Dream Chaser -Another-

キーン、コーン、カーン、コーン


「それでは、今日の授業はここまで」


ざわざわざわ

今日の最後の授業が終わった、生徒はこの後の予定をどうするかを雑談しながら帰宅していく
それは当然の事で学校という場所から開放される爽快感をそれぞれが楽しんでいる
僕もその爽快感を味わうのだが……今日だけは違う

普段は下駄箱へ続く廊下を歩くが
今日は屋上へと続く反対側の廊下を歩き、続いて階段を一段一段上がっていく
徐々に近づくに連れて胸の鼓動が次第に速くなる

そう…今日はとても大事な日なのだ




僕―倉島 良男―が告白する日…
その相手は隣のクラスに居る水辺 美歌
陽気で明るいその様は子供がそのまま大きくなったような無邪気さと
太陽の様な素敵な笑顔を振りまく
そしてちょっとドジな所が更に魅力を一層引き立たせている
呼び出し方はいたってシンプル…彼女の下駄箱に手紙を入れるだけ

[大事な話しがあるので、放課後に屋上に来てください]…と


あとは…勇気を振り絞って、この気持ちを、この想いを口にするだけ
美歌さんは中学校時代から同じクラスを一緒にしてきた
彼女には山越 健治という幼馴染いて仲が良かったけど幼馴染ってだけらしく彼と付き合ったりキスをした話は一切聞かない
つまり、自分にもチャンスはあるってことを意味している
何度か彼女とお話をしたり、プレゼントを贈ったり買い物の手伝いをした事もあり、仲は良くなっているはず
そして今…長年蓄えてきた想いをぶつける

結果はどうなっても構わない…いや、良い結果がほしいけど
悔いのない結果にしたかった


屋上の扉の前に来た、この高ぶるときめきを抑えながらドアノブに手をかける

ガチャ……


ドアを開けると強めの風に青い空、雲は点々とあるが曇りというよりは晴れ
そして、その屋上に彼女が…居た

ドアの開く音に気づき彼女がこっちを振り向く
風に靡く髪をかきあげながら振り向く様はまさに女神…

「お、お待たせ」

「こんにちは、話しってなーに?」

「じ、実は……」

「うん」

いよいよ、彼女に言葉を伝えるときが来た…
手は振るえ、緊張は限界にまで達している
大きく息を吸い、彼女に自分の気持ちを……伝える!

「す、好きです!ぼ、ぼぼ、僕と……付き合ってください!!!」

「ごめん、無理」

玉砕、しかも即答…一瞬の余裕もなく撃沈
考える素振りもなく答えられて……なんだろ…すごく…清々しく思える…
ああ……中学から続いた恋は一瞬で終わったよ…
しかも、すっごく清々しく!!

「私はケンジの事が好きだから付き合えないしセックスもしたくないの、ごめんね」

ああ…清々しさが一言で終わった
格闘ゲームで言えば大技の1段目でKO
そのまま戦闘不能にも関わらずコンボが次々と決まってオーバーキルされた気分だ…
突風に煽られ気持ちい大空を飛んでいるところに突然風が止み重力に従い墜落
もう天国から地獄に叩きつけられた気分だよ…

「話は終わりかな?」

「……え…うん………じ、時間とらせてごめんね…」

「ううん、気にしてないよ♪ばいばい」

ああ……良い天気だなぁ…本当に…あっはっはっは…
ちくしょう…ショックが大きすぎて涙もでないや…
恋愛ドラマとかでフラれたシーンは見たことあるけど…
一番酷い断られ方だな……うはは……はぁ……




僕はそのまま屋上で呆然としていた
風が凄く涼しい、でも心に吹く風はブリザード…
流れる雲を見て思う…ああ…終わったなぁ…本当に終わったんだよなぁ……


「判断ですの〜♪」

能天気な声が空から響いてくる
あいつだ…あぁ……またなんか言われそうだ

空から降りてきた彼女の名前は天白 聖良、高校入学以来の同じクラスの女子で
背中にある白い羽と頭に浮かぶ白い輪そしてスカートから見える白い下着…そう、彼女は天使だ
文字通り空から舞い降りた天使…といえば聞こえはいいんだけど
僕にとっては空から舞い降りた白い悪魔だ…

ふわふわと降りてくる彼女はゆっくりと着地して
人差し指をビシッっとこっちに向けて指してくる

「貴方はフラれたんですの〜♪」

グサッ……

このように傷口を広げることが得意な子…
いや、悪気はないんだろうけどさ…だから逆に怒れないので酷い

「ああ…そうだよ…フラれたよ…くすん…」

「やっぱりアレですの、童貞だったのがいけなかったんですの」

グサッ……

「悪かったよ…童貞で……うう…」

「っということで明日から放課後に勉強ですの♪」

「ええ…なんで…?」

「フラれてもめげてはダメですの♪知識をつけてリトライするんですの♪」

「い、いや…それが…」

「問答無用ですの♪」

「いや、話を聞いてくれってば…」

「聞きませんの!男が言い訳しないんですの!」
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