くれいじーふぉーゆー

くれいじーふぉーゆー

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はてさて、どうしたものか。

僕が優柔不断であり、流されやすい性格だと言うのは明白の事実であり、自分でも自覚している。




話は今日の昼に遡る。




『あなたいったい何なのよっ!!私の旦那様を付け回してどう言うつもり!!??』

……土曜日。休みに街中をぶらぶら歩いていると平和な昼下がりには似つかない大きな声が聞こえて来た。

どうやら白昼堂々と修羅場が展開されているようのだ。野次馬達が何の騒ぎだ?とぞろぞろと集まった。僕もその中の1人だ。どうやらさっきの怒鳴り声の主はあの白蛇さんみたいだ。

『あ、あのっ……そのっ……』

ん?あれ??

間違いない。白蛇さんに詰め寄られているのは、同じゼミの倉井先輩だ。先輩はゲイザーである。

『何とか言いなさいよっ!!!』

ひゅっ……

『ひっ!!』

ばっちーーーーん☆

『ゲフゥ!!!』

どんがらがっしゃーーん。

身体が宙を1回転、2回転。近くのお店の看板に激突。

痛い。凄く痛い。

考えるより早く身体が動いてしまった。つい割って入ったはいいものの、白蛇さんの尻尾のビンタを思いっきり受けてしまった。

もう一度言おう。痛い。すごーく痛い。

『えっ?ちょっと何!?なんなの!?』

白蛇さんが混乱しているようだ。うん、まぁ、そうだよね。しめしめ……

『痛たた……先輩、ここにいたんですか?』

『え……?』

先輩も混乱してる。うん。

(いいから話を合わせてください。)

『あ……う、うん。』

先輩に小声で耳打ちをすると、涙目の先輩はか細い声でうなずいてくれた。

『すいません、先輩は僕と待ち合わせで……。これからデートなんで、失礼します。』

『え?ちょっと!?』

僕は倉井先輩の手を掴んで修羅場を逃げ出した。







『で、どうしたんですか先輩?』

その後、大きな一つ目とだらんとしょぼくれた後ろの触手達の目に涙を滲ませている倉井先輩を放っては置けず……

『……嫌な事あったんでしたら、パーッと飲みましょう。』

……と言ってしまい、彼女と居酒屋へけし込んだのだ。 

テーブルに並ぶのはお通しの枝豆、ビール2つに、ポテサラ、出汁巻き卵、焼き鳥セット。お酒を飲み始めると先輩はポツリポツリと何があったのか話してくれた。

どうやら先輩は昼間の白蛇さんの夫さんを好きになってしまって、彼をストーキングしていたらしい。で、暗示を掛けようとした所であの白蛇さんが出て来たと言うわけだ。

よりにもよって白蛇さんである。魔物娘の中でもラミア種さん達の嫉妬深さと恋人さんや夫さんへの執着は無類だ。その中でも白蛇さんは最強で最恐で最凶である。

よりにもよって先輩はその白蛇の夫さんに手を出そうとしたのだ。嫉妬の炎を燃やし、怒り狂うのは想像に難くない。

下手をすれば辺り一面焼け野原である。

あと、白蛇さんの夫さん……ドンマイ。あなたの尊い犠牲は忘れない。いやホントホント。

『でね?それで……って聞いてる?』

『……聞いてますよ。』

はぁ……正直、少し後悔している。

白蛇さんに尻尾で殴られてまで助けた先輩に、今まで聞いた話し(継続中)は白蛇さんの夫さんとの出会いから、彼がいかにカッコいいか、彼がいかに魅力的な男性かと言う話出である。平々凡々の容姿で、これまた平々凡々の人生しか送って来なかった自分とは大違いである。

(その人の事、本当に好きだったんだなぁ…………)

『聞いてるの?』

『あー、はいはい。なんでしょうか?』

『…………愛原君は好きな人か魔物娘、いるの?』

お酒ですこし頬を赤くした倉井先輩がヘラヘラと笑いながら無邪気にそんな事を聞いてくる。

『………………。』

僕は黙ってグラスの底に残ったビールを飲み干した。

僕、愛原・進(アイハラ・ススム)は先輩に……倉井・加子(クライ・カコ)に憧れているんだ。

倉井先輩はゲイザーと言う魔物娘だ。

10数年前、僕がうんと子供の頃、異世界ゲートが出来て魔物娘と呼ばれる存在がゲートの向こう側からやって来た。彼女達は異世界からこっちの世界に移住したり、逆にこっちの世界の人が向こうの世界に移住したり、俗に言う異世界交流が始まった。

そして数年前、僕が高校生2年の時に倉井先輩に出会った。

たぶん、一目惚れだった。

異世界交流で、僕の通っていた学校は20名弱の魔物娘の留学生を受け入れたんだ。

初めて先輩を見た時、しなやかな黒い髪、白い肌、宝石の様なひとつ目の瞳に心を奪われた。目の付いた背中の黒い無数の触手も不思議な可愛さがある。

すこし影があって、すこし変わっていて、でも何処か抜けた所が……素敵だと思った。

魔物娘の留学生が来てから、僕の周りの学友達は魔物娘
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