ミストヴァレー=スラッシュマンは格闘大会ソードセキュアフォースの参加選手だ。
年齢は17。肩までかかる金髪、少女のような童顔と細身の肉体は一見戦う者には見えないのだが彼は山賊が50人同時に襲って来ようとも返り討ちにする実力がある。
しかしその見た目のせいでどうしても甘く見られるのが彼の悩みであるのだが。
逆に言えば予選を順調に突破できたのは相手が勝手に油断してくれたのが大きいのかもしれない。
ミストヴァレーは身支度の確認をし控え室をあとにする。
闘技場は広大だ。その規模は小規模な村ができそうなくらいである。(現代で言うところの東京ドームくらい)
これと同じ設備がこの国に後4つあるらしい。
その闘技場の室内通路を歩きながら体育館程の空間に足を踏み入れた。
その闘技場には大小様々な岩が配置されており簡易的な荒れ地が再現されている。
このほかに森や街中など似たような特殊フィールドが用意されているとのこと。
そこでは他の参加選手が剣や槍、果てはよくわからんオリジナル武器を振り回している。
時折魔法で爆発が起きたりしているがこれで死者が出てないのが驚きだ。
対戦相手の殺害はルールで禁止されているのだが。
そして今回の相手。
「ヒャッハー!どうしてテメェみてえなもやしが勝ってこれたんだぁ?今までのヤツらは情けねぇぜ!」
死亡フラグである。開始五秒で小物である。死ぬために喋っているのではないだろうか?見た目からして噛ませ犬の山賊もどきはひたすら自分が凄いかを自慢している。
てゆうかもっとセリフひねれよ噛ませ犬。
「さあ?外見に騙されて油断したんじゃないんですかね?今までの人大抵そうだったし。」
「情けねぇ!この俺様は油断したりしねぇ!テメェの小細工を正面からぶっ貫いてやるぜぇ!!」
すでに油断している。
「双方位置に着け!」
両者の距離は10メートル。
審判が試合開始を告げる。
ぷあーーー!!
試合開始を告げるラッパが鳴った。
「くらえ!」
山賊もどきは腰のベルトに取り付けられた鋼でできた10個のブーメランを投擲してきた。
が、ミストヴァレーにとってそんな単調な攻撃は避ける事は容易い。
投擲物の軌道を予測。
体をほんの少しそらす。
必用最低限の動作で一歩も動かずミストヴァレーはすべてのブーメランを回避した。
しかし山賊もどきは怯まず、間髪入れずに次のブーメランを投擲した。
一度回避に成功したのに同じ手が通じる道理はない。
同じ避けようとして――――――
山賊もどきの顔が勝利を確信していた。
先程投擲されたブーメランがミストヴァレーの背後に戻ってきていたのだ。
しかもスピードがかなり上昇している。
この山賊もどきは以外にも魔法を使う。
ブーメランにかけた魔法が作用し別の性質の魔法同士が互いを磁石のように引き合うのだ。
前と後の10のブーメランに挟み撃ちにされたミストヴァレーだが――
ミストヴァレーに直撃する直前20個のブーメランがすべて斬り刻まれた
「なっ…えっ!?」
山賊もどきは状況を把握出来ないようだ。
それもそのはず、ミストヴァレーは一歩も動いていない。
ただ軽く腕を振っただけだからだ。
魔力を失ったブーメランの残骸は乾いた音をたてながら地面に落下した。
そしてミストヴァレー=スラッシュマンは口を開く。
「降参してくれませんか?」
「すいませんそうします。」
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