草木も眠る丑三つ時。木々の生い茂る山道を僕は歩いていた。
ぼろぼろの着物を肩にかけた以外は何も身に付けられず、肌寒さが身体を包んでいるけれど、そんなことは言ってられない。
長いこと繋がれたままだったせいで使っていなかった足は、まるで歩き方を忘れてしまったかのようにぎこちなく、走るなんて出来ないくらい足腰が弱っている。もしあれに見つかったらひとたまりもないだろう。
それでも逃げないと、捕まったらきっともう村へは戻れない。死ぬことすら許されず、一生あれに繋がれたまま、生きていかなくてはならない。
想像して背筋に走った寒気に甘い痺れが混じっていたことに気付かないふりをしながら、ひたすらに山道を歩く。
木々がさざめく度に怯えながら歩く道は、着実に神経をすり減らしていく。
今立ち止まったらもう歩くことが出来ない、そんな恐怖に押し潰されそうになりながら足を早めようとするが、覚束ない足取りはそれに着いていけず、足をもつらせて転んでしまった。
「……ひっ!?」
潰れたかえるみたいに地面に倒れた僕を嘲笑うみたいに一斉に木々が揺れる。
「あ……あぁ……」
そんな僕の前に絶望を煽るようにゆっくりとあれが姿を現した。
最初に目に飛び込んできたのは木の幹のように太い毛むくじゃらの脚。
歯をカチカチと鳴らしながら顔を上げると浅黒い肌に黒い模様が刻まれた豊満な身体、そして角をたたえて残酷に笑う女性の顔がそこにあった。
「逃げられると思ったか?」
「ひぃっ!」
ウシオニと呼ばれる魔物、先ほどまで僕を監禁していた張本人。
繋がれていた糸が緩んでいたおかげでなんとか住処から脱出したものの、見つかってしまった。
恐怖に真っ青になっているだろう僕を、三白眼を細めて舌なめずりをして見下ろす魔物。
「いいねえ、その顔。……疼くぜえ」
太い腕で、僕の顔色が見えるように掴み上げるウシオニ。
震えが止まらない僕の姿をを見て、さらに凄惨な笑みを浮かべる。
「……ゆ、許して」
「……いい声だ。もっと啼いてくれよ」
「……ふぁっ、……い、いやぁ」
ウシオニが首筋を甘噛みする度に女の子見たいな声が漏れる。
「ははははは!お前最高だぜ!」
口元から首までを散々歯と舌で蹂躙しながらウシオニが笑う。
「わたしにいつ襲われるかびくびくしながら山道を歩く気分は格別だったろう?」
「……っ!?」
ウシオニの言葉に思わず顔をあげる。……まさか、最初からそのつもりで!?
「ああ、そうだよ。わざと逃がしたのさ。お前をもう一度狩るためにな」
「……」
……逃げられる訳なかったんだ。捕まった瞬間から、僕はこの魔物の慰み者になる運命だったんだ。
「くくく……いい表情になったじゃないか。お前はこれから先、永遠にわたしの物さ。……さて、そろそろ」
ウシオニが僕を抱きすくめる。柔らかい胸が包み込むように押し付けられる。
身体から立ち上る甘い匂いが思考を奪い、いきり立つ肉棒が熱い膣肉に呑み込まれた。
「くうっ!」
「ははははは!もうイッたのか?まだまだこれからだぜ?」
それだけで精液を吐き出した僕をからかうように笑いながらウシオニは動き始める。
腰に回された手が僕の肉棒を膣の奥に押し込む。そのたびに瞼の裏に閃光が走る。
秘貝に締め付けられるたびに肉棒はおろか身体まで痙攣を繰り返し、頭のなかは真っ白で何も考えられなくなる。
「気持ちいいのか? え? ……認めちまえよ、楽になるぜ」
……もう、どうでもいいや。考えても辛いだけだし、なら何も考えないでこの魔物にこうして食べられてしまえばいい。
「ほら、ほら、いいだろ?いいよな? お前はわたしの飢えを満たすためだけに生きる餌だ。分かったか!」
ウシオニの声に意味を理解しないまま頷く。
大きな胸に顔を埋めて、甘い香りを吸い込み、快楽に身をゆだねたまま闇に意識を預けた。
―――
山奥の深くにある洞窟、少年はそこにいた。
縄のような糸に四肢を繋がれ、ウシオニに激しく犯されている。
長い間動かすことを忘れた手足は弱りきり、もう自力で歩くこともかなわないだろう。
目は光を失い、口元に薄ら笑いを浮かべながら唯一自由な腰を揺らす。
それでもウシオニの血をふんだんに浴びたその身は死ぬことなく、ウシオニに糧を与えるためだけに生き続けるのだ。
「あー……あはあ……あぅぅぅぅ」
「ふふふ……安心しな、手放したりしないさ。お前はわたしの餌なんだからな」
洞窟の中では昼も夜も関係なく、今も凌辱が続いている。
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