テンタクロース
「テンタクロースになって日本中のサイレントマジョリティーを救ってください」
「きゅ、急にどうしたの!?」
「実はですね。日本のクリスマスってリア充として楽しむか、非リア充として恨み辛みをこぼすかのどちらかしか許されてないように感じるんです」
「気のせいなのでは・・・」
「でも、普通の人はそれほど過剰にクリスマスを楽しみにしているわけでもないし、嫌っているわけでもないですよね。それなのにやたら二極化させたがるんです。それっておかしいじゃないですか?」
「いや、まあえぇ・・・」
「で僕、その原因は12月24日と25日の行事がクリスマスしかないからだってことに気が付きました」
「他の行事もそうなんじゃ・・・というより私の話聞いてる?」
「それなら別の行事も同じ日に行えば第三の選択肢として機能し、今までの苛烈な二極化を抑制できるはずです」
「最初のボタンを掛け間違えると、出てくる答え全部間違っていく良い例だね・・・」
「しかし、急に新行事を制定しても流行るはずがありません。なので、出来る限りクリスマスと語感を似せ、勘違いさせて根付かせたいと思います」
「割とあくどい!」
「それで思いついたのがテンタクロースなのです」
「そこまでいうなら私も協力するけど、テンタクロースって何をすればいいの?」
「まだ決めてないです」
「私帰るね」
「待ってください待ってください。
本人と相談しながら決めないと、逆にダメかなと思ってわざと決めてなかったんです」
「そういう微妙な心遣いとか正直いらないんだけど・・・」
「まあ、超高貴なヴァンパイアであるこの僕がこうやって頭を下げているわけですし。よろしくお願いしますよ。どうせ今日は暇なんでしょう?」
「何だろう、大抵のことは許せる自信あったけど、ヴァンちゃんといると揺らいでくるよ」
「まずテンタクロースが何をするのか考えていきましょう」
「そこからか・・・
クリスマスと似せるなら何かを配る役目の方がいいんじゃないかな、
例えばテンタクルらしく各家庭に子宝宝珠配るとか」
「流石に大盤振る舞いしすぎなのでは・・・?」
「別に?うちに来れば普通にあるし。
もう道に子宝宝珠ぶん投げまくって、必死に這いつくばって拾う群衆を嗤ってみてるのがテンタクロースの仕事でいいんじゃないかな?」
「毎年しそんなことしたら人口爆発してしまいます・・・(忘れてました。この子かなり森の深い所で生まれたからか、結構キてる時があるのでした・・・)」
「じゃあね〜・・・あ、そうだ!それなら子宝宝珠を賭けて武闘大会開こうよ!」
「ダンスで決めるなんてなかなかオシャレですね」
「ううん。ガチンコで殴り合う方」
「それは・・・もっとロマンチックなイベントでも・・・」
「最近、格闘技自体あんまりテレビとかで放送されなくて困ってたんだよね」
「本人の意向を尊重しますが、何もクリスマスにそんな泥臭いのを見なくたっていいのでは・・・?」
「何言ってるの、クリスマスに対抗するにはパクることも大事だけど、明確な相違点というのが必要なんだよ。わかるよね?」
「はい・・・」
「格闘技だけじゃなくてもいいかもな〜武器も魔法もOKの真バーリトゥード!
そしてテンタクロースは世界中の強いやつらにこの日の参加資格を与えるため、24日は東奔西走駆疾駆するのだ!ククク・・・もちろん25日は実況解説して特等席で鑑賞!!
バトルマニアの私が今まで蓄えた知識でばっちり解説するよ!」
「そ、そうですか・・・とりあえずテンタクロースが何をするのか決まりましたね」
「そうだね、次は24日に世界中を飛び回らなければいけないから、サンタのトナカイ役を決めたほうがいいよ」
「トナカイですか・・・ちなみに英語ではレインディア。漢字だと馴鹿(じゅんろく)というそうですね」
「じゅんろく・・・ジュンロック・・・ジュンウォック・・・ジャバウォック!」
「え”」
「ジャバウォックさんにジュンウォックをお願いしよう!ドラゴンだしきっと早く飛べるよ!!」
「せめて日本語か英語からじゃないとわかりづらいと思うのです・・・というより馴鹿からジャバウォックとは・・・うむむ・・・」
「ならヴァンパイア+トナカイ=トナカイアとかは?」
「完全にフュージョン失敗です。ほぼトナカイに取り込まれてしまいます」
「じゃあ、ジュンウォックさんでいいね。対案無き反論は認めないよ」
「はい・・・わかりました・・・」
「そもそも行事の名前を決めてなかったね」
「今度こそちゃんとした名前にしないといけません・・・」
「クリスマスか・・・」
「あっ、グラキエスさんと語感が似てませんか?」
「いいね。そうだ、カリュブディスさんもなかなか良い線行ってるよ」
「なるほど、そちらも似てますね。では、どちらにしましょうか?」
「待って・・・二人の名前を足したらさらにクリスマスに近づくんじゃないかな?」
「え”」
「グラキエス+カリュブディス・・・うーん・・・カラキディス?・・・グリュキエス・・グラディウス・・・パロディウス・・・」
「あの・・・?」
「・・・グリュブエス・・・うん、グリュブエス!メリーグリュブエス!!完璧!」
「うええぇ・・・」
「グリュブエス武闘祭!」
「パクリ元すら気づかないレベルになってしまいました・・・」
「英語の発音っぽくごまかせばいいよ」
「絶対違います・・・」
「次は小物だね」
「クリスマスツリーとかですね」
「グリュブエスツリーのままだと芸がないからツリーの方も変えようか」
「もう嫌な予感しかしないです」
「大会優勝者のみに喝采を送るというのは私の本意ではない。
なので、大会上位3名を『グリュブエススリー』として表彰します!」
「おおぅ・・・おおぅ・・・!」
「次はグリュブエス・リースですね」
「もう好きにしてください・・・」
「こんな大規模な大会を開くにはやはり先立つものが必要・・・問題はどうやって金を稼ぐかです。いつの世の中でも一番儲かるのは金融、その中でもリース事業を行います!
もちろんトナカイアさんがやります!!これがグリュブエス・リース!」
「無茶振りもいいところなのです」
「言いだしっぺだし、貴族だし」
「こんなはずでは・・・」
「とりあえずそれなりに出たから基本設定をまとめてみようか」
『グリュブエス武闘祭』
得れば必ず子供に恵まれる触手の森の至宝、子宝宝珠を優勝したものに与える世界最大の武術大会。武器と魔法の使用や急所攻撃などを一切の禁じておらず。限りなく実戦に近いことが特徴である。24日に『テンタクロース』が『ジュンウォック』に乗り、世界中の猛者の中から真の強者を選定し、この大会の出場資格を配って回る。25日にはテンタクロースがこの戦いを解説し、『トナカイア』が体を張って審判を行う。この大会の上位3名は『グリュブエススリー』として、永久に讃えられる。ちなみに、大会運営資金は『グリュブエス・リース』と呼ばれる通り、主にリース事業を行う『トナカイア』から捻出されており、この日は莫大な金額が動くこととなる。
「これは酷い、あまりに酷い」
「新たな歴史の⒈ページをこの手で作った自信があるよ」
「ここまでぶっ飛んだ行事になって自分がツッコミ役になるとは思いませんでした」
「さあ、さっそく来年からメリーグリュブエスだよトナカイアさん!!」
「そ、そんな・・・」
この日の思い付きが世界からクリスマスを消滅させてしまうことになるとは、
彼女たちは知る由もなかった。
「きゅ、急にどうしたの!?」
「実はですね。日本のクリスマスってリア充として楽しむか、非リア充として恨み辛みをこぼすかのどちらかしか許されてないように感じるんです」
「気のせいなのでは・・・」
「でも、普通の人はそれほど過剰にクリスマスを楽しみにしているわけでもないし、嫌っているわけでもないですよね。それなのにやたら二極化させたがるんです。それっておかしいじゃないですか?」
「いや、まあえぇ・・・」
「で僕、その原因は12月24日と25日の行事がクリスマスしかないからだってことに気が付きました」
「他の行事もそうなんじゃ・・・というより私の話聞いてる?」
「それなら別の行事も同じ日に行えば第三の選択肢として機能し、今までの苛烈な二極化を抑制できるはずです」
「最初のボタンを掛け間違えると、出てくる答え全部間違っていく良い例だね・・・」
「しかし、急に新行事を制定しても流行るはずがありません。なので、出来る限りクリスマスと語感を似せ、勘違いさせて根付かせたいと思います」
「割とあくどい!」
「それで思いついたのがテンタクロースなのです」
「そこまでいうなら私も協力するけど、テンタクロースって何をすればいいの?」
「まだ決めてないです」
「私帰るね」
「待ってください待ってください。
本人と相談しながら決めないと、逆にダメかなと思ってわざと決めてなかったんです」
「そういう微妙な心遣いとか正直いらないんだけど・・・」
「まあ、超高貴なヴァンパイアであるこの僕がこうやって頭を下げているわけですし。よろしくお願いしますよ。どうせ今日は暇なんでしょう?」
「何だろう、大抵のことは許せる自信あったけど、ヴァンちゃんといると揺らいでくるよ」
「まずテンタクロースが何をするのか考えていきましょう」
「そこからか・・・
クリスマスと似せるなら何かを配る役目の方がいいんじゃないかな、
例えばテンタクルらしく各家庭に子宝宝珠配るとか」
「流石に大盤振る舞いしすぎなのでは・・・?」
「別に?うちに来れば普通にあるし。
もう道に子宝宝珠ぶん投げまくって、必死に這いつくばって拾う群衆を嗤ってみてるのがテンタクロースの仕事でいいんじゃないかな?」
「毎年しそんなことしたら人口爆発してしまいます・・・(忘れてました。この子かなり森の深い所で生まれたからか、結構キてる時があるのでした・・・)」
「じゃあね〜・・・あ、そうだ!それなら子宝宝珠を賭けて武闘大会開こうよ!」
「ダンスで決めるなんてなかなかオシャレですね」
「ううん。ガチンコで殴り合う方」
「それは・・・もっとロマンチックなイベントでも・・・」
「最近、格闘技自体あんまりテレビとかで放送されなくて困ってたんだよね」
「本人の意向を尊重しますが、何もクリスマスにそんな泥臭いのを見なくたっていいのでは・・・?」
「何言ってるの、クリスマスに対抗するにはパクることも大事だけど、明確な相違点というのが必要なんだよ。わかるよね?」
「はい・・・」
「格闘技だけじゃなくてもいいかもな〜武器も魔法もOKの真バーリトゥード!
そしてテンタクロースは世界中の強いやつらにこの日の参加資格を与えるため、24日は東奔西走駆疾駆するのだ!ククク・・・もちろん25日は実況解説して特等席で鑑賞!!
バトルマニアの私が今まで蓄えた知識でばっちり解説するよ!」
「そ、そうですか・・・とりあえずテンタクロースが何をするのか決まりましたね」
「そうだね、次は24日に世界中を飛び回らなければいけないから、サンタのトナカイ役を決めたほうがいいよ」
「トナカイですか・・・ちなみに英語ではレインディア。漢字だと馴鹿(じゅんろく)というそうですね」
「じゅんろく・・・ジュンロック・・・ジュンウォック・・・ジャバウォック!」
「え”」
「ジャバウォックさんにジュンウォックをお願いしよう!ドラゴンだしきっと早く飛べるよ!!」
「せめて日本語か英語からじゃないとわかりづらいと思うのです・・・というより馴鹿からジャバウォックとは・・・うむむ・・・」
「ならヴァンパイア+トナカイ=トナカイアとかは?」
「完全にフュージョン失敗です。ほぼトナカイに取り込まれてしまいます」
「じゃあ、ジュンウォックさんでいいね。対案無き反論は認めないよ」
「はい・・・わかりました・・・」
「そもそも行事の名前を決めてなかったね」
「今度こそちゃんとした名前にしないといけません・・・」
「クリスマスか・・・」
「あっ、グラキエスさんと語感が似てませんか?」
「いいね。そうだ、カリュブディスさんもなかなか良い線行ってるよ」
「なるほど、そちらも似てますね。では、どちらにしましょうか?」
「待って・・・二人の名前を足したらさらにクリスマスに近づくんじゃないかな?」
「え”」
「グラキエス+カリュブディス・・・うーん・・・カラキディス?・・・グリュキエス・・グラディウス・・・パロディウス・・・」
「あの・・・?」
「・・・グリュブエス・・・うん、グリュブエス!メリーグリュブエス!!完璧!」
「うええぇ・・・」
「グリュブエス武闘祭!」
「パクリ元すら気づかないレベルになってしまいました・・・」
「英語の発音っぽくごまかせばいいよ」
「絶対違います・・・」
「次は小物だね」
「クリスマスツリーとかですね」
「グリュブエスツリーのままだと芸がないからツリーの方も変えようか」
「もう嫌な予感しかしないです」
「大会優勝者のみに喝采を送るというのは私の本意ではない。
なので、大会上位3名を『グリュブエススリー』として表彰します!」
「おおぅ・・・おおぅ・・・!」
「次はグリュブエス・リースですね」
「もう好きにしてください・・・」
「こんな大規模な大会を開くにはやはり先立つものが必要・・・問題はどうやって金を稼ぐかです。いつの世の中でも一番儲かるのは金融、その中でもリース事業を行います!
もちろんトナカイアさんがやります!!これがグリュブエス・リース!」
「無茶振りもいいところなのです」
「言いだしっぺだし、貴族だし」
「こんなはずでは・・・」
「とりあえずそれなりに出たから基本設定をまとめてみようか」
『グリュブエス武闘祭』
得れば必ず子供に恵まれる触手の森の至宝、子宝宝珠を優勝したものに与える世界最大の武術大会。武器と魔法の使用や急所攻撃などを一切の禁じておらず。限りなく実戦に近いことが特徴である。24日に『テンタクロース』が『ジュンウォック』に乗り、世界中の猛者の中から真の強者を選定し、この大会の出場資格を配って回る。25日にはテンタクロースがこの戦いを解説し、『トナカイア』が体を張って審判を行う。この大会の上位3名は『グリュブエススリー』として、永久に讃えられる。ちなみに、大会運営資金は『グリュブエス・リース』と呼ばれる通り、主にリース事業を行う『トナカイア』から捻出されており、この日は莫大な金額が動くこととなる。
「これは酷い、あまりに酷い」
「新たな歴史の⒈ページをこの手で作った自信があるよ」
「ここまでぶっ飛んだ行事になって自分がツッコミ役になるとは思いませんでした」
「さあ、さっそく来年からメリーグリュブエスだよトナカイアさん!!」
「そ、そんな・・・」
この日の思い付きが世界からクリスマスを消滅させてしまうことになるとは、
彼女たちは知る由もなかった。
15/11/25 00:29更新 / ヤルダケヤル