二幕 相場
今日は稽古日で自宅の撃剣道場に門下生達が来て稽古をしている。
セイ!!ヤッ!!
セイ!!ヤッ!!
男も女も妖娘も竹刀や薙刀を持って素振りをしている。
『小五郎、またお前さん右肩が上がってる。お梅さん、薙刀は足捌きを気をつけて。大助、剣尖は相手の眉間からずらさない。』
はいっ!!!
素振りが終われば今度は薙刀組の組稽古だ。一人一人師範の俺が相手をする。
セイヤ!……スパーン!!
『……とまぁこんな具合に本手打ちは振りの速さが命だ。礼!』
『ありがとうございます!』
『次!』
『はい!お願いします!』
だぁ!!……ドスっ……
『振りが遅いと、捌きからの下段薙や今の様に柄撃ちの餌食になる。』
……薙刀組が終わり、次は竹刀組の相手をする。
『遅い!!』
スパーン!!
『ぐぇっ!』
『不用意に振りかぶるな。貫洞の良いマトだ。次……』
『よろしくお願いします。』
キュッ……キュッ……
足捌きは良し……剣尖もブレないか……
ガッ!!……バッッ!……スパーン!!
『ふぅ……小太郎、良い太刀筋に足捌きだ。鍔迫り合いは離れた瞬間に落とし技や面打ちに警戒しろ。……あと半歩下がっていたら今の面打ちは躱していたろう。』
『はい!精進します!』
『では、今日はここまで!!礼!!』
ありがとうございましたーー!!!
そうして修練試合や打ち込み稽古が終わった頃、赤鬼の朱音ちゃんが訪ねてきた。手桶に何か持っているようだ。
『あの……門左衛門さま。こんばんは。』
『おう、こんばんは。朱音ちゃんかい。どうした?』
すると、朱音ちゃんが持っていた手桶を差し出してきた。
『この前はご迷惑をお掛けしました。……これ、うちの酒蔵のお酒です。お詫びに……』
『こりゃあ、中取りの上物じゃあないか。……悪いが受け取れねぇよ。今は米高いし、酒はもっとする筈だ。困ってんだろ?』
『でも……』
『あらぁ、いいじゃあないかい。お前さまぁ。』
意識の間を縫うようにぬらりと嫁が顔を出した。
『しかしだなぁ……』
『じゃあ、何かいぃ?このままこの娘さんに恥ぃかかす気かいぃ?朱音ちゃんだっけぇ?若いのに大した心意気じゃあないかい。あたしゃこの娘が気に入ったよぉ。』
『……でもなぁ、そんな高価なもん』
『じゃあねぇ、朱音ちゃんも飲むってのはどうだいぃ?』
『『えぇ??』』
『そうさねぇ〜。それが良いねぇ〜♪さ、お入りお入り♪』
……嫁にぬらりと纏められてしまった。
主屋に上がり、座敷に箱膳を出し、魚と漬け物と、塩辛と朱音ちゃんが持って来た上物のお酒が並ぶ。米の酒は久々だ。
『……うめぇな!流石は酒蔵!!』
『いんやぁ〜、美味しいねぇ。ありがとうよぉ、朱音ちゃん♪』
『良かったぁー、嬉しいです。』
うまい酒が進み進み、あれよあれよと一升瓶を空けて……なんだか気持ちよくなってきた。
じゅぷっ……じゅるっじゅるっっ……
あれ?なんで股が気持ち良いんだぁ?
なんで嫁と一緒になって朱音ちゃんが俺のをしゃぶってやがるんだぁ?
たんたん……たんたん……
『門左衛門さまぁ
#10084;門左衛門さまぁ
#10084;ぁああ
#10084;』
おいおい、なんで朱音ちゃんが俺の上で跳ねてるんだぁ?
あ、夢か。そうか、こりゃ夢だ。
………………チュンチュン……チュンチュン……
……おいおいおい、待っておくれ待っておくれ!?
なんで素ッ裸の俺の横で、素ッ裸の嫁と朱音ちゃんが寝てんだよぉぉおおおお!!!???
『あの……門左衛門さま。……お、おはようございます……(ぽっ』
『お前さまぁ♪昨日は楽しかったねぇ〜♪』
あっ……はい。
『門左衛門さまは今日、上番の日ですよね?私も酒蔵に。今、朝ごはんのお支度をします。……あの……門左衛門さま?』
『な、なんでございましょうか!?』
『こ、これからは……旦那様とお呼びしても……(ぽっ』
さーーーっ……夢じゃなかったのね。やっぱり。
『は、はい……』
そう言うと、ただでさえ赤い朱音ちゃんの顔が更に紅をさした様に赤くなり、朝ごはんの支度にお勝手へと向かって行った。
『いゃあぁ〜。もう影響がでるとはねぇ〜。恐れ入谷の鬼子母神ってことさねぇ♪』
『なんの事だい?』
『さぁてねぇ?ふふふ……♪』
その後は朝ごはんを美味しく食べたが、食事中まともに朱音ちゃんの顔を見られなかった。
『いゃあ、美味しいねぇ♪』
一人だけツヤツヤしやがって……
とまぁ、そんな具合で今日一日はまるで仕事に身が入らなかった。川上小警部殿には弛んどる!!とどやされ田中にはぐうたらだと笑われたが……
夜になって帰る時にふと櫛屋が目に入った。
朱
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