少し前…猫の王国
「東アジア、サマンサから連絡!監督となる人物を発見したそうニャ!」
「おお!決まりましたか!」
「しかし…この犬好きというのは…」
「犬好きにしかできないことって、あると思うのですよ。」
本日はキャセイ・パシフィック航空をご利用いただき、誠にありがとうございます…当便は…
サマンサに送られた動画をもとに伸一、彰太と代表候補30名を絞り込み、
正樹は猫の王国に乗り込むこととなった。
意外なことに今まで猫の王国がFIFAに加盟していなかっただけで国外のレスカティエやドイツ、果ては日本で活躍する2重国籍選手がおり、国内リーグも盛んなようだ。それでも、現地に行かねばわからないこともある。
今のうちに英気を養わねば…
「あなた…これはどういうことかしら…?」
「まて話せば…ぐ…首…首しまって…」
「めずらしくあの奥さんがOKしたと思えば…結局こうなんのかよ…」
「伸さん…自慢の奥さんのはずが…」
「白蛇には夫が年頃の女の子の指導に周るのが許せんかったか…」
「正樹さん、民事不介入ですよ。」
「だな…」
「にゃあ〜おじさまぁあああ!!」「頼むニャよ!元代表キャプテン!」
「欧州選手権への意気込みを!」 「サインくださいニャァア!!」
空港に着くとそれはそれは熱烈な歓迎を受けた。極東の島国から初めてW杯に出場した経歴から国民の期待も高い。
後ろで締めあげられてる伸一をよそに、正樹は何とかサマンサたち協会の猫を見つけ、用意された宿舎で一息ついた。
チーム始動に向け、火照る体をなんとか寝付かせ、明日に備えた…
が…
「サマンサ、俺何人召集かけたっけ?」
「えー、リーグ戦、特に降格争い中のアリア長谷川、チームの許可がとれなかったサラ・ハワード…およびケガ組をのぞいて…」
淡々と機械のごとくサマンサは続ける。
「20人です。」
「どう見ても12人しかいねーよ…」
「猫ですから。」これまた機械のごとく。
12人。これでは簡単なパス回しができてもミニゲームをするには足りない。GKも一人しかいないのだ。
「サマンサ、現役の時どこやってた?」
「MF…DFを少々…」
「俺たちコーチ陣で控え組に入ろう。やれるか?」
「やってみましょう。」
正樹たちが参加することなんとかゲームが成立。
しかしまたもや問題発生。
正樹とバックスを組む2人。こいつらがまた問題児。
「セーフティは…つまらないニャ!」
「正にその通りニャ!姉さんいいこと言うニャよ!」
「こらあ!守備せんかぁ!」
守る時間が長くなると集中が切れ、必要以上に攻め上がってしまうのだ。
「フンッ…!」
力強いシュートがゴールに突き刺さる。ルクサーナ・アブドゥラ―。
彼女のケット・シーにあるまじき体格はサウジ出身の父親譲りだろう。
「流石だな。体全体を駆使したいいシュートだ。でもさ…」
「なんだ監督。このルクサーナ、常に完璧を目指しているつもりだが?」
「さっきさ、サマンサから俺へのバックパス、走り込んだら獲れたよな?」
現代サッカーにおいてFWからの守備は必要不可欠。
「守備とは後ろの者がすることだろう?」キョトン
「」
午後になって残りのメンバーたちも顔をのぞかせ始めた。
そしてその理由のほとんどが、
恋人と文字通りニャンニャンしてたら時間が過ぎた、
日向ぼっこしてた、
路地裏でいい男見つけた…といった内容だった。
「えー、はい、ということでね…欧州選手権予選、最初の相手はウェールズ、格上ですが頑張りましょう…」
負けるな闘将!
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