・はじめに
これから旅に出るつもりの勇者諸君、脅すつもりではないが、今我々は危機的状況に陥っている。レスカティエは陥落し、領土は減り続け、勇者はただ数が減るどころか魔物側につく者まで出始める始末。
この手引きは君達新米勇者が魔物の手に落ちないように予め危険を防止するためのものである。決して読まずに捨てるなどということがないように。
・街中編
ケース1 美女に声をかけられた
8割がた魔物だ。諸君らのようなどうて……失礼、経験不足な勇者にターゲットを絞っている罠だ。間違ってもついていくな。無視するのが一番だ。
ケース2 同業を名乗る女性に同行を依頼された
同上。5割の確率で魔物の罠だ。別の予定があるからと言って断れ。
ケース3 荷物の中に見知らぬ剣(防具、本)が
魔物の罠だ。即刻処分しろ。間違っても装備しようなどと思わないように。装備したら最後、一生外せなくなる。いいな? 絶対に装備するなよ! 絶対だぞ!
ケース4 親方! 空からエンジェル様(ヴァルキリー様)が!
魔物の罠だ……と断定するのはエンジェル様及びヴァルキリー様両名に失礼だ。しかし彼女らが魔物と化するという情報もかなり寄せられている。
勇者たるもの甘い誘いには乗るな。以上だ。
ケース5 教会のシスターがやたら聞いたこともない宗教を勧めてくる
無駄かもしれないが逃げろ。そのシスターは残念ながら魔物と化している可能性が極めて高い。
装備を整えずに戦うなどはもっての他だ。
最近はどこに敵がいるか分からない。
ケース6 突然女剣士に勝負を挑まれた
戦え。勝て。ただの女剣士に勇者が負けるものか。
ケース7 初恋の少女と再開したetc
魔物だ、決して惑わされないように。
・草原編
ケース1 「たかがスライム、捻り潰してやる!」
このような田舎の盗賊めいた言葉を発して魔物に挑む気なら、勇者をやめてもらいたい。
問題はそこではなくスライム『程度』と侮っていることだ。確かにスライムは危険度は低いがだからといって侮っていい理由にはならない。奴らは素早く、そして攻撃も強いが臆病故にすぐ逃げ出す厄介な奴である。
スライムに挑む際にはくれぐれも適切な練度で、逃げられる前に倒すように。
・ケース2 上から来たぞ!気を付けろ!
当たり前であるが草原では上から鳥獣系の魔物が襲いかかってくる。そのため、パーティでの行動が推奨される。リスクの分散のためである。勇者たるもの時には非情になるべし。
・ケース3 ドラゴンとの遭遇
諦めろ、以上。
通常滅多に草原では遭遇しないのだが、極めて稀に遭遇することがある。そういった時には踵を返し逃げるべきである。大抵逃げ切れないのだが。
・ケース4 オークに囲まれた
「くっ! 殺せ!」などとは言ってはいけない。奴らを興奮させるだけである。
可能であれば取るべき手段は2つ、包囲を突破するか自刃するかの2択である。無論、不可能である場合もあるのだが。
ケース5 「お父さん、羊の魔物がもふもふもふもふ」
慌てるなぼうや、それは魔物の罠だ。
所詮あれはただの毛だ。そう考えろ。奴は襲ってこないから無視しろ。
ケース6 背後からつけられている気配がする
最寄りの村に避難しろ。
・森林編
近寄るな、以上。
という訳にもいかない故に最低限の解説を行う。
ケース1 森の中に甘い香りが漂っている
花の魔物がてぐすね引いて待っている。間違っても近寄るな。
ここまで見え透いた罠に引っ掛かる輩もそうそういないだろう。
ケース2 珍しいキノコを見つけた。これ食ってもいいかな?
良いわけがあるか。8割方毒キノコだ。
ケース3 ゴブリンに囲まれた
オークの時と同様。
ケース4 ワーウルフに襲われた
組伏せられたならば諦めろ。仲間が捕まったならばすぐに逃げろ。残念ながら助からないだろう。
ケース5 はちにさされた チクッ
はちには きをつけよう
ケース6 フェアリーに遊びに誘われた
ドラゴンに対して弱点を突けるので、仲間にするのも悪くはない。
・山岳地帯編
森ほどではないが危険地帯。森は見えない罠が多いのに対し、こちらは見える場所に危険が待ち構えている。
熟練の冒険者以外は行くな。迂回しろ。
ケース1 ドラゴンに襲われた
逃げろ、以上。
ケース2 黒い犬の魔物に襲われた
逃げろ。黒いコボルト?は通常種の3倍強い。
逃げる際には背後からのタックルには気を付けろ。当たり判定……もとい、攻撃範囲が異常に広い。タックルされそうになったら横に避けるべし。
ケース3 ワイバーンに上から急襲された
頭上の警戒を怠らなければ不意打ちによって連れ去られることは少ないだろう。
ワイバーンはドラゴ
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