私がかけているのはメガネ 貴方がかけているのは良心
「おや?どうしたんじゃ、メガネなんか掛けて?」
「ああ、これか・・・」
「老眼ですか?大変ですよね・・・わかります」
「違うわ」
「お主も幼女じゃからわかっちゃ不味いはずなんじゃけど・・・」
「え!?いや、私じゃなくて私のおばあちゃんが老眼で大変そうだっただけですから!
私じゃなく!」
「でも、メイが本読んでいる時に凄まじい目つきになる時が「気のせいです♪」
「このメガネは・・・
そうだな、掛けてみた方が早い。
フォーメルちょっと掛けてみろ」
「なんじゃ?儂にメガネを掛けさせて新たな属性の開拓でもするつもりかの?」チャキ
「不毛の地を耕しても無駄だろ」
「お主はバフォメットの無限の可能性を分からんようじゃな・・・」
「フォーメル様メガネもお似合いですよ♪
でも、メガネのバフォメットなんて、どことなく偉くて健康的な人と被りますね」
「あれは海外ファンの非公式設定じゃから・・・」
「それより、それを掛けたままメイギスじっくり見てみろ」
「なんじゃ?何か仕掛けがあるのか・・・?」ジッ・・・
「いやん♥そんなに見つめられたらまいっちんぐ♪」
「もはや古典だぞ、それは・・・」
「・・・ぷっ」
「あら、フォーメル様今の分かりました?」
「むひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
「大ウケですね・・・言った本人が恥ずかしくなりそうです」
「いいや、これはお前の親父ギャグ・・・違うな、おばさ「はい?」ゴゴゴゴゴ
・・・お前のギャグで笑ったわけではない。お前に魅力があるから笑ってるんだ」
「言っている意味が分かりませんが、悪い気はしません♪」
「むひゃ!むひゃひゃひゃ・・・はひっはひっ・・・」
「このメガネはだな、対魔物娘用に俺が開発した結界を組み込んである」
「ほうほう」
「ひゅー!ひゅー!ぐひっ・・・ぐひひっ」
「視覚から性的な魅力を感じた場合などに、それを笑気に変えるのだ」
「なるほど、確かに容姿で男性を引き付けるのは我々魔物娘の最大の武器ですしね。
・・・あと、揚げ足取りもなんですが『笑気』の使い方おかしくないです?」
「いいんだフィーリングで」
「確かに分かりやすいといえば分かりやすいですが・・・」
「ふひゅー!ふひゅー!」
「これを付ければその最大の武器を封じ込めることが出来て、
教団にも勝機が見え始めるというわけだ」
「笑気だけに・・・ですね♪」
「・・・」
「ゲヒヒヒヒ!!」
「フォーメル様には今度虜アイス御馳走してあげます」
「それでいいのかお前は」
「にしても、こんなもの教団に売りつけたら流石に不味いのでは?
こんな悪質な物を出回らせたら、魔界全土を敵に回してもおかしくありませんよ」
「売りつけるのは魔界側だ。
この魔道具とそれを無効化する技術を売り込み、今後教団が似たような魔道具を開発したとしても迅速に対応できるようにするというわけだ。いわば予防薬だな」
「そういうことですか。
その似たような魔道具ってまさかジナン様が・・・?」
「いや、そこまで露骨なマッチポンプではすぐにばれる。
何事も加減というのを知らなければ生きて行けん」
「長生きしているだけありますね」
「まあな、結界の出力を下げて自分で試そうかと思っていた時に、
お前らが来てくれたからちょうどよかった」
「なんだ、もう少し遅れて来てれば笑うジナン様を拝めたんですね、残念♪」
「そう考えると俺も幸運だったな」
「ですね♪
ただ、フォーメル様は不運としか言いようがありませんが・・・」
「ふ・・・ふひっ・・・」チーン
「もっと感度下げた方が良さそうだ」
――――――――
「笑いすぎてお腹が痛いのじゃ・・・」
「まあ、笑うってのは健康にいいらしいですし、前向き前向き♪」
「確かに、おかげでだいぶ適正値に近づけられた」
「魔物が一人昇天しかけていたというのに無責任な奴らなのじゃ・・・」
「だから今度は笑い死なない奴に頼もうと思ってな」
「それと、笑いながらで途中までしか話が聞けなかったがジナンよ・・・」
「どうした?」
「笑気の言葉の意味、間違ってるのじゃ」
「いいんだフィーリングで」
―――――――
「あぁ!フォーちゃん♥メイちゃん♥
ゴホン、じゃなかったフォーメル様!メイギス殿!
図書館にいらっしゃらないので、どこに行ったのかと探してたたところです」
「なんじゃ、気にせずフォーメルちゃんでいいのに」
「やはり人前では節度をもつことが肝要ですから。
それよりも、お二人で出かけるなら私も誘って欲しかったです・・・」
「リネもジナンの家に遊びに行くのを誘おうかと思ったのじゃが、
何やら仕事が終わったばかりで寝ていると聞いたものじゃから、誘わなかったのじゃ」
「それにリネットさんワイトで夜行性ですし、あんまり朝早くからは、と・・・」
「お二人ならばそんな気遣いしなくとも、何時でもすぐにはせ参じますのに・・・
でも、そんな思いやってくれるフォーちゃんとメイちゃんがカワイイ♥」ギュゥゥゥゥ
「回避!」サッ
「メイ!儂を盾にするのは卑きょうごごごごご・・・」ビクビクビク
「お前なら多少魔力を吸われても問題ないだろ」
「多少じゃないのじゃ・・・」
「あ、またやってしまいました・・・
あれ?ジナンさんもいらしてたんですね」
「まあな、ところで今日は面白いものを持ってきたんだが、ちょっと試してみないか?」
「ああ、これは絶対碌なものじゃありませんね、間違いないです」
「この国に来てからまだ一月だというのにジナン様がどういうキャラなのか完璧に把握していますね。流石元勇者」
「っていうか一度会えばジナンがだいたいどういう奴なのかわかるのじゃ・・・」
「しかし、私が断れば別の誰かがジナンさんの猟奇的な被害に遭ってしまう・・・
そのようなこと、絶対に許されません!ならば私がどんな責苦も引き受けましょう!」
「さっきからこいつの俺の扱いがだいぶ雑なんだが」
「「自業自得じゃな(ですね♪)」」
「まあいい、リネット、このメガネを掛けてこいつらを見てみろ」
「わかりました。
それからメイギス殿、私の事を『元』勇者と仰いましたが・・・
『今も』勇者です!」チャキーン
「ドヤ顔と決めポーズ付で勇者宣言なんてよっぽど勇者が好きなんじゃな」
「勇者の仮面を被って自分を殺しながら生きて行く奴もいるのに物好きな奴だ」
「それならジナン様は勇者の皮を被って自分以外を殺しながら生きていた奴ですね♪」
「当たらずも遠からずだな」
「旧世代ってなんでこんなに物騒なんじゃろ・・・」
「そんなことよりどうだリネット?」
「・・・・・・」
「・・・そ、そんなに目を見開いてどうしたんじゃリネ?」
「・・・(ま、マズい・・・
フォーちゃんやメイちゃん見るとなぜだか笑いがこみ上げる・・・!!
だが、フォーちゃんたちの顔を見て噴き出したりなんてしたら、フォーちゃんたちの心に一生消えない深い傷を残してしまうかも・・・!!
それだけは、この勇者リネット・ミヴィスの名に懸けても防がなくては!)」プルプルプル
「今度は感度を弱めすぎたか?」
「その割には様子がおかしいのじゃ、リネ、大丈夫か?」ズイッ
「・・・!!(ァァァァァァァ♥フォーちゃんの顔がドアップゥゥゥゥゥ♥
も・・・もう限界です)」
「全身の筋肉がこわばってますね」
「おかしいな・・・まさか不具合か?
だとしたらヤバいな、フォーメル!メガネを外してやれ」
「わ、わかったのじゃ!」
「・・・ッフ」
「ん?リネ?」
「エフッ!エフッ!エフッ!」ビキビキビキ
「ひ、ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「おおぉう・・・乙女がしてはいけない顔になってますね・・・」
「なるほど、笑うのを我慢していたのか」
「あわ、あわわわわわわ・・・」
「至近距離で見たフォーメルがトラウマにならないといいのだが」
「もう!可愛いものを見ると笑いが止まらない眼鏡だったなら先に言ってください!」
「別に可愛いものというわけではないんだが」
「さっきのはしばらく夢に出そうなのじゃ・・・」
「ごめんなさいフォーちゃん・・・」
「まあフォーメル様なら3日くらいでケロッと忘れられますから、
そんなに気を落とさないでください♪」
「なんか微妙にバカにされとらんかのう?」
「今回のでわかったのは個人差で笑気を感じる度合いが大きく変化するということだ。
笑気ではなく別の感情を引き出したほうがいいかもしれんな」
「そうですか?私は怒ったり悲しくなったりするより、
今の笑える方が良いと思うのですが・・・
あ、あとジナンさん、ちょっといいですか?」
「なんだ?」
「・・・笑気の使い方間違ってますよ」コソッ
「だからそんなのフィーリングでいいって言ってるだろ!」
「他の人に聞かれないように耳打ちする心遣いがかえって効きそうですね」
「ジナンがそれでいいならいいんじゃよ・・・」ニッコリ
「その諦めきった笑顔は本当に腹立つからやめろ」
「ではそれは置いて、ジナンさん、これの感度をもっと下げてもらっていいですか?
私がフォーメル様を見て微笑む程度で済むくらいに」
「む、出来ないことはないが、・・・
こうすると今度は弱すぎて魅了を完全には防ぐことが出来なくなるぞ。ほら」
「いいんです。治験代として私が貰いますから」
「勝手に決めるなよ・・・」
「フォーメル様〜「うむ、儂のぷりてぃフェイスを堪能するが良い」
・・・フフッ、バッチリです。
これならフォーメル様やメイギス殿をお見かけしても暴走するのを抑えられます」
「それは儂らとしても助かるのじゃ」
「仕方ない。そこまでいうならくれてやる」
「ありがとうございます。これで可愛いものをじっくり鑑賞することが出来ます・・・♥
早速、このメガネを掛けて散策してきます!」ダッ
「いってら・・・あ、もう行っちゃったのじゃ。よほど嬉しかったんじゃの」
「さっきから気になってたんですけど・・・
あのメガネってムラムラを笑いの感情に変えるんですよね?
可愛いものに笑いが出て来るっておかしくないですか」
「ムラムラって・・・まあそうだがそれだけではない。さっきは説明を省いたが、二種の条件の両方かどちらかに当てはまった場合に笑気を起こすように作ってある。
一つはさっきから言っている性的興奮。
もう一つは客観的に美しい、可愛いとされる容姿の者を見たときだ」
「なんでそんなこと・・・あ、わかったのじゃ。
人間の女子も使えるようにするためじゃな」
「その通り。男ほどではないが女も魔物娘の姿を見ると動揺する奴が多いらしいのでな」
「フォーメル様もリネットさんも後者が原因で笑っていたんですね」
「だろうな」
「いや、儂はエロくて可愛いから魔物娘であるリネでも興奮したんじゃろうな」
「ほざけ。もしそうだとしても、あれだけ感度下げた状態であんなに笑えるほど興奮するなんてちょっとやばいぞ」
「・・・さすがにそこまでリネだってやばい奴ではないじゃろう・・・多分」
「あ〜でも私もほとんど全裸のサキュバスさんとか見るとちょっと興奮しますもん」
「隣にいるほとんど全裸はどうなんだ?」
「慣れました」
「!?」
「そういやこれって、あくまで人間として美しい、可愛いってことですよね?」
「だな。だから単に可愛いもの、例えば犬や猫なんかには反応しない」
「なるほどのぅ・・・」
「庭に可愛い猫ちゃんいたので連れてきました!クフッ、クフフフッ♥」
「「「あ、こいつやべえ」」」
後日
「結局、笑いはやめたのじゃな」
「考えてみると笑いながら戦えるわけがなかった」
「当たり前すぎるのじゃ」
「で、だ。今回は笑いの代わりに嫌悪感に変えてみた」
「妥当じゃの。そしてまた儂は実験体なのか」
「だな。今度は俺も着けて確認してみることにした。
試行回数は多いに越したことはないからな」
「そうじゃな。
ただ、始める前にどれくらい嫌悪感を感じるのか教えてほしいのじゃが?」
「感度は俺が着けるのを1とするとお前のは0.5くらいだ。
実際の嫌悪感は着けてみないとわからん。最悪吐くくらいはありえる」
「珍しくジナンも体張っているし、やってあげるのじゃ。
報酬はポッチーゲームのリベンジマッチじゃぞ?」チャキ
「ふん、負けてやらんぞ」チャキ
「「うっ・・・」」
「一旦外そ・・・」
「だな・・・」
「・・・どうじゃった?」
「・・・お前から先にどうぞ」
「・・・自分の両親をモデルにした寝取られものの同人誌を出版されたくらい」
「・・・うわっ」
「・・・お主は?」
「・・・顔面めがけて旧世代の小型デビルバグが飛んできたくらい」
「・・・なんてことな「 あ る 」
「これはあまりに危険な代物なのじゃ・・・」
「それだけ高く売れるというわけだ」
「だといいがのぉ・・・
あ、そうじゃ!まだこれだと実験が足りんじゃろうし、
もっと他の者も見てみようなのじゃ!」
「ん・・・そうだな。お前がいいならやるか」
「そうか!ならばまずは母上の所じゃ!」
「なんだ、随分乗り気だな」
「ククク、なに、気持ちの悪いものはかえって見たくなるものじゃよ・・・」テトテトテト
「それはあるな」
「じゃろ?
(ぬふふ、ジナンは感づいておらぬようじゃの・・・
同じバフォメットである母上を見て、儂よりも嫌悪感を感じなかったとしたら!
それだけ儂のことを特別に思っているということ!
今日こそハッピーウエディングエンドじゃ!!)」テトテトテト
「しかし、この魔道具を作るのにだいぶ金を使ってしまった・・・
もうほとんど貯金もないし気合い入れて売り込まねば」
「お金が入ったら、実験を手伝った皆でどこか高い店でご飯食べたいの」
「入ったらな。
よし、行くぞ。覚悟はいいか?」
「うむ!」
バタン!
「おお、フォーメル、ジナン様。今お呼びしようかと思っていたところですじゃ
こちらにいらっしゃる方はなんと魔王様の御息女の
「「う”ぉぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」」
国際問題に発展しかけました。
「ああ、これか・・・」
「老眼ですか?大変ですよね・・・わかります」
「違うわ」
「お主も幼女じゃからわかっちゃ不味いはずなんじゃけど・・・」
「え!?いや、私じゃなくて私のおばあちゃんが老眼で大変そうだっただけですから!
私じゃなく!」
「でも、メイが本読んでいる時に凄まじい目つきになる時が「気のせいです♪」
「このメガネは・・・
そうだな、掛けてみた方が早い。
フォーメルちょっと掛けてみろ」
「なんじゃ?儂にメガネを掛けさせて新たな属性の開拓でもするつもりかの?」チャキ
「不毛の地を耕しても無駄だろ」
「お主はバフォメットの無限の可能性を分からんようじゃな・・・」
「フォーメル様メガネもお似合いですよ♪
でも、メガネのバフォメットなんて、どことなく偉くて健康的な人と被りますね」
「あれは海外ファンの非公式設定じゃから・・・」
「それより、それを掛けたままメイギスじっくり見てみろ」
「なんじゃ?何か仕掛けがあるのか・・・?」ジッ・・・
「いやん♥そんなに見つめられたらまいっちんぐ♪」
「もはや古典だぞ、それは・・・」
「・・・ぷっ」
「あら、フォーメル様今の分かりました?」
「むひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
「大ウケですね・・・言った本人が恥ずかしくなりそうです」
「いいや、これはお前の親父ギャグ・・・違うな、おばさ「はい?」ゴゴゴゴゴ
・・・お前のギャグで笑ったわけではない。お前に魅力があるから笑ってるんだ」
「言っている意味が分かりませんが、悪い気はしません♪」
「むひゃ!むひゃひゃひゃ・・・はひっはひっ・・・」
「このメガネはだな、対魔物娘用に俺が開発した結界を組み込んである」
「ほうほう」
「ひゅー!ひゅー!ぐひっ・・・ぐひひっ」
「視覚から性的な魅力を感じた場合などに、それを笑気に変えるのだ」
「なるほど、確かに容姿で男性を引き付けるのは我々魔物娘の最大の武器ですしね。
・・・あと、揚げ足取りもなんですが『笑気』の使い方おかしくないです?」
「いいんだフィーリングで」
「確かに分かりやすいといえば分かりやすいですが・・・」
「ふひゅー!ふひゅー!」
「これを付ければその最大の武器を封じ込めることが出来て、
教団にも勝機が見え始めるというわけだ」
「笑気だけに・・・ですね♪」
「・・・」
「ゲヒヒヒヒ!!」
「フォーメル様には今度虜アイス御馳走してあげます」
「それでいいのかお前は」
「にしても、こんなもの教団に売りつけたら流石に不味いのでは?
こんな悪質な物を出回らせたら、魔界全土を敵に回してもおかしくありませんよ」
「売りつけるのは魔界側だ。
この魔道具とそれを無効化する技術を売り込み、今後教団が似たような魔道具を開発したとしても迅速に対応できるようにするというわけだ。いわば予防薬だな」
「そういうことですか。
その似たような魔道具ってまさかジナン様が・・・?」
「いや、そこまで露骨なマッチポンプではすぐにばれる。
何事も加減というのを知らなければ生きて行けん」
「長生きしているだけありますね」
「まあな、結界の出力を下げて自分で試そうかと思っていた時に、
お前らが来てくれたからちょうどよかった」
「なんだ、もう少し遅れて来てれば笑うジナン様を拝めたんですね、残念♪」
「そう考えると俺も幸運だったな」
「ですね♪
ただ、フォーメル様は不運としか言いようがありませんが・・・」
「ふ・・・ふひっ・・・」チーン
「もっと感度下げた方が良さそうだ」
――――――――
「笑いすぎてお腹が痛いのじゃ・・・」
「まあ、笑うってのは健康にいいらしいですし、前向き前向き♪」
「確かに、おかげでだいぶ適正値に近づけられた」
「魔物が一人昇天しかけていたというのに無責任な奴らなのじゃ・・・」
「だから今度は笑い死なない奴に頼もうと思ってな」
「それと、笑いながらで途中までしか話が聞けなかったがジナンよ・・・」
「どうした?」
「笑気の言葉の意味、間違ってるのじゃ」
「いいんだフィーリングで」
―――――――
「あぁ!フォーちゃん♥メイちゃん♥
ゴホン、じゃなかったフォーメル様!メイギス殿!
図書館にいらっしゃらないので、どこに行ったのかと探してたたところです」
「なんじゃ、気にせずフォーメルちゃんでいいのに」
「やはり人前では節度をもつことが肝要ですから。
それよりも、お二人で出かけるなら私も誘って欲しかったです・・・」
「リネもジナンの家に遊びに行くのを誘おうかと思ったのじゃが、
何やら仕事が終わったばかりで寝ていると聞いたものじゃから、誘わなかったのじゃ」
「それにリネットさんワイトで夜行性ですし、あんまり朝早くからは、と・・・」
「お二人ならばそんな気遣いしなくとも、何時でもすぐにはせ参じますのに・・・
でも、そんな思いやってくれるフォーちゃんとメイちゃんがカワイイ♥」ギュゥゥゥゥ
「回避!」サッ
「メイ!儂を盾にするのは卑きょうごごごごご・・・」ビクビクビク
「お前なら多少魔力を吸われても問題ないだろ」
「多少じゃないのじゃ・・・」
「あ、またやってしまいました・・・
あれ?ジナンさんもいらしてたんですね」
「まあな、ところで今日は面白いものを持ってきたんだが、ちょっと試してみないか?」
「ああ、これは絶対碌なものじゃありませんね、間違いないです」
「この国に来てからまだ一月だというのにジナン様がどういうキャラなのか完璧に把握していますね。流石元勇者」
「っていうか一度会えばジナンがだいたいどういう奴なのかわかるのじゃ・・・」
「しかし、私が断れば別の誰かがジナンさんの猟奇的な被害に遭ってしまう・・・
そのようなこと、絶対に許されません!ならば私がどんな責苦も引き受けましょう!」
「さっきからこいつの俺の扱いがだいぶ雑なんだが」
「「自業自得じゃな(ですね♪)」」
「まあいい、リネット、このメガネを掛けてこいつらを見てみろ」
「わかりました。
それからメイギス殿、私の事を『元』勇者と仰いましたが・・・
『今も』勇者です!」チャキーン
「ドヤ顔と決めポーズ付で勇者宣言なんてよっぽど勇者が好きなんじゃな」
「勇者の仮面を被って自分を殺しながら生きて行く奴もいるのに物好きな奴だ」
「それならジナン様は勇者の皮を被って自分以外を殺しながら生きていた奴ですね♪」
「当たらずも遠からずだな」
「旧世代ってなんでこんなに物騒なんじゃろ・・・」
「そんなことよりどうだリネット?」
「・・・・・・」
「・・・そ、そんなに目を見開いてどうしたんじゃリネ?」
「・・・(ま、マズい・・・
フォーちゃんやメイちゃん見るとなぜだか笑いがこみ上げる・・・!!
だが、フォーちゃんたちの顔を見て噴き出したりなんてしたら、フォーちゃんたちの心に一生消えない深い傷を残してしまうかも・・・!!
それだけは、この勇者リネット・ミヴィスの名に懸けても防がなくては!)」プルプルプル
「今度は感度を弱めすぎたか?」
「その割には様子がおかしいのじゃ、リネ、大丈夫か?」ズイッ
「・・・!!(ァァァァァァァ♥フォーちゃんの顔がドアップゥゥゥゥゥ♥
も・・・もう限界です)」
「全身の筋肉がこわばってますね」
「おかしいな・・・まさか不具合か?
だとしたらヤバいな、フォーメル!メガネを外してやれ」
「わ、わかったのじゃ!」
「・・・ッフ」
「ん?リネ?」
「エフッ!エフッ!エフッ!」ビキビキビキ
「ひ、ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「おおぉう・・・乙女がしてはいけない顔になってますね・・・」
「なるほど、笑うのを我慢していたのか」
「あわ、あわわわわわわ・・・」
「至近距離で見たフォーメルがトラウマにならないといいのだが」
「もう!可愛いものを見ると笑いが止まらない眼鏡だったなら先に言ってください!」
「別に可愛いものというわけではないんだが」
「さっきのはしばらく夢に出そうなのじゃ・・・」
「ごめんなさいフォーちゃん・・・」
「まあフォーメル様なら3日くらいでケロッと忘れられますから、
そんなに気を落とさないでください♪」
「なんか微妙にバカにされとらんかのう?」
「今回のでわかったのは個人差で笑気を感じる度合いが大きく変化するということだ。
笑気ではなく別の感情を引き出したほうがいいかもしれんな」
「そうですか?私は怒ったり悲しくなったりするより、
今の笑える方が良いと思うのですが・・・
あ、あとジナンさん、ちょっといいですか?」
「なんだ?」
「・・・笑気の使い方間違ってますよ」コソッ
「だからそんなのフィーリングでいいって言ってるだろ!」
「他の人に聞かれないように耳打ちする心遣いがかえって効きそうですね」
「ジナンがそれでいいならいいんじゃよ・・・」ニッコリ
「その諦めきった笑顔は本当に腹立つからやめろ」
「ではそれは置いて、ジナンさん、これの感度をもっと下げてもらっていいですか?
私がフォーメル様を見て微笑む程度で済むくらいに」
「む、出来ないことはないが、・・・
こうすると今度は弱すぎて魅了を完全には防ぐことが出来なくなるぞ。ほら」
「いいんです。治験代として私が貰いますから」
「勝手に決めるなよ・・・」
「フォーメル様〜「うむ、儂のぷりてぃフェイスを堪能するが良い」
・・・フフッ、バッチリです。
これならフォーメル様やメイギス殿をお見かけしても暴走するのを抑えられます」
「それは儂らとしても助かるのじゃ」
「仕方ない。そこまでいうならくれてやる」
「ありがとうございます。これで可愛いものをじっくり鑑賞することが出来ます・・・♥
早速、このメガネを掛けて散策してきます!」ダッ
「いってら・・・あ、もう行っちゃったのじゃ。よほど嬉しかったんじゃの」
「さっきから気になってたんですけど・・・
あのメガネってムラムラを笑いの感情に変えるんですよね?
可愛いものに笑いが出て来るっておかしくないですか」
「ムラムラって・・・まあそうだがそれだけではない。さっきは説明を省いたが、二種の条件の両方かどちらかに当てはまった場合に笑気を起こすように作ってある。
一つはさっきから言っている性的興奮。
もう一つは客観的に美しい、可愛いとされる容姿の者を見たときだ」
「なんでそんなこと・・・あ、わかったのじゃ。
人間の女子も使えるようにするためじゃな」
「その通り。男ほどではないが女も魔物娘の姿を見ると動揺する奴が多いらしいのでな」
「フォーメル様もリネットさんも後者が原因で笑っていたんですね」
「だろうな」
「いや、儂はエロくて可愛いから魔物娘であるリネでも興奮したんじゃろうな」
「ほざけ。もしそうだとしても、あれだけ感度下げた状態であんなに笑えるほど興奮するなんてちょっとやばいぞ」
「・・・さすがにそこまでリネだってやばい奴ではないじゃろう・・・多分」
「あ〜でも私もほとんど全裸のサキュバスさんとか見るとちょっと興奮しますもん」
「隣にいるほとんど全裸はどうなんだ?」
「慣れました」
「!?」
「そういやこれって、あくまで人間として美しい、可愛いってことですよね?」
「だな。だから単に可愛いもの、例えば犬や猫なんかには反応しない」
「なるほどのぅ・・・」
「庭に可愛い猫ちゃんいたので連れてきました!クフッ、クフフフッ♥」
「「「あ、こいつやべえ」」」
後日
「結局、笑いはやめたのじゃな」
「考えてみると笑いながら戦えるわけがなかった」
「当たり前すぎるのじゃ」
「で、だ。今回は笑いの代わりに嫌悪感に変えてみた」
「妥当じゃの。そしてまた儂は実験体なのか」
「だな。今度は俺も着けて確認してみることにした。
試行回数は多いに越したことはないからな」
「そうじゃな。
ただ、始める前にどれくらい嫌悪感を感じるのか教えてほしいのじゃが?」
「感度は俺が着けるのを1とするとお前のは0.5くらいだ。
実際の嫌悪感は着けてみないとわからん。最悪吐くくらいはありえる」
「珍しくジナンも体張っているし、やってあげるのじゃ。
報酬はポッチーゲームのリベンジマッチじゃぞ?」チャキ
「ふん、負けてやらんぞ」チャキ
「「うっ・・・」」
「一旦外そ・・・」
「だな・・・」
「・・・どうじゃった?」
「・・・お前から先にどうぞ」
「・・・自分の両親をモデルにした寝取られものの同人誌を出版されたくらい」
「・・・うわっ」
「・・・お主は?」
「・・・顔面めがけて旧世代の小型デビルバグが飛んできたくらい」
「・・・なんてことな「 あ る 」
「これはあまりに危険な代物なのじゃ・・・」
「それだけ高く売れるというわけだ」
「だといいがのぉ・・・
あ、そうじゃ!まだこれだと実験が足りんじゃろうし、
もっと他の者も見てみようなのじゃ!」
「ん・・・そうだな。お前がいいならやるか」
「そうか!ならばまずは母上の所じゃ!」
「なんだ、随分乗り気だな」
「ククク、なに、気持ちの悪いものはかえって見たくなるものじゃよ・・・」テトテトテト
「それはあるな」
「じゃろ?
(ぬふふ、ジナンは感づいておらぬようじゃの・・・
同じバフォメットである母上を見て、儂よりも嫌悪感を感じなかったとしたら!
それだけ儂のことを特別に思っているということ!
今日こそハッピーウエディングエンドじゃ!!)」テトテトテト
「しかし、この魔道具を作るのにだいぶ金を使ってしまった・・・
もうほとんど貯金もないし気合い入れて売り込まねば」
「お金が入ったら、実験を手伝った皆でどこか高い店でご飯食べたいの」
「入ったらな。
よし、行くぞ。覚悟はいいか?」
「うむ!」
バタン!
「おお、フォーメル、ジナン様。今お呼びしようかと思っていたところですじゃ
こちらにいらっしゃる方はなんと魔王様の御息女の
「「う”ぉぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」」
国際問題に発展しかけました。
16/03/14 09:23更新 / ヤルダケヤル
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