邪悪の果てに

邪悪の果てに

*拷問ショーの始まりです。

魔界銀を使用してますが、残酷描写があります。



カタリナ殿下の対談から3ヶ月経ち、いよいよ国立闘技場にて拷問ショーが開催される。

黒衣の聖者 がショーに出る。そのニュースは瞬く間にノーマンズランドや周辺国に広がり、首都カタリナにはポスターや広告文が溢れかえり、街道はショー見たさに人や魔物娘や馬車でごった返している。中にはやたらと豪華な馬車があり、従僕であるダフネの話によると親魔物国や魔界の王侯貴族までもこのショーを観にくるらしい。勿論、我が雇い主でありこの国の国主であらせられるカルミナ殿下も見に来てくださるそうだ。……ご苦労な事だ。

私はこのショーへの準備と魔界銀を始めとする魔界のあらゆる物質や生物、魔法、魔法薬の研究などで雇い主から与えられた屋敷の研究室に缶詰めだった。研究以外の時間は物を口にするか、眠るか、ダフネを犯していた。そういった訳で初めてこの街に訪れてから外に出た事はない。馬車の窓から見る首都カタリナの景色はむせ返るような熱気に彩られ、照りつける白昼の太陽が霞むほどだ。

国立闘技場に着くとすぐに控え室に案内された。そこで使う道具を確認し、闘技場裏側に向かう。闘技場では前座の剣闘士による試合が行われている。戦争で捕えた捕虜と魔物娘を戦わせ、捕虜が勝てば自由を与えられ、魔物娘が勝てば捕虜を好きに出来るらしい。使われる武器は魔界銀製で、死人が出るような事は無い。また当然の様にギャンブルも行われている。既に観客は興奮の只中だ。

今戦っているのは、中つ国人であろうか?ターバンを巻いた褐色の肌を持つしなやかな体躯の男だ。ダフネによると彼はイシュマール王国の暗殺者だと言う。かなりの手練れのようで曲芸師のような体術を持ち、曲刀を振るっている。

対するは身の丈程の大剣を振るうアマゾネスの女戦士だ。信じられない事にアシュマールの男が放つ神速の剣撃を全て紙一重で躱している。

『旦那様。ああやって、戦士達は愛する者を見つけるのでございます。』

すると一際大きな歓声が聞こえた。どうやら勝負が決まったようだ。喝采と共に犯せ!犯せ!と野次が聞こえる。

アマゾネスの剣闘士は鬨の声を上げるとその場で男を犯した。

その様な試合が幾つか続いた後、いよいよ私の出番となる。円形の闘技場の中心にはまるで処刑台のような舞台が設置されている。

『お集まりの皆様!お待たせしました!本日のメインイベント!!遠く離れたベルモンテ王国より訪れたのは、冷酷無慈悲の邪悪を極めし異端審問官……かの高名なる"黒衣の聖者"ベンジャミン・シュバルツ・リヒター!!』

ファンファーレが鳴り響き、司会者が大仰に私の名を告げた。

『旦那様……行ってらっしゃいませ。』

ダフネがそう言って頭を下げ、私は闘技場へと続くドアを潜る。観客はまるで楽しい見世物や喜劇を見るような様子で猿のような奇声とも歓声とも取れるを上げ、邪悪なる異端審問官を歓迎した。

私が舞台に上がると鎖に繋がれた絹服を纏った老人が連れて来られた。

『本日の犠牲者は同じく遠く離れたベルモンテ王国出身のケント・オーベルシュタイン主神教司教。彼は先のオランジュ独立戦争の折、イスパール王国にて胎牢の刑に処された大罪人ノーマン・ビショップ司教らと共に、主神教福音主義派への執拗な弾圧や民への収奪並びにユタ人虐殺に関与。その後はベルモンテ王国へ戻り若き王子を傀儡にし私腹を肥やした正に悪の権化!!是非とも我らが"黒衣の聖者"に宗教裁判にかけていただきましょう!!!』

司会者がそう言うと、彼に裁きを!!断罪を!!屈辱を!!と観客達は口を揃えて叫んだ。

彼等にとってはオーベルシュタインがどうということは関係無い。残酷で楽しい拷問ショーを観れればそれで良いんだろう。

彼は警備兵により舞台に繋がれた。

『おぉ、久しぶりだなベンジャミン。あの目付きの悪い小僧が大きくなりおった。して……主神教司教たる我を裁くと?宗教裁判だと?』

『ええ、そうです。オーベルシュタイン先生。私はあなたを裁きます。』

ペッ!!

ベチャ……

オーベルシュタインは私に向かって唾を吐き掛けた。

『舐めるなよ若僧!!この裏切り者め!!』

なるほど、これはやり甲斐がある。

唾を拭い、パチン!と指を鳴らすとダフネが今日ここで使う様々な拷問具を持って来た。

『先生、勘違いしないでいただきたい。今、あなたが崇めるべき神は主神では無い……私だ。』

彼の目の前にイグニスの炎により真っ赤になった焼き印を見せる。それには快楽のルーンが刻まれている。奴隷にしるしを付けるにはもってこいの代物だ。

『な、なんと傲慢な!主神の怒りと裁きを恐れるがいい!!』

『ククク……可笑しいな。主神が存在するとして
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