「オラオラオラ!! アンチ魔物!! 汚物...魔物は抹消だー!!」
「魔物はこっちにこい!! 隅で一纏まりになってろ!!」
「動いたら矢で撃つ!!」
「変な素振りを見せたらロッドで殴る!!」
一人の勇者と、メイスを携えた巨漢、弓を携えた優男、棒を携えた身軽そうな男の3人の教団兵が親魔国家で暴れていた。
四人は、魔物娘たちをできるだけ一纏めにし、まとめて抹殺するつもりであった。
「至急至急!! 応援を頼む!!」
「至急! このテロを何とかできるのは『アイツら』しかいない!!」
警官隊と憲兵たちが対処するも、相手は曲がりなりにも洗礼を受けた勇者と教団兵隊。
対処は難しかった。
「お兄ちゃーん...!! どこー!!」
一纏めにされた魔物娘の中に、一人の魔女が兄?を探してキョロキョロしながら泣いていた。
そこに警官隊の静止も振り切って、魔女の下に一人の男性が駆け寄ろうとする。
「マリカー!! マリカー!!」
だが、巨漢の拳を一撃くらい、大きく空を舞った。
そして、地に落ちると、背を踏みつけられた。
「ハハハハハ!! 魔物の夫も同罪だー!!」
「魔物もその夫も断罪だ!! 許されざる罪人だ!!」
ハハハハハハと、邪悪な笑い声が響く。
もうダメだ......皆がそう思った瞬間、誰かが声を上げた。
「待てっ!!!!」
「何奴!?」
デデデンデンデン、デデデンデンデン
(キ○・ビルのテーマで再生をお願いします)
「悪しき星が天に満ちるとき、大いなる流れ星が現れる」
デデデンデンデン、デデデンデンデン
警官隊・憲兵隊の人垣が割れ、一人の軽装の男と、
一体のリビングアーマーが歩いてくる。
「その真実の前に、悪しき星は光を失いやがて落ちる...!」
デデデンデンデン、デデデンデンデン
男とリビングアーマーが、教団兵と残り3mという距離を残し歩みを止める。
「人、それを......『裁き』という!」
デデデンデンデン、デデデンデンデン
男は腰の剣を抜き放った。
「き、貴様! 誰だっ!?」
「貴様に名乗る名前はないッ!!......変身!!」
デーデーデン!!
男は、自らの頭上の虚空に、指で大きく円を書いた。
その軌道には魔力が残り、頭上には白く輝く輪っかが残った。
その輪が閃光を放つ。
その閃光が男を覆うように、円柱状のフィールドを構成する。
それからコンマ数秒で、リビングアーマーがパーツごとに分離し、
フィールドの上を透過し、男に装着された。
装着された瞬間、二人の魔力が同調し、リビングアーマーは色が変化する。
男は、兜にトサカ飾りの着いた、ヒロイックな甲冑姿の、黄金の騎士の姿になった。
「貴様...仮面ウォリアーだったのか!!」
「さあね、俺自身はそう名乗った覚えは無いよ」
皮肉をぶつけると同時に、男にしか聞こえない声が響く。
『まず、踏みつけられている男性を救出しましょう。アックスフォームに変身します』
「了解」
騎士の姿が眩く輝くと、トサカ飾りが大型化し、両即頭部から捻れた角、
背部からマントが生え、全身の装甲が重厚な物へと変貌した。
「そんなのこけおどしだ!! 叩き潰してやる!!」
踏みつけている男を放置し、巨漢がメイスを構えて突進してくる。
騎士は魔法陣を展開し、巨大な斧を召喚した。
召喚ギリギリでメイスが叩きつけられる。
騎士は、斧でメイスを受け止める。
「オラッ!! オラッ!! オラッ!!」
三度目連続でメイス攻撃を放つ巨漢。
サンドの攻撃を冷静に受け止める騎士。
「オラァッ!!」
四度目の攻撃を打ち込んだ時だった。
ガッシャーン!!
メイスが粉々に砕け散った。
「なん...だとォォッ!!?」
「打ち続けただけさ、斧でメイスのたった一点を」
騎士が事も無げに言った。
だが、それで引き下がれる巨漢でも無かった。
「調子に乗るなァ!!」
巨大な拳で騎士を殴ろうとするも、
膝を曲げ、腰を落として避けた騎士は斧を両手で持ち、抜き道の要領で巨漢の胴体に渾身の一撃を加えた。
「く...負けた、だと...」
巨漢は崩れ落ちた。
「このクソヤロー!! よくも仲間を殺したな!!」
「安心しろ、魔界銀製だ、動けないだろうがな」
斧を再び展開した魔法陣に投げ入れ、一息ついている騎士。
「次は、俺が相手だ!!」
弓使いと棒術使いがコンビで応戦してくる。
棒術使いのスピードと、正確無比な狙撃は、パワー・防御力重視のアックスフォームでは対処しずらい相手だった。
だが、そこで怯む騎士ではなかった。
「よし、ダブルソードフォームだ」
『ダブルソードフォーム、承認』
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