ギャングスタ・シンフォニー 下
人魔歴1995年、シューシャンク刑務所。その刑務所の奥にある一室がある。そこに服役している受刑者はベビー・フェイスと呼ばれた元マフィアのボスと伴侶達。
濃い性臭と魔力が立ち込め、呻き声のような喘ぎ声が扉から漏れ出ている。
"邸宅"と呼ばれるその部屋には殆ど誰も近づかない。近づけば大抵の者は魔物娘でもその部屋から漏れ出る陰気にやられて、酷いは場合は発情状態から半月は立ち直れ無いという。
さて、今はそこから遡り、おおよそ64年前……
1931年、自分のファミリーを作り上げ力を手にしたミケーレは徹底した秘密主義を敷き、幹部の嫁9人以外ファミリーのボスが誰かを知る者はいなかった。
敵対する者達には情け容赦のカケラもなく、その力を奮っていった。ここではその一部を紹介する。
血の聖愛祭事件。
1932年、2月14日の聖愛祭。慈善活動の為に西方主神教教会に訪れていた敵対するマフィアの幹部をミケーレ自らが無垢なショタを装い油断し切った所でジュノヴェーゼ・ファミリーの構成員が襲撃。
直前に満面の笑顔で『聖愛祭おめでとう♪』そう言ったと言う。
敵対するファミリーと目撃者の教会関係者全員が消息を経つ。後に地元警察署にスラム地区のデビルバグ窟にて目撃情報が寄せられた。
カシゴホテル事件。1932年、4月3日。カシゴ市内の高級ホテルにて主聖祭休暇中の敵対するカシゴ市長、政治家と資産家、マフィアが集まるパーティーにて、花屋の少年に変装したミケーレがパーティー会場で違法入手した軍事用Exマタンゴガスを使用。
『市長さんにお届けものです♪』
無邪気な笑顔の邪悪なミケーレはそう言うとガスマスクを付け、Exマタンゴガスをばら撒き、パーティー会場に居た者全員を無差別にアヘらせた。
これにより市長のカリスマは暗黒の火曜日もかくやと言う大暴落を見せ、自任せざるを得ない状況になり、新たな市長はジュノヴェーゼ・ファミリーが強力にバックアップしたロマーナ系のとある若い政治家が市長となった。
世界大恐慌の暗黒時代にカシゴ市における敵対勢力を全て潰したミケーレは巨大な市場を手に入れ、"公然とした酒の密売"と男娼館やカジノの経営で巨万の富を築く事になる。
1933年、4月。ミケーレはとある経営者から世界大恐慌の余波で潰れたウイスキー蔵と所有する畑を黒人労働者ごと買わないかと打診された。乗り気では無かったが、その人物の身辺を部下達に調べさせ、護衛にカルメッラとグレッタ、それから秘書として経理に明るいマルティーナを連れ、同じロマーナ系アルカナ人と言う"よしみ" で会うことにした。
『……久しぶりだなぁ、クソ親父。お袋は元気か?ん??』
そこにいたのは、ミケーレをカルメッラに売ったマルコだった。
『………………。』
『ふん……まぁいい。ビジネスの話をしよう。ある程度の事情は知っている。また危ない橋を渡ったようだね?部下に調べさせたんだ。』
ミケーレと幹部達を前にガタガタ震える父親マルコはその丸い背中をすっかりと小さくしていた。
落ちに落ちぶれて、今度は上がり、また落ちぶれそうになっている父親を見て、浮き沈みの激しい男だとミケーレは彼に称賛半分、呆れ半分の眼差しを送った。
『……経営者として、率直に言わせて貰うと……マルコさん。黒人労働者を合わせても20.000ダラーが良いとこだ。』
『そんな……30.000は必要なんだ!なぁ、ミケーレ!俺の息子だろぅ!??』
いったいどの口が吐くんだと言いそうになる。
『……マルコさん。困りましたねぇ。あんたが今目の前にしてるのは息子じゃあ無い。ビジネスの取り引き相手だ。俺はあんたに同じロマーナ系の"よしみ" で会ってやってるんだ。……分かるな?』
ニガ虫を噛み潰したような表情になるマルコをカルメッラは冷たい目で見ていた。
『……借金があるんだ。』
『お困りでしょう。マルコさん。しかし……あんたの借金を握っているのは誰か知ってるか?』
『…………。』
マルコの顔が脂汗でダラダラになっていく。
『マルコさん、あんたはバジル信用金庫で金を借りてますね?……俺の会社の子会社だ。つまり、あんたの運命は俺が握ってるんだよ。』
『そこを何とかっ!!』
ガタン!とマルコは立ち上がった。
『自業自得だ。どうにもなりませんよ……と言いたい所だが、俺も極悪非道じゃあない。同じロマーナ系合衆国人のよしみだ……30.000ダラー用意しよう。』
『本当かっ!?……ありがとう!ありがとう息子よっ!!』
『礼を言うには早い。マルコさん……融資の条件として、あんたには差し引いた10.000ダラー分の仕事をしてもらう。……カルメッラ。嫁共全員呼んでくれ。マルティーナは契約書を
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