有妃は俺の体に絡みつくと優しく押し倒した。そしてのしかかると二の腕をしっかりと押さえつける。瞳は先ほど以上に嗜虐心と欲望に溢れ、本能をむき出しにした深紅の光を放っているかのようだ。
でも、そんな彼女は酷薄な美しさに満ちておりとても魅力的だ。嬲られたい、思う様に貪られたい、という思いが溢れてくるのを抑えきれない。いつしか興奮状態に陥り、はあはあと荒い息をつく。
「私が佑人さんのものであるように、佑人さんも私のものですからねっ…。これからはずっと一緒です…。もう絶対に離しませんよ……。」
ねっとりとする声で耳元で囁くと、有妃は強烈な笑みを浮かべる。魔性の笑みというものはきっとこの事に違いないだろう。知らずに背筋がぞくぞくとしてくるが、それはむしろ心地よく恍惚感すら覚える。
そのまま俺の耳は嬲る様に舐め続けられて、思わず女の様なあえぎ声を出してしまう。耳に掛かる熱い吐息と、ぬるりとした舌のもたらす快楽は想像以上だった。もう絶頂に届きそうになってしまいたまらず哀願する。
「有妃…ちゃん……。もう……駄目だから……。」
「ふふっ…。佑人さんだめですよぉ〜。出すなら私の膣内で、ね……。さ、存分に種付けして下さい………。」
笑みを浮かべたままの有妃は、はち切れんばかりの肉棒をどろどろの秘唇にあてがう。そこは大きな口を開けて歓喜の液体を垂れ流しており、ひくひくと震えていた。滴りを受けた男根はたちまちぬらぬらの粘液色に染め上げられてしまう。ああ……とうとう食べられるのだ……。だが、この時をずっと待ち望んでいた……。
もう気持ちの昂りを抑えきれなかった。俺は獣の様なものすごい眼差しをしていたのだろう。その姿を見た有妃は優しく労わってくれる。
「ごめんなさい。今まで我慢させてしまいましたね…。これからはずっと気持ち良くしてあげますからっ……。それじゃあ、いきますよ………。」
有妃はゆっくりと腰を落とした。とたんに一物がぬるぬるの感触に包まれ、きゅうっと締め付けられる。俺が繋がった喜びに包まれようとしたその時だった。終始魔物然とした妖艶な様子を崩さなかった有妃が、うっ、とうめき声を上げた。
「有妃ちゃんっ!」
慌てて声をかけた俺の目に入ってきたのは赤い色…。俺と有妃が一つになった結合部から流れ出ている血の色だった。まさか、これは…。
「有妃ちゃん…大丈夫っ?」
「ふふっ…。そんな気にしないで大丈夫ですよ…。話には聞いてきましたけど、初めてってこんな感じなんですねえ…。」
有妃は心配する俺を逆に気遣うかのように気丈に微笑んだ。そうか…。有妃は初めてを捧げてくれたのだ…。まぎれもなくこれは破瓜の証なのだ。
ここまで想ってくれるなんてとても嬉しい…。嬉しいけど、わが身を顧みて不安と自己嫌悪の念も巻き起こってくる。俺はどうしようもない人間だ。信頼に答えられる人間なんかじゃない…。
彼女と一緒に過ごすようになってからは、久しく囚われる事の無かった劣等感がじくじくと染み出てくるようだ。つい暗い思いが心をよぎってしまう。
「本当に有妃ちゃんは俺なんかで良かっ……んっ………」
最後まで言葉を続けられなかった。その瞬間、有妃がキスをして口を塞いできたからだ。ぬるりとした舌を入れて俺の舌に絡め、吸い、甘くとろとろの唾液を流し込む。こくこくと呑み込むと心と体が熱く燃え滾り、くだらない悩みがたちどころに消えて行くのを感じた。
「好きになってはいけませんか?それとも…佑人さんだから好きになったと言う以外に理由が必要ですか?」
頭がぽーっとなった俺に、有妃は優しく教え諭すように語りかけた。先ほどまでの加虐的な魔物の視線では無く、慈愛深くとても温かい眼差しで……。その柔らかに澄んだ真紅の瞳に思わず見入ってしまう。
「ねえ佑人さん……。佑人さんが色々と抱え込んでいるのはわかっていますけど、もうこれからは何も思い煩う事は無いんですよ。不安や悩みは全部私が預かりますからっ!どんな小さな事でも遠慮しないで委ねて下さい。
大丈夫ですっ!私が良い奥さんになって佑人さんを幸せにしますからねっ!」
「本当にありがとう…。こんな俺もだけど…有妃ちゃんを幸せにするための役に立ちたいな…。」
有妃は安心させる様に力強く宣言すると、笑ってうなずいてみせた。でも、そんな有難い言葉にも俺は自信なさげな態度を取らざるを得なかった。実際役に立つ、幸せにする、と断言できないのが本当に情けない。
「ふふっ…。もう佑人さんは私にとって無くてはならない人なんですよ。頼りにしていますからねっ!でも…無理して背伸びはしないで下さい。今のままで十分なんですから。
あ、私の物言いが偉ぶって聞こえたらごめんなさい…。二人で一緒に幸せになりましょう
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