サプライズ・オートマトン

「マスター、赫夜の膝はどうですか?」
「うん? いい寝心地だよ?」
「そうですか..」ニコッ

マスターである、漫画を読んでいる自分を膝枕しているこいつは、オートマトンの赫夜。
今読んでいる、好きな漫画『NAR○TO』の登場人物から名付けた。

こいつは何でも、グレムリンの卍野博士が、古代遺跡から発掘された設計図を復元し。
さらに改良を重ねて作られた、現代に蘇ったロストテクノロジーの塊である。

卍野博士に作られたオートマトンの多くは、博士という親元を離れて、各々のマスターを社会に溶け込みながら探しているらしいのだが......
なんの因果か、自分もそのオートマトンに見初められたらしい......。

最初は拒否も拒否したが、結局根負けして家にいつくことを許可してしまった。
というのも...。

「マスター、やりました! 株で1000万増やしましたよ!」
「えーっ、またか!?」

こいつは、いつでもインターネットを見られるのか、自分の役に立とうと株を勉強し始めたのだ。
止めようと思った時には既に遅く、数千万の利益を出してしまっていた。
加えてこいつは魔物娘とは言え、機械でもあるので、失敗すれば超学習し。
より精度の高い結果を叩き出すようになったのだ...。

こいつの稼ぎでマンションに住んだり食事も充実しているため......
今や自分はこいつのヒモである。

「マスターはヒモじゃありませんよ、私に動力を提供するという立派な仕事を......」
「.........心を読むんじゃないよ」

おまけに以心伝心も感度良好だ......。
末恐ろしい子である。

赫夜は、自分の股間に手を伸ばし、スリスリ、スリスリと撫でてきた。

「マスター、生活費等々を増やしたので、お情けをください...
#9829;」
「まだ朝10時だけど......まぁ、いいか...」

いい終わる前に膝から自分の頭を優しく下ろし。
自分のスウェットのボトムを下ろしてしゃぶりつく赫夜......。
こんなにも感情豊かだが、自分にはちょっとした疑問もあった.....。




赫夜を始め、卍野博士が造ったオートマトンは『自己増殖強化型オートマトン』という分類のようで。
人間や魔物娘の体をスキャンして、その体のパーツの情報を自分に反映させたり。
マスターとなった男の欲望を吸収しては、『進化態』となることができる仕様なのだとか。

だが、今の赫夜は進化前の段階で、一見すると普通の図鑑絵のオートマトンに見える。
......街中で「おっ、あの子のおっぱいいいなー」とか俺の思考を読んでは勝手にその女性や魔物娘をスキャンしてるけどね。
おかげで様々な体型や髪型にトランスフォームできるようになってしまった。

加えて実質ヒモなので、赫夜の好きな時間に精を補給している...
...が、今のところ彼女に進化の兆候は見られない。
自分の精が薄いためだろうか?

なんにせよ、自分はこいつのマスターだが、全てのスペックを把握しきれているわけじゃない。
どうなるのだろう、これから......






ある日、俺は赫夜と大喧嘩になっていた。

「なんでこんなものを使っているのですか!?」
「オナニーは別腹だろう!?」

自分が隠れてオナホールを使っているのがバレてしまった。
前々から怪しいとは思われていたようで、今回やっと現場を抑えられたんだそうだ。
しかも、たっぷり射精した瞬間を抑えてきた、どうやったんだ......
......オカズ自体は赫夜を脳内に投影していたのだが......本人的には間接的には嫌らしい。

「精は赫夜の唯一の楽しみなんですよ!? それに進化だって......」

最後の方がボソボソして聞こえないが、とりあえず返事はする。

「あー、分かりました分かりましたよ!!」

俺はスカジャンを羽織って玄関に向かった。

「どこに行くんですか!?」
「コンビニだよ!!」

思わず怒鳴りつけてしまう。

わかってますよ、精がお前のご馳走だってのは。
でもさ、オナニーは別腹じゃんよ、わかってくれよ!!

マンションの敷地を出ると、何やら怪しいワゴン車がいる。
ここ最近は治安も悪いからね、気を付けないと。

ワゴン車の横を通り過ぎると......

バカッ!!
グッ!!

「!!?」

俺は車内へ引きずり込まれ、布を口に押し当てられて気絶してしまった!!






目を覚ますと......

「おやぶーん、いい男かっさらってきましたぜー」
「おぉ、いい声で啼きそうじゃねえか」

そこにはどこかの廃倉庫の中で、ハイオークとオークの一味...計20人が食事を貪っていた。

あの食事が終わったら...そう思うとゾッとした。
赫夜とケンカして出てきたことを、心の底から後悔した。

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