なら、敵国を二人にやっつけてもらえば領土が増える!」

「逆にこれはこれで大臣どころか王の器なのやも…?」

「暴君じゃね?」

「総理大臣よりも王様の方が収まりいいね」

「あーしが血の滲む思いで民主化した国を勝手に王政にするのはだーりんといえどダメ」

「冗談だよ、本当に真面目だね…
 ボクもそんな真剣に国のために働けるか不安になってきた」

「大丈夫!あーしがガッツリフォローするから!」

「あ、普通に一緒に働いてくれるんだ」

「とーぜん!だーりんだけに大変な思いはさせないし、ってか元々あーしの国だし」

「…もしかして、お前がやる気に満ちている分、
 こいつにあんまりやる気が行ってないのでは?」

「そんなわけないっしょ……と言い切れないのが悲しい」

「なら試しに二人で思いっきり遊んで来たら?堕落させる天才と一緒に遊んだら
 仕事へのやる気とか吹き飛んじゃうんじゃない?」

「ふむ、それも面白そうな話だが…お前が決めろ」

「ヤルに決まってるじゃん!これでだーりんがやる気になってくれたら万々歳だし」

「いいだろう、ならば我についてこい!堕落の極致を見せてやる」

「常日頃見せてもらってるよ」

「お前、ホントお前…」

「そういうわけで今日一日思いっきり、だらけてくるからだーりんよろしくね」

「うん、頑張って…というとなんか変だけど、頑張ってきてね」



マレん家

「まったく…なんであいつのことが好ましいのか自分でも時々分からなくなる」

「そういっててもだーりんと話してると楽しそうじゃん」

「謙られるよりはああいう風に話す方がマシというだけだ」

「あーしらの立場的にどっか線引かれるとこがあるからね
 あーし的には本音を言いたい放題されるのもぶっちゃけ悪い気しない」
 
「ギャルババア呼ばわりでキレてなかったか?」

「何事にも限度があるし」

「まあ、そうやって無意識に挑発するあいつを犯すことで
 我とお前で何か連帯感めいたものを感じているのは事実だな。
 今のままでも『平和のいしずえ』という立派な役目があるわけだ」

「言えてる、でもだーりん自身もデカいことやりそうな気がするんだよね」

「我もあいつが何かやらかす気はしてる」

「ところでさ、どうやって堕落するわけ?」

「寝ても特に後悔しなそうな映画を見ながらお菓子を食べて、眠くなったら昼寝する。
 起きたら晩御飯を食べて風呂は面倒だからそのまま寝る。
 あ、でも冷凍庫にアイスがあったな…」

「これじゃだーりんがお姫様抱っこしてくれる日は来なさそう」




1日後



「あー…ご飯食べて寝てただけなのにすっごいスッキリしたし」

「まあ、一日だけならこんなものか」

「サンキューね、マレ。なんか久しぶりに力抜けたわ」

「ふっ、お前に素直に感謝されると何やらこそばゆいな」

「あ、おかえり。どう、堕落できた?」

「ばっちし!めっちゃダラダラしてきたよ。だーりんのほうはどう。やる気出た?」

「出た出た、本当にもう何でも出来そうくらいやる気出てきて!」

「やる気だけじゃなく結果も出せるといいな」

「皇帝になったよ」

「出し過ぎだ」

「王政はNGということで帝政にしたんだ」

「一日あーしらが目を離しただけでこの始末」

「バルログを堕としただけなのに」

「周辺国の征服も終わったし、次は魔王城!
 今から天下盗ってくるよ!」

「それはだーりんヤバいって!」

「さすがにこの規模の内乱は洒落にならんぞ」

「二人に似合う漢になるならやっぱり魔王しかないでしょ!
 今のボクならなんだってできる!」

「大悪魔と邪竜の魔力を浴び続けていながら燻っていたインキュバスに
 火山の魔力が急に大量に流れ込むとこうなるのか」

「冷静に分析してるけどこの状況かなりマズいっしょ!」

「魔王になったあかつきには天界に侵攻して神との戦いも完全決着させるよ」

「正直、止めるにしても我一人では手に余るな」

「その次は別の次元に進出して遥か彼方全てを手中に収めるのだ!」

「あーしと『二人』なら?」

「…ふっ、お前と肩を並べて戦う日が来るとはな…悪い気分ではない。

 いくぞ!」

「「あーしら(我ら)が世界を守る!」」

「ん?どうしたの二人とも?

 なんで怖い顔してこっち来……

 ァァァァァァァァ!!!」







一夜にして大陸全土を暴れまわり混乱を引き起こした邪地暴虐の皇帝は、
長年いがみ合っていた大悪魔バルログと邪竜マレフドラゴンの両名により成敗された。
今もなおこの地の伝説として様々な媒体を通して語り継がれている。







「邪竜と大悪魔に絡まれるほど僕は悪いことしてな…「「してるし(だろ)!」






終わり
24/10/23 00:43更新 / ヤルダケヤル

■作者メッセージ
「もしやこれが『真面目な娘ほど悪い男に引っかかる』現象か…?」

「あーしはともかくマレが真面目…?」

「『真面目に不真面目』ってこと!?」

「お前らよりはちゃんと真面目にマレフドラゴンしてると思う!」



読んでいただきありがとうございました。
3人での掛け合いということで誰が言っているのかできる限り分かりやすくなるように気を付けたつもりですが、どうでしたでしょうか。
ト書きの前に名前を入れるのも考えたのですがそれもなんだかなぁと…いまだに文章の書き方ってよくわかりません

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