「陸くんお疲れさま。よく頑張ったね!さ…お風呂に入ったら一緒におねんねしようね!……はい!ご褒美のちゅー。」
あれからいったいどれだけの精を放出し続けただろう。陸の疲れを見抜いた白夜が気遣ってくれた。先ほどまでの冷酷な眼差しは消え去り、今ではすっかり穏やかな表情に戻っている。白夜は疲労を隠せない陸を労わる様に抱くと、そっとキスをしてくれた。
「む…んっ…。んふぅ…。」
柔らかくしっとりとした妻の唇を、半ば呆然とした意識で味わう。そう言えば今日キスをするのは初めてだった。なぜか妙に懐かしく…そしてもっと甘えたい。もう何もこだわる必要は無い。白夜は全てを受け入れてくれるだろう…。陸はためらわずにキスをねだる。
「あ…もっと…。」
「うふふっ…。嬉しい…。すっかり素直になってくれたね!はい!素直で良い子の陸くんにはもっとご褒美だよー。」
白夜は柔らかく笑うと陸の頭を抱えこむ。そして唇をしっかりと重ねあわすと、長い舌を侵入させて陸の舌に絡み付けた。
白夜は陸の舌を吸い、口中を念入りに舐めまわし、唾液を喉奥に注ぎ込む。だがそれは愛情と思いやりのこもった接吻だった。陸もうっとりとして淫らな施しを受けいれて、子供が母に甘える様に白夜を抱きしめる。そして自らも舌を吸いかえして、注ぎ込まれる甘い唾液をこくこくと飲み干した。
互いの慈しみを込めあった情熱的な口づけだったが、白夜の方から名残惜しげにそっと離れた。何事かと思った陸が悲しげな表情で訴える。
「え……?嫌だよ!もっとして欲しい…。それとも……まだ怒っているの?」
「大丈夫!良い子になってくれた陸くんに怒りなんかしないよぉ!もう何も心配しないで!」
白夜は不安げな様子の陸を慰めて愛撫する。そしてにっこりと笑ってみせた。
「ちゅーしたいのなら幾らでもしていいんだよ〜。私も陸くんとちゅーするの大好き!でも…べたべたになっちゃったから体洗いたいな…。とりあえずお風呂を沸かしてくるから待っていてね!」
「あ……でも……。」
「安心して!すぐ戻ってくるからね…。」
穏やかな微笑みを残すと白夜は部屋を出て行った。
一人残された部屋で陸はしばし黙然とする。気が付けば白夜の濃い性臭が部屋に漂っている。それは当然陸の体にもこびりついており刺激的に鼻をつく。
だが決して不快ではない。愛する妻の匂いはいつも心を落ち着かせてくれる。今も何度も深呼吸しては白夜の事を思い浮かべた。
白夜はトラウマにはしないから大丈夫と言った。その言葉を裏付けるかのように陸の心は平静…と言うよりも蕩け切っている。だが恐怖と快楽の調教を受け続け、心は完全に折れてしまった。負けた…。もう二度と白夜に挑むことも逆らう事も出来ないだろう。本当ならば羞恥心と屈辱感から、立ち直れないぐらいのダメージを受けてもよいはずだ。
そのはずなのに心の中にあるのは、恍惚とした甘さと安らぎだけだ。白夜に身を任せていれば喜んですべてを与えてくれるだろう…。その思いが白夜を求めさせ、心が蕩ける様な切なさに胸が締め付けられる。
とにかく俺達は新しい関係に入ってしまった。今後どのような日常を送る事になるかは友人達を見ていれば想像がつく。白夜と一緒に甘美な泥沼に堕ちて行くしかない…。陸はそう思いため息を着いた。でも、ほんの少し前まではぞっとする様な感情しか抱かなかったのに、今では妙な期待に胸が高鳴る様な興奮を覚える。もうすっかり堕とされてしまったな…。陸は自嘲するかのような笑みを浮かべた。
その様な事をとりとめもなく思っていたが…どうしたのだろうか?すぐに戻ってくると言った白夜はなかなか帰ってこない。不安になってきた陸はそわそわして焦燥感に駆られ始めた。
何故だろう…無性に白夜が欲しい。蛇体を巻き付けられて拘束され…。熱い抱擁を交わして舌を啜り合い…。柔らかい胎内に思う存分精を吐きだしたい…。白夜の微笑み、白夜の眼差し、白夜の匂い、すべてが恋しい。
待ちきれなくなった陸は苛立たしげにドアまで行くとノブを捻る。が……開かない。焦った陸はさらにガタガタ揺するが全く微動だにしない。
おかしい…。なぜこれほどまでに白夜を求めてしまうのだろう…。無性に切ない。
一人では寂しい…。
白夜がいないとつらい…。
切ない…
つらい…
寂しい…
つらい さみしい 切ない 悲しい つらい 切ない 悲しい 寂しい…………………………。渦巻く思いが爆発しそうになった陸は必死になってドアを叩く。
「白夜ちゃん!白夜ちゃん!お願い。開けて!お願いだから!俺を一人にしないで!頼むからあ!」
そうだ…そうだった。大声で叫んで取り乱しながらも陸は思い出す。白蛇の妻に魔力を注がれ
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