「ねぇ、お母様? 私、この世界に飽きてしまったの。だから……」
私は今からお母様、魔王に問う。
私がこの世界から消えてもいいか、新しい世界に旅立ってもいいか、と。
魔王は娘に甘い。
答えはおそらく、いや確実にYesだろう。
「異世界でも、私たちの理念を忘れないで。この約束だけ守ってくれれば、私は何も言わないわ。好きにしなさい」
「この世界に帰ってくることは出来ないかもしれないわ」
「ええ、わかっているわ。貴女こそ大丈夫? あとで後悔しないように、あと一日くらい考えたほうがいいのではないかしら?」
「いいえお母様、私はもう決断したのよ。新しい世界に行くって。それに私は一人じゃない。こんな私についてきてくれる友達がいるの」
「それは心強いわね……。行く前に、お父様にも挨拶しておきなさいよ」
「お父様にはもう伝えました。新しい世界でも元気でやれ、そう言われました」
「そう……あなたがいなくなったら寂しくなるわね。でも応援してるわ、元気でね」
「はい。お母様も、お元気で」
そう言って私は魔王の部屋を後にする。
扉を閉め、一息つく。
次に行くのは、友人が待っている魔王城の屋上だ。
屋上の扉の前にワープして、一気に開ける。
こんな私についてきてくれるという友人たちを前にして私は言った。
「さて、皆!! 新しい世界に行くわよ!!」
☆
私は今、うつ伏せに倒れている。
そんな無様な格好でも私は喜び、そしてドキドキが止まらない。
「あぁ……ここが異世界……。たどり着いたけど、運がなかったわね……」
新しい世界にたどり着くことはできた。
が、体中が痛い。
ゲートから出てきていきなり地面にぶつかり、お約束のように体を打ち付けてしまった。
周りを見渡してみたが友人の姿は見えず、気配もなかった。
あるのは、私の世界でジパングと呼ばれたところに点在した神社のような建物と、鬱蒼と茂った森と階段。
夜の始まりの頃だろうか、辺は薄暗く人気はない。
もちろん他の魔物娘の気配もない。
私が開けた異世界に向かうゲート、そのゲートに全員で入ったはずだが、今ここにいるのは私一人。
皆この世界にたどり着けているだろうと思う。
彼女たちのことだから心配する必要はないし、心配したところで私にはどうしようもない。
それに、ゲートを開くために魔力を大量に消費したせいで、私はしばらく動けない。
魔力が貯まるまでしばらくこのまま。
今までも足りない魔力は食事を取るか、周囲から吸収するのどちらかだったのだから、いつもどおりだ。
焦ることはない、徐々に動けるようになってくるだろう。
目を閉じて、眠ろうとする。
起きた時には魔力も十分回復していることだろう。
私は寝ようとしてから意識を失うまでの時間が短いと自覚していた。
だんだんと意識がなくなっていく。
しかし意識を失う寸前で、ザッザッと大きい足音が聞こえてきて一気に目が覚めた。
「んん〜? 何だ、こんなところに倒れてんのは誰だァ?」
「……!!」
さっきまでなかった人間の男の気配が、もうすぐそこまで来ている。
人気のないところだと思っていたが、人間に見つかってしまった。
しかも男だ。
教団の人間なら殺され……いや、ここはあの世界とは違う。
殺されることはない。
殺されることはないが……。
「へへっ、こんなところで寝てたら襲われても文句言えねぇぞ?」
一刻も早く魔力を貯めないといけないが、この世界にはそもそも魔力が充満していないため、貯まるまでに時間がかかる。
中年くらいだろうか、少し小太りした男が私の前にしゃがみ、私を舐めるように見る。
この世界に魔物娘は疎か、魔力すら認知されておらず、もちろん魔法を使う人間もいない。
それらは迷信とされている。
そのはずだが、この男は魔物である私の翼や角などを見ているのに怖がる様子も、不思議なものを見たという反応もない。
私が魔物だと気づいていないのか、それともリリムという種族の能力による魅了を受けているのか。
私に魅了された男は放心状態になり、私に従うようになるはずだ。
しかしこの男にそのような様子はない。
むしろその魅力的なものを自分のものにしようとする意思を強く感じるし、いつ襲ってもおかしくない目付きをしている。
そうこう思っているうちに、私は体を転がされて仰向けになってしまった。
「エロイ服装してんな。そそるじゃねぇか……。抵抗もしねぇし、同意ってことでいいんだろ?」
このままでは魔力の回復は間に合わない。
ここまで来たら、犯されることも覚悟しなくてはいけないのか。
……処女なのにね。
怖い、怖い、怖い。
その恐怖で声が出ない。
既に男は私に跨って、その目は虚ろだったが口元は緩んでニヤついていた。
男の手が、私の胸に向かって伸びてくる。
男の唇が
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