草原にて(レッドスライム・ディープキス・甘口)

「ここかな」

僕は羊皮紙を片手に場所の確認をする。

眼前に広がるのは、緑。
広大な平地に、膝下程度の草木が生えており、牧歌的な雰囲気が漂っている。

目が良ければ、次の町まで見渡せそうだ。

「サキさんがいってた特徴は……っと」

朝にサキさんが言っていたことを脳内で反芻する。

『今回調査をお願いしたいのは、レッドスライムという魔物です』

『え? スライムしか聞いたことがない?……そうですか』

『私の記憶を映像で見せることができればいいのですけど、そんな便利なものはないですからねぇ』

サキさんはそう言って、簡単な絵を書いてくれた。

「目の前では言えなかったけど、子供の方が上手いまであるんじゃ……」

僕は羊皮紙に書かれたサキさんお手製の絵を見て苦笑いをする。幸い、スライムのことは文献で見たことがある。動きは他の魔物より遅いので、遠くから発見することが出来れば、調査は楽勝だろう。

「あと言ってたのは、普通のスライムと違って赤いことくらいか」

慎重に周囲に注意を払いながら、歩を進める。

かさ、
かさ、
……ぐにゃ。

「……?」

先ほど踏みしめた土の感触の違和感に僕は首を傾げる。
ゆっくりと視線を移すと、足が土に沈み込んでいた。

「泥……じゃない」

本来泥であるなら、その場に沈んでいる足が見えるはずなのに、それが見えない。まるで地面のテクスチャを上から貫通しているような違和感。

試しに足を動かしてみるが、不思議な感触だ。

「ん……来たぁ……」

「地面がしゃべった!?」

「む。地面っていうのは失礼じゃない? 私には、レドって名前があるの。
 ほら、呼んで?」

ずずず。
ぬちゃぬちゃ。

足元を包んでいた空間が、姿を持ち始める。
レドと名乗った"それ"は、裸の女性のような恰好を象ろうとしていた。

……うぅ、見ちゃだめだ。
魔物とはいえど刺激が……。

反射的に僕はその姿から目をそらす。

しかし、即座に魔物であることを認識し、呪文を唱える。
サキさんのアドバイス通り、雷の魔法だ。

「いかづちよ──っもごぉっ!?」

唱えようとした口がレドの粘液によって閉じられる。

「ねぇ、いま魔法唱えようとしたよね? 私は、名前を呼んで?って言ったよね……?」

怒気の孕んだ声が僕の口内で反響する。

苦しい。

苦しいけど、足でもがこうとしてもうまく足が動かない。

「でも、君は可愛いから許してあげる
#9825;」

「っぷはぁっ……い、いきなり何するのっ」

「その涙目もかわいいなあ……ちゅっ……ちゅるる……」

足元が波立つのと同時に、レドの、女性の形を象った身体が僕の横まで近づいてくる。そして、息が苦しくて出た涙を舌を模したそれで舐めとった。

「ふふ……身体ぞくぞくしちゃった?
#9825;」

「そ、そんなわけ……」

ない、と言おうとしたところで、僕の身体はレドの身体に抱き寄せられる。途端僕の身体は、柔らかいものに包まれた。

入眠するときのような、頭がふんわりするような心地よさに口をつぐんでしまう。

「どう?私の身体柔らかい……?」

「……」

……こくり。
と無意識に頷いてしまった僕は、慌てて首を振る。

「ねぇ。そんなに押し付けられると私、我慢できなくなっちゃう
#9825;」

首を振るたびにレドの乳房がたぷんったぷんっと重量を持った音をたてて揺れる。胸に埋めているせいか、その音が直接耳に届き、真っ赤だった視界がより狭まっていく。

この時点で、僕はもう抵抗する気力は失っていた。
先ほど、口に押し込まれた粘液に媚薬効果があったのではないか、と思うほど僕の頭は、目の前の身体のことでいっぱいだった。

「名前……聞いてもいい?」

「……ロゥです」

「そう、ロゥ。ロゥくんね」

レドは、脱力した僕の身体を支えるように腰に手を回す。
さすがスライムというべきか、僕の前面はすべてレドにべったり密着する。

当然、少し膨らみ始めている股間も、だ。

「わ
#9825; ねぇ、ロゥ。君のここ、服越しでもわかる……
#9825;」

「う……」

「期待しちゃってる
#9825; でもぉ……まだここは触ってあげない
#9825;
ロゥがぁ、

レドさんっレドさんっ、ってぇ、私のこと大好きですぅっ
#9825;

って言ってくれるまで、ずっとずっとキス、しちゃう
#9825;」

「ほぉら、顔あげて?」

「うん、えらいえらい
#9825; はい、次はお口広げてぇ……
#9825;」

とろり、と触れている身体よりも粘性のある唾液が、口の中に落とされる。
唇、舌の先端、舌を伝って、喉奥へ……。
自分とは違う液体が、自分の中へ入り込んでいく。

「へぇろっ……
#9825; そのまま、そのままだよ
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