月刊 働く魔物娘 〜救う炎の漢女たち〜

ウ〜ッ ウ〜ッ!!

......前置きしておくと、これは柳〇〇吾の芸ではない。
正真正銘の火災の現場である。

いつの世も人間、そして魔物娘の天敵の一つは災害であると言ってよいだろう。
この世界が人間だけの世界だった時代、人間は災害と戦うために知恵を絞っていた。
そして魔物娘がこちらの世界へ進出してきてから、災害に対する対処の仕方も、また大きく変わっていった。

その最新の魔物娘と人間の火災に対する戦い方を、今回記事にした次第だ。






「1,2,3,4!!」
『アル〇ック!!』
「ア〇ソックじゃねぇ、うちは消防だ!!」

消防署の敷地内と消防士の隊員たちが走っている。
そのメンツは人間男性はもちろん、ドラゴン、ワイバーン、火鼠、サラマンダー、ダークメイジ、グレムリン、リビングアーマー......とまぁ、多種多様な魔物娘もそろっていた。

「ボスゥ〜、アタシたち技術系なんですけどォ〜!!」
「最低限体とメンタルを鍛える必要があるんだよォッ!!」

グレムリンの悲鳴に、サラマンダーの隊長が声を張る。
(そして、もう文句を言うことに諦めている様子のダークメイジ)

ドラゴンやワイバーンと並走してもう3時間は走りっぱなしなのだ、文句を言う気持ちもわかる。
......だが、驚くべきことにサラマンダーと火鼠、男性ズは軽く息切れする程度で済んでいた。
当たり前だが、竜種二種は息切れもしておらず、リビングアーマー数体は......浮遊しているため言わずもがな。

「あと一周走ったら休憩だ!」
「うひーっ!!」

その時、

<ウーッ! ウーッ!!>

けたたましく響くブザーの音。
火災が起きたことで出動の時が来たのだ!

「おっしゃー! 終わりだー! ...でも不謹慎だー!」
「わかってるなら最初から叫ぶな!!」

ランニング中の隊員たちは全力で建物内へ駆け込んでいく。

出動前に最初にやることは、支給されている体力全回復用のポーションを一気飲みすることだ。
これでどんな疲労もなかったことにし、万全の状態で出動することができるのだ!!

「助かったぜェ...」

グレムリンは耐火仕様の制服を着こみながらうめく。
同じく耐火のルーンを刻んだ魔法衣をダークメイジが装着していた。

「よーし、整列! のち着装!!」

横一列に並んだ男性陣、そしてその後ろにスタンバイするリビングアーマーたち。
男性一人つき一体のリビングアーマーが担当しているようだ。
その前に隊長とそのリビングアーマーが立っており、着装の掛け声で全員がリビングアーマーを纏った!

リビングアーマーは、魔物娘の技術を取り込んで、進化した消防士たちの消防服であったのだ!

「火鼠隊! 揃いました!」
「サラマンダー隊もそろったぜ!」

火鼠とサラマンダーは図鑑絵の個体と同じような布面積の耐火服を纏っていた。

「グレムリン隊! 揃ったぜ」
「ダークメイジ隊も同様です!」
「ワイバーン隊、ドラゴン隊も同様だ!」

全員の顔にはインカムとゴーグルが存在していた。

「よし、全員出動!」

全員は消防車へ乗り込むと、現場へ急行していった。






消防隊がやってきたのは超高層マンションであった。

「到着! グレムリン隊はドローンを、ダークメイジ隊はスキャン開始!」
「「ラジャー!」」

グレムリン隊長は手持ちの非常に頑丈そうなノートパソコンを起動。
グレムリン隊の数名が手持ちのアタッシュケースを展開し、小さなドローンを解き放つ。

ドローンは煙が出ているマンションへ侵入し駆け巡っていくと、建物内をスキャンする。
スキャンしたデータはグレムリン隊長のPCへと出力され、建物内の構造データを立体的に構築していく。

ダークメイジ部隊はマンションの四隅に一人ずつ立った。
その4人は何やら魔法を呟くと、地面にマンションを丸ごと包む魔法陣が展開された。

「「「「せーのっ!!」」」」

魔法陣は上へ上へと昇っていく。
すると、その魔法陣でスキャンされた
 ・どこがどのように燃えているか
 ・火災の原因は何か
 ・誰がどこに取り残されているか

......を、グレムリン隊長のPCへと情報が転送されていく。

「ボス、全部で59階建て、燃えているのは50階です! その54階に子供3人が取り残されている模様! 火災の原因はガスコンロとダークメイジ部隊が分析しました!」
「ラジャー、火鼠隊、サラマンダー隊、ワイバーン隊、『上』に行くぞ! ドラゴン隊は消火に当たれ!」
「「「「ラジャー!!」」」」

竜フォームと化した2体のワイバーンに一人ずつリビングアーマーを纏った男性隊員が騎乗する。
サラマンダー隊長と火鼠隊長は竜フォーム・ワイバーンの脚にアタッチメントをつけ、それに数本のワイヤーをつける。
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