滑らかな肌を俺の手が滑っていく。腕から肩、そして首筋へと払うように撫でると、船木の体がぴくりと震える。
切なげに喘ぐ口を塞いでやると、応えるような吐息が舌にかかる。そのまま舌を絡ませるような深いキスでお互いの唾液を貪り合う。
息の続く限りに繰り返した後に唇を離すと、船木の潤んだ瞳が目に入る。
「原田、……僕でいいんだよね?」
何度も繰り返される船木の問いに、呆れたように答える。
「いつも言ってるだろ。お前がいいんだよ」
「原田」
嬉しそうに微笑む船木に心臓が跳ねる。肉棒はすでに準備を終えて船木の体に入り込むのを今か今かと待ち望んでいた。
「……いくぞ」
「……あ」
そしていよいよ船木と一つになるべく腰が沈んでいく。その記念すべき光景を目に焼き付けようと視線が腰に降りようとして……
「…………」
……またあの夢を見た。見る度に喉を掻き毟ってしまいたい衝動を何度抑えたことか。
何が悲しいって冗談抜きで俺は船木とそうなることを望んでるってことだ。
別に誰かを好きになるのはごく自然なことだろう。幼馴染みにそういう感情を抱くのも珍しいことじゃないと思う。
そうでなくとも船木は可愛い。大きな瞳はきらきらと輝いて人懐っこい印象を与え、サクランボみたいな綺麗な唇はぷるぷるして、いかにも柔らかそう。さらさらした黒髪のてっぺんは太陽の光を照り返して、天使の輪みたいにきらめいている。
可愛さを集めたような顔立ちに魅了されるのは俺だけではないはずだ。現に毎日のように男からの告白責めが続いている。
……だけど
「どうしたの原田、僕の顔に何かついてる?」
「……いや、なんでもない」
俺、原田真の惚れた幼馴染みの船木亮は……
「そういえばさ、聞いてよ。また昨日男子から告白されてさ、これで何度目だろう」
「……大変だな」
「全く。……なんで僕はこんな女の子みたいな顔なんだろう」
船木亮は、男だった。
いつからだろう。ただの幼馴染みで親友でしかなかったはずの船木をそういう目で見だしたのは。
勿論最初は気の迷いだと思うようにしてた。親友を大事に思うあまり、恋と錯覚してしまっているんだと。
……夢の中で親友ならばと恋人繋ぎで町を歩いていた。
男とは思えないルックスを持つこの幼馴染みは、当然のごとく一部の不届き者にとっての攻撃対象だった。そいつらを叩きのめした俺は、それで船木を守っている気分を味わっているんだと。
……すぐに姫を守るナイトと言う妄想に変化した。
船木が可愛すぎるからだ。せめて船木くらい可愛い女の子がいればと。
……船木の妹、船木そっくりな顔の活発な長女と清楚な次女の双子ちゃん。二人よりも船木の方がずっと魅力的だった。
もはやどれだけ理由を付けても、船木への恋心を否定することは出来なかった。
「ねえ原田、大丈夫?」
「え?」
「最近なんか思い詰めた顔してるよ。なんか悩みでもあるの?」
「いや、なんでもないんだ」
お前のことなんだよ。俺はいつの間にかお前に惚れてたんだよ
そんな風に打ち明けられたらどんなに楽だろう。
「本当に? 無理しちゃダメだよ。困ったことがあったら僕も相談にのるからさ」
「悪い」
「気にすることないよ。僕たち、親友じゃないか」
「あ、ああ……」
そう、俺たちは親友で、お互いのことはなんでも知っている幼馴染み。
……俺はそれ以上を望んでる。男同士なのにこんなのは絶対におかしい。……それでも俺は船木が好きだ。だけど
「大したことじゃないんだ。俺だけでなんとかできる」
それを船木に知られるわけにはいかない。知られたらその瞬間にこいつとの関係は終わる。
誰よりも船木に近いこのポジションを失うなんて俺には出来ない。結局俺は船木に本心を伝えられないまま、こうして隣にいることしか出来ない。
「……分かった。けど無理はしないでね、絶対だよ」
「……ああ。悪いけど先帰っててくれ。ちょっと寄るところがあるんだ」
「……早く帰って休まなきゃダメだからね」
「……ああ」
去っていく船木の後ろ姿を出来るだけ見ないように町の方へと歩き出した。
―――
ふらふらとした足どりで町を歩く。
これ以上帰り道で一緒にいると致命的な言葉を吐き出してしまう。そんな気がして最近船木とは別の帰り道で帰っている。あいつは心配しているが、俺はもう限界だった。
もしかしたらもうあいつとは一緒にいれないのかもしれない。正直に打ち明けて嫌われるくらいならいっそのこと……そんな風に考えるほど追い詰められていた。
もちろん実際にはそんなことできるはずもなく、悶々としたまま結局は船木と一緒にいる自分が情けない。
ため息をつきながらふと顔を上げると小さな店の中の店員と目があった。
にこりと笑った店員は若い女性で、とても可
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