「あぁ、朝か......」
最近妙に体がだるい、何をやっても疲労感が抜けない。
少し激しい動きをすると、頭がクラッとくる。
過労だろうか。
しかし軽い風邪なんかで仕事を欠勤するのは自分のプライドが許さなかった。
朝食を食べ終わって立ち上がると、またも立ち眩み。
反射的にテーブルに手をついて先には、一枚のハガキがあった。
「そうか、もうちょっとで同窓会か......」
そう、高校時の同窓会のお知らせである。
「...多めに休みを取って、その間に病院にでもかかるか......」
この時、自分の体にナニが起きているか、私は考えが及んでいなかった......
「おーっ、刃取、久しぶりだなー、その抜身の刃物みたいな雰囲気がなまくらになったか」
「おーっ、戸塚、久しぶりだなー、その焼野原みたいな雰囲気は相変わらずだな」
「なにコイツ喧嘩売ってんの?」
「こっちのセリフだ」
目の前のこの女はカースドソードの刃取。
学生時代はよく魔剣片手に追いかけまわされたものだ。
「オイオイオイ、今にも殺されそうなやつがいるな」
「誰のことだ牛場! お前、またデカくなったな?」
「乳がか?」
「いや、身長が」
刃取と自分のテーブルに次にやってきたのは、牛場。
種族はウシオニ、高校時代は文化祭で力仕事を任されたっけ。
こいつが運搬で、自分が誘導係で。
「そんな場所に眼頭2:50分さんが座りますよッと」
「お前も相変わらず毒舌だなー」
「お前だって身内には毒舌じゃねえか」
こいつは眼頭、ゲイザーである。
なかなかの皮肉屋で、口が悪く、おまけに天邪鬼ときた。
よく教室でディスり合いしてたな、懐かしい。
「おひさーです...みんな...」
「ハロちゃんおひさー」
「ハジです...」
「イジられキャラも変わってないようで何より」
最後の席に座ったのは、波路。 バジリスクである。
こいつが文学で賞をもらったとき、ジュースを奢ってやったっけ。
「みんな変わんねぇなー、変わらないのが魔物娘ってか」
「そういうお前はすっかり変わったなー、なんていうか...」
牛場の言葉を、後の三人が引き継いだ。
「「「 血の気が無い 」」」
そんなに体悪そうに見えるのかな。
「......あー、実はここ最近体調が悪くてさ」
「おい、ちょっとくらいなら相談に乗れるぞ、アタシ医者だからな」
「眼頭、お前が?」
こいつの現在を聞いて唖然とする。
「こういうルックスだから、医者にでもならないと、男が捕まんないのよ」
「...で、男は捕まったんですか?」小声
「ぶっ殺されたいか。 ちなみに麻酔科医だよ」
まだらしい。
「ほかは?」
「.........」 睨
全員独り身のようだった、自分も人の事言えないけどさ...?
「そろそろお時間になりましたので第192期生3年E組、同窓会を始めたいと思います...」
助かったー!
なんとか剣呑な雰囲気から逃れられる! と思っていたけど、4人はまだ自分を睨んでいた。
「えー、お次は...戸塚 泰一さん!」
「えっ、俺か」
一人一人回ってくるスピーチの出番。
やっと自分の番が回ってきた。
「えー、出席番号13番、戸塚泰一です。 現在は独身で...」
独身だと言ったとき、ヒューッっと飛んでくる独身魔物娘勢からラブコール。
お約束かッ!!
この時異変が起きた。
「現在は......事務業......で...」
おかしい...いつものクラクラが...
『いつものクラクラが起きた』といい終わる前に、バターンッ!! と倒れてしまった...
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「おいしっかりしろ!!」
真っ先に駆け寄ってきたのは眼頭。
「今は2:50じゃねえぞ、寝るには早えよ!」
医者らしく脈を取ったりと診察を開始する、しかし彼女は麻酔科医。
この場で出来ることといえばたかが知れていた。
「こうなったら......おい!! 刃取、波路、牛場は来い! 白澤先生は救急車呼んでくれ!!」
「おいどうする気だ」
慌てて駆け寄ってくる三人を待たせて、眼頭は戸塚の眼を瞳を開いて、ゲイザーの魔眼で干渉し始めた。
「<痛くなーい、苦しくなーい、お前は痛みを感じたり、苦しみを感じたりしなーい>......よし、麻酔は掛けた! 次、波路!」
「次ってわたし医者じゃないです!!」
手をわたわたさせる波路。
「今すぐ執刀しろなんざ誰も言わねえよ、その眼帯外してコイツの眼を見ろって言ってんだ!」
「...はっ?」
「早くしろコイツの命が惜しくないのか!!」
ケツをひっぱたかれて大慌てで眼帯を外して、眼頭が開いたままの戸塚の瞳を覗き込む。
すると戸塚の体はその魔眼
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