第5章 夜明け
勝った。クラーヴェ帝国はもう堕ちたも同然だ。我々魔物娘はほぼ全ての公的機関の制圧に成功した。
クーデターを成功させるには、まず軍や国のシステムを統制する機関を速やかに、手段を問わずに制圧する事にある。
元老院議会室を後にしたボク達は魔方陣による召喚術を駆使して陸軍本部や帝国議会堂を始め、国直営の機関を次々と堕としていった。
情報伝達もままならないまま、静かにこの国は変わっていく。
大多数の国民は今国が落とされてる事にすら気付いていないだろう。
あとは周りを固められて四面楚歌にある皇帝を始めとする国を動かす老人達に無理やりにでも親魔物国化を認めさせればいい。その辺りの外交的な事はカルミナお姉様に任せよう。彼女ならきっと上手くやってくれる。
そして今、軍隊の兵舎を侵略中であり、ここがボクの最終目的地であり、最後に取っておいた最終目標が、例えるならショートケーキのイチゴが居るのだ。今正に必死にもがいている最中だろう♪
歩けばすぐ横の物陰では若い男性職員がサキュバスに襲われている。
柱の陰ではラミアと初老の男が睦み合っていた。妻に先立たれたやもめさんだろうか?お幸せに♪
トイレの洗面台では蒸せ返るほどの陰気に当てられた女性職員がレッサーサキュバスとなって、意中であろう若い男性職員を裸に剥いている真っ最中だ。いいぞ、いいぞ♪もっとやれ♪
簡易礼拝室ではシスターとダークプリーストがレズプレイ中で、その横で祭司が男根をいきり立たせた状態でイスに縛り付けられていた。
参謀室では下士官の男性とデビルが組んず解れつ交わっていた。
父親に会いに来たと思われる男の子はリザードマンとサラマンダーに2人がかりで貪られていた。
皆、思い思いに快楽を求め、睦み合い、愛し合っていた。これが有るべき姿、これぞまさに幸福だろう。
みなさまご馳走さまです。お腹いっぱいです。
(ハンナ・エーデルバッハから魔物娘各部隊へ。制圧した施設を閉鎖、情報を統制、封鎖せよ。完了次第、施設内での自由行動を許可します。みんな楽しんでね♪)
(((((やった〜
#10084;
#10084;
#10084;)))))
通信魔法の魔力周波数が歓喜で乱れたのか、ノイズに混じって水音やら喘ぎ声が聴こえる。みんな上手くやった様だ★
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くそ!!何がどうなっているんだ?此方の行動を全て把握してると言わんばかりに的確な位置に敵が配置されている。まるで誰かの手の平でおどらされてる様だ。
同行していたフランツ中尉は作戦行動中にいなくなった...いや、煙のように忽然と姿を消してしまった。館内廊下の角でしゃがみ、安全を確認した時、振り向いたら消えていた。そこには彼のライフルが残されているだけだった。
誰かが辿り着き、俺の命令を待っている事を信じて、1人身を隠しながら練兵場倉庫までのルートを行く。そんなに離れてはいない筈だが、今はひどく遠くに感じる。手元には残弾1発のライフルと士官用の拳銃、腰に差したサーベルが1本。
そんな状況になったのはかれこれ1時間ほど前に遡る。俺、フレデリック・リヒターはその時、陸軍練兵場兵舎にてフランツ少尉から大隊の訓練終了の報告を受けていた。
コンコンコンコン...ガチャリ...
『リヒター少佐。…少佐?』
『ああ…悪い、フランツ中尉か...なんだ?』
『訓練終了です。』
『そうか...わかった。撤収作業終了次第、本部に定時連絡の電報を。後は明朝の点呼まで自由行動とする。隊のみんなに伝えてくれ。ご苦労だったな』
『了解しました。...少佐、最近少し根を詰め過ぎてませんか?無理しないで下さい。...古い仲間もだいぶ減って…行方不明のエーデルバッハ中佐の事も...』
俺は拳をぎゅっと握りしめたまま、下士官に応える。
『…あれは戦争だったんだ、仲間の事は仕方ないさ。それに、あそこで勝たなければもっと被害が出たんだ。俺たちがそんな顔してたら散って行った仲間に申し訳がたたない。...俺は大丈夫だ。』
俺は自らにも言い聞かせるように、言った。
『そうですよね!...すみません、変なこと言って。少佐、失礼します!』
フランツは敬礼して去って言った。明るくていい奴だ。俺は窓の外を見て、曇り空を眺める。ああ言ったは良いが俺自身の心の整理がつかない。まるでこの曇り空の様に、霞みがかったままだ。
あの時、俺の手でヨハンを殺した。あいつは戦争の中で、快楽を感じている様だった。俺はそんなあいつに嫌悪感を露わにし軽蔑した事もあった。あいつもそんな自分を嫌っていた。そうなるきっかけを作ったのは他ならぬ俺だ。俺が士官学校に入りさえしなければこうはならなかっただろう。誰よ
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