ゲイザーちゃん怖い議論
「何だお前、勝手にあたしの巣に入って来やがって」
「あ、いや、玄関先の岩ノックしたんですけど、ペチペチと」
「聞こえるわけないだろ!
・・・それはこの際いいとしてだ、あたしに何の用なんだ?」
「そりゃもちろん・・・「どうせ、あたしを倒しに来た勇者だろ?」
「ぶっぶー、不正解ぶっぶー」
「その顔やめろよ」
「正解はもちろん求婚しに来たんですよ!求婚。
初対面だけど愛してる!結婚しよ!」
「は?・・・はぁ!?」
「いやね、前々からゲイザーちゃん可愛いなと思ってまして、
機会があればお嫁に来てほしいと考えていたんですね。
そんなところに!近くの洞くつにゲイザーさんが住み着いていると
町の人から話を聞きまして、ここに伺った次第でありますです」
「だ、だからっていきなりぷ、ぷ、プロポーズするバカどこにいるんだよ!」
「大抵の魔物ってこんな感じじゃないですか?」
「そ、そりゃそうかもしれないけど!
いきなりそんなけ、結婚だなんて・・・あわわわ・・・・」
「なんでゲイザーさんが暗示掛かったみたいに目をグルグルさせてるんです?」
「う、うっさいなバカ!えーっとえーっと・・・お前バーカ!バーカバーカ!」
「それより、返事を聞かせてもらってもいいですか?
指輪と婚姻届けも持ってきてるんですけど」
「はひっ!?気が早いんだよ、そんな急に返事なんて・・・あぅぅぅ・・・ん?
・・・あ、わかったぞ。そうやってあたしが油断したところを殺す気だったんだな」
「後ろ向きすぎません?」
「いーや、間違いないね」
「その自信の根拠は何なの?」
「うるさいな!とにかく、あたしの巣に入って来た上にあたしをおちょくったんだ。
無事に出られると思うなよ・・・」
「ちょっと待ってください」
「なんだ、今更命乞いかよ?」
「いや、着替えもってきてなかったんで先に服脱いでもいいですか?」ヌギヌギ
「・・・・は?な、何してんだお前!!」
「で、寝室は・・・こっちですね。うわ、ちょっと片づけて換気した方が良いですよ」
「勝手に部屋に入るんじゃねえ!」
「ああ、じゃあ片づけている間にシャワー浴びてきますね」
「そういう意味じゃない!
一旦止まれお前!」ミョミョミョミョ
「うお、動けぬ・・・あれか拘束プレイか、やっぱりゲイザーちゃんも魔物娘ですしね。
こういう感じの方がお好きですよね・・・さぁ、どうぞ!」
「どうぞ!じゃねえよ!!お前、何考えてんだ!?」
「いや、ゲイザーちゃんとスケベなことするんだなぁ・・・って考えてましたけど、違いました?」
「違う!・・・いや、違くない・・・?違くないけどちがう?」
「何かある度に自分が混乱するの直したほうがいいですよ、仮にもゲイザーなんだし」
「余計なお世話だバカ!」
「じゃあこのままだと風邪引きそうなんでお布団入りましょうか、一緒に」
「入らねえよ!もうわかったから服着ろよ!!」
「いやぁ、ここまで焦らされて服着ろって・・・
もう俺は明日のお昼ごろまで服着ない予定だったんですけど?」
「お前の予定などどうでもいいわ!いいから服着ろよ!」ミョミョミョミョ
―――
「服を脱がせる暗示を掛けるゲイザーちゃんは数あれど、
服を着せる暗示を掛けたゲイザーちゃんは貴方だけじゃないですか?」
「お前のせいだけどな」
「で、どうするんですか?何からします?キス?」
「しねえよバカ!・・・まだお前の事信用してないんだからな」
「ですね、人間に関してはそうやすやすと信用すると痛い目見ますから」
「他人事みたいに言ってるけどお前の事だからな・・・」
「じゃあ、なんでゲイザーちゃんは求婚されるのがそんなにおかしいと思っているのか話し合います?」
「いや、あたしは帰って欲しいんだけど・・・」
「それなら明日また来ますね」
「いや、二度と来て欲しくないんだけど・・・」
「またまた御冗談を、
例えそういう暗示を掛けられても15分で解除して戻ってきますからそのつもりで!」
「お前は質の悪い悪霊か何か?」
「貴方の未来の旦那様♥」
「・・・一回試してみるか」ミョミョミョミョ
―――
「ただいま!」
「3分しか経ってねえぞ!?」
「何も暗示がゲイザーちゃんの専売特許というわけではありますまい」
「そうなんだろうけど納得いかねえ・・・」
「なら納得行くまでやります?
ただし、1000倍返しですが」
「・・・・・・」
「催眠中は意識ある方がいいです?
それとも、意識なくて気が付いた瞬間に恥ずかしがるのがお好き?」
「・・・・・・」ウルウル
「やだな、冗談ですよ」
「どこまでが冗談だったんだよ・・・」びくびく
「そんなに警戒しなくてもいいのに・・・
女性に酷いことしないがモットーですから、信じて」
「お前さっき人間は簡単に信用するなって言ってたよな?」
「よろしい、じゃあ脱線した話を元に戻して信頼関係を築き上げていきましょう!」
「わかったよ・・・お前の話に付き合ってやる」
「え、付き合う?」
「そこだけ抜き出すんじゃねえ」
「で、何の話でしたっけ?
そうそう、なんでゲイザーちゃんがそこまで卑屈なのかでしたね」
「全然違う・・・いや、もうそれでいいや、
別に卑屈じゃない、客観的に自分を見れるだけだ」
「と、いいますと?」
「お前さ、ゲイザーって言われてまず何が思いつく?」
「ゲイのザーメン」
「一応、お前ゲイザーのあたしと結婚したくてここにきたんだよな・・・?」
「イエース!」
「あぁ、もう付き合うのが馬鹿らしくなるぜ、
いいか?あたしの外見ってさ、怖えだろ?
だから人間はもちろん、他の魔物だってあたしに近づかないのさ。
きひっ、まあ・・・あたしは別に気にしてないけどな」
「え、外見が怖い?」
「怖いだろ?一つ目で獣のような歯と化け物じみた肌の色・・・実際化け物だけどな」
「他には?」
「外見じゃねえけど・・・暗示に掛けて思うように操れるのだってすげえ怖いだろ?
自分が知らない間に何されてるか分からないんだぜ?」
「あぁ、それは多少納得」
「なんだよ、他は納得できないのかよ」
「当たり前でしょ、ちょっと怖いっていうの舐めてません?」
「はぁ?」
「怖いって言うのはね、もっとシチュエーションやらタイミングやら・・・
細かな感情の機微によって違ってくるんですよ。
それも弁えずにまあ、外見だけで怖いだろうなんて・・・
不遜にも程がある!」
「な・・・なんで突然怒ってんだお前・・・」
「怖いって言うのはもっと洗練されてて、奥深くって、凄まじくって・・・!」フンガフンガ
「わ、わかったって、わかったって!」
「・・・失礼、怖さ、つまりホラーには一家言あるものでして」
「あぁ、だからあたしのところに・・・」
「だから、貴方からはホラーが感じられないと言ってるんですよぉぉぉぉぉ!」キシャー
「だからわかったって!落ち着けよ!」
「本当に?」
「あたしは怖くないんだろ?」
「そうですね、微塵も」
「でも、町の奴らに見つかると毎回悲鳴上げて逃げられてるぞ」
「あの人たちって、魔物なら何でも怖がれる幸せな人たちなんで、
貴方自身の実力じゃないです。自惚れるな」
「そんなにか、そんなに機嫌悪くするほど酷いこと言ったかあたし?」
「自分の趣味の俄か知識をドヤ顔で話されたら人間誰しも荒れます」
「いいじゃねえか・・・暖かい目で見守ってやれよ」
「今度からはそうすることにしますね。
まあ、これでゲイザーちゃんは怖くないから卑屈になる理由が消えて俺と結婚できると」
「因果関係めちゃくちゃだな、おい
でもさぁ、本当に一つ目とか怖くないのかよ?」
「一つ目オバケは4歳児くらいまでなら怖いんじゃないですかね?
むしろ一周まわって性的嗜好に昇華する人もわりかしいますね」
「なんだよそれ・・・」
「ちなみに俺もその一人です」
「別にそこまで聞いてない。
一つ目好きはサイクロプスだって単眼だし、他にもいるだろうからわかるけどさ、このギザギザな歯は流石に怖いだろ?」
「それも3歳児くらいまでなら怖がるんじゃないですか?
むしろ一周まわって性的嗜好に昇華する人もわりかしいますね」
「何でもかんでも欲情するんだなお前ら」
「いやー真面目な話、ギザ歯は今はゲイザーちゃんしか、いないからいいですけど、
例えばサメ娘とかライオン娘がギザ歯だったらどうするんですか?
『センパァァイ、なんかギザ歯のことすげーdisってたらしぃんすけど、あたしらもギザ歯なんすよねぇ・・・センパイちょっと裏来てもらっていいっすかねぇ?』
みたいになりますよ、多分。涙目で震えるゲイザーちゃんが容易に想像できますもん」
「そんなことあるわけ・・・ないよな?」プルプル
「俺に聞かれても・・・まあ、大丈夫ですその時は俺が守りますよ!」
「・・・(お前が一番怖いんだよぉ・・・)」
「これで、ギザ歯も怖くないと。次はなんだ?あぁ、肌の色ね。
肌の色は1歳児くらいまでなら怖がるんじゃないですか?
むしろ一周まわって性的嗜好に昇華する人も無茶苦茶いますね」
「その適当な定型文頭にくるな。どんだけ一周まわって昇華してるんだよ」
「まあ、これでゲイザーちゃんが怖くないことが証明されましたね」
「・・・ん、まあそんなにいうなら・・・怖くねえんじゃねえの・・・」
「紅い目に白い肌、黒い髪と触手、赤白黒の組み合わせがスタイリッシュで素敵でむしろカッコかわいいと思うんですけど。自分的にはどう思います?」
「し、知らねえよ・・・ばか」
「こうやってみるとゲイザーさんっていろいろ属性盛り盛りで贅沢ですよね。
単眼触手赤目白肌黒髪貧乳小物女体盛り・・・」
「待て、いろいろ言いたいことはあるが最後のなんだ!?」
「いやだって・・・ゲイザーちゃんに付いてる黒いのって
・・・『ごはんですよ』じゃないですか?」
「じゃねえよバァカ!!何があって全身に『ごはんですよ』塗りたくんだよ!?」
「え、だってゲイザーって魔力と『ごはんですよ』が混ざり合って生まれた魔物じゃないんですか!?」
「んなはずねえだろ!!」
「ですよね。それじゃ本題に入りますか」
「お前、あたしのこと振り回して遊んでないか・・・?」
「全然、ボクイイニンゲン」
「信用出来ない」
「そういうジト目も俺は好きです。
ゲイザーさんっていうか単眼種の人は表情豊かでいいですね」
「な、なんだバカ!いきなり!えーっとこのバカ!」
「・・・(ちょろいなぁ)」ホンワカ
「・・・・・でもさ、本当にあたしなんかでいいのか?」
「ええ、もちろん!」
「だってあたし、外見だけじゃなくて中身まで捻くれ曲がってるんだぞ!?」
「自己申告出来るくらいだから全然大丈夫ですよ。
それよりも、貴方の目の前にいる人間のほうがよっぽど捻くれてると思いません?」
「ああぁ・・・!確かに、そうだよな!」
「そこは否定してほしかったなぁ」
「でも、友達だっていないし・・・」チラッ
「はい、俺いますー」
「ホントか?」ミョミョミョミョ
「いません」
「だよな!」ホッ
「必死すぎません?」
「う、うるせえな!」
「別に俺は友達いなくても困るタイプじゃないので」
「ふーん」ニヤニヤ
「なんか勝手に理解にされてる」
「で、お前も本当は嫌われ者だろ?」
「まあ、俺は多少人より嫌われてるのは自覚ありますけど、
貴方の場合他人と接する機会限りなく0だから嫌われてすらいないでしょ」
「ふふーん、町の奴らに嫌われてるからあたしも嫌われ者だよ!
きひひっ、なぁんだ!あたしら似た者同士だな!」
「すごい不本意だけど、通じ合えたようです」
「じゃあさ、お前の趣味ってなんだよ?」
「読書です(主に恐怖小説)」
「きひひひっ!あたしも読書なんだ!(主にラノベ)
他には?」
「嫌なことあったら人気のないところで思い切り叫ぶとか」
「えーなんだよそれー」
「いや、案外やってみると気持ちいいんですよ」
「ホントか!じゃあここでやってみようかな・・・」
「洞くつだから反響して尚更よさそうですね」
「あ、叫ぶって何を叫ぶんだ?アーとかオーとか叫べばいいのか?」
「それでもいいんですけど、何か叫びたいこと叫ぶのもいいですよ」
「なら、アニメとかゲームの台詞でもか!?」キラキラ
「ええ、まあ本来は誰もいない所でやるんで気兼ねなくどうぞ
(なんでこんなにテンション上がってるんだろう?)」
「よーし!じゃあ
恋符マスタァァァァァァァーーースパァァァァァァァァァァァァク!」
「ん?」
「にょわー☆」
「んぅ〜?」
「いいこと?暁の水平線に勝利を刻みなさい!」
「んんん?」
「こんなに月も紅いから本気で殺すわよ!」
「・・・単なる決め台詞になってますけど・・・」
「闇に飲まれよ!」
「・・・」
「ぱんぱかぱーん!!」
「・・・」
「ぺったんぺったんつるぺったん♪」
「もう完全にトランスしとる・・・」
「オリョクルはもう嫌でち! オープンパンドラ!」
「よくわからないけど、それは混ざってない?」
「いざ、南無三ーーー!!」
―――
――
―
「はぁ、はぁ・・・だいぶスッキリした!」
「引き籠ってる間結構楽しんでたんですねぇ・・・」
「こ、これはだなぁ、友達に進められて仕方なく始めただけで・・・」
「あなた友達いないでしょ」
「うっ・・・」
「東方からアイマスの次は艦コレとまあ・・・なんというか」
「え!知ってるってことはお前もやってるのか!?」キラキラ
「知ってるだけです。食いつきよう半端ないな」
「まあ、今はモン娘だけどな!」
「あんまり萌え萌え言ってるオタクみたいなのも考え物ですねぇ・・・」
「ん!?」ピクッ
「どうしました?」
「まるで何かオタクが悪いみたいな言い方だな!ちょっとお前オタク舐めてるだろ!?」
「なんかデジャブ&嫌な予感」
「いいか、今時はそんな萌えなんてそうそう言わないし、
もっとシチュエーションやらタイミングやら・・・
細かな感情の機微によって違ってくるんだよ!!
それも弁えずにまあ、外聞だけで萌えだオタクだなんて・・・
バカにしすぎだバカ!!
ちょっと、うちの部屋に来い!あたしがそこらへんみっちり叩き込んでやる!!」
「え、何、ちょっとゲイザーちゃん怖いんだけど、引っ張るのやめてくれな
ウァァァァァァァァァァァ!」
終わり
「あ、いや、玄関先の岩ノックしたんですけど、ペチペチと」
「聞こえるわけないだろ!
・・・それはこの際いいとしてだ、あたしに何の用なんだ?」
「そりゃもちろん・・・「どうせ、あたしを倒しに来た勇者だろ?」
「ぶっぶー、不正解ぶっぶー」
「その顔やめろよ」
「正解はもちろん求婚しに来たんですよ!求婚。
初対面だけど愛してる!結婚しよ!」
「は?・・・はぁ!?」
「いやね、前々からゲイザーちゃん可愛いなと思ってまして、
機会があればお嫁に来てほしいと考えていたんですね。
そんなところに!近くの洞くつにゲイザーさんが住み着いていると
町の人から話を聞きまして、ここに伺った次第でありますです」
「だ、だからっていきなりぷ、ぷ、プロポーズするバカどこにいるんだよ!」
「大抵の魔物ってこんな感じじゃないですか?」
「そ、そりゃそうかもしれないけど!
いきなりそんなけ、結婚だなんて・・・あわわわ・・・・」
「なんでゲイザーさんが暗示掛かったみたいに目をグルグルさせてるんです?」
「う、うっさいなバカ!えーっとえーっと・・・お前バーカ!バーカバーカ!」
「それより、返事を聞かせてもらってもいいですか?
指輪と婚姻届けも持ってきてるんですけど」
「はひっ!?気が早いんだよ、そんな急に返事なんて・・・あぅぅぅ・・・ん?
・・・あ、わかったぞ。そうやってあたしが油断したところを殺す気だったんだな」
「後ろ向きすぎません?」
「いーや、間違いないね」
「その自信の根拠は何なの?」
「うるさいな!とにかく、あたしの巣に入って来た上にあたしをおちょくったんだ。
無事に出られると思うなよ・・・」
「ちょっと待ってください」
「なんだ、今更命乞いかよ?」
「いや、着替えもってきてなかったんで先に服脱いでもいいですか?」ヌギヌギ
「・・・・は?な、何してんだお前!!」
「で、寝室は・・・こっちですね。うわ、ちょっと片づけて換気した方が良いですよ」
「勝手に部屋に入るんじゃねえ!」
「ああ、じゃあ片づけている間にシャワー浴びてきますね」
「そういう意味じゃない!
一旦止まれお前!」ミョミョミョミョ
「うお、動けぬ・・・あれか拘束プレイか、やっぱりゲイザーちゃんも魔物娘ですしね。
こういう感じの方がお好きですよね・・・さぁ、どうぞ!」
「どうぞ!じゃねえよ!!お前、何考えてんだ!?」
「いや、ゲイザーちゃんとスケベなことするんだなぁ・・・って考えてましたけど、違いました?」
「違う!・・・いや、違くない・・・?違くないけどちがう?」
「何かある度に自分が混乱するの直したほうがいいですよ、仮にもゲイザーなんだし」
「余計なお世話だバカ!」
「じゃあこのままだと風邪引きそうなんでお布団入りましょうか、一緒に」
「入らねえよ!もうわかったから服着ろよ!!」
「いやぁ、ここまで焦らされて服着ろって・・・
もう俺は明日のお昼ごろまで服着ない予定だったんですけど?」
「お前の予定などどうでもいいわ!いいから服着ろよ!」ミョミョミョミョ
―――
「服を脱がせる暗示を掛けるゲイザーちゃんは数あれど、
服を着せる暗示を掛けたゲイザーちゃんは貴方だけじゃないですか?」
「お前のせいだけどな」
「で、どうするんですか?何からします?キス?」
「しねえよバカ!・・・まだお前の事信用してないんだからな」
「ですね、人間に関してはそうやすやすと信用すると痛い目見ますから」
「他人事みたいに言ってるけどお前の事だからな・・・」
「じゃあ、なんでゲイザーちゃんは求婚されるのがそんなにおかしいと思っているのか話し合います?」
「いや、あたしは帰って欲しいんだけど・・・」
「それなら明日また来ますね」
「いや、二度と来て欲しくないんだけど・・・」
「またまた御冗談を、
例えそういう暗示を掛けられても15分で解除して戻ってきますからそのつもりで!」
「お前は質の悪い悪霊か何か?」
「貴方の未来の旦那様♥」
「・・・一回試してみるか」ミョミョミョミョ
―――
「ただいま!」
「3分しか経ってねえぞ!?」
「何も暗示がゲイザーちゃんの専売特許というわけではありますまい」
「そうなんだろうけど納得いかねえ・・・」
「なら納得行くまでやります?
ただし、1000倍返しですが」
「・・・・・・」
「催眠中は意識ある方がいいです?
それとも、意識なくて気が付いた瞬間に恥ずかしがるのがお好き?」
「・・・・・・」ウルウル
「やだな、冗談ですよ」
「どこまでが冗談だったんだよ・・・」びくびく
「そんなに警戒しなくてもいいのに・・・
女性に酷いことしないがモットーですから、信じて」
「お前さっき人間は簡単に信用するなって言ってたよな?」
「よろしい、じゃあ脱線した話を元に戻して信頼関係を築き上げていきましょう!」
「わかったよ・・・お前の話に付き合ってやる」
「え、付き合う?」
「そこだけ抜き出すんじゃねえ」
「で、何の話でしたっけ?
そうそう、なんでゲイザーちゃんがそこまで卑屈なのかでしたね」
「全然違う・・・いや、もうそれでいいや、
別に卑屈じゃない、客観的に自分を見れるだけだ」
「と、いいますと?」
「お前さ、ゲイザーって言われてまず何が思いつく?」
「ゲイのザーメン」
「一応、お前ゲイザーのあたしと結婚したくてここにきたんだよな・・・?」
「イエース!」
「あぁ、もう付き合うのが馬鹿らしくなるぜ、
いいか?あたしの外見ってさ、怖えだろ?
だから人間はもちろん、他の魔物だってあたしに近づかないのさ。
きひっ、まあ・・・あたしは別に気にしてないけどな」
「え、外見が怖い?」
「怖いだろ?一つ目で獣のような歯と化け物じみた肌の色・・・実際化け物だけどな」
「他には?」
「外見じゃねえけど・・・暗示に掛けて思うように操れるのだってすげえ怖いだろ?
自分が知らない間に何されてるか分からないんだぜ?」
「あぁ、それは多少納得」
「なんだよ、他は納得できないのかよ」
「当たり前でしょ、ちょっと怖いっていうの舐めてません?」
「はぁ?」
「怖いって言うのはね、もっとシチュエーションやらタイミングやら・・・
細かな感情の機微によって違ってくるんですよ。
それも弁えずにまあ、外見だけで怖いだろうなんて・・・
不遜にも程がある!」
「な・・・なんで突然怒ってんだお前・・・」
「怖いって言うのはもっと洗練されてて、奥深くって、凄まじくって・・・!」フンガフンガ
「わ、わかったって、わかったって!」
「・・・失礼、怖さ、つまりホラーには一家言あるものでして」
「あぁ、だからあたしのところに・・・」
「だから、貴方からはホラーが感じられないと言ってるんですよぉぉぉぉぉ!」キシャー
「だからわかったって!落ち着けよ!」
「本当に?」
「あたしは怖くないんだろ?」
「そうですね、微塵も」
「でも、町の奴らに見つかると毎回悲鳴上げて逃げられてるぞ」
「あの人たちって、魔物なら何でも怖がれる幸せな人たちなんで、
貴方自身の実力じゃないです。自惚れるな」
「そんなにか、そんなに機嫌悪くするほど酷いこと言ったかあたし?」
「自分の趣味の俄か知識をドヤ顔で話されたら人間誰しも荒れます」
「いいじゃねえか・・・暖かい目で見守ってやれよ」
「今度からはそうすることにしますね。
まあ、これでゲイザーちゃんは怖くないから卑屈になる理由が消えて俺と結婚できると」
「因果関係めちゃくちゃだな、おい
でもさぁ、本当に一つ目とか怖くないのかよ?」
「一つ目オバケは4歳児くらいまでなら怖いんじゃないですかね?
むしろ一周まわって性的嗜好に昇華する人もわりかしいますね」
「なんだよそれ・・・」
「ちなみに俺もその一人です」
「別にそこまで聞いてない。
一つ目好きはサイクロプスだって単眼だし、他にもいるだろうからわかるけどさ、このギザギザな歯は流石に怖いだろ?」
「それも3歳児くらいまでなら怖がるんじゃないですか?
むしろ一周まわって性的嗜好に昇華する人もわりかしいますね」
「何でもかんでも欲情するんだなお前ら」
「いやー真面目な話、ギザ歯は今はゲイザーちゃんしか、いないからいいですけど、
例えばサメ娘とかライオン娘がギザ歯だったらどうするんですか?
『センパァァイ、なんかギザ歯のことすげーdisってたらしぃんすけど、あたしらもギザ歯なんすよねぇ・・・センパイちょっと裏来てもらっていいっすかねぇ?』
みたいになりますよ、多分。涙目で震えるゲイザーちゃんが容易に想像できますもん」
「そんなことあるわけ・・・ないよな?」プルプル
「俺に聞かれても・・・まあ、大丈夫ですその時は俺が守りますよ!」
「・・・(お前が一番怖いんだよぉ・・・)」
「これで、ギザ歯も怖くないと。次はなんだ?あぁ、肌の色ね。
肌の色は1歳児くらいまでなら怖がるんじゃないですか?
むしろ一周まわって性的嗜好に昇華する人も無茶苦茶いますね」
「その適当な定型文頭にくるな。どんだけ一周まわって昇華してるんだよ」
「まあ、これでゲイザーちゃんが怖くないことが証明されましたね」
「・・・ん、まあそんなにいうなら・・・怖くねえんじゃねえの・・・」
「紅い目に白い肌、黒い髪と触手、赤白黒の組み合わせがスタイリッシュで素敵でむしろカッコかわいいと思うんですけど。自分的にはどう思います?」
「し、知らねえよ・・・ばか」
「こうやってみるとゲイザーさんっていろいろ属性盛り盛りで贅沢ですよね。
単眼触手赤目白肌黒髪貧乳小物女体盛り・・・」
「待て、いろいろ言いたいことはあるが最後のなんだ!?」
「いやだって・・・ゲイザーちゃんに付いてる黒いのって
・・・『ごはんですよ』じゃないですか?」
「じゃねえよバァカ!!何があって全身に『ごはんですよ』塗りたくんだよ!?」
「え、だってゲイザーって魔力と『ごはんですよ』が混ざり合って生まれた魔物じゃないんですか!?」
「んなはずねえだろ!!」
「ですよね。それじゃ本題に入りますか」
「お前、あたしのこと振り回して遊んでないか・・・?」
「全然、ボクイイニンゲン」
「信用出来ない」
「そういうジト目も俺は好きです。
ゲイザーさんっていうか単眼種の人は表情豊かでいいですね」
「な、なんだバカ!いきなり!えーっとこのバカ!」
「・・・(ちょろいなぁ)」ホンワカ
「・・・・・でもさ、本当にあたしなんかでいいのか?」
「ええ、もちろん!」
「だってあたし、外見だけじゃなくて中身まで捻くれ曲がってるんだぞ!?」
「自己申告出来るくらいだから全然大丈夫ですよ。
それよりも、貴方の目の前にいる人間のほうがよっぽど捻くれてると思いません?」
「ああぁ・・・!確かに、そうだよな!」
「そこは否定してほしかったなぁ」
「でも、友達だっていないし・・・」チラッ
「はい、俺いますー」
「ホントか?」ミョミョミョミョ
「いません」
「だよな!」ホッ
「必死すぎません?」
「う、うるせえな!」
「別に俺は友達いなくても困るタイプじゃないので」
「ふーん」ニヤニヤ
「なんか勝手に理解にされてる」
「で、お前も本当は嫌われ者だろ?」
「まあ、俺は多少人より嫌われてるのは自覚ありますけど、
貴方の場合他人と接する機会限りなく0だから嫌われてすらいないでしょ」
「ふふーん、町の奴らに嫌われてるからあたしも嫌われ者だよ!
きひひっ、なぁんだ!あたしら似た者同士だな!」
「すごい不本意だけど、通じ合えたようです」
「じゃあさ、お前の趣味ってなんだよ?」
「読書です(主に恐怖小説)」
「きひひひっ!あたしも読書なんだ!(主にラノベ)
他には?」
「嫌なことあったら人気のないところで思い切り叫ぶとか」
「えーなんだよそれー」
「いや、案外やってみると気持ちいいんですよ」
「ホントか!じゃあここでやってみようかな・・・」
「洞くつだから反響して尚更よさそうですね」
「あ、叫ぶって何を叫ぶんだ?アーとかオーとか叫べばいいのか?」
「それでもいいんですけど、何か叫びたいこと叫ぶのもいいですよ」
「なら、アニメとかゲームの台詞でもか!?」キラキラ
「ええ、まあ本来は誰もいない所でやるんで気兼ねなくどうぞ
(なんでこんなにテンション上がってるんだろう?)」
「よーし!じゃあ
恋符マスタァァァァァァァーーースパァァァァァァァァァァァァク!」
「ん?」
「にょわー☆」
「んぅ〜?」
「いいこと?暁の水平線に勝利を刻みなさい!」
「んんん?」
「こんなに月も紅いから本気で殺すわよ!」
「・・・単なる決め台詞になってますけど・・・」
「闇に飲まれよ!」
「・・・」
「ぱんぱかぱーん!!」
「・・・」
「ぺったんぺったんつるぺったん♪」
「もう完全にトランスしとる・・・」
「オリョクルはもう嫌でち! オープンパンドラ!」
「よくわからないけど、それは混ざってない?」
「いざ、南無三ーーー!!」
―――
――
―
「はぁ、はぁ・・・だいぶスッキリした!」
「引き籠ってる間結構楽しんでたんですねぇ・・・」
「こ、これはだなぁ、友達に進められて仕方なく始めただけで・・・」
「あなた友達いないでしょ」
「うっ・・・」
「東方からアイマスの次は艦コレとまあ・・・なんというか」
「え!知ってるってことはお前もやってるのか!?」キラキラ
「知ってるだけです。食いつきよう半端ないな」
「まあ、今はモン娘だけどな!」
「あんまり萌え萌え言ってるオタクみたいなのも考え物ですねぇ・・・」
「ん!?」ピクッ
「どうしました?」
「まるで何かオタクが悪いみたいな言い方だな!ちょっとお前オタク舐めてるだろ!?」
「なんかデジャブ&嫌な予感」
「いいか、今時はそんな萌えなんてそうそう言わないし、
もっとシチュエーションやらタイミングやら・・・
細かな感情の機微によって違ってくるんだよ!!
それも弁えずにまあ、外聞だけで萌えだオタクだなんて・・・
バカにしすぎだバカ!!
ちょっと、うちの部屋に来い!あたしがそこらへんみっちり叩き込んでやる!!」
「え、何、ちょっとゲイザーちゃん怖いんだけど、引っ張るのやめてくれな
ウァァァァァァァァァァァ!」
終わり
16/01/23 20:04更新 / ヤルダケヤル