「さて、そろそろかな…」
現在自宅の玄関前で仁王立ちして俺はあるヒトを待っている。
別に朝帰りしてくる弟や妹を怒る準備をしているとかそんなのではない。
そもそも俺に兄弟、姉妹の類はいない。
じゃあ誰を待っているかというと・・・
ピンポーン
「おぉ、来た来た」
カチャ キイィ…
「お、お待たせしました、太一君…」
「おう、すっげぇいっぱい持ってきたんだな…;」
ドアを開ければ自分よりも大きなリュックサックを背負った女の子が一人。
彼女は天空麗、つい昨日のクリスマスイブに俺の彼女となったエンジェルである。
「よいっしょ;(ドサァッ)ふぅ;少し遅れてしまいましたね、すいません;」
「いやこんなん背負ってきたってんだったらしょうがねぇよ;
重かったろ?後は運ぶの手伝うぞ」
「いえ、このままでは家には上がれませんので、
一度ここで荷を少し出させて貰っても良いですか?」
「あぁ、確かにこれじゃ入り口につっかえるか;
それじゃあ出すの手伝うぞ、どのチャックから開ける?」
「えっと、それじゃあまずは…」
何で麗がこんな大荷物でまた俺の家にやってきたのか…
事の始まりは昨日から、つまり俺と麗が恋人関係になった夜からなんだけど…
〜回想、昨夜告白後〜
『そ、それじゃあ…これからよろしくお願いします…えへへ』
『…あぁ;こ、こちらこそ、よろしく…』
『…それでは早速準備しなくてはなりませんね♪』
『?、準備って何の?』
『何って…引っ越しの準備に決まっているじゃないですか?』
『えぇっ!?;何でいきなりそんな話に!?;』
『何故って…恋人関係になるのですから同棲は当たり前じゃないですか?』
『あ〜、いやいくら何でも展開が早すぎるっていうか…;』
『ふふ♪お泊まりなら小さい頃にも何度かしましたが、
これからはずっと一緒に暮らせるんですね…
#9829;』
『あれ?いやあの〜、麗さん聞いてます?;』
『善は急げと言いますが、今からでは時間がありませんし、また日を改めますね?
それでは今日は一度帰ります、明日の昼までにはまた来ますので!』バッ
『お〜いちょっと待て!;まだ良いとも言ってな…飛んで行っちまった;』
〜回想終了〜
来た時とは対照的な元気いっぱいな飛び立ちであった。
すっげぇキレイだったなぁ、あの翼…パンチラしてたのがなお良かった…
…ってアホな事まで思い出してる場合じゃねぇな;
「…今更な事だけど、麗がこっちに越してくるんだな…」
「学校に近い方へ越した方が良いと思ったので。太一君の家の方が近いじゃないですか?」
「ああ、なるほどな、それにしても…」
天空が背負ってきたリュックから出てきたのは…
何だろう、家具をまんま小さくした様なものだった。
何言ってんだって?だってそうとしか言い様がねぇよ;
見た目まんまちっちゃいタンスや机だもん。
まぁちっちゃいっていっても小脇が埋まる程の大きさなんだけど、
家具として使うにはやっぱり小さ過ぎる。
だからオモチャかなと思ったけどそれにしては引き出し部分が開いたり、
中から同じく服や教科書をまんま小さくした様な小物が出てきたりと凝っている。
フェアリーとかだったらそのまま着たり読んだり出来るだろうが・・・
「麗…これ何?もしかしてシ◯バニア?」
「違いますよ;私の家具です」
「ゑ?・・・家具?ホントに?」
「はい、今朝まで天空家にあった私の家具です!」
「いや、そりゃまぁシル◯ニア系にしてはでかいなとは思ったけど、
家具にしては小さ過ぎだろ;服なんかこれ麗でも着れないだろ…;」
「流石にこのままの大きさで使っていませんよ、魔法で小さくしてもらったんです」
「え、小さくって・・・誰が?」
「太一君のお父さんが経営している会社の従業員の方にしていただきました。
本当は全部手の平サイズに縮めたかったらしいのですが、
数的に無理があるとのことで代わりにリュックの方を少し大きくしもらいました」
(魔法を使えるとはいえ行動がぶっ飛んでんなぁ〜;)
「持ってきたところでこの後どうするんだよ;これだけの家具入る部屋はウチにないぞ」
「ああ、それなら大丈夫ですよ。もう少しで来ると思うので」
「?、来るって何が?」
ピンポーン
意図の掴めないまま会話を続けていると玄関からチャイムの音。
こんな時に誰だろう・・・
と一瞬思ったけど、さっき話に親父が出たあたり…うん、何となく想像ついたわ;
「は〜い、どちら様d『失礼しま〜す
#9835;(ドカドカドカ〜)』うおわあぁっ!?;」
やっぱりね〜;開けるやいなやめっちゃ入ってきたのは
ドワーフやゴーレム、グレムリンさらにオートマトン…
このヒトたちは確か親父経営の工場にいる従業員の方々。ってこと
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