序章 世界会議と計画

異界の扉


序章 世界会議と計画


聖暦 及び 人魔歴1990年 人魔国際連合議会場。


平和会議では一つの議題が上がっていた。

『世界の人口は1980年代に入り魔物娘が人間の人口を逆転。現在の人口比率は魔物娘と人間を含め女性が約64.25%、男性が約35.75%です。男性の出生率も低下。世界の人魔の人口約32億人の内、男性の人口は1984年の約13億人をピークに減少傾向を辿っています。そのうち性活動が可能な人口は約8億人。反対に人間に女性と魔物娘は現在19億人を超え増加しており、その内性活動が可能な人口は17億人を超えています。このままでは、あと100年もしない内に未婚の男性はこの世から居なくなってしまいます。対策が必要です。』

ブリトニア連合王国の女性首相(人間)が真剣な表情で訴えている。彼女も焦っているのだろう。個人的に。

『ブリトニアでも重婚を認めては?我が国、アラビ王国では男性は重婚を4人まで認めています。』

『それは一時的な解決にしかなりません。10年後、20年後に政策は意味を為さなくなります。』

今度は霧の国の宰相であるハクタクが手を挙げた。

『失礼いたします。霧の国宰相のツァオ・リンレイでございます。閣下の訴える問題の解決策と致しまして、例えば我が国が行っております『男の子政策』はいかがでございましょう?……未婚の男性が魔物娘を娶る場合、人間の女性と"合意の上で"男の子を1人以上儲けてから魔物娘を娶る……人間の女性が魔物娘になる場合は、その前に男の子を1人以上産んでいただく……。勿論、合意の上で重婚も可能でございます。』

『……人間の女性がまるで男の子を産む機械の様ではありませんか!』

『??……矜持の問題でありましたら、問題の解決は容易と愚考いたしますが?』

『人魔権問題にもなります!第一、女性の幸せを考えて頂きたい!』

『女性の幸せ?ふふふ……それは愛する男性を幸せにする事では?違いますか?男性は私達魔物娘がこれ以上無く幸せにする事が出来ますのに。それが私達の至上の幸せであるのでございます。であらば、人間の女性もいち早く男の子をお産みになり、魔物娘に成ればよろしいかと……。』

『ぐっ……人間の女性は幸せを求めるなと?そう言う事ですか?』

『ふふふ………そうは申し上げておりません。が……解釈はお任せ致します。しかし、"十分な時間"を稼ぐ事は出来るかと。』

『……経済的格差によってそれが出来ない人や魔物娘も大勢いますし、そもそも貴国の『男の子政策』は必ずしも男の子が多く産まれる確証はありません。ブリトニアでは取り入れられません。』

『アイヤー……我が国では一定の効果を挙げておりますのに……残念でございます。ふふふ……』

宰相は冷やかな流し目をブリトニアの首相に送ると白い羽扇で顔を隠した。

『ツァオ宰相、そこまでだ。……マーガレット首相が仰った通り、人魔共通の危機として未婚の男性の減少に歯止めが効きません。先程ツァオ宰相が仰った通り、"十分な時間"を稼ぐ事は必要です。なぜなら魔王様による世界改変が近来可能としても、その前に人類が緩やかに絶滅してしまう可能性があります。……私たちは世界の男性の20%が失われたと言われている第二次人間大戦での損失を今なお解決出来ていないのですから。クラーヴェの首都、ベルン東西を分けていたベルンの壁は壊れました。おめでたい事です。しかし、このままでは近い将来に世界が壊れそうです。……ねぇ、ハインリヒ大統領?それからナカタ首相?』

ファラン共和国の大統領(サキュバス)がクラーヴェ共和国大統領(人間男性)とジパング皇国首相(人間男性)を睨みつけた。

『……確かに第二次人間大戦はクラーヴェに全責があります。』

『ハインリヒ大統領、それは大戦時に同じ枢軸国であったジパングも同じです。しかしながら、エウロパス(西の大陸)のファランやブリトニアそして新大陸のアルカナ合衆国が南海諸島や南の大陸、霧の国、しいては中つ国に対して行った植民地政策や第一次人間大戦の戦後処理はどうなのでしょうねぇ?あのような行動の結果が第二次人間大戦に間接的な原因になったのでは無いのですか!?少なくとも我が国は搾取されていた南方諸島の植民地開放の為に大儀を持って戦ったのだ!!』

バン!

『なんだと!?責任逃れも甚しい!ジパングが我が国に行ったダイアモンドハーバーはどう説明する!』

今度はアルカナ合衆国の大統領が声を荒げた。

ガタン!

『その貴国に……いや、世界において魔導化されていない核兵器を使用されたのは我が国だけだ!』

『よく言ったナカタ首相!次はロマーナ抜きでやろう!!……あ、勿論平和的に。』

会議は平行線を辿った。











『……皆様、いい加減に
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